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甘美な毒は風呂場で溶ける

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鏡に手をつかせたレイの腰に手を添え、慎重に挿入していく。熟れた後孔は簡単に俺の陰茎を咥え込み、怪我の心配なんてないように思えるが、それは雑にしていい理由にはならない。

「んっ、んんっ……んっ、くっ……んんっ!」

口を閉じて声を抑えているレイの表情を鏡越しに確認する。辛そうに見えるが、痛みを感じている訳ではない。むしろ強い快感に身を任せられず不満なのだろう。

「……っ、ふぅ……レイ、奥ねじ込むぞ」

レイが一番好きらしい箇所、結腸口に亀頭を当てる。腰を左右に少し揺らして弁をぐりぐりと押し、こじ開けていく。

「は、ぐっ……ぅあっ、せん、せんぱい、せんぱぁい、口押さえて欲しいっす、これ絶対声出るっすぅっ」

「口? こうでいいか?」

右手を下腹に当て、左手でレイの口を塞ぐ。レイが頷いたので挿入を再開し、結腸口に陰茎をねじ込む。

「ゔっ、んんんっ! んっ、ぐ、ふ、ぅゔっ……!」

ぽたぽたと精液が床に滴り落ちる。相変わらずレイは射精に勢いがない、雄としての機能が弱った身体に興奮する。同時に彼の身体をここまで調教した前の男に嫉妬する。

「……動くぞ」

あまり長く風呂に入っていたら怪しまれる。じっくりしたいが、今回は手早く済ませよう。そのためには腰振りを激しくしなければ。

「んゔっ!? ふっ、んっ、んんんっ! んぐっ、んんんっ!」

結腸口を超えた先の腸壁をごちゅごちゅと突き上げる。レイの下腹が痙攣しているのが右手に伝わってくる。ふと思い立って臍ピアスに中指を押し当て、くりくりと撫で転がして弄ぶ。

「んっ、んんゔっ! んんんーっ!」

何度も絶頂しているのだろうレイの後孔は強い締め付けと痙攣で俺の呼吸まで荒く、熱くしていく。

「すっご……はぁ、気持ちいい。レイ、レイ……気持ちいいよ、レイは? イってくれてるよな、分かるよ、伝わってきてる」

「んっ、んんっ、ん、ん……!」

囁くだけでレイは締め付けを強めてくれる。舌を伸ばしてピアスを揺らしたり、耳を甘噛みしたりしてやると、絶頂したのか仰け反って震えた。

「レイっ、レイ……好きだよ、そろそろ出そうだ、中でいいか?」

腰を引けば抜いて欲しくなさそうに吸い付き、押し込めばきゅうきゅうと締め付けて歓迎してくれる。そんな穴の中で長時間耐えられる訳もなく、俺は呆気なく射精を果たした。

「くっ……! ふぅ……一応、浅めのとこで出した。抜くぞ……ぅ、あ、そんな吸い付くなよ、また勃つって……! はぁ、最高……どうだった? レイ」

蜜壷と称するに相応しい後孔から陰茎を抜き、ぐったりとしたレイを抱き締めて直接目を合わせる。

「よかったっす、けど……」

「けど? なんか不満あるのか?」

「……もっと声出したり、喋ったりしながらしたかったっす」

「あー……それはまた今度な」

「静かにしなきゃってのはこれはこれでよかったっすよ、せんぱいに口塞がれたのとか……すっ、ごく興奮したっす!」

レイは俺の手首を力なく握って自身の顔に寄せ、幸せそうな表情で俺の手のひらに唇を触れさせた。

「……せんぱい、お尻、綺麗にして欲しいっす」

左手の中指と薬指がレイの口に収められる。甘噛みされて興奮した俺は右手の中指と薬指をレイの後孔に挿入し、穴を拡げつつ腸壁を撫でて自分の精液を掻き出した。

「んっ、んんっ! ん、ぅっ、ん、ちゅ、んむっ、んんっ!」

上と下で同時にぐちゅぐちゅと音を立てる。舌を挟んで舌ピアスをくりくり転がすように愛撫しつつ、前立腺を挟んでこりこりと転がすように愛撫する。
上下で似た快感を与える作戦は上手くいったようで、レイは早々に絶頂を迎えて足をガクガクと震わせた。

「……っと、大丈夫か? レイ」

立っていられないようだったので抱えてやり、軽く汚れを流してから湯船に戻した。先に自分の頭と身体を洗い、元気を取り戻したレイを湯船から出して膝に座らせた。

「せんぱい、俺もう自分で洗えるっすよぉ……」

遠慮するレイを強引に洗ってやった。骨太という男らしさとメス化が進んだ脂肪の付き方をじっくり堪能したかったのもあるが、腰まで伸びた長い後ろ髪をちゃんと触ってみたかった気持ちも大きい。

「結局ほとんどせんぱいにやってもらっちゃったっすね」

湯船に浸かり、身体を温めているとレイがぼやいた。ほんの少しの不満が滲んでいる。

「嫌だったか? ごめんな、俺はレイを甘やかし倒したいんだよ」

「……嫌じゃないっすけどぉ」

「けど?」

「俺、尽くしたいタイプなんで、俺がせんぱい洗ってあげたかったっす」

「そっか、ふふっ、じゃあ次お風呂入る時はそうしようか?」

俺からの愛情を確信してくれているレイはもう「次があるんすか?」なんて口に出したりはしない。けれど、その喜びはあるようで噛み締めるように微笑んでいる。これはこれで可愛いけれど、いつかレイの方から「次は俺が洗うっす」と提案出来るようになって欲しいな。

「……そろそろ上がろうか。今日は俺がとことん尽くす番だから、俺がレイにドライヤー当ててやるからな」

「甘えちゃうっすよぉ?」

「喉が焼けるくらいの甘さで迎え撃ってやるよ」

脱衣所に出たらすぐにバスタオルでレイの身体を包み、その上から抱き締める。キスをしつつ身体を拭いて、レイに俺の服を着せる。

「せんぱいの服おっきいっす」

「鎖骨丸出しになっちゃうな、可愛いよ」

「肩も出そうっすよ。下はこれ膝丈なんすよね? 余裕でスネまで行くっすけど」

「……レイはちっちゃくて可愛いなぁ~!」

「わ、ゃ、やめるっすよ、まだ髪びちゃびちゃなんすから、せんぱい濡れちゃうっす!」

「っとそうだったな、乾かしてやるよ」

ドライヤーでピンク色の髪を乾かしていく。染髪は傷みやすいから丁寧なケアが不可欠だ、熱風は遠い位置から当て、定期的に冷風に切り替える。そうしてやると驚くほどに指通りがよくなる。

「ん、よし、乾いた。サラサラだな」

ドライヤーを片付けて櫛を通す。最後に冷風を当てたため、髪はほんのりと冷たい。

「レイ? 眠いか?」

ぼーっとしている様子のレイの顔を覗き込む。

「……すっごく丁寧に髪乾かしてもらえて、俺せんぱいにすっごく愛されてるんだって分かって、感動しちゃって……もう、泣きそうっす」

「その泣き方よくするよなぁ、レイは」

可愛い顔をして、相手に尽くすのが好きな性格で、夜は淫らになってくれるのに、どうして今まで誰にも優しく愛されなかったのか甚だ疑問だ。まぁ、俺にとっては幸運でもあるのだが。

「せんぱい、大好きっす、大好き、せんぱいも俺のこと好きっすよね」

「好きだよ」

「せんぱい……えへへ、俺せんぱいのためなら何でもするっすよ。せんぱい、せんぱい、せんぱい好き、せんぱいせんぱいせんぱいせんぱい……」

ぎゅうぅっ……と俺に抱きついたレイの力はとても強い、まるで万力で締められているかのような気分だ。

「……可愛いなぁ」

甘美な毒のような病んだ声色も、脅すような抱きつき方も、レイの何もかもが愛おしくて仕方ない。
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