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とてもえらいことをした
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選挙管理委員としての仕事を終えてシュカの様子を見に行くと、彼は立派に演説をこなしていた。ハルはその隣でシュカのポスターを掲げ、持ち前の美貌と最高の笑顔によって生徒達を惹き付けていた。
(男子校の姫ですな。ふむ、腕を組んで後方彼氏面でもしますかな)
目立つ金髪が校門を抜けて入ってくる生徒達の中に見えてそちらに視線を移す。
「そない急ぐ用事ないやろ? ちょお聞いて行きぃな、損させへんから。選挙演説聞く練習しとかへんかったら将来どこ投票してええか分からんようなるかもしれんで、そないダッサい大人なってええんか?」
リュウは客引き……客引きっていう言い方もおかしいか。シュカの演説を聞くよう呼びかけているようだった、なかなか特殊な誘い文句だ。
彼の隣でカンナはビラを配っているようだ、ただ差し出すだけなら無口なカンナでも出来る。それでもかなり緊張しているようだが適材適所と言えるだろう。
「俺選挙より君の顔のが気になるな~。前髪どかして見せてよ、投票してあげてもいいよ」
「あ、すんまへーん。この子お触り禁止ですねん、ぃやー堪忍」
ちゃんとリュウが守ってあげているし、選挙管理委員の俺が下手に関わっては規約に抵触するかもしれない。俺は教室に戻ろうかな。
しかし、リュウはなんでそういうお店のボーイっぽい立ち居振る舞いが出来るのだろう……謎だ。
朝のホームルームをぼうっと過ごしていると、突然担任に名前を呼ばれた。訳が分からないまま教卓の隣に立つ。
「えー、昨日鳴雷は総合病院にて人命救助を行いました」
「……っ!? な、なんで……」
「窓から誤って落下した方を受け止めたそうです。その際に……えーと、肋骨骨折?」
「ヒ、ヒビです、大したことないヒビ……」
「はい、肋骨にヒビが入ってしまったそうです。皆さん彼の勇気ある行動に拍手ー」
恥ずかしくて死にそう。
休み時間にはクラスメイト達に群がられ、昼休みまでろくに彼氏達と話せなかった。今朝の恥ずかしさと合わせてそのことを彼氏達に愚痴る。
「俺は落ちてきた人を受け止めたアキを受け止めようとして踏まれただけなんだぞ? カッコ悪い……」
「ええやんそんなん言われんと顔だけやない人気者なれたんやし」
「弟の手柄取るのはダメだろ! それに俺は美少年に恋愛的に好かれればそれでいいんだよ。もうほんと恥ずかしくて……分かんないだろ、ちくしょう。誰か共感性羞恥発症しなかったのかよぉ……」
「ごちそうさまでした」
会話に一切参加せず黙々と大量の昼食を食べ終えたシュカが一人手を合わせる。
「あ、選活行く~? ちょっと待ってね、コンシーラーつけ直したげる」
食事中の俺達から少し離れ、ハルはシュカの顔の傷を……何してるんだろ、傷跡を塗り潰している感じかな? メイクには詳しくないから分からない、プラモで説明してくれたら分かる気がする。
「はいOK~。アイラインも引いとく?」
「無駄な化粧は落選の種です。行ってきます」
「いてらー、食べ終わったら手伝いに行くね~」
全員でシュカを見送り、彼の姿が見えなくなったら手を下ろす。
「……熱心だなぁ」
「生徒会ってそんななりたいもんなのかな~。何が出来んの?」
「こ……そくっ、変え……たり?」
エロ校則作って欲しいな。美少年はまず俺に挨拶に来て尻を触らせること、とか。俺からのセックスの誘いは授業中だろうと断らないこと、とか。
「俺購買にお菓子仕入れて欲しいわぁ」
「ここの制服スラックスオンリーじゃん? スカート欲しいなぁ~、可愛いヤツ!」
「ヤリ部屋作って欲しい」
「うわぁ……」
「今でもそこらでヤっとるやんけ」
流れに乗って欲しいものを話してみただけなのに、どうして俺ばっかり非難されるんだ。
「カンナ、カンナは何か欲しいものあるか?」
「ぺ……ト、連れ……い、よ……に、てっ……欲し……」
「ペット連れてきていいようにして欲しい? いいなぁそれ、プー太膝に乗せて授業受けるのか? ふふ、可愛いなぁ」
カンナの家に遊びに行ってウサギが案外大人しくないということが分かったから、教室中が大騒ぎになる光景が簡単に目に浮かぶ。
「それええな、水月は俺に首輪付けてええようなるんやで」
「当然のようにペット面してくんな」
「ペットちゃうん? 俺ぁ水月の飼い豚やろ?」
「はぁ……調子に乗るな。お前はお、も、ちゃ」
「はぅんっ……! あかん、締め付けてもぉた……イきそぉ……」
当然のようにディルドを咥えたまま生活しているリュウはそろそろ抱いても大丈夫な頃合いだろう。あの公園が全裸散歩と青姦が可能な場所か調べておかないとな。
「ごちそうさま~。しゅーのお手伝い行ってくるね~」
「行ってらっしゃい」
外見ギャル内面清楚なハルと外見真面目内面ビッチなシュカの正反対コンビの仲の良さが微笑ましい。3Pしたい。
「俺も委員会があるんだよな……せっかく下拵えが出来てる彼氏が居るのになぁ……っと、お前はオモチャだっけ? ちゃんとイきたいよな、委員会行く前にサクッとイかせてやるから尻上げろ」
リュウは膝立ちになって壁に手を付き、尻を突き出した。スラックス越しにも分かるぷりんとした尻に手を振り下ろす。
「……っ、あぁあんっ!」
パァンっ! と子気味いい音が響き、リュウがビクビクと痙攣する。挿入しっぱなしのディルドの持ち手に当たったのか、手のひらの一部が妙に痛い。
「じゃ、行ってきます。リュウと一緒に居ろよ、カンナ」
「ん……行って、ら……しゃい」
「いってらっひゃいぃ……」
カンナと唇を重ね、幸せな気持ちで委員会に出た。選挙管理委員会の集まりだ、見回り中のヤツを除いて全員が集まっている。来週月曜日にある選挙の大まかな流れの確認、選挙が終わった後のポスター回収の話などなどが行われた。
放課後も候補者達は演説を行う。俺はもう帰ってもよいのだが、彼氏達が全員シュカの手伝いをしているから一人で帰ることになってしまう。それは嫌だ、ぼっちを避けるためならバイトの遅刻もやむなしだ。
「呑気な顔してますなぁ……」
シュカの近くに居る訳にもいかず、暇を持て余した俺は飼育小屋のカピバラの様子を見に来た。丸々と太ってぬぼーっとしていて可愛らしい。
「…………鳴雷くん」
「……っ! あ、あぁ……紅葉先輩」
背後から声をかけられ、驚いて振り向けば微笑みをたたえた紅葉が居た。
「動物が好きなのかい?」
「そういう訳でもないんですよ……いつも一緒に帰っている友人が立候補者の手伝いをしていて、ただ待っているのも暇なので……ちょっと見に来ただけです。紅葉先輩は選挙活動しなくていいんですか?」
「ミフユの演説も聞いてもらわなくちゃいけないから、早めに終わらせてそちらに人を流してきたよ。僕はミフユに補佐をしてもらいたいんだ、君と鳥待くんの関係に似ているかもね。まぁ、その鳥待くんも僕の補佐になるかもしれないけれど」
俺とシュカの関係が肉体関係だと知ったら、この余裕そうな笑みはどう崩れるのだろう。
「ふふ……でも、すごいね。僕、君に会いたいなぁと思って歩いていたんだよ。そうしたらすぐに見つかった」
「……俺に会いたいって、どうしてです?」
「分からないかい?」
紅葉は首を傾げながら俺の手を撫でる。中指の背からするすると肘に至るまで……くすぐったさを覚えるほど力は弱くない、腕が動いてしまうほど強くはない、絶妙な力加減だ。
「…………あの」
ボディタッチで返事をされてもなと苦笑いをしながら話し始めると、紅葉の反対側の手が頬に触れた。
「……僕は綺麗なものが好きなんだよ」
腕を撫でた手が腰に回る。紅葉が半歩距離を詰める。思わず目を閉じ、キスに応えた。
(男子校の姫ですな。ふむ、腕を組んで後方彼氏面でもしますかな)
目立つ金髪が校門を抜けて入ってくる生徒達の中に見えてそちらに視線を移す。
「そない急ぐ用事ないやろ? ちょお聞いて行きぃな、損させへんから。選挙演説聞く練習しとかへんかったら将来どこ投票してええか分からんようなるかもしれんで、そないダッサい大人なってええんか?」
リュウは客引き……客引きっていう言い方もおかしいか。シュカの演説を聞くよう呼びかけているようだった、なかなか特殊な誘い文句だ。
彼の隣でカンナはビラを配っているようだ、ただ差し出すだけなら無口なカンナでも出来る。それでもかなり緊張しているようだが適材適所と言えるだろう。
「俺選挙より君の顔のが気になるな~。前髪どかして見せてよ、投票してあげてもいいよ」
「あ、すんまへーん。この子お触り禁止ですねん、ぃやー堪忍」
ちゃんとリュウが守ってあげているし、選挙管理委員の俺が下手に関わっては規約に抵触するかもしれない。俺は教室に戻ろうかな。
しかし、リュウはなんでそういうお店のボーイっぽい立ち居振る舞いが出来るのだろう……謎だ。
朝のホームルームをぼうっと過ごしていると、突然担任に名前を呼ばれた。訳が分からないまま教卓の隣に立つ。
「えー、昨日鳴雷は総合病院にて人命救助を行いました」
「……っ!? な、なんで……」
「窓から誤って落下した方を受け止めたそうです。その際に……えーと、肋骨骨折?」
「ヒ、ヒビです、大したことないヒビ……」
「はい、肋骨にヒビが入ってしまったそうです。皆さん彼の勇気ある行動に拍手ー」
恥ずかしくて死にそう。
休み時間にはクラスメイト達に群がられ、昼休みまでろくに彼氏達と話せなかった。今朝の恥ずかしさと合わせてそのことを彼氏達に愚痴る。
「俺は落ちてきた人を受け止めたアキを受け止めようとして踏まれただけなんだぞ? カッコ悪い……」
「ええやんそんなん言われんと顔だけやない人気者なれたんやし」
「弟の手柄取るのはダメだろ! それに俺は美少年に恋愛的に好かれればそれでいいんだよ。もうほんと恥ずかしくて……分かんないだろ、ちくしょう。誰か共感性羞恥発症しなかったのかよぉ……」
「ごちそうさまでした」
会話に一切参加せず黙々と大量の昼食を食べ終えたシュカが一人手を合わせる。
「あ、選活行く~? ちょっと待ってね、コンシーラーつけ直したげる」
食事中の俺達から少し離れ、ハルはシュカの顔の傷を……何してるんだろ、傷跡を塗り潰している感じかな? メイクには詳しくないから分からない、プラモで説明してくれたら分かる気がする。
「はいOK~。アイラインも引いとく?」
「無駄な化粧は落選の種です。行ってきます」
「いてらー、食べ終わったら手伝いに行くね~」
全員でシュカを見送り、彼の姿が見えなくなったら手を下ろす。
「……熱心だなぁ」
「生徒会ってそんななりたいもんなのかな~。何が出来んの?」
「こ……そくっ、変え……たり?」
エロ校則作って欲しいな。美少年はまず俺に挨拶に来て尻を触らせること、とか。俺からのセックスの誘いは授業中だろうと断らないこと、とか。
「俺購買にお菓子仕入れて欲しいわぁ」
「ここの制服スラックスオンリーじゃん? スカート欲しいなぁ~、可愛いヤツ!」
「ヤリ部屋作って欲しい」
「うわぁ……」
「今でもそこらでヤっとるやんけ」
流れに乗って欲しいものを話してみただけなのに、どうして俺ばっかり非難されるんだ。
「カンナ、カンナは何か欲しいものあるか?」
「ぺ……ト、連れ……い、よ……に、てっ……欲し……」
「ペット連れてきていいようにして欲しい? いいなぁそれ、プー太膝に乗せて授業受けるのか? ふふ、可愛いなぁ」
カンナの家に遊びに行ってウサギが案外大人しくないということが分かったから、教室中が大騒ぎになる光景が簡単に目に浮かぶ。
「それええな、水月は俺に首輪付けてええようなるんやで」
「当然のようにペット面してくんな」
「ペットちゃうん? 俺ぁ水月の飼い豚やろ?」
「はぁ……調子に乗るな。お前はお、も、ちゃ」
「はぅんっ……! あかん、締め付けてもぉた……イきそぉ……」
当然のようにディルドを咥えたまま生活しているリュウはそろそろ抱いても大丈夫な頃合いだろう。あの公園が全裸散歩と青姦が可能な場所か調べておかないとな。
「ごちそうさま~。しゅーのお手伝い行ってくるね~」
「行ってらっしゃい」
外見ギャル内面清楚なハルと外見真面目内面ビッチなシュカの正反対コンビの仲の良さが微笑ましい。3Pしたい。
「俺も委員会があるんだよな……せっかく下拵えが出来てる彼氏が居るのになぁ……っと、お前はオモチャだっけ? ちゃんとイきたいよな、委員会行く前にサクッとイかせてやるから尻上げろ」
リュウは膝立ちになって壁に手を付き、尻を突き出した。スラックス越しにも分かるぷりんとした尻に手を振り下ろす。
「……っ、あぁあんっ!」
パァンっ! と子気味いい音が響き、リュウがビクビクと痙攣する。挿入しっぱなしのディルドの持ち手に当たったのか、手のひらの一部が妙に痛い。
「じゃ、行ってきます。リュウと一緒に居ろよ、カンナ」
「ん……行って、ら……しゃい」
「いってらっひゃいぃ……」
カンナと唇を重ね、幸せな気持ちで委員会に出た。選挙管理委員会の集まりだ、見回り中のヤツを除いて全員が集まっている。来週月曜日にある選挙の大まかな流れの確認、選挙が終わった後のポスター回収の話などなどが行われた。
放課後も候補者達は演説を行う。俺はもう帰ってもよいのだが、彼氏達が全員シュカの手伝いをしているから一人で帰ることになってしまう。それは嫌だ、ぼっちを避けるためならバイトの遅刻もやむなしだ。
「呑気な顔してますなぁ……」
シュカの近くに居る訳にもいかず、暇を持て余した俺は飼育小屋のカピバラの様子を見に来た。丸々と太ってぬぼーっとしていて可愛らしい。
「…………鳴雷くん」
「……っ! あ、あぁ……紅葉先輩」
背後から声をかけられ、驚いて振り向けば微笑みをたたえた紅葉が居た。
「動物が好きなのかい?」
「そういう訳でもないんですよ……いつも一緒に帰っている友人が立候補者の手伝いをしていて、ただ待っているのも暇なので……ちょっと見に来ただけです。紅葉先輩は選挙活動しなくていいんですか?」
「ミフユの演説も聞いてもらわなくちゃいけないから、早めに終わらせてそちらに人を流してきたよ。僕はミフユに補佐をしてもらいたいんだ、君と鳥待くんの関係に似ているかもね。まぁ、その鳥待くんも僕の補佐になるかもしれないけれど」
俺とシュカの関係が肉体関係だと知ったら、この余裕そうな笑みはどう崩れるのだろう。
「ふふ……でも、すごいね。僕、君に会いたいなぁと思って歩いていたんだよ。そうしたらすぐに見つかった」
「……俺に会いたいって、どうしてです?」
「分からないかい?」
紅葉は首を傾げながら俺の手を撫でる。中指の背からするすると肘に至るまで……くすぐったさを覚えるほど力は弱くない、腕が動いてしまうほど強くはない、絶妙な力加減だ。
「…………あの」
ボディタッチで返事をされてもなと苦笑いをしながら話し始めると、紅葉の反対側の手が頬に触れた。
「……僕は綺麗なものが好きなんだよ」
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あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
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不定期更新ですが、
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!


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