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モロバレと現実逃避
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ピンク色の髪と眉、そして時折見せるヤンデレの片鱗、それらはレイの毒キノコのような雰囲気を作っている。
「可愛いよ、レイ……愛してる」
味は極上、喉越しも最高、中毒性が高く、その毒に自覚症状はない。身体の内側から徐々に溶かされて気付けば手遅れ、そんな毒キノコだ。
「母さん、葉子さん、おやすみ」
なんてポエミーな思考を捨てると同時に浴室を出て、リビングの母に挨拶しに行った。
「お風呂お先もらいました、おやすみなさい」
「おやすみ、水月、レイちゃん」
「おやすみ……ねぇ、水月くん、ちょっといい?」
「はい?」
義母に呼び止められた。しかし、義母は言いにくそうにするばかりでなかなか用事を話してくれない。
「アンタがアキくん襲わないか不安なんだってさ」
「ちょっ、唯乃ぉ!」
母に視線を移すとあっさり代弁してくれた。流石だ。
「せんぱいは俺の彼氏ですよ。実の弟襲ったりしません、俺にぞっこんなんですから。ね、せんぱい」
「……だって、唯乃の息子なんだもん。一人で満足してるだなんて……信じられない」
「母さん、日頃の行いが息子の信用に響いてるんだけど」
まぁ、その疑いは事実だが。
「はいはい責任持って説得しとくわよ。葉子、いい? 水月はヘタレで不器用だから強姦なんて出来ないわ。ちゃっちゃと手篭めにしちゃえばいいのにねー、アキくんせっかく懐いてるんだしチャンスよチャンス」
「母さん!」
「水月くん、やめてね……?」
「しませんよ! おやすみなさい!」
レイの手を掴み、リビングから出る。全く不愉快だ、確かにアキのことを狙ってはいるが、そんなこと悟ってもいないくせに性的嗜好一つで性犯罪者予備軍扱いを受けるなんて心外だ。
「はーっ……なぁ、レイ、俺ってヘタレかな?」
レイには別の理由で落ち込んでいると思っていてもらおう。
「せんぱいは男らしいっすよ。リュウせんぱい助けて、シュカせんぱい庇って、俺のこと隠しきってくれたっす。そんなせんぱいがヘタレなはずないっすよ」
「……ありがとな」
「人の言うこと気にしないで欲しいっす、アキくんどう落とすかの作戦立てましょ」
「はは、だな。アキはどう落とせばいいかなぁ……」
なんて話しながら私室に入る。アキは眠そうに目を擦っていたが、俺と目が合うと微笑んで両手を広げた。
「にーに~……」
「ただいま、アキ。待っててくれたのか? ありがとな」
抱き締めるとアキの表情は更に柔らかく緩む。いつもどこか冷たい印象のある無表情だからこそ、こういった笑顔の可愛さが増す。俺はギャップに萌える単純な男だ。
「にーに、おやすみなさいです」
「あぁ、おやすみなさい、アキ」
俺の頬にちゅっと唇を触れさせ、ベッドに寝転がる。目を閉じたアキの肩まで毛布を引っ張り上げたら俺も布団に寝転がる。
「レイ、おいで」
「わーい腕枕ぁー、えへへ、嬉しいっす」
レイにも肩まで布団をかけてやり、優しく背を撫でる。枕元に置いた電灯のリモコンを操作して部屋を暗くし、目を閉じた。
「…………せんぱい、アキくんもう落ちてるんじゃないすか? ほっぺにちゅーしてたじゃないっすか」
「あー、アレはキリスト教の寝る前のお祈り的なヤツで……そういうのじゃないんだよな、残念ながら」
言いながら思い返し、ふと疑問に思う。今日はお祈りの言葉も十字をかく仕草もなく、額ではなく頬へのキスだった。まぁ、そんな日もあるだろう……あるのか?
「洋画とかで見るっすねー、寝る子供にちゅってすんの。アレ子供にだけじゃないんすね」
「詳しいことは分かんないけどな。もう静かにしろ、アキ寝れないだろ?」
「はーい」
真っ暗闇で何も見えないけれど、俺の腕を枕にしているレイの居場所や体勢はずっと分かっている。音を立てないよう気を付けながらレイの身体をまさぐる、彼にはぶかぶかな俺の服を着ているから俺の手は難なく彼の素肌に触れる。侵入させた手は下着の中へ、既に半勃ちの陰茎を握る。
「……っ、ん」
枕にさせている左腕でレイの頭を抱き締め、可愛い声を漏らす唇を唇で塞ぐ。布の擦れる音すら最低限に抑えなくてはならない今、陰茎を扱くことは出来ない。
(うーむ、アキきゅんが寝てるかどうか分かりませんからな……でもアキきゅんが寝るまで待ってたらてぃんてぃん破裂しますし、このくらいなら音出ませんよな?)
俺は少し悩んだ末にレイの陰茎についたピアスを弄ることにした。まずは裏筋に並んだ三つのピアスをカッカッカッ……と引っ掻く。爪と金属が触れる音は服と布団に阻まれてアキどころか俺にも聞こえない。
ピアス弄りを中断してベッドの下を探る。コンドームを二つ取り、レイの唇から一瞬だけ唇を離し、口で封を切る。すぐにキスを再開し、レイの口内に舌をねじ込みながらレイにコンドームを渡し、彼自身と俺の陰茎をゴムに包ませた。
(これで汚れと匂いの心配はありませんな。声と音にだけ気を付けますぞ)
レイが絶頂して仰け反ったとしても口を口で塞ぎ続けられるよう左腕には力を込めたまま、右手でゴム越しの陰茎への愛撫を再開する。
「……っ、う……! んっ……!」
鈴口から入り、亀頭の真下に空けた穴から出る、リング型のピアス。陰茎の先端についたそれをゴムの上からトントンと叩き、軽く引っ張り、ピアス穴をほじくるように擦る。
「ぅ、んん~っ……!」
ピアスを弄んでいるとコンドームの精液溜まりが膨らんだ。水風船に似た感触がする。
「…………イっちゃった?」
キスをやめ、小声で尋ねる。言葉よりも饒舌な熱い吐息だけでも返事には十二分だったけれど、レイはこくこくと頷いてくれた。レイの頭を撫で、上体を起こしてアキの様子を確認する。
(寝てそうですな、ヤっても大丈夫でそ)
真っ暗闇で何も見えないが、アキの呼吸の穏やかさは寝息のように感じた。しかし念には念を入れ、アキが起きてもセックス中だとバレないようにヤろう。
「……寝バックでしよう」
うつ伏せになったレイに枕を抱かせ、枕に顔を押し付けて声が漏れないようにさせる。俺は予め肩に毛布をかけてからレイに覆い被さり、万が一アキがトイレに起きたとしても毛布によってセックスバレを防げるようにした。行為中は暑くなるだろうが、リスク軽減のためだ。
「入れるよ」
「……っ、んん……!」
ゆっくりと挿入し、全身を密着させる。足も、腹も、胸も、首も、頬も、全てレイに触れている。もちろん陰茎も先端から根元までレイの柔らかな腸壁に包まれている。
(この密着感最高っ! 寝バックいいですなぁ、前立腺をオフトゥンとマイてぃんてぃんでサンドイッチ出来るのも高得点でそ)
探り当てた前立腺に亀頭が触れるまで腰を引き、前立腺をゆっくりと圧迫していく。レイはうつ伏せになっているため、前立腺に逃げ場はない、俺の陰茎と布団に挟まれて潰されるのみだ。
「ィっ……ん、ゔぅゔっ……!」
レイの後孔が締め付けを強め、痙攣する。絶頂しているのだろう。レイの頭皮の匂いを嗅ぎながら絶頂中の後孔の心地良さに耐えていると、突然周囲がほんのりと明るくなり、毛布がめくれ上がった。
「смотрится весело……голубой」
可愛いらしい声が知らない言葉を紡ぐ。爪先で腰を軽く持ち上げられている、結合部を観察されているのか?
まさかの事態に混乱した俺は硬直してしまって起き上がることも出来ず、あろうことか目を閉じて眠ろうとしてしまった。
「可愛いよ、レイ……愛してる」
味は極上、喉越しも最高、中毒性が高く、その毒に自覚症状はない。身体の内側から徐々に溶かされて気付けば手遅れ、そんな毒キノコだ。
「母さん、葉子さん、おやすみ」
なんてポエミーな思考を捨てると同時に浴室を出て、リビングの母に挨拶しに行った。
「お風呂お先もらいました、おやすみなさい」
「おやすみ、水月、レイちゃん」
「おやすみ……ねぇ、水月くん、ちょっといい?」
「はい?」
義母に呼び止められた。しかし、義母は言いにくそうにするばかりでなかなか用事を話してくれない。
「アンタがアキくん襲わないか不安なんだってさ」
「ちょっ、唯乃ぉ!」
母に視線を移すとあっさり代弁してくれた。流石だ。
「せんぱいは俺の彼氏ですよ。実の弟襲ったりしません、俺にぞっこんなんですから。ね、せんぱい」
「……だって、唯乃の息子なんだもん。一人で満足してるだなんて……信じられない」
「母さん、日頃の行いが息子の信用に響いてるんだけど」
まぁ、その疑いは事実だが。
「はいはい責任持って説得しとくわよ。葉子、いい? 水月はヘタレで不器用だから強姦なんて出来ないわ。ちゃっちゃと手篭めにしちゃえばいいのにねー、アキくんせっかく懐いてるんだしチャンスよチャンス」
「母さん!」
「水月くん、やめてね……?」
「しませんよ! おやすみなさい!」
レイの手を掴み、リビングから出る。全く不愉快だ、確かにアキのことを狙ってはいるが、そんなこと悟ってもいないくせに性的嗜好一つで性犯罪者予備軍扱いを受けるなんて心外だ。
「はーっ……なぁ、レイ、俺ってヘタレかな?」
レイには別の理由で落ち込んでいると思っていてもらおう。
「せんぱいは男らしいっすよ。リュウせんぱい助けて、シュカせんぱい庇って、俺のこと隠しきってくれたっす。そんなせんぱいがヘタレなはずないっすよ」
「……ありがとな」
「人の言うこと気にしないで欲しいっす、アキくんどう落とすかの作戦立てましょ」
「はは、だな。アキはどう落とせばいいかなぁ……」
なんて話しながら私室に入る。アキは眠そうに目を擦っていたが、俺と目が合うと微笑んで両手を広げた。
「にーに~……」
「ただいま、アキ。待っててくれたのか? ありがとな」
抱き締めるとアキの表情は更に柔らかく緩む。いつもどこか冷たい印象のある無表情だからこそ、こういった笑顔の可愛さが増す。俺はギャップに萌える単純な男だ。
「にーに、おやすみなさいです」
「あぁ、おやすみなさい、アキ」
俺の頬にちゅっと唇を触れさせ、ベッドに寝転がる。目を閉じたアキの肩まで毛布を引っ張り上げたら俺も布団に寝転がる。
「レイ、おいで」
「わーい腕枕ぁー、えへへ、嬉しいっす」
レイにも肩まで布団をかけてやり、優しく背を撫でる。枕元に置いた電灯のリモコンを操作して部屋を暗くし、目を閉じた。
「…………せんぱい、アキくんもう落ちてるんじゃないすか? ほっぺにちゅーしてたじゃないっすか」
「あー、アレはキリスト教の寝る前のお祈り的なヤツで……そういうのじゃないんだよな、残念ながら」
言いながら思い返し、ふと疑問に思う。今日はお祈りの言葉も十字をかく仕草もなく、額ではなく頬へのキスだった。まぁ、そんな日もあるだろう……あるのか?
「洋画とかで見るっすねー、寝る子供にちゅってすんの。アレ子供にだけじゃないんすね」
「詳しいことは分かんないけどな。もう静かにしろ、アキ寝れないだろ?」
「はーい」
真っ暗闇で何も見えないけれど、俺の腕を枕にしているレイの居場所や体勢はずっと分かっている。音を立てないよう気を付けながらレイの身体をまさぐる、彼にはぶかぶかな俺の服を着ているから俺の手は難なく彼の素肌に触れる。侵入させた手は下着の中へ、既に半勃ちの陰茎を握る。
「……っ、ん」
枕にさせている左腕でレイの頭を抱き締め、可愛い声を漏らす唇を唇で塞ぐ。布の擦れる音すら最低限に抑えなくてはならない今、陰茎を扱くことは出来ない。
(うーむ、アキきゅんが寝てるかどうか分かりませんからな……でもアキきゅんが寝るまで待ってたらてぃんてぃん破裂しますし、このくらいなら音出ませんよな?)
俺は少し悩んだ末にレイの陰茎についたピアスを弄ることにした。まずは裏筋に並んだ三つのピアスをカッカッカッ……と引っ掻く。爪と金属が触れる音は服と布団に阻まれてアキどころか俺にも聞こえない。
ピアス弄りを中断してベッドの下を探る。コンドームを二つ取り、レイの唇から一瞬だけ唇を離し、口で封を切る。すぐにキスを再開し、レイの口内に舌をねじ込みながらレイにコンドームを渡し、彼自身と俺の陰茎をゴムに包ませた。
(これで汚れと匂いの心配はありませんな。声と音にだけ気を付けますぞ)
レイが絶頂して仰け反ったとしても口を口で塞ぎ続けられるよう左腕には力を込めたまま、右手でゴム越しの陰茎への愛撫を再開する。
「……っ、う……! んっ……!」
鈴口から入り、亀頭の真下に空けた穴から出る、リング型のピアス。陰茎の先端についたそれをゴムの上からトントンと叩き、軽く引っ張り、ピアス穴をほじくるように擦る。
「ぅ、んん~っ……!」
ピアスを弄んでいるとコンドームの精液溜まりが膨らんだ。水風船に似た感触がする。
「…………イっちゃった?」
キスをやめ、小声で尋ねる。言葉よりも饒舌な熱い吐息だけでも返事には十二分だったけれど、レイはこくこくと頷いてくれた。レイの頭を撫で、上体を起こしてアキの様子を確認する。
(寝てそうですな、ヤっても大丈夫でそ)
真っ暗闇で何も見えないが、アキの呼吸の穏やかさは寝息のように感じた。しかし念には念を入れ、アキが起きてもセックス中だとバレないようにヤろう。
「……寝バックでしよう」
うつ伏せになったレイに枕を抱かせ、枕に顔を押し付けて声が漏れないようにさせる。俺は予め肩に毛布をかけてからレイに覆い被さり、万が一アキがトイレに起きたとしても毛布によってセックスバレを防げるようにした。行為中は暑くなるだろうが、リスク軽減のためだ。
「入れるよ」
「……っ、んん……!」
ゆっくりと挿入し、全身を密着させる。足も、腹も、胸も、首も、頬も、全てレイに触れている。もちろん陰茎も先端から根元までレイの柔らかな腸壁に包まれている。
(この密着感最高っ! 寝バックいいですなぁ、前立腺をオフトゥンとマイてぃんてぃんでサンドイッチ出来るのも高得点でそ)
探り当てた前立腺に亀頭が触れるまで腰を引き、前立腺をゆっくりと圧迫していく。レイはうつ伏せになっているため、前立腺に逃げ場はない、俺の陰茎と布団に挟まれて潰されるのみだ。
「ィっ……ん、ゔぅゔっ……!」
レイの後孔が締め付けを強め、痙攣する。絶頂しているのだろう。レイの頭皮の匂いを嗅ぎながら絶頂中の後孔の心地良さに耐えていると、突然周囲がほんのりと明るくなり、毛布がめくれ上がった。
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