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騒動前に戻った……?

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完璧ではないもののハルのケアは出来た、あとはドッグセラピー的なアレでどうにか調子は戻るだろう。

「問題はセイカ……」

ハルに引っ叩かれたらしいセイカのケアはまだ出来ていない、アキの翻訳に付きっきりで二人きりで話すタイミングがない。呼び付けるべきだろうか、アキの隣で普段通りに過ごせているのなら放っておく方がいいのか?

「……ほっとくかぁ」

あまりセイカにリソースを割くとまたハルが文句を付けてくるかもしれない。セイカの調子が目に見えて悪くなるまでは放置しよう、俺じゃ共倒れになりそうだしアキに任せて……アキ、シュカのしゃぶってない? 気のせい? 遠くてよく見えない。

「水月~、水月どこ~?」

「……あ、サン! サン、こっちこっち、こっちだよ」

サンは杖を片手にこちらへ向かってくる。足に杖が触れるまで呼び続け、屈んだ彼にぺたぺたと頬を撫でられる。

「水月居た。ちょっとこれ食べてみて」

「何これ。んっ……チーズ?」

「スモークチーズ、出来てるかな? もう少し入れておいた方がいい? ボクそれ食べたことないから分かんないんだよね」

「俺も食べたことないからよく分かんないけど、美味しいよ」

普通のチーズとは少し違う。燻製特有の香りがある。俺は好きだが、苦手な者も居そうだな。

「ボク、料理は結構するんだけど燻製は初めて。アンタに会って初めて人を描きたいと思ったし、兄貴以外で初めて人を閉じ込めた。初めてばっかり。さっきの騒ぎも結構びっくりしたし……水月、芸術家的には点数高いよ? 刺激くれる子ってイイよね」

「サンの初めてもらえてて嬉しいよ。さっきのは情けないからもう忘れて欲しいけど……でもさ、サン、それなら俺が刺激的じゃなくなったら……サンが俺に飽きたら、サンはもう俺のこと好きじゃなくなっちゃう?」

「えぇ? ふふっ、変なこと言うね。ボクは作品のためには刺激が欲しいけれど、それ以外は安定とか平穏が好きなんだ。アンタを描き尽くしてしまっても、アンタの魅力はなくならないよ」

「……そっか、安心した」

「アンタ高校生のくせに随分ボクと長く付き合っていく想定してるんだね、ガキはガキらしくもっと行き当たりばったりでもいいんじゃない?」

「それでもし大好きな人を傷付けたら、そんなの若いからじゃ済まないよ」

歌見を泣かせた日のことを思い出す。まだ全ての実感が薄く、ゲーム感覚で生きてしまっていたあの時のことを──俺はきっと一生忘れない。

「添い遂げる気でしか付き合わないよ」

「……大人だねぇ」

二つ目のスモークチーズが口に押し込まれる。

「兄貴も?」

「フタさん? うん。まだよく分かってないけど、いい人そうだし見た目好みだし、本気で好きだよ」

「……兄貴がやっぱなんか違うとか言って別れようとしたら?」

「…………仕方ないよね、惚れさせられなかった俺が悪いんだ、逆恨みとかはしないよ。フタさん俺に恋愛感情はなさそうだし……頑張らないと本当にそうなるかもだよね、旅行終わったらデートとか誘ってみるよ」

なんて話していると、芝生を踏む足音がまた一つ近付いてきた。

「お肉お持ちしたっすよ、先輩。燻製のハムもいい出来っす、食べて欲しいっす」

「ありがとう、レイ」

「ボクもお肉食べたいな~」

サンはレイと入れ替わりにコンロの元へ向かった。気を遣ってくれたのだろうか、本当に肉が食べたくなっただけ? どちらでもありえそうな人だ。

「……杖振りながら火元近付くのって危なくないんすかね?」

「さぁ……まぁ、火が近いのは熱で分かるだろうし、杖は燃えるような素材じゃないから大丈夫なんじゃないか? それよりレイ、食べさせてくれよ」

「あっ、はいっす!」

「ここ座るか?」

行儀よく足を揃えて座り、膝をぽんぽんと叩く。レイは頬を赤らめて頷き、足を開いて俺と向かい合うように俺の足の上に座った。

「ちゃんと冷ましてくれよ?」

「ふー……ふーっ…………ぁ、あーん、っす」

タレが絡んだ肉に吐息をかけ、自身の唇にちょんと触れさせて温度を確認した後、食べさせてくれた。

「ん~……美味しさ倍増、いや百倍増、万倍? もっとかな」

「お上手っすねぇせんぱい。他のお肉と変わらないっすよ」

「レイの息と唇分、絶対美味しくなってる! 賭けてもいい」

「何賭けるんすか?」

「何賭けよう……勝ったら倍に増えるんだよな? じゃあ今鞄に入ってるゴム全部。隙間に入るだけ詰め込んだけど、ちょっと少なかったかなーって思ってるんだよ」

「……俺の分はゴムは浮くっすよ」

レイは紙皿を持っている手で割り箸も掴み、空いている手で俺の太腿の付け根を撫でた。

「俺はナマで欲しいっすから」

自身のベルトを外し、また箸を持ち直して今度はハムを俺に食べさせると、空になった紙皿と割り箸を机に置き、腰をくねらせた。

「せんぱい……」

俺は机に置かれたオレンジジュースを一口飲み、もう一口吸って口に含んだままレイと唇を重ねた。

「んっ……? ん、んん……はぁっ、すっごいオレンジっすね……俺がたまに飲む果汁3パージュースとは違うっす」

「水分補給はしっかりしないとな、まだ飲みたいか?」

「もっとドロっとした臭くて不味いの、下の口からいっぱい飲ませて欲しいっす」

「……煽るなぁ」

細い指が胸をつぅっと撫でる。

「じゃあ、レイ……一旦降りて、ズボンを下ろして、下のお口がどれだけ口寂しくしてるのか見せてくれるか?」

「はいっす、もうお腹ぺこぺこっすから早く食べさせて欲しいっすぅ」

ベルトを外されたズボンはレイが立ち上がった瞬間からずり落ち始めた。レイが軽く足を開いていたからズボンは膝の辺りで止まり、白磁器のような美しい太腿で俺の目を眩ませた。

「あ、後ろ向かないと見えないっすよね」

足枷のようなズボンをそのままに、よたよたとその場で一回転をしたレイは下着を下ろして腰を曲げ、バイブを咥えたままの後孔を俺に見せつけた。
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