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俺の膝の上で照れながらも俺に笑いかけているカミアの頭をそっと撫でる。
「相変わらずくるくるだな」
カンナは髪に……カツラに触られるのを嫌がるけれど、カミアは少しも嫌がらない。くるくると巻いた指に絡まる黒髪はカミアいわく天然のパーマらしい。
「王子様みたいだよ」
「あはっ☆ そういう衣装着たことある」
「だろうなぁ、一番に連想するもん。この長さのくるくるした髪って言ったら……王子か天使かしかありえないもんな」
「そういうのって金髪じゃない?」
くりくりした瞳を瞼の下に隠して、くすくす笑う。
「……本当に可愛いよ」
腕の中にすっぽり収まったカミアを眺めていると改めて顔で稼いでいる少年だと実感させられた。いや、アイドルとしては歌や踊りなど努力が重要なのだろうと分かってはいるが。
「すごく可愛い」
造形だけで言えば俺の彼氏達の美貌だって負けちゃいないし、アキなんて勝っているとすら思える。けれど、違う。何か違うんだろう、髪や肌にかける手間と金額? それもあるがそれだけじゃない。
「な、何……真面目な顔して、もぉ……」
なんだろう、オーラか? 芸能人オーラというやつなのか?
「照れるじゃん……」
ぽっと頬を赤く染めたカミアの可愛らしさは俺の胸の奥の奇妙な衝動に火をつける。
「……みぃくんっ、ほっぺ好きだったよね?」
俺の手を取り、頬を撫でさせる。もちもちだ、カミアと同じ化粧水などを使っているらしいカンナも素晴らしい頬をしているが、やはり肌の滑らかさや感触のもちふわ具合はカミアの方が上だ。このままもちもちと楽しみたい、つまみたい、引っ張りたい、噛み付きたい……衝動は次第に攻撃的になっていく。
「えへへっ、どう? 嬉しい……? みぃくん? そ、そんなにむにむにしてるのに無表情ってある……?」
何故かカミアに対しては極端に強く湧き上がるキュートアグレッションを抑え込むのに集中してしまって表情筋が静止していたようだ。
「ごめん、幸せがキャパオーバーして」
「えぇ? ふふふっ、そんなことになっちゃうの? みぃくんカッコいいのに可愛いところもあるね」
笑うと閉じてしまう瞼を飾るまつ毛は長く多く、顔を近付ければ瞬きの度に風が来るほど。キリンはこんなまつ毛をしていたなぁなんて思い出しつつ、重たそうなまつ毛を撫でた。
「……まつ毛気になる? 自前だよ」
閉じたまま微かに震える左の瞼と、俺が危害を加えることなどありえないと信じて疑わない真っ直ぐな右の瞳。
「みぃくんだって結構ふさふさのくせにぃー、ふふ」
「……カミアは本当に目が綺麗だな。目力がすごいって言うか、吸い込まれそうだ」
「よく言われる☆ でもなんか、みぃくんに言われると照れちゃうね……」
「星を孕んでるみたいな……銀河が、この目の奥にあるような。キラキラして、本当……すごく綺麗だよ」
「……真面目な顔してぇ」
鼻が触れ合う距離でカミアの目を観察していると額を指で弾かれた。
「ちょっと痛い」
「僕はアイドルなんだよ? そりゃ水月くんはカッコよくて大好きで、僕みぃくんに何か言われるとすぐ照れちゃうけど……目はチャームポイントで事務所も推してる、そんなセリフ何回ポスターや雑誌で見たと思ってるの」
「俺雑誌とかあんまり読まないからオリジナルの言葉だよ……オリジナリティはないかもしれないけどさ」
「パクったなんて言ってないよ、その程度の言葉じゃ効かないぞ☆ って言ってるの。僕がお膝に乗ってあげてるんだから、もっともーっといいセリフ思い付いて当然だよねっ☆」
可愛らしいワガママさは多分演技だ、話し方がアイドルのそれらしく不自然に聞こえる、おそらく照れ隠しだろう。
「セリフなぁ……俺は口下手なんだよ」
太腿を撫でるとカミアはビクッと身体を跳ねさせ、余裕ぶった笑顔をやめた。
「……なんだよその顔、一億三千万人を熱狂させる営業スマイルはどうした? 超人気アイドルのカミア様がまさか一介の男子高校生なんかに太腿撫でられただけで照れてるのか?」
ズボンの生地は固めのようだが、俺には分かる。薄らと筋肉が付いている弾力だ。太腿の外側と内側での弾力の違いを楽しむように位置を変えながら太腿を揉みしだいていくと、カミアは呼吸を不規則にさせ、顔を真っ赤にさせて俯いた。
「ちょっと太腿揉まれただけでビクビクして……感じてるのか? 敏感なんだな。アイドルのこんな一面俺しか知らないんだろうなぁ……」
「……っ、水月くんの触り方がえっちなのぉ! なんか急に意地悪になったし」
「…………ごめん。可愛いから、つい」
俺の思った通り、揶揄いは俺の攻撃衝動の発散に役立った。しかしこれもカミアが嫌がるのなら控えなければならない、大丈夫、我慢は得意だ。
「あっ、いや……謝らなくていいよ。嫌だった訳じゃなくて、その……結構きゅんとしちゃったし」
「……意地悪されるの好きなのか?」
「そっ、そんな変態みたいな言い方しないでよぉ! 軽くなら! 本当に軽くなら! ほら……僕、仕事付き合い以外なくて、友達も恋人も居ないし、家族も……お母さんはマネージャーでやっぱり仕事って感じがするからさ…………お兄ちゃんと昔過ごした時間が、多分僕の中ですごく大きくて……お兄ちゃん、僕のことよくからかったり、イタズラしたり、割と意地悪だったからさ」
「へぇ……そうなのか」
今のカンナからは想像も出来ない。俺の知らないカンナを知るカミアが少し羨ましい。
「だから、多分お兄ちゃんのせいで、優しい意地悪なら僕好きみたい」
その自覚を持ったのはたった今なのだろう。
「そっかぁ、なんだろうな……実は俺もな、カミア見てるとなんか意地悪したくなるんだよ」
カミアがちゃんと感じたことを話してくれたのだから、俺も打ち明けてしまおう。
「びっくりさせたり甘噛みしたり、ちょっとつねったりしたくなる。でもそんなことしちゃダメだなって我慢しててさ、試しにちょっとからかってみたらそれ発散されてさ……だからまぁ、アレだよな、需要と供給の一致……? ウィンウィン? 的な」
「そうだったんだ……みぃくんトイレ我慢してるのかなーって思ってた」
「我慢顔にはなっちゃってたんだな……本当不思議だよ、他の彼氏には虐めてって言われても虐めるの難しいのにさ。カミアはすごくなんかこう、つつき回したい」
セイカに対してたまに湧く攻撃衝動は復讐心が元だろうから、また別だと思う。
「えー、何それぇ、ふふふ……」
ポスターや雑誌、ジャケ写で見るのとは全く違う緩んだ笑顔。アイドルのカミアとしてではなく、ただのカミアの笑顔。それは年相応でとても愛らしく、やはり加虐心をくすぐった。
「相変わらずくるくるだな」
カンナは髪に……カツラに触られるのを嫌がるけれど、カミアは少しも嫌がらない。くるくると巻いた指に絡まる黒髪はカミアいわく天然のパーマらしい。
「王子様みたいだよ」
「あはっ☆ そういう衣装着たことある」
「だろうなぁ、一番に連想するもん。この長さのくるくるした髪って言ったら……王子か天使かしかありえないもんな」
「そういうのって金髪じゃない?」
くりくりした瞳を瞼の下に隠して、くすくす笑う。
「……本当に可愛いよ」
腕の中にすっぽり収まったカミアを眺めていると改めて顔で稼いでいる少年だと実感させられた。いや、アイドルとしては歌や踊りなど努力が重要なのだろうと分かってはいるが。
「すごく可愛い」
造形だけで言えば俺の彼氏達の美貌だって負けちゃいないし、アキなんて勝っているとすら思える。けれど、違う。何か違うんだろう、髪や肌にかける手間と金額? それもあるがそれだけじゃない。
「な、何……真面目な顔して、もぉ……」
なんだろう、オーラか? 芸能人オーラというやつなのか?
「照れるじゃん……」
ぽっと頬を赤く染めたカミアの可愛らしさは俺の胸の奥の奇妙な衝動に火をつける。
「……みぃくんっ、ほっぺ好きだったよね?」
俺の手を取り、頬を撫でさせる。もちもちだ、カミアと同じ化粧水などを使っているらしいカンナも素晴らしい頬をしているが、やはり肌の滑らかさや感触のもちふわ具合はカミアの方が上だ。このままもちもちと楽しみたい、つまみたい、引っ張りたい、噛み付きたい……衝動は次第に攻撃的になっていく。
「えへへっ、どう? 嬉しい……? みぃくん? そ、そんなにむにむにしてるのに無表情ってある……?」
何故かカミアに対しては極端に強く湧き上がるキュートアグレッションを抑え込むのに集中してしまって表情筋が静止していたようだ。
「ごめん、幸せがキャパオーバーして」
「えぇ? ふふふっ、そんなことになっちゃうの? みぃくんカッコいいのに可愛いところもあるね」
笑うと閉じてしまう瞼を飾るまつ毛は長く多く、顔を近付ければ瞬きの度に風が来るほど。キリンはこんなまつ毛をしていたなぁなんて思い出しつつ、重たそうなまつ毛を撫でた。
「……まつ毛気になる? 自前だよ」
閉じたまま微かに震える左の瞼と、俺が危害を加えることなどありえないと信じて疑わない真っ直ぐな右の瞳。
「みぃくんだって結構ふさふさのくせにぃー、ふふ」
「……カミアは本当に目が綺麗だな。目力がすごいって言うか、吸い込まれそうだ」
「よく言われる☆ でもなんか、みぃくんに言われると照れちゃうね……」
「星を孕んでるみたいな……銀河が、この目の奥にあるような。キラキラして、本当……すごく綺麗だよ」
「……真面目な顔してぇ」
鼻が触れ合う距離でカミアの目を観察していると額を指で弾かれた。
「ちょっと痛い」
「僕はアイドルなんだよ? そりゃ水月くんはカッコよくて大好きで、僕みぃくんに何か言われるとすぐ照れちゃうけど……目はチャームポイントで事務所も推してる、そんなセリフ何回ポスターや雑誌で見たと思ってるの」
「俺雑誌とかあんまり読まないからオリジナルの言葉だよ……オリジナリティはないかもしれないけどさ」
「パクったなんて言ってないよ、その程度の言葉じゃ効かないぞ☆ って言ってるの。僕がお膝に乗ってあげてるんだから、もっともーっといいセリフ思い付いて当然だよねっ☆」
可愛らしいワガママさは多分演技だ、話し方がアイドルのそれらしく不自然に聞こえる、おそらく照れ隠しだろう。
「セリフなぁ……俺は口下手なんだよ」
太腿を撫でるとカミアはビクッと身体を跳ねさせ、余裕ぶった笑顔をやめた。
「……なんだよその顔、一億三千万人を熱狂させる営業スマイルはどうした? 超人気アイドルのカミア様がまさか一介の男子高校生なんかに太腿撫でられただけで照れてるのか?」
ズボンの生地は固めのようだが、俺には分かる。薄らと筋肉が付いている弾力だ。太腿の外側と内側での弾力の違いを楽しむように位置を変えながら太腿を揉みしだいていくと、カミアは呼吸を不規則にさせ、顔を真っ赤にさせて俯いた。
「ちょっと太腿揉まれただけでビクビクして……感じてるのか? 敏感なんだな。アイドルのこんな一面俺しか知らないんだろうなぁ……」
「……っ、水月くんの触り方がえっちなのぉ! なんか急に意地悪になったし」
「…………ごめん。可愛いから、つい」
俺の思った通り、揶揄いは俺の攻撃衝動の発散に役立った。しかしこれもカミアが嫌がるのなら控えなければならない、大丈夫、我慢は得意だ。
「あっ、いや……謝らなくていいよ。嫌だった訳じゃなくて、その……結構きゅんとしちゃったし」
「……意地悪されるの好きなのか?」
「そっ、そんな変態みたいな言い方しないでよぉ! 軽くなら! 本当に軽くなら! ほら……僕、仕事付き合い以外なくて、友達も恋人も居ないし、家族も……お母さんはマネージャーでやっぱり仕事って感じがするからさ…………お兄ちゃんと昔過ごした時間が、多分僕の中ですごく大きくて……お兄ちゃん、僕のことよくからかったり、イタズラしたり、割と意地悪だったからさ」
「へぇ……そうなのか」
今のカンナからは想像も出来ない。俺の知らないカンナを知るカミアが少し羨ましい。
「だから、多分お兄ちゃんのせいで、優しい意地悪なら僕好きみたい」
その自覚を持ったのはたった今なのだろう。
「そっかぁ、なんだろうな……実は俺もな、カミア見てるとなんか意地悪したくなるんだよ」
カミアがちゃんと感じたことを話してくれたのだから、俺も打ち明けてしまおう。
「びっくりさせたり甘噛みしたり、ちょっとつねったりしたくなる。でもそんなことしちゃダメだなって我慢しててさ、試しにちょっとからかってみたらそれ発散されてさ……だからまぁ、アレだよな、需要と供給の一致……? ウィンウィン? 的な」
「そうだったんだ……みぃくんトイレ我慢してるのかなーって思ってた」
「我慢顔にはなっちゃってたんだな……本当不思議だよ、他の彼氏には虐めてって言われても虐めるの難しいのにさ。カミアはすごくなんかこう、つつき回したい」
セイカに対してたまに湧く攻撃衝動は復讐心が元だろうから、また別だと思う。
「えー、何それぇ、ふふふ……」
ポスターや雑誌、ジャケ写で見るのとは全く違う緩んだ笑顔。アイドルのカミアとしてではなく、ただのカミアの笑顔。それは年相応でとても愛らしく、やはり加虐心をくすぐった。
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