冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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プールを紹介

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歌見の誕生日パーティは夕飯時に行う予定だ、まだ時間が余っている。沖縄土産の配布が終わり、土産物の堪能も一通り終わったようなので、俺はある提案をした。

「みんな、リフォームしたとこ見に来ないか?」

「アキくんの部屋だよね~? 行く行く~」

十人以上入る部屋だっただろうかと考えながらセイカの前へ行き、腕を広げながら身を屈める。

「……一人で歩ける。立つのだけ……頼む」

俺の首にぶら下がるように腕を絡めたセイカは自分の足で立ち上がり、俺から手を離した。

「だ、大丈夫か? せめて腕に掴まって……」

「いい」

「…………危なくなったら言えよ?」

過保護はよくない。俺はセイカが転びそうになったら支える心の準備だけをして隣に立った。

「な、なかなか……ホラーな趣味を持っているんだね、秋風くん」

彼氏達は予想通りアキの部屋の趣味に引き気味だ。ネザメは特にアキに神聖なイメージを勝手に抱いていたようだから無理もない。

《ベッド座っていいか?》

《もちろん、積極的だな》

《ちが……あぁもう面倒くさ。義足外してくれ》

セイカはベッドに腰を下ろし、アキはセイカの義足を外した。義足をしげしげと眺めたアキは可愛らしい笑顔で俺に駆け寄る。

「にーに! にーに、せーか足取るするしたです」

「あ、あぁうん……どっかそのへん置いときなさい」

「しゅーか、足ですー!」

「やめなさい! どういう感情でそんなことしてるんだお前……セイカ、足ここ置いとくぞ」

何故か義足を見せびらかしたがるアキから義足を取り上げ、ベッドに立てかける。少し休みたいと言うセイカと、彼の様子を見ておくと言うホムラを置いて俺は彼氏達を引き連れてプールへの扉を開けた。

「えっすご、プールじゃん!」

「ほー……すごいなぁ」

「……中流と思ってましたが、上流側だったんですねあなた」

彼氏達は様々な反応を見せたが、そこに含まれる感情は皆同じようだ。ネザメの家にはプールがありそうだと思っていたが──

「僕の家のは屋外だからねぇ、秋風くんが入るのなら屋内でなければならないだろう? 少し悔しいよ」

──なるほど。

「深さは何メートルなのだ?」

「一番深いところで三メートル、一番浅いところで一メートル五十だったと思います。今日は七割くらいで水止めてるのでそんなにないんですけどね。こっち側が浅くて、向こう側が深くなってる……だったと思います。俺もまだちゃんと入ってないんで分からないんですけど」

「底斜めっとるん? すごいやん、学校のんそんなんなってへんで」

「え~入りた~い」

「水着持ってないのか?」

「みっつんが持ってこいって言うから一応持ってきたけど~……この服着るの大変だし、この髪セットするの大変だし」

和風ロリータのミニスカドレス、飛仙髻、確かにどちらも時間を掛けて整えられたように見える。

「まだみっつんにちゃんと見てもらってないのに~……」

「ふふっ、じゃあじっくり見せてもらおうかな。プールはなくなったりしないから今日入らなくてもいいんじゃないか? 水入れなきゃだから事前に連絡は要るけど、いつでも入れるぞ」

「……そぉ? じゃあ今日はやめとこっかな~」

「俺入るー」

「私も入りたいです」

「俺も入りたいっす! プールなんて何年ぶりっすかねー」

ハルが一歩引く中、リュウとシュカとレイがダイニングに置きっぱなしの荷物から水着を取りに向かった。

「先輩はどうですか?」

「あ、あぁ……去年までは毎年入ってたが、今年からは予定がないからな。是非入りたい」

ボーッとしていた様子の歌見も遅れて水着を取りに向かった。そういえば大学ではプール授業は必ずあるというものではないと以前言っていたな……しかし、何故ボーッとしていたのだろう。

「ネザメさんとミフユさんはどうします?」

「うーん……僕はいいや。今朝運動のために泳いできてね、その疲れがまだあるんだよ」

「では自分も遠慮しよう」

「そうですか……気が変わったらいつでもどうぞ」

残念だ、学年の違う彼らの水着姿はよりレアなのに……なんて落ち込んでいると水着姿の彼氏達がやってきて煩悩が破裂しそうなほど膨らみ、落ち込みがどこかへすっ飛んでいった。

「飛び込んでいいですか? 先にシャワー浴びろとか言います?」

スクール水着を履いたシュカは隅のシャワーブースに視線をやる。一人用のそこはガラス張りで中が丸見えだ。

「んー……別にいいよな? みんな」

「軽ぅ流すくらいはした方がええんちゃう? 掛け湯みたいなんしとき」

「あなたの案に乗るのは癪ですが、そうですね」

リュウとシュカの水着姿はもう学校で見ている。しかし何度見てもいいものだ。

「せんぱーい! へへっ、どうっすかこの水着」

レイは紺色のパーカーだけを着ている。いや、よく見ると丈の短いトランクス型の水着を履いている。

「可愛いな、馴染みのあるシルエットだよ。このパーカーは濡れていいヤツなのか?」

「これも水着っすよ。プールも海も行ったことないんすけど、今年の夏は先輩誘えるかなーと思って買っといたんす。まさか先輩の家で下ろすことになるとは思わなかったっすけど」

「履いてるのかが微妙な丈がたまらないな。どうしても太腿に目が行くけど、ぶかっとしたパーカーのシルエットがめちゃくちゃ可愛いんだよなぁ。セクシーとキュートがこうも上手く同居出来るなんてな」

「褒め過ぎっすよぉ、もぉ……俺もうプール入るっすからね」

レイはもじもじと照れながら着水していった。

「先輩も水着ちゃんと持ってきてくれたんですね、流石にスク水じゃないですし……もう、最高です!」

歌見が履いているのは至って普通の男性用水着だ。トロピカルな花柄の、薄い緑色の、膝より上までの丈の水着。水着売り場に行けば二秒で見つかるそんな水着も、スクール水着ばかり見てきた俺にとってはまさに黒船級の衝撃だ。

「そんなエロい雄っぱい丸出しにして、んもぅ! 襲ってくれって言ってますか? 言ってますよね?」

「言ってない! ったく……」

歌見は俺を押しのけてプールに飛び込み、気持ちよさそうに髪をかき上げた。濡れたアッシュグレーの染髪がキラキラと輝いていて美しい。

「…………前に、その……約束しただろう。赤点を回避したら……だっ、抱かれてやる、と……どうだった? テスト……」

「ええ、パイセンは全教科赤点回避なんて無茶を言いましたな……まだ結果は出ておりませんが、一つ言えることは……尻を洗って待っていろ! ですな」

「ぅ……クソ、赤点を回避してて欲しいのに、もう赤点取っちまえとも思ってる…………はぁ、クソ、ちょっと頭冷やす……」

そう言うと歌見はブクブクと泡を漏らしながら水面の下へと沈んでいった。なるほど、ボーッとしていたのはそろそろ処女を失うかもしれないからか。レイを除けば年長者のくせにウブで可愛いな。
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