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人間の顔じゃないぞ

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互いの顎が互いの鼻の方にある、片割れの上下が反転したキス。座っている歌見の背後で膝立ちになった俺が、真上を向いた歌見と交わした口付け。

(……ぁ、これ……アレ出来そうですな)

強く揉んだ胸を今度は優しく揉みながら、舌の腹同士を擦れ合わせていたが、一旦口を離した。

「はぁっ……」

首に疲れでも溜まったのか、歌見はすぐに前を向いた。

「パイセン、もっかいキスしましょ」

「ん……ちょっと待って」

胸を揉まれる快感に恍惚としながら返事をした歌見は自身の首に手を添え、前後左右に首を曲げ、回し、それから上を向いた。やはり首が疲れていたようだ。

「首痛いですかな?」

「いや……」

目を閉じ、薄く口を開いた歌見の唇に再び唇を重ねる──前に言っておくことがある。

「パイセン、飲んで欲しいんですけど……」

「……? んっ……」

歌見が首を回している間に溜めておいた唾液を歌見の口の中に流し込む。自分の舌を伝わせて、あるいは窄めた唇の隙間から絞り出すように、唾液が切れたら自身の口内で舌を揺らして唾液の分泌を誘発した。梅干しを食べたことを思い出したりなど、雰囲気の壊れる努力までした。

「ん、ぅ……んんっ、ん……」

ごく、こくっ……と歌見の喉が動いている音がする。興奮した俺は歌見の胸を優しく揉むのをやめ、乳輪の際をつまんで焦らす愛撫に切り替えた。

「んっ……!? んっ、んん……ん、ふっ……」

歌見がほんの少しでも動けば乳輪に指が触れるだろうギリギリの位置で何もない皮膚をふにふにとつまむ。そうすると歌見の反応は分かりやすく良くなり、喘ぎ声も大きくなったが、俺の唾液を飲むのをやめようとはしなかった。それどころか歌見の方から舌を伸ばしてねだってくる有様だ。

「ん、ふっ……んんっ、う……んんんっ……」

唾液が枯れてきて普通にキスをしようとすれば、歌見は俺の口をちゅうちゅう吸った。唾液が出てこないと見ると舌をねじ込んできた。

「ん、んっ……んっんんっ!?」

乳輪をきゅっとつまむ。たくましい身体が指先一つでビクビク跳ねるのは、全能感を錯覚してイイ。

「んっ、んぅうぅ……! んっ、ふ、んんぅっ!」

俺の唾液を啜ろうとするのはそのままだが、口の動きは鈍っている。

「んっくぅんっ! んんっ! んっ、みしゅ、きっ」

埋まっている乳首を刺激しないように乳輪だけをぷにぷに弄ぶ。ただそれだけで歌見は蕩けていく。真上を向いて唾液を口に流し込まれながら胸を弄ばれているなんて、それも歳下の男に……なんて、街で歌見とすれ違う誰もが思い付かないだろう。

「んっ、んんんん…………っ、はぁっ! はぁ……」

きっとみんな、歌見が女を野性的に抱く様を想像する。乳首が陥没していて敏感だなんて、絶対に分からない。

「水月ぃ……? 笑ってるのか?」

「……はい。こんなにカッコイイ人が、私の前でだけこんなに可愛くて、えっちだなんて……ふ、ふふっ、ふっはははっ! 笑うしかないでしょ! わたくしこの世の王ですな!」

「…………俺程度でそこまで浮かれられるなんて、本当……本当、俺は……愛されてるな」

ふっと微笑んだ歌見は立ち上がり、俺を抱き締めた。

「水月……水月、水月……いつも、照れてしまって……自分に自信がなくて……素直になれなくて…………ごめんな。水月……俺を好きになってくれてありがとう、顔とか胸とかが焦げそうなくらい伝わってるよ。俺からのは伝わってるかな……あんまり自信がない、言葉にも態度にも出来てないと思う……水月、水月、きっとお前が思うより、俺はお前がすっ……す、好き……だ」

ぎゅうぅっと力強く抱き締めながら、いや、抱きつきながらの愛の言葉は、俺の思考を奪った。

「水月……? 何アホ面かましてるんだ、イケメンが台無し……でも、ないな。なんだこの顔……良過ぎる、人間の顔じゃない、SAN値減りそう」

「パイセンがあまりにも萌えることを言うのでポケ~っとしてしまっただけではないですか! ふぉお……今の撮っときゃよかったでそ、もうワンテイクお願いしたいでそ」

「……嫌だ、思い返しただけで顔が熱い」

「んふふふ……おかわゆいゆい~」

鼻の一番高いところをぷるぷる揺らして遊んでみると、歌見は笑いながら俺の手を払った。

「…………水月、お前の顔を見ていたい」

「前からがよろしいと?」

「まぁ、そういうことだな」

ベッドの上で向かい合って座る。正座をして膝を突き合わせて……なんて座り方ではもちろんない、共に足を伸ばして開いて、互いの腰を足で挟むように座っている。膝の裏が歌見の太腿に触れている。

「……んぁっ」

真正面から歌見の乳輪をつまむ。

「んっ、ひっ、ひうっ……! ゃ、んんっ! それっ、ゃあぁっ……」

声を上げたことを恥じる暇も渡さず、ぷっくり膨れた乳輪を指でぴんぴん弾いてやる。

「ぴんぴん嫌です? ではこちらをお納めくだされ」

「んひぃんっ!?」

ぎゅっ、と乳輪を強くつまむ。歌見が仰け反ってしまって顔が見えなくなる。

「ぱいせぇ~ん、顎しか見えませんぞ。下向いてくだされ」

「ぉ、ひっ、待て、待っ、ぁあっ……!?」

乳輪をつまんだ力はそのまま、指を動かして乳輪をぐりぐり捏ねてみる。

「待ちますぞ」

ぎゅうっとつまんだまま指を止める。歌見はふぅふぅと荒く息をしながら、震えながら、下を向いた。

「み、つきっ……きもちいいっ、それっ、きもちいいからぁっ……一旦、なっ? わか、るっ……らろぉっ? みひゅきぃぃ……!」

座っているから分かりにくいが、腰が揺れている。絶頂が近いと判断した俺はパッと手を離した。

「……! あぁ、ありがとうみつっ……ひぃいいっ!?」

今度は乳輪ごと乳首をつまんだ。ふにふにと柔らかいばかりではなく、その中にコリコリと硬い芯がある。

「ぁ、ふっ……ぁ、あぁ……」

「イっちゃいましたかな? テントが萎んでますぞ、パイセン」

「ぅ……ん」

「じゃあ次はわたくしをイかせていただいてもよろしいですかな? わたくし、パイセンのそのかわゆいお口でイってみたいのでそ」

唾液を垂らす緩んだ口を見つめ、唇を人差し指でなぞる。照れながらも了承するだろうという俺の予想に反し、歌見は微かに笑った。

「多分……下手だぞ」

案外と乗り気なようだ。意外だな。

「ありがとうございまそ! では体勢はいかが致しましょうか」

「俺が下に降りる……」

落ちるようにベッドから降りてクッションに乗った歌見の方を向き、ベッドから足を垂らす。俺の足の間に収まった歌見は普段より小さく見えた。

「……わたくしのは太くて長いですから、苦しくないように事前に練習しときまそ」

「練習……?」

絶頂してからなんだかぽやんとしているような歌見の口元に右手の人差し指と中指を揺らすと、彼は俺が言葉で求めるまでもなく俺の指をぱくんと咥えた。
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