冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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プレゼントの後はゲーム

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アキからのプレゼントは手のひらに乗るサイズなのに、今までもらった中で一番重い。何が入っているのだろうと期待半分不安半分で包装紙を剥がしていく。

《ビリビリ開けちまえよ、女々しい兄貴だぜ》

「今開けるからな~」

包装紙を剥がすと箱が出てきた。箱の中にはクッション材に包まれたグラスが入っていた。

「コップ? 見せて見せて~」

箱にぴっちり収まったグラスを引っ張り出す。俺が見なれたコップよりは口が広く、背が低い。見た目よりも浅いようだ、底にガラス細工が施されている。

「……ロックグラスか?」

「正解っす、富士山のロックグラスっすよ。見ての通りグラスの底に富士山があるっす」

「この三角っぽいの富士山なのか……透明でよく分かんないな」

「飲み物入れると富士山に色が付くらしいっす」

レイはこれを買うのを手伝ったのだろう、妙に詳しい。それにしても見事なガラス細工だ、美しい。横や上や下から眺めてはため息をつく。

「ロックグラスっちゅうたら酒用のイメージあるんやけど」

「ロックって言うくらいだもんね~。氷入れる飲み方だっけ?」

「アキ、綺麗なグラスありがとうな。お兄ちゃんお酒飲めないからこれでお茶とか飲んでもいいのかな?」

「……にーに、嬉しいするしたです?」

「ん? あぁ、嬉しいよ。ありがとう」

「にーに嬉しいするした、ぼくも嬉しいするです」

酒用だとは知らなかったのだろうか? ただ洒落た物を贈りたくて、日本の象徴が彫られた物に惹かれただけなのだろうか。そうかもしれない。

「色んなジュース入れてみようかなー……富士山なら青色がいいかな」

グラスの使い方を考えながら箱にグラスを戻し、次のプレゼントを受け取る準備をする。

「次は僕だね」

「はい、すいません知り合ったばかりなのに」

「気にしないで。僕はずっと君のことを見ていたのだから。どうぞ、水月くん、この世に生まれてきてくれてありがとう」

「……ありがとうございます」

ネザメに手渡されたプレゼントはとても小さくて軽い。開けてみるとシンプルなデザインのネックレスが現れた。

「わ、ネックレス……!」

「着けさせてくれるかい? 水月くん」

銀色の細い鎖にぶら下げられているのは、二本の棒を捻ったような洒落た飾り。よく見ると文字が彫られている、製造番号か何かだろうと思いつつも見てみる……どうやら「nezame」と彫ってあるようだ。

「ええ、お願いします」

ネザメはソファの後ろに回り、俺に少し頭を下げさせ、うなじを人差し指でつぅっと撫でてからネックレスを着けてくれた。

「ありがとうございます……似合いますか?」

「……とってもよく似合うよ。思った通りだ」

いつもの余裕そうな微笑みに恍惚を混じらせ、ネックレスの鎖越しに俺の首に触れる。

「ネックレスを贈る意味、知っているかな?」

「首のアクセサリーは支配、被支配を表す……とかそういう話ですか?」

「正解。いつも着けていて欲しいな」

案外と独占欲があるのだろうか? 総勢十一人のハーレムを築いているから独占されてやることは出来ないけれど、軽度の独占欲は向けていて欲しいワガママな俺としては嬉しい限りだ。

「ええ、もちろん。ネザメさんにも今度贈らせてくださいね」

「楽しみに待っているよ。ミフユ、君で最後だよ」

「はい。鳴雷一年生、くれてやる」

それなりに大きな箱だが、軽い。全く予想が出来ずワクワクしながら包装紙を剥がすと、黒い箱が現れた。開けてみると中は空、内側は上品な赤色で区切りがある。

「ありがとうございます。失礼ですがこれは何でしょう……?」

「弁当箱だ」

「あぁ……! おせちみたいな箱ですね、カッコイイ。高級感あるなぁ……」

「側面を見てみろ」

言われた通りに側面を見ると、金色の文字で「鳴雷 水月」と書かれていた。触れてみると文字が少し凹んでいる、彫ったところに金箔か金粉を入れて色をつけたのだろうか?

(高級感あるっつーかガチに高級品なんでしょうな)

「月曜日からこれで昼食を作ってきてやる。ので、一旦回収するぞ」

「あっ……」

弁当箱が取られてしまった。弁当を作ってくれるのはありがたいのだが、そうなると俺がアレに触れられるのは昼休みだけにならないか? プレゼントなのに……

「これで全員プレゼント渡し終わったな」

「ちっこいもんばっかりやから意外にそない多見えへんな」

「アンタのが一番ちっちゃいじゃん」

「水月、どれが一番嬉しかったですか?」

「いやいや……みんな嬉しかったよ」

順位を口に出すことなんて出来ないけれど、嬉しさの度合いで言えばレイからのプレゼントが一番嬉しかったと言えるだろう。何を描いてもらうか悩むことまで楽しめる、最高のプレゼントだ。

「ふふ……それじゃあ水月くん、僕と木芽くんとで企画したとても楽しい遊びがあるから、プレゼント達は一旦片付けてもらえるかな?」

「へ? あ、はい! ちょっと待っててくださいね」

弁当箱が入っていた箱にプレゼント達を入れ、綺麗に畳んでおいた包装紙をまとめて持つ。レイに扉を開けてもらい、それらを寝室に運んだ。

「ただいま戻りました」

「うん、それじゃあ遊ぼうか」

「はい、どんな遊びなんですか?」

ネザメとレイ……話している姿すら想像出来ない。どんな会話をしてどんな遊びを思い付いたのだろう、ワクワクが止まらない。

「道具を使うんだ。水月くんが使うのはこの箱に入っている分だよ」

小さなダンボール箱が手渡された。既にガムテープが切られているそれには見覚えがある、少し前に通販で注文した商品が入っていたものだ。他に箱がなかったのかと思いつつ開けてみると、八個の黒やピンクのリモコンが入っていた。

「……これ」

手で握ってしまえるサイズのリモコンには見覚えがある。そう、大人の玩具を遠隔操作するためのリモコンだ。小さなローターから大きなバイブのものまで揃っている。

「遊び方、分かるかい?」

愉しげに笑いながらネザメは俺の首に腕を絡めて耳元で囁く。

「制限時間は十分。各リモコンを操作して、誰がどのリモコンの玩具を入れているか当てられたら君の勝ち。君は彼氏達を好きなようにしていい。十分で当てられなかったら君の負け、君は好きなようにされてしまう」

「つまり、イタズラしたいかされたいかって話っすよ。せんぱいにされたい子はわざと負けようと素直に喘ぐっすけど、せんぱいにしたい子は動いてないのに喘いだり、動いてるのに声我慢したりするっす」

「大好きな彼氏達なんだから、誰がどうされたいと思っているかも分かるだろう? 正直者と嘘つきを見抜いて八人正確に当ててごらん」

「なる、ほど……滾りますね。ところで八人と言うのは……? ここには俺を除いて九人居ますけど」

「僕は玩具を仕込んでいないからね、不参加だよ。ゲームマスターは必要だろう?」

「…………そうですね」

残念だし納得行かないが、駄々を捏ねてもネザメが玩具を仕込んでくれるとは思えないし、早く遊びたい。俺は不満をわざと滲ませつつ納得したと主張した。

「みんな、ちゃんと顔が見えるように並んで……そう。それじゃあ水月くん、用意はいいかい?」

スマホのタイマー機能で十分をセットした画面を見せられる。

「レディー……GO!」

ネザメがスマホをタップするのとほぼ同時に俺はリモコンを一つ掴み取り、スイッチを入れた。
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