冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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蕩けるような口づけを

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一見、スーツを着てマントを羽織っているだけに思えるが、ベストを着ているしジャボと呼ぶらしいフリルが胸元を飾っているし、ケープコートの襟がしっかり立っているのも吸血鬼らしい。細部にこだわるのはコスプレの鉄則だ。

(……まぁエロいことする用のコスプレはペラいしょぼいのでもいいんですが)

この世にはコスプレAVすぐ脱ぐ問題というものがあるらしい。俺は二次元オタクの未成年なので体験していないけれど。

「ケープコートってマントとは別物なんですか? 吸血鬼ってマント羽織ってるものだと思ってたんですけど」

「…………?」

ネザメはきょとんとした可愛らしい顔で首を傾げている。

「まぁ、どうでもいいですね。さて、二人でたっぷりご奉仕して差し上げようと思うのですが、どう致しましょう」

立ったままのネザメの前に跪いて手を取り、手の甲に唇を触れさせる。口元を意地悪く歪めて悦ぶネザメはやはりSっ気が強い。Mの相手はリュウでそれなりに慣れてきたが、Sの相手はどうするべきか。

(ハル殿を女王様に仕立てようとしてたり、シュカたまに乗っかられたりはしてますが……うーむ、どちらもSって程でもないんですよなぁ)

シュカは優位に立ちたがるけれど、俺を痛がらせて悦んだり必要以上に俺に意地悪をしたりはしない。単にプライドが高いだけと分析すべきだろう、ネザメの方がSっ気は強い。

(Sが攻め、Mが受け……のがやりやすいですよな、やっぱり。ゃ、でも女王様に調教される系の風俗って人気って聞きますし……アレお尻虐められるんでしたっけ? うーむ未成年には分かりませんぞ)

挿入される側の方が快楽が強いのだから、する側がリードしなければ普通のセックスですら上手く出来ないのに、SMなんて更に難易度が高い……と思う。

「もみじー」

「ん? ふふ……君は口にキスしてくれるのかい?」

舌を絡めないキスを何度も繰り返して気分を上げているネザメとアキを見上げ、ネザメの反応を見ながら臨機応変にやっていくしかないなと腹を括った。

「君達のように美しい兄弟と出会えただけでも今生の最高の奇跡だと思っていたのに、一度に君達のお相手をさせてもらえるとはね。幸福というのは限りのないものだ、欲望もね」

3Pはしたかったけれど、初めては二人きりでがよかったな……なんて考えつつ立ち上がってネザメの尻に手を這わせると、それとなく払われた。

「……すいません」

はやり過ぎたか。反省してケープコートの外側から腰を抱き、アキの頭を頭で押しのけて唇を重ねた。

「んっ……」

舌をねじ込んで上顎を舐め、ネザメの性感帯を探す──舌を噛まれた。かぷっと軽く歯を当てられただけで痛みはなかったが、思わず顔を引いてしまった。

「……座りなさい」

亜麻色の前髪の隙間から黒目がちな瞳に見つめられ、ベッドに腰を下ろす。ネザメは俺の足の間に膝を押し込み、俺の股間をぐっと刺激しながらベッドに片膝を乗せて俺の肩に手を付き、もう片方の手で俺の顎を上げさせる。

「大人のキスは僕から、ね? さぁ……飲んで」

再び唇が重なる。ネザメの舌がぬるりと口内に入り込み、舌を伝って唾液が注がれる。

(こっ、これ好き~! このキスわたくし大好きでそ! 今大好きになりましたぞ! はぁ~美少年の涎うっま。最高でそ~)

これまで彼氏達とのキスでは舌での愛撫を重視してきた、そのおまけとして唾液交換をすることはあったが、こんな一方的に唾液を多く飲ませてもらえるキス初めてだ。最高だ。流石生徒会長、いや生徒会長関係ないな。

「んっ……はぁっ、ネザメさん……」

「……ふふっ、うっとりしてくれて嬉しいな。君は悦んでいると分かりやすくてイイね」

ぐりっ、と股間を膝で押され、不意打ちの快感に吐息を漏らす。膝で硬さを確かめたネザメは笑みを深くし、再びキスを交わした。

「ん……」

ネザメはシュカ以上に優位を取られるのを嫌うようなので、俺はネザメからの愛撫を素直に受けた。

「……んぅ」

細長い舌が頬の内側を撫で、舌先が上顎をくすぐり、舌をすくい上げられて俺も合わせる形で舌を動かす。

「……っ、ん……ふ……」

舌を入れられる快感には慣れていない、シュカやレイがたまにしてくれるけれど、俺は舌も下も入れる側ばかりだ。

「んっ、んん……」

気持ちいい。口から溶けてしまいそうだ。キスだけで蕩けてくれる彼氏達を可愛らしく思っていたが、なるほど、これは蕩けるな……まずい、M役をするのはいいが、攻めが俺なのは譲れない、前後不覚になり過ぎる訳にはいかない。

「……っ、はぁ……」

ネザメの肩を押して彼とのキスを中断する。

「苦しかったかい?」

「いえ、その……気持ちよすぎて、溶けちゃいそうでちょっと」

「おや、嬉しいねぇ。でも快感から引いてしまってはいけないよ、もう一度……」

「もみじぃー」

「……の前に、秋風くんともしなきゃね」

ネザメはアキをしっかりと抱き締めて唇を重ねた。彼らの身長差は約十センチ、何とも映えるキスシーンだ。

「んっ、ん……んんっ……!」

先程までの俺と同じようにネザメの舌で口を犯されているのだろうアキは可愛らしい声を上げ、ピクピクと身体を跳ねさせている。ネザメは愉快そうに瞳を歪めてアキの背と腰を支えていた手を動かし、アキの後頭部を捕まえつつ尻を鷲掴みにして揉みしだいた。

「んぅっ! んん、ふ、んっ……! んぅ、あ……んんんっ……! はぁっ……はぁ……」

キスを終える頃にはアキの顔はすっかり熟れたリンゴのような赤色に変わっており、うっとりとした様子だった。キス一つでこれか……ちょっと怖いな、中断してよかった。

《やっぱもみじキス上手いな、そういうとこは好き。後はもうちょいまともに会話出来りゃなー、しゅーか越えも期待出来るんだが》

何かを呟きながらアキは俺の隣にどさっと腰を下ろした。愚痴を言うような声色と声量に思えたが、実際は何だったんだろう。

「さて、僕に奉仕すると言ったね、僕の……えぇと、眷属? 達。僕は焦らすのは好きだけれど焦らされるのは好きじゃない、早速頼めるかな?」

カツ、とネザメの爪がベルトの金具を叩く。

「そこに跪いて、手を使わずに僕を悦ばせてご覧。麗しき兄弟達」

ネザメはベルトを緩めはしたがスラックスを下ろしはせず、ベッドから一歩離れた。俺は彼の要求を察知して床に片膝を立て、手を腰の後ろで組んでネザメのスラックスに歯を立てた。
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