冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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各彼氏への対応

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学校終わり、彼氏達と下校しているとスマホが鳴った。セイカからの電話だ。今日も彼はくすんくすんと鼻を鳴らしている。

『な、なる、なるかみ……ぶ、無事だな? 無事か?』

「怪我とかはしてないよ、セイカは具合どうだ?」

『別に……ぁ、寝る時に薬、鎮静剤? 打たれるようになった』

俺が見舞いに行かないから精神的に不安定になって睡眠不足になっているということだろうか? そう予想した俺はセイカにひたすら愛の言葉を囁いた。

「土曜日には必ず行くよ、早く会いたい。話したいし、触りたいし、抱きたい」

『ぁ……う、うん、もちろん、好きにして……』

「愛してるよ」

『……ぅ、ん』

「セイカは? 俺のこと?」

すぐに「愛してる」と返事があったが、感情が込められているようには聞こえない。俺の要求に焦って応えただけ……償いの一環だ。

「……嬉しい。もう駅着いちゃったから切るよ、また明日」

『うん……ま、待て! 鳴雷、昨日のは? 昨日の……ないのか?』

「昨日の? 何?」

『な、なんか……ちゅって、ヤツ。昨日電話の終わり際にしたじゃん、アレ……鳴雷に、キスされてるみたいで……ぅ、うれしかった、から……して欲しいんだけど、今日はなし……?』

俺の機嫌を伺うような震えた声で尋ねられてナシだと言える訳もなく、俺は自らの手の甲にキスをしてその音をセイカに聞かせた。

『……へへ』

「じゃあ、また明日、同じ時間に……ばいばい」

電話を切り、電車に乗り、彼氏達とイチャつく。いつも通りの流れだ。



バイトを終えてレイと共に彼のマンションへ帰る。街灯や店の灯りに照らされた夜道を手を繋いで歩いていくのは、まるで同棲中のカップルのようだ。

「今日はシュカせんぱい来るんすよね」

「あぁ、いっぱい飯作らないとな」

「シュカせんぱい大食いっすもんねー」

スーパーに寄って食材を買い込み、レイよりも少し多くの荷物を持つ。些細な日常の幸福が俺の心を温める。

「明日はネザメさん……新しい彼氏を呼ぶ予定なんだけど、いいか?」

「もちろんっす、せんぱいの家だと思ってくれていいんすよ」

俺はその言葉に甘え過ぎてはいないだろうか。レイの笑顔は本心からのものだろうか。彼氏が自分の家に他の彼氏を連れ込んでセックスなんて、普通に考えれば刃傷沙汰になってもおかしくない行為だろう。

「……辛くないか? 嫉妬とかしてないか?」

「お気遣いありがとうございますっす、俺はせんぱいとこうしていられるだけでいいんすよ。元々あんまり人と比べるタイプじゃないんす、寂しくなかったらそれでいいんすよ、俺は」

「…………そっか。でも今度ゆっくりデートとか行こうな、二人っきりで」

「そんな……ダメっすよせんぱい、俺甘やかしたらすぐ増長しちゃうっすよ、幸せの水準上がっちゃうのは良くないんすよ」

「甘やかすって……デートなんか恋人同士なら普通のことだろ? 家泊めてもらってるんだしさ」

表情を見ようと視線を下げるとレイも俺の方を向いていて、その目は愛らしく潤んでいた。

「……せんぱいは、俺が手に入れられると思ってなかった……想像も出来なかった幸せを、普通だって言って俺にくれるっすね。嬉しい……幸せっす、大好きっす、せんぱいに出会えてよかった。今までの人生はせんぱいに会うための前フリだったんすね」

今までは男運が悪かった、その一言で片付けてしまうにはあまりにも痛々しい。

「今は特に、アキくんがずっと家に居るから幸せなんす。全然寂しくならなくて……アキくんせんぱいに似てるっすし、スキンシップ好きっぽいっすし、俺が何言ってもニコニコ笑ってくれてて…………とにかく幸せなんすよ、今、すごく……一人じゃないってすごいっす」

別個人なのだから当然だが、彼氏達はそれぞれ渇望しているものが違う。例えばリュウは痛みを、シュカは快感を、そしてレイは孤独を癒すこと──寂しがりなレイはカンナよりもウサギらしい。

「俺も幸せ」

食材が詰まったビニール袋を持ってエレベーターに乗り、両手が塞がっているから顔だけを近付けて唇を重ねる。

「ん……ふふ、新婚みたいだな」

「そっ、それは流石に言い過ぎっすよぉ……頭沸騰しちゃうっす…………僕も、そう思う時あるけど……」

「やっぱりそうだよな、思うよなぁ?」

「へっ? せ、せんぱいの地獄耳ぃ……」

すっかり帰り慣れた807号室に帰宅、いつも出迎えに来てくれるアキの姿はない。不思議に思いつつキッチンに食材を運び、部屋着に着替えに寝室に戻るレイを見送ってリビングへ移動。

「おかえりなさい、水月」

「……っ、ん……にーに? おかえり、ですっ」

約束通り上がり込んでいたシュカはソファに腰を下ろし、アキを対面で膝に乗せていた。アキの頬は赤く、声は上擦っている。

「ただいま……あの、シュカさん? うちの弟に何をしてらっしゃるんでしょうか。服の中に手が入ってるように見えますが」

「何をかしこまってるんですか。あなたが帰ってくるまで暇だからちょっと触ってただけですよ。それより早く夕飯を作ってください、手伝いならしますから早く、お腹空いてるんですよ私は」

「分かった分かった、じゃあ手伝ってくれ」

アキを膝から下ろしたシュカはキッチンに立った俺の隣に並び、俺の指示に従い、時々逆らいつつも手際よく料理の手伝いをしてくれた。指示が通りにくいアキや料理にだけ発動する壊滅的な不器用さを持つレイとは違い、シュカが隣に居ると快適だ。

「面白くないことに、特に絡まれもせずこちらに着きました」

一段落ついて指示を出さなくなるとシュカが今日の夕方頃の話を始めた。

「面白くないって……不良はやめたんだろ? 副会長さん」

「まぁそうなんですけどね。で、インターホンを鳴らしたら秋風さんが出てくれたんですよ、中に入れてもらって、勉強でもして時間を潰そうかと思ってたんですが……秋風さんが「あそぶです」とか言って周りをウロチョロウロチョロ」

「あ、あぁ……アキは暇してるからなぁ」

「で、イラついてたのとよく見るとあなたに似てるのもあってちょっとイタズラしたんです。嫌がって逃げると思ってたんですけどね、案外オープンな方のようで」

シュカは最初に服の上から尻を鷲掴みにしたらしい。乗り気になったアキがシュカの膝の上に跨り、予想は外したもののこの展開も悪くはないと続けてアキの身体をまさぐり、先程俺が目撃した状態は完成したらしい。

「へぇ……アキ、俺以外にそういうことされても平気なタイプなのか」

俺が頼み、あくまでも玩具の使い方を教えるという名目で絡ませたレイとは事情が違う。シュカ自身の意思で道具などを使用せずに手を出されても受け入れるなら、3Pなども可能だろう。新たな楽しみが増えた。
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