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赤みを帯びた身体
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強引にキスを迫って顔を叩かれた。鼻や口から血は出ていないが、唇の裏が歯にぶつかったのがとても痛くて喋る気になれず、無言でシュカを見つめてしまう。
「…………謝りませんよ」
シュカは「お前が悪い」とでも言いたげな目で俺を睨み付けている。
「あぁ、いいよ、俺が悪い……嫌だって言ってることしちゃダメだよな。調子乗ってた」
「……あの、殴った件ですが……言い訳ににしかならないのですが、聞いて欲しいんです。私、最初はちゃんとあなたを介抱するつもりでした。ソファから落ちたあなたを寝かせて……冷やそうかとか、木芽さんを呼ぶべきかとか、色々考えてたら……その、ちんぽが、私を誘ってて」
「気絶くらいじゃ萎えないもんなんだなぁ……ごめんな、ムラムラさせておいて寝ちゃってさ。我慢出来なかったんだよな、怒ってないよ」
「………………私のこと好きですか?」
「大好きだよ! 短気で手が早いところも好き。猫被ってる時の敬語も好き。経験人数二桁余裕で超えてるくせに乳首開発するの俺が初だったり、恋愛に不慣れなとことかもう狂おしいほど好き」
シュカは目を逸らしながらも小さな声で「ありがとうございます」と言い、赤くなった顔を見せないように俯いたまま俺にもたれた。
「……引っ越しを機に普通の真面目な学生になろうと思ったんです。だからお坊ちゃま高校と名高い十二薔薇に入って……表だけ取り繕ってもダメですね、私はずっと短気な乱暴者のままです」
「表だけ取り繕えれば十分じゃないか、俺に対してはどんな態度でもいいよ」
「そう……です、かね」
「それよりそろそろ第二ラウンドと洒落込もうぜ」
脇腹の刺傷をつぅっと撫でるとシュカは小さく身体を跳ねさせる。セックスで体温が上がったからか身体の至る所にある傷跡が赤くなっており、非常に扇情的だ。
「傷っ、んっ……! 触んなぁっ……!」
「嫌か? 赤くなっててエロいのに……」
「……っ、ん……んんっ!」
口を噤んで目を逸らす仕草から本当は嫌ではないのだと判断し、続けて下腹周りの傷をなぞる。俺の腕の中で悶えるシュカは可愛らしく、俺は次第に側頭部の痛みを忘れていった。
「俺の腕のもそろそろシュカのみたいになるかな」
「んっ……もう、塞がりましたか?」
「塞がってはいるよ、もう包帯もいらない。まだカサブタっぽいけどすぐ完治するよ」
「……跡、残りますかね」
「残って欲しいな、シュカとお揃いだ」
鋭い目が俺を睨む。軽率な発言だったかと反省して謝ろうとしたが、俺が声を発する前にシュカが笑った。
「私はあなたに傷が残ってしまうかもと気にしていたのに……ふふっ、本当、バカで変態で…………好きですよ、水月。あなたとだったら前戯だって楽しめます」
シュカにとって前戯はどういうものなのだろう。
「座ってしましょう。もちろん向かい合ってですよ、その綺麗なツラを見ながらだと腹によりクるので」
敬語に合わない乱暴な語彙を微笑ましく思いながらシュカの望み通り対面座位の姿勢を整える。正常位は俺が優位、騎乗位はシュカが優位だったが、これなら対等だ。
(見つめ合えますしイチャラブセックスには最適な体位ですな!)
まずは挿入だ。俺の足を跨いだシュカは俺の首に腕を回し、ゆっくりと腰を下ろしていく。ローションと精液を垂らしている後孔が亀頭にちゅっと吸い付く。
「んっ……キスしてきてるみたいだな」
「ふふっ、じゃあこれはフェラですか? んっ……ん、ぁっ、ぁあああっ……! はっ、ぁ、あぁ……」
濡れた腸壁に擦れる快感、蕩けたひだに撫でられる快感、それらはフェラチオで得られるものとは全く違う。
「シュカはフェラしてくれないよな」
「んっ、口に入れる暇があるなら、こっちにっ……欲し、ので……しゃぶるのがどうしても嫌って訳じゃないですよ、二本目からですね」
「本番は俺以外として欲しくないから、俺はシュカのフェラ味わえないってことだな」
「そうなりますね。ふふっ……水月、結腸の奥入れてください」
緩んだ結腸口が亀頭を刺激する。脇腹を撫で下ろし、腰を掴んで力任せに引き寄せる。ぐぽっと結腸口が開き、最奥で陰茎が咥えられた。
「んっ、あぁんっ! はっ、あぁあーっ……! 最高。奥っ……イイ! しばらく止まっていいか? 水月」
「あ、あぁ、いいけど……珍しいな、いいかって聞くなんて。いつも勝手に……」
「……オレだってちょっとは変わりてぇって思うんだよ。素直に甘えてる他のヤツら見てたら……いつまでも自分勝手にしてんの、やっぱよくねぇなって」
「俺はシュカに振り回されるのも好きだよ。甘えてくれるのも嬉しいけど。俺がシュカを嫌になることなんて絶対ないから、心の赴くままに、その時の気分で、自分勝手になったり俺に任せたりしてくれよ」
つまり色んな顔を楽しみたいということだ。
「………………甘えたい気分です。このまま動かず、傷跡を撫でてイかせてください。傷跡……敏感なんです」
「OK、甘やかしてあげるよ」
腕を伸ばしたまま俺の首の後ろで手を組み、顔を眺め合える距離を保っているシュカの足は俺の腰にしっかり絡み付いている。シュカは力も体力もあるし、俺が支えなくてもこの体勢を保てるだろう。
左手の指で脇腹の傷をさすり、右手親指で頬の傷跡をなぞる。
「んっ、んん……!」
「……っ、早速締め付けてきたな。シュカ、下腹だけじゃなくて脇腹も弱いよな。可愛い……こんなに鍛えてるのにな」
右手も腹に下ろし、こちらは正面の傷を愛撫する。臍の横の小さな傷を丸めた人差し指の背でくりくりとほじるように刺激する。
「はっ、ぁ、あぁーっ……! ぶっといちんぽぉ……締め付けちまうっ、きもちぃい……セックスは、激しい方がイイって……思ってたのにっ、ぃっ、ひっ……! はぁっ、あぁあ……俺の価値観、根こそぎ変えやがって……」
「……しかしすごい数だな。中学生の頃だろ? 九州の中学生怖いなぁ」
「きゅ、しゅっ……関係ねぇっ」
「あぁ、ごめんごめん。今のはよくなかったな。でも俺が中学の頃は──」
──割とハードな暴力を受けていたな、刃物傷こそないものの打撲は盛りだくさんだった。あれ? 俺もしかして人のこと言えない?
「ちょーどっ、荒れてたんだよっ……ん、六年前っ、いや、八年……? 七年っ、だったか」
「何の年数だ?」
「派手に暴れたのがっ、居たんだ、ぁっ……! 宇佐の、狂犬とか呼ばれてたイカレ野郎っ……ん、んんっ……それまでは、安定してたのにっ……そいつ、が、ぁ、んっ、色んなグループ、潰しまくってぇ……ひんっ! んっ、そこ好き、そこもっと……ぁああっ! ぁ、は……潰し、まくったから……そいつが、居なくなった後の、抗争が……激化しててっ」
なるほど、睨み合いを続けていた程度の不良グループ数個を潰したから、新しいグループが生まれたり残党がグループを建て直そうとしたりでぐちゃぐちゃになっていったのか。
「そんな何年も続くものなんだな」
「ぁ、あっ……はぁ……ヤクザとか、半グレのアレも、あるからな……ある意味エスカレーター校みてぇなとこ、だったからっ……! 学生の間に名前上げてっ、金と人脈……んっ、作れば、いい椅子座れんだよ」
「……映画でしか知らない世界だな。シュカは抜け出せたみたいでよかったよ、おかげで出会えた」
「ん……そう、だなっ」
首の後ろで組まれていたシュカの手が背中に降りる。顔が近付き、自然と唇が重なる。舌を絡め合って興奮を高め、互いの輪郭がぼやけたところで口を離す。
「博多の修羅って、呼ばれてたんだぜ」
「へぇ……カッコイイな」
「オレ的には恥ずかしいけどな……で、どうよ、修羅を抱いてる気分は?」
「……最高」
返事と同時に臍の真下を強めに押す。
「ひぁんっ!」
俺の手で喘ぐシュカがかつて修羅とまで呼ばれた不良だなんて、彼の話を疑う訳ではないけれどとても想像は出来なかった。
「…………謝りませんよ」
シュカは「お前が悪い」とでも言いたげな目で俺を睨み付けている。
「あぁ、いいよ、俺が悪い……嫌だって言ってることしちゃダメだよな。調子乗ってた」
「……あの、殴った件ですが……言い訳ににしかならないのですが、聞いて欲しいんです。私、最初はちゃんとあなたを介抱するつもりでした。ソファから落ちたあなたを寝かせて……冷やそうかとか、木芽さんを呼ぶべきかとか、色々考えてたら……その、ちんぽが、私を誘ってて」
「気絶くらいじゃ萎えないもんなんだなぁ……ごめんな、ムラムラさせておいて寝ちゃってさ。我慢出来なかったんだよな、怒ってないよ」
「………………私のこと好きですか?」
「大好きだよ! 短気で手が早いところも好き。猫被ってる時の敬語も好き。経験人数二桁余裕で超えてるくせに乳首開発するの俺が初だったり、恋愛に不慣れなとことかもう狂おしいほど好き」
シュカは目を逸らしながらも小さな声で「ありがとうございます」と言い、赤くなった顔を見せないように俯いたまま俺にもたれた。
「……引っ越しを機に普通の真面目な学生になろうと思ったんです。だからお坊ちゃま高校と名高い十二薔薇に入って……表だけ取り繕ってもダメですね、私はずっと短気な乱暴者のままです」
「表だけ取り繕えれば十分じゃないか、俺に対してはどんな態度でもいいよ」
「そう……です、かね」
「それよりそろそろ第二ラウンドと洒落込もうぜ」
脇腹の刺傷をつぅっと撫でるとシュカは小さく身体を跳ねさせる。セックスで体温が上がったからか身体の至る所にある傷跡が赤くなっており、非常に扇情的だ。
「傷っ、んっ……! 触んなぁっ……!」
「嫌か? 赤くなっててエロいのに……」
「……っ、ん……んんっ!」
口を噤んで目を逸らす仕草から本当は嫌ではないのだと判断し、続けて下腹周りの傷をなぞる。俺の腕の中で悶えるシュカは可愛らしく、俺は次第に側頭部の痛みを忘れていった。
「俺の腕のもそろそろシュカのみたいになるかな」
「んっ……もう、塞がりましたか?」
「塞がってはいるよ、もう包帯もいらない。まだカサブタっぽいけどすぐ完治するよ」
「……跡、残りますかね」
「残って欲しいな、シュカとお揃いだ」
鋭い目が俺を睨む。軽率な発言だったかと反省して謝ろうとしたが、俺が声を発する前にシュカが笑った。
「私はあなたに傷が残ってしまうかもと気にしていたのに……ふふっ、本当、バカで変態で…………好きですよ、水月。あなたとだったら前戯だって楽しめます」
シュカにとって前戯はどういうものなのだろう。
「座ってしましょう。もちろん向かい合ってですよ、その綺麗なツラを見ながらだと腹によりクるので」
敬語に合わない乱暴な語彙を微笑ましく思いながらシュカの望み通り対面座位の姿勢を整える。正常位は俺が優位、騎乗位はシュカが優位だったが、これなら対等だ。
(見つめ合えますしイチャラブセックスには最適な体位ですな!)
まずは挿入だ。俺の足を跨いだシュカは俺の首に腕を回し、ゆっくりと腰を下ろしていく。ローションと精液を垂らしている後孔が亀頭にちゅっと吸い付く。
「んっ……キスしてきてるみたいだな」
「ふふっ、じゃあこれはフェラですか? んっ……ん、ぁっ、ぁあああっ……! はっ、ぁ、あぁ……」
濡れた腸壁に擦れる快感、蕩けたひだに撫でられる快感、それらはフェラチオで得られるものとは全く違う。
「シュカはフェラしてくれないよな」
「んっ、口に入れる暇があるなら、こっちにっ……欲し、ので……しゃぶるのがどうしても嫌って訳じゃないですよ、二本目からですね」
「本番は俺以外として欲しくないから、俺はシュカのフェラ味わえないってことだな」
「そうなりますね。ふふっ……水月、結腸の奥入れてください」
緩んだ結腸口が亀頭を刺激する。脇腹を撫で下ろし、腰を掴んで力任せに引き寄せる。ぐぽっと結腸口が開き、最奥で陰茎が咥えられた。
「んっ、あぁんっ! はっ、あぁあーっ……! 最高。奥っ……イイ! しばらく止まっていいか? 水月」
「あ、あぁ、いいけど……珍しいな、いいかって聞くなんて。いつも勝手に……」
「……オレだってちょっとは変わりてぇって思うんだよ。素直に甘えてる他のヤツら見てたら……いつまでも自分勝手にしてんの、やっぱよくねぇなって」
「俺はシュカに振り回されるのも好きだよ。甘えてくれるのも嬉しいけど。俺がシュカを嫌になることなんて絶対ないから、心の赴くままに、その時の気分で、自分勝手になったり俺に任せたりしてくれよ」
つまり色んな顔を楽しみたいということだ。
「………………甘えたい気分です。このまま動かず、傷跡を撫でてイかせてください。傷跡……敏感なんです」
「OK、甘やかしてあげるよ」
腕を伸ばしたまま俺の首の後ろで手を組み、顔を眺め合える距離を保っているシュカの足は俺の腰にしっかり絡み付いている。シュカは力も体力もあるし、俺が支えなくてもこの体勢を保てるだろう。
左手の指で脇腹の傷をさすり、右手親指で頬の傷跡をなぞる。
「んっ、んん……!」
「……っ、早速締め付けてきたな。シュカ、下腹だけじゃなくて脇腹も弱いよな。可愛い……こんなに鍛えてるのにな」
右手も腹に下ろし、こちらは正面の傷を愛撫する。臍の横の小さな傷を丸めた人差し指の背でくりくりとほじるように刺激する。
「はっ、ぁ、あぁーっ……! ぶっといちんぽぉ……締め付けちまうっ、きもちぃい……セックスは、激しい方がイイって……思ってたのにっ、ぃっ、ひっ……! はぁっ、あぁあ……俺の価値観、根こそぎ変えやがって……」
「……しかしすごい数だな。中学生の頃だろ? 九州の中学生怖いなぁ」
「きゅ、しゅっ……関係ねぇっ」
「あぁ、ごめんごめん。今のはよくなかったな。でも俺が中学の頃は──」
──割とハードな暴力を受けていたな、刃物傷こそないものの打撲は盛りだくさんだった。あれ? 俺もしかして人のこと言えない?
「ちょーどっ、荒れてたんだよっ……ん、六年前っ、いや、八年……? 七年っ、だったか」
「何の年数だ?」
「派手に暴れたのがっ、居たんだ、ぁっ……! 宇佐の、狂犬とか呼ばれてたイカレ野郎っ……ん、んんっ……それまでは、安定してたのにっ……そいつ、が、ぁ、んっ、色んなグループ、潰しまくってぇ……ひんっ! んっ、そこ好き、そこもっと……ぁああっ! ぁ、は……潰し、まくったから……そいつが、居なくなった後の、抗争が……激化しててっ」
なるほど、睨み合いを続けていた程度の不良グループ数個を潰したから、新しいグループが生まれたり残党がグループを建て直そうとしたりでぐちゃぐちゃになっていったのか。
「そんな何年も続くものなんだな」
「ぁ、あっ……はぁ……ヤクザとか、半グレのアレも、あるからな……ある意味エスカレーター校みてぇなとこ、だったからっ……! 学生の間に名前上げてっ、金と人脈……んっ、作れば、いい椅子座れんだよ」
「……映画でしか知らない世界だな。シュカは抜け出せたみたいでよかったよ、おかげで出会えた」
「ん……そう、だなっ」
首の後ろで組まれていたシュカの手が背中に降りる。顔が近付き、自然と唇が重なる。舌を絡め合って興奮を高め、互いの輪郭がぼやけたところで口を離す。
「博多の修羅って、呼ばれてたんだぜ」
「へぇ……カッコイイな」
「オレ的には恥ずかしいけどな……で、どうよ、修羅を抱いてる気分は?」
「……最高」
返事と同時に臍の真下を強めに押す。
「ひぁんっ!」
俺の手で喘ぐシュカがかつて修羅とまで呼ばれた不良だなんて、彼の話を疑う訳ではないけれどとても想像は出来なかった。
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