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久しぶりに手を出したい
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彼氏の中で一番締まりがキツいアキを抱いた翌日に、一番締まりが緩いセイカを抱く。極端な二人と同居していることを改めて実感した。
(さてさてどんな風に進めて参りましょうか、まずはキスですかな)
いや、抱くのはやっぱりもう少し控えた方がいいかもしれない。体力も筋力もついてきて顔色もよくなったとはいえセイカの身体はまだ骨の形がハッキリと分かる。
「……鳴雷、絵の具臭い」
「えっ、顔は洗ったんだけどな……服に染み付いちゃったのかな。脱いだら大丈夫だよ、ちょっと降りてくれるか?」
セイカをベッドに下ろし、ダンスジャージを脱ぐ。脱いだばかりの服を嗅いでみるとほんのりと油絵の具の匂いがした。サンと共に過ごしたあの部屋の光景が瞼の裏に浮かぶ。
「これでどうかな」
グレーのトランクス一枚でベッドに戻る。セイカは俺の首に腕を回し、すんすんと鼻を鳴らすと上機嫌な猫のように俺の胸に頭を擦り寄せた。
「……鳴雷の匂い」
「臭くないか?」
「うん……この匂い好き」
「絵の具の匂いは嫌いか?」
俺は結構好きだ。飯時や起き抜けに嗅ぐのは嫌だろうけど。
「……他の男の匂いするの嫌」
「なるほど。ふふ、可愛いこと言ってくれるなぁ……じゃあセイカの匂いたくさんつけてくれるか?」
「ん……」
唇を重ねながらセイカの服を脱がしていく。シャツを脱がす際にセイカが手を上げたり、ズボンを脱がす際に腰を浮かせたり、そんなことに俺は幸福を感じる。
「全部脱いじゃおっか、俺も脱ぐよ」
「……うん」
ついさっき母が語ってくれたことを思い出す。女に受け入れられないと男として死んだような気になる男も居ると──今、その感覚を理解した。受け入れられる喜びは、服を脱がす手に協力してくれる仕草は、替えのきかない幸せだ。
「はぁ……あぁもうヤバい鼻血出そう。あ、待って、ゴム取ってくる」
「……童貞の段取りの悪さ」
「悪かったなぁいつまでも童貞っぽくて!」
押し倒しておきながら全裸でベッドから離れるのは確かに酷いと思う。自己嫌悪を溜めながら部屋の隅っこに置いてあった鞄を拾い、サンと使いたかったローションやゴムなどを取る──
「あっ」
──フィナンシェ、サンに渡すの忘れてた。
「鳴雷? ゴムないのか? 俺はナマでもいいぞ、ベッド汚したくないならタオルとか持ってこいよ」
「あ、いや、大丈夫。ある。なんでもない」
呆れ顔のセイカの元に急いで戻り、ベッドの端にローションとゴムとティッシュを置く。
「えっと……セイカ、今日の体調は?」
「大丈夫だから抱けよ」
「無理はさせたくないんだよ。俺は素股か手コキでも十分嬉しいし、正直に言ってくれ」
「……俺にも性欲あるんだからな」
「あぁ、もちろんフェラとかはしてやるぞ?」
「そうじゃなくて……抱いて欲しいんだよ、いい加減に……同じ家に居るのにお前は秋風とか他のヤツとばっかして、たまにしてるとこ見たりもして……羨ましくて」
太腿を擦り合わせ、下腹に爪を立て、ジトっと俺を睨む。
「…………腹の奥、ぎゅうって痛くなる感覚……分かんないだろ」
「……ごめん。セイカはそんなにセックス好きじゃないと思ってた、俺がしたいからさせてくれてるんだとばっかり……そっか、セイカもしたいと思ってくれてたんだな」
「何回かそう言ったはずだけど」
「気ぃ遣ってるのかなとか、家賃代わりのつもりなのかなぁとか色々考えちゃって……ごめんな?」
「…………今日は抱いてくれる?」
「うん! 抱かせてくれるか? ありがとうな、あんまり激しくはしないようにするよ」
細過ぎる太腿を掴んで開脚させ、照れるセイカの股ぐらに顔を押し付ける。窪んだ内腿にキスをし、何度も何度もちゅっちゅっと弾けるような音を鳴らす。
「な、鳴雷……そんなとこに口すんの……やめろよ。すぐ入れられるから、もう……」
「ん……だーめ。ちゃんと前戯しないと気持ちよくないだろ? 俺はしっかり興奮したいの」
掴んだ太腿を腹に押し付けて会陰に舌を這わせる。ぴくぴくと足が跳ね、呼吸のリズムが崩れていく。
「……っ、鳴雷」
「んー?」
「鳴雷、なら……絶対っ、イケる……最初渋ってたって、どうせ……ぁ、はっ……落とせる、から……そんな……落ち込まないで、な?」
左手がわしわしと俺の頭を撫でている。
「……何のこと?」
「サン……って人だっけ、上手く口説けなかったんだろ? んで俺とヤって誤魔化そうって……」
「…………セイカで誤魔化そうとなんてしてないよ」
落ち込んだから慰めてと言ったのはどこの誰だ? 失恋しそうな胸の痛みを叶った初恋の相手を抱くことで誤魔化そうとしたじゃないか。
「俺は鳴雷に求めてもらえるなら何でもいいけどさ、どうせ口説けるんだからそんな落ち込むなよ。ヤクザ? だか犯罪者? だか何か問題あるみたいだけど……どうせお前は諦めないんだろ? 自分が被害者でも好きなのやめないんだからさ……ふふ、バカ……なぁ、鳴雷……キス、口に欲しいな」
俺は何も言えないまま身体を持ち上げ、セイカの頭の隣に肘をつき、もう片方の手を背に回し、唇を重ねた。
「んっ……は、ぁ…………鳴雷、鳴雷……何人口説いても、誰と寝てもいいから……んっ、ん……俺、捨てないで」
「……捨てる訳ないだろ」
「…………うん。んぁっ!? ぁ、あっ……鳴雷、そんな……丁寧にしなくても、入るってばっ……」
俺の先走りの汁を拭った指をセイカの後孔に入れ、異物にヒクヒクと反応する腸壁を撫でて楽しむ。相変わらず緩い穴は俺の指三本を易々と受け入れ、僅かに締め付ける。
「ほぐしてるんじゃなくて愛撫してるんだよ、指でも色々確かめておきたいんだ」
「ぅ、あっ!? 待って鳴雷っ、そこ、そこやだっ!」
ぷにぷにと柔らかい腸壁の中である一箇所だけある硬いところ、しこりのようなそれを撫でるとセイカは目を見開いて嫌がったが、締め付けが緩く動きも鈍い腸壁の方は抵抗しているように思えない。
(この緩さなら指疲れにくいですし、動かしやすいですし、前立腺で好き放題遊べちゃいますぞ。イイですなぁセイカ様、よきでそ~)
三本の指で前立腺をぐにぐに揉んでやるとセイカはあっという間に精液を吐き出し、声を上げて悦んだ。
(さてさてどんな風に進めて参りましょうか、まずはキスですかな)
いや、抱くのはやっぱりもう少し控えた方がいいかもしれない。体力も筋力もついてきて顔色もよくなったとはいえセイカの身体はまだ骨の形がハッキリと分かる。
「……鳴雷、絵の具臭い」
「えっ、顔は洗ったんだけどな……服に染み付いちゃったのかな。脱いだら大丈夫だよ、ちょっと降りてくれるか?」
セイカをベッドに下ろし、ダンスジャージを脱ぐ。脱いだばかりの服を嗅いでみるとほんのりと油絵の具の匂いがした。サンと共に過ごしたあの部屋の光景が瞼の裏に浮かぶ。
「これでどうかな」
グレーのトランクス一枚でベッドに戻る。セイカは俺の首に腕を回し、すんすんと鼻を鳴らすと上機嫌な猫のように俺の胸に頭を擦り寄せた。
「……鳴雷の匂い」
「臭くないか?」
「うん……この匂い好き」
「絵の具の匂いは嫌いか?」
俺は結構好きだ。飯時や起き抜けに嗅ぐのは嫌だろうけど。
「……他の男の匂いするの嫌」
「なるほど。ふふ、可愛いこと言ってくれるなぁ……じゃあセイカの匂いたくさんつけてくれるか?」
「ん……」
唇を重ねながらセイカの服を脱がしていく。シャツを脱がす際にセイカが手を上げたり、ズボンを脱がす際に腰を浮かせたり、そんなことに俺は幸福を感じる。
「全部脱いじゃおっか、俺も脱ぐよ」
「……うん」
ついさっき母が語ってくれたことを思い出す。女に受け入れられないと男として死んだような気になる男も居ると──今、その感覚を理解した。受け入れられる喜びは、服を脱がす手に協力してくれる仕草は、替えのきかない幸せだ。
「はぁ……あぁもうヤバい鼻血出そう。あ、待って、ゴム取ってくる」
「……童貞の段取りの悪さ」
「悪かったなぁいつまでも童貞っぽくて!」
押し倒しておきながら全裸でベッドから離れるのは確かに酷いと思う。自己嫌悪を溜めながら部屋の隅っこに置いてあった鞄を拾い、サンと使いたかったローションやゴムなどを取る──
「あっ」
──フィナンシェ、サンに渡すの忘れてた。
「鳴雷? ゴムないのか? 俺はナマでもいいぞ、ベッド汚したくないならタオルとか持ってこいよ」
「あ、いや、大丈夫。ある。なんでもない」
呆れ顔のセイカの元に急いで戻り、ベッドの端にローションとゴムとティッシュを置く。
「えっと……セイカ、今日の体調は?」
「大丈夫だから抱けよ」
「無理はさせたくないんだよ。俺は素股か手コキでも十分嬉しいし、正直に言ってくれ」
「……俺にも性欲あるんだからな」
「あぁ、もちろんフェラとかはしてやるぞ?」
「そうじゃなくて……抱いて欲しいんだよ、いい加減に……同じ家に居るのにお前は秋風とか他のヤツとばっかして、たまにしてるとこ見たりもして……羨ましくて」
太腿を擦り合わせ、下腹に爪を立て、ジトっと俺を睨む。
「…………腹の奥、ぎゅうって痛くなる感覚……分かんないだろ」
「……ごめん。セイカはそんなにセックス好きじゃないと思ってた、俺がしたいからさせてくれてるんだとばっかり……そっか、セイカもしたいと思ってくれてたんだな」
「何回かそう言ったはずだけど」
「気ぃ遣ってるのかなとか、家賃代わりのつもりなのかなぁとか色々考えちゃって……ごめんな?」
「…………今日は抱いてくれる?」
「うん! 抱かせてくれるか? ありがとうな、あんまり激しくはしないようにするよ」
細過ぎる太腿を掴んで開脚させ、照れるセイカの股ぐらに顔を押し付ける。窪んだ内腿にキスをし、何度も何度もちゅっちゅっと弾けるような音を鳴らす。
「な、鳴雷……そんなとこに口すんの……やめろよ。すぐ入れられるから、もう……」
「ん……だーめ。ちゃんと前戯しないと気持ちよくないだろ? 俺はしっかり興奮したいの」
掴んだ太腿を腹に押し付けて会陰に舌を這わせる。ぴくぴくと足が跳ね、呼吸のリズムが崩れていく。
「……っ、鳴雷」
「んー?」
「鳴雷、なら……絶対っ、イケる……最初渋ってたって、どうせ……ぁ、はっ……落とせる、から……そんな……落ち込まないで、な?」
左手がわしわしと俺の頭を撫でている。
「……何のこと?」
「サン……って人だっけ、上手く口説けなかったんだろ? んで俺とヤって誤魔化そうって……」
「…………セイカで誤魔化そうとなんてしてないよ」
落ち込んだから慰めてと言ったのはどこの誰だ? 失恋しそうな胸の痛みを叶った初恋の相手を抱くことで誤魔化そうとしたじゃないか。
「俺は鳴雷に求めてもらえるなら何でもいいけどさ、どうせ口説けるんだからそんな落ち込むなよ。ヤクザ? だか犯罪者? だか何か問題あるみたいだけど……どうせお前は諦めないんだろ? 自分が被害者でも好きなのやめないんだからさ……ふふ、バカ……なぁ、鳴雷……キス、口に欲しいな」
俺は何も言えないまま身体を持ち上げ、セイカの頭の隣に肘をつき、もう片方の手を背に回し、唇を重ねた。
「んっ……は、ぁ…………鳴雷、鳴雷……何人口説いても、誰と寝てもいいから……んっ、ん……俺、捨てないで」
「……捨てる訳ないだろ」
「…………うん。んぁっ!? ぁ、あっ……鳴雷、そんな……丁寧にしなくても、入るってばっ……」
俺の先走りの汁を拭った指をセイカの後孔に入れ、異物にヒクヒクと反応する腸壁を撫でて楽しむ。相変わらず緩い穴は俺の指三本を易々と受け入れ、僅かに締め付ける。
「ほぐしてるんじゃなくて愛撫してるんだよ、指でも色々確かめておきたいんだ」
「ぅ、あっ!? 待って鳴雷っ、そこ、そこやだっ!」
ぷにぷにと柔らかい腸壁の中である一箇所だけある硬いところ、しこりのようなそれを撫でるとセイカは目を見開いて嫌がったが、締め付けが緩く動きも鈍い腸壁の方は抵抗しているように思えない。
(この緩さなら指疲れにくいですし、動かしやすいですし、前立腺で好き放題遊べちゃいますぞ。イイですなぁセイカ様、よきでそ~)
三本の指で前立腺をぐにぐに揉んでやるとセイカはあっという間に精液を吐き出し、声を上げて悦んだ。
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