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一転賑やか
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帰宅──居候している立場ではあるが、帰宅と言わせてもらおう──帰宅した。
「みっつんおかえり~」
後ろ手に鍵をかけているとハルが胸に飛び込んできた。抱き締めはせず軽く背に手を添え、ただいまのついでに出迎えへの感謝を述べた。
「まだ居てくれたんだな、嬉しいよ」
「だって今日予定ないし~。あ、しぐとナナさんは帰ったよ。あとりゅーも」
「そっか。まぁ仕方ないよ、三人しか帰ってないのを喜ばないとな」
「しぐはなんか~、うさぎ? の世話で~、ナナさんはレポートとか何とか……りゅーは二日連続外泊はおかんが許さへんとか言ってたかな~」
「へぇ……リュウの家意外と厳しいのかな」
リフォームの日程を直前まで伝えず、ホテルも取らず「適当に彼氏の家に転がり込め、弟も連れて」なんて言ってくる俺の母親とは大違いだな。まぁ、彼女も俺と同じく多情な人だから、ヤりたい放題の日々を過ごさせてやろうとか考えていたのかもしれないが。
「ハルはお母さんとか心配しないか? 男の家に泊まるなんてさ」
「みんなみっつん気に入ってるからね~」
「喜ぶべきなんだけど、あんまり嬉しくない気に入られ方なんだよな」
ハルの三人の姉は全員俺を狙っているし、母親は「娘を一人やる」とか言ってくるし……出来ればハルの家には二度と行きたくない。絶対に性的対象にならない相手に迫られる恐怖と不快感は凄まじいのだ。
「あ、おかえりなさい水月」
「おかえりなさいっすせんぱーい」
「おか、えりー……です! にーに」
「おかえり、水月くん」
「戻ったか、鳴雷一年生。ネザメ様に近付く前に手を洗いうがいをし、着替えてこい」
リビングに入ると五人の彼氏達に出迎えられ、ミフユによって洗面所へ追いやられた。言われた通りに身を清め、着替えてリビングに戻るとシュカが眉をひそめた。
「……古今無双シャツ脱いじゃったんですか」
「あ、あぁ……ごめんな、ミフユさんが着替えろって言うから……」
「似合ってたのに。あ、そうそう、入院中の……えぇと、せーか? さん? 何か言ってましたか? シャツについて」
「シャツについて? えっ、ぁー……変わった服とは言ってたな。俺あんまり日本語入ってる服着ないからさ」
このシャツのことをセイカがダサいと言っていた事実は墓まで持っていこう。
「そだそだ、入院してる子調子どうだったの~?」
「会っていいか聞いてくれたかい?」
「も~、話は後っすよ。せんぱいお腹空いたっすよね、ご飯出来てるんで座っちゃってくださいっす」
レイに背中を押されて椅子に座らされた。机には昨日のパーティ料理から一転素朴な家庭料理が並んでいる。
「みっつんみっつん! このサラダ俺が作ったんだよ!」
「そうなのか、通りで美味しい訳だ」
「……レタスちぎって盛り付けただけじゃないですか」
「食べやすい大きさにちぎってある、繊細な証拠だよ。お疲れ様、ハル」
トマト、ハム、ドレッシングなんかの分量もちょうどいい。俺好みのサラダだ。そう伝えるとハルは嬉しそうに頬を緩めた。
「鮭は私ですよ」
「バター焼きだよな? めちゃくちゃ美味いよ、こってりし過ぎない絶妙な塩梅で最高。ちなみに味噌汁は誰だ? これも美味しいんだけど」
「……味噌汁は自分だ」
「ミフユさんでしたか、美味しいですよ」
「米炊いたのは俺っす!」
「えっと……ちょうどいい柔らかさだよ、美味しい」
俺好みの水の分量などを伝えてあるし、いつもそれで炊いているので、普段通りの米をどう褒めればいいのか分からない。
「秋風さんがお皿運んでくれましたよ」
「そっか、お手伝いしたんだな。えらいぞアキ」
俺に褒められようと自分がやったことを嬉々として伝える彼氏達への愛おしさで胸がいっぱいだ。
「ザメさん何もしてないよね~」
「ネザメ様に飯炊きの真似事などさせられん。何かを運ばせるなど以ての外。味見などもダメだ、ネザメ様は常に最高の状態のものを食べなければならない」
「過保護~。あ、みっつん、入院してる子どうだったの? まだ聞いてない~」
「あぁ……まぁ、元気そうだったよ。明日来てもいいって言ってましたよ、ネザメさん」
「よかった、一緒に行かせてもらうよ」
「あ、いいの~? ダメって言われると思ってた~」
ネザメとミフユならセイカが泣き喚いても彼を毛嫌いしたりはしないだろう。しかし相手への好感を露骨に態度に出すハルは初めて会わせるのには向かない。
「ハルはダメだぞ」
「なんで!?」
「セイカ、俺の彼氏と会うのは初めてだからさ……明るいハルはまたの機会にしてもらえないかなって。落ち着いた人の方がいいと思うんだよ。俺の判断だ、セイカは誰が来るとか知らないぞ」
「俺落ち着いてないって~の~?」
「落ち着いてないじゃないですか。私はいいですよね、水月」
「大人数で押しかけるのもアレだから、明日はネザメさんとミフユさん、それとアキだけだ」
そう伝えると当然、何故アキはいいのかという疑問が出る。
「前にも説明した通り、セイカが飛び降りた時に助けたのはアキなんだ。俺は邪魔して踏まれただけ。だからアキにはお礼言いたいって前からセイカが言ってくれてたから……言わばアキだけは指名だな」
「え~……そういやアキくん三角飛びして助けたんだっけ? んなことマジで出来んの~? 今日の昼間は確かにすごかったけどさ~」
「昼間何かしてたのか?」
「しゅーとゲーム。ね~しゅー」
三杯目の米が山盛りの茶碗を持って席に戻ってきたシュカにハルが話を振る。
「シュカ、ゲームって?」
「足の踏み合いです。手押し相撲をする時みたいに向かい合って立って、相手の爪先を踏めたら勝ちです。避けるのに集中しつつ、踏むチャンスも逃さない、フェイントも大事でなかなか楽しいゲームでしたよ」
「しゅー負けまくってたじゃん」
「秋風さんの反射神経がおかしいんですよ! その踏みっこゲームをやった後は、手押し相撲をしました。ですが……ブリッジみたいな体勢から直立に戻れるバケモンに勝てる訳もなく」
俺もアキと身体を使ったゲームをしてみたいな。そのまま汗だくセックスに移行したりして……妄想だけで勃ってきたな。
「ムカついたんで手マンしてイかせまくってやったら二時間くらいねだられて腱鞘炎になるかと思いましたよ……」
「レイ、撮ってるか?」
「最初から最後までバッチリっすよ」
名勝負だっただろうからゲームをしているところから見よう。今日は彼氏達が相手をしてくれるだろうから、明日のオカズかな。
「みっつんおかえり~」
後ろ手に鍵をかけているとハルが胸に飛び込んできた。抱き締めはせず軽く背に手を添え、ただいまのついでに出迎えへの感謝を述べた。
「まだ居てくれたんだな、嬉しいよ」
「だって今日予定ないし~。あ、しぐとナナさんは帰ったよ。あとりゅーも」
「そっか。まぁ仕方ないよ、三人しか帰ってないのを喜ばないとな」
「しぐはなんか~、うさぎ? の世話で~、ナナさんはレポートとか何とか……りゅーは二日連続外泊はおかんが許さへんとか言ってたかな~」
「へぇ……リュウの家意外と厳しいのかな」
リフォームの日程を直前まで伝えず、ホテルも取らず「適当に彼氏の家に転がり込め、弟も連れて」なんて言ってくる俺の母親とは大違いだな。まぁ、彼女も俺と同じく多情な人だから、ヤりたい放題の日々を過ごさせてやろうとか考えていたのかもしれないが。
「ハルはお母さんとか心配しないか? 男の家に泊まるなんてさ」
「みんなみっつん気に入ってるからね~」
「喜ぶべきなんだけど、あんまり嬉しくない気に入られ方なんだよな」
ハルの三人の姉は全員俺を狙っているし、母親は「娘を一人やる」とか言ってくるし……出来ればハルの家には二度と行きたくない。絶対に性的対象にならない相手に迫られる恐怖と不快感は凄まじいのだ。
「あ、おかえりなさい水月」
「おかえりなさいっすせんぱーい」
「おか、えりー……です! にーに」
「おかえり、水月くん」
「戻ったか、鳴雷一年生。ネザメ様に近付く前に手を洗いうがいをし、着替えてこい」
リビングに入ると五人の彼氏達に出迎えられ、ミフユによって洗面所へ追いやられた。言われた通りに身を清め、着替えてリビングに戻るとシュカが眉をひそめた。
「……古今無双シャツ脱いじゃったんですか」
「あ、あぁ……ごめんな、ミフユさんが着替えろって言うから……」
「似合ってたのに。あ、そうそう、入院中の……えぇと、せーか? さん? 何か言ってましたか? シャツについて」
「シャツについて? えっ、ぁー……変わった服とは言ってたな。俺あんまり日本語入ってる服着ないからさ」
このシャツのことをセイカがダサいと言っていた事実は墓まで持っていこう。
「そだそだ、入院してる子調子どうだったの~?」
「会っていいか聞いてくれたかい?」
「も~、話は後っすよ。せんぱいお腹空いたっすよね、ご飯出来てるんで座っちゃってくださいっす」
レイに背中を押されて椅子に座らされた。机には昨日のパーティ料理から一転素朴な家庭料理が並んでいる。
「みっつんみっつん! このサラダ俺が作ったんだよ!」
「そうなのか、通りで美味しい訳だ」
「……レタスちぎって盛り付けただけじゃないですか」
「食べやすい大きさにちぎってある、繊細な証拠だよ。お疲れ様、ハル」
トマト、ハム、ドレッシングなんかの分量もちょうどいい。俺好みのサラダだ。そう伝えるとハルは嬉しそうに頬を緩めた。
「鮭は私ですよ」
「バター焼きだよな? めちゃくちゃ美味いよ、こってりし過ぎない絶妙な塩梅で最高。ちなみに味噌汁は誰だ? これも美味しいんだけど」
「……味噌汁は自分だ」
「ミフユさんでしたか、美味しいですよ」
「米炊いたのは俺っす!」
「えっと……ちょうどいい柔らかさだよ、美味しい」
俺好みの水の分量などを伝えてあるし、いつもそれで炊いているので、普段通りの米をどう褒めればいいのか分からない。
「秋風さんがお皿運んでくれましたよ」
「そっか、お手伝いしたんだな。えらいぞアキ」
俺に褒められようと自分がやったことを嬉々として伝える彼氏達への愛おしさで胸がいっぱいだ。
「ザメさん何もしてないよね~」
「ネザメ様に飯炊きの真似事などさせられん。何かを運ばせるなど以ての外。味見などもダメだ、ネザメ様は常に最高の状態のものを食べなければならない」
「過保護~。あ、みっつん、入院してる子どうだったの? まだ聞いてない~」
「あぁ……まぁ、元気そうだったよ。明日来てもいいって言ってましたよ、ネザメさん」
「よかった、一緒に行かせてもらうよ」
「あ、いいの~? ダメって言われると思ってた~」
ネザメとミフユならセイカが泣き喚いても彼を毛嫌いしたりはしないだろう。しかし相手への好感を露骨に態度に出すハルは初めて会わせるのには向かない。
「ハルはダメだぞ」
「なんで!?」
「セイカ、俺の彼氏と会うのは初めてだからさ……明るいハルはまたの機会にしてもらえないかなって。落ち着いた人の方がいいと思うんだよ。俺の判断だ、セイカは誰が来るとか知らないぞ」
「俺落ち着いてないって~の~?」
「落ち着いてないじゃないですか。私はいいですよね、水月」
「大人数で押しかけるのもアレだから、明日はネザメさんとミフユさん、それとアキだけだ」
そう伝えると当然、何故アキはいいのかという疑問が出る。
「前にも説明した通り、セイカが飛び降りた時に助けたのはアキなんだ。俺は邪魔して踏まれただけ。だからアキにはお礼言いたいって前からセイカが言ってくれてたから……言わばアキだけは指名だな」
「え~……そういやアキくん三角飛びして助けたんだっけ? んなことマジで出来んの~? 今日の昼間は確かにすごかったけどさ~」
「昼間何かしてたのか?」
「しゅーとゲーム。ね~しゅー」
三杯目の米が山盛りの茶碗を持って席に戻ってきたシュカにハルが話を振る。
「シュカ、ゲームって?」
「足の踏み合いです。手押し相撲をする時みたいに向かい合って立って、相手の爪先を踏めたら勝ちです。避けるのに集中しつつ、踏むチャンスも逃さない、フェイントも大事でなかなか楽しいゲームでしたよ」
「しゅー負けまくってたじゃん」
「秋風さんの反射神経がおかしいんですよ! その踏みっこゲームをやった後は、手押し相撲をしました。ですが……ブリッジみたいな体勢から直立に戻れるバケモンに勝てる訳もなく」
俺もアキと身体を使ったゲームをしてみたいな。そのまま汗だくセックスに移行したりして……妄想だけで勃ってきたな。
「ムカついたんで手マンしてイかせまくってやったら二時間くらいねだられて腱鞘炎になるかと思いましたよ……」
「レイ、撮ってるか?」
「最初から最後までバッチリっすよ」
名勝負だっただろうからゲームをしているところから見よう。今日は彼氏達が相手をしてくれるだろうから、明日のオカズかな。
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