冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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一つだけ何とかなりました

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平均点以上を取れなかったことを歌見に報告しなければいけない。歌見の身体を好きに出来ない悔しさもあるが、彼を蔑ろにしていると勘違いされかねないことが一番悩ましい。

「誰だ? 新しいバイトか?」

「せんぱいの弟さんっすよ、寂しがり屋さんで着いてきちゃったみたいっす」

「この子が弟か! へぇ、アルビノとは聞いていたが……本当に髪が白いんだな。肌も……ゃ、肌は意外と赤っぽいな。目が見たいんだが、サングラス外してくれないか?」

「ここ眩しいんでダメっすよ」

「そうか……」

歌見は今アキに夢中だ、物珍しそうな目で見ている。ジロジロ見られて不快に感じていないだろうかと思考を現在に戻したその時、アキが突然立ち上がった。

《……すげぇ》

「な、なんだ? 不躾だったかな、悪い、謝るよ」

《めっちゃくっきり日焼けしてる! 腕黒いのに肩白っ! すげぇ、別の人間の腕くっつけたみてぇ。俺日焼けしないんだよなー》

「……何してるんだ? この子」

アキは歌見の二の腕を、いや、日焼けした褐色の肌と元々のペールオレンジの肌の境目を探るように指で擦っている。

「アキ、初対面の人にベタベタ触るんじゃない」

《うぉ、何、兄貴》

白い手首を掴んで止めるとアキは不思議そうに首を傾げた。

「すいません、知らない人見るとはしゃいじゃうのかな……ちょっと今なんではしゃいでたのかは分からないんですけど」

「いや、いい。それよりテストだ、どうだった?」

「あ……平均点、ですよね。あの……その……えっと…………それは、その」

「……ダメだったのか?」

俺の身体じゃやる気が出せないのか、俺のことを本当に愛しているのか、そんな質問が飛んでくるんじゃないかと身を震わせていると歌見は俺の頭をぽんっと撫でた。

「そうか、残念だったな。復習ちゃんとやっておけよ。あぁ、約束通りご褒美はなしだぞ」

「え……」

「当たり前だろ、平均点以上取ったら好きにしていいって言ったんだ。平均点以下だったらダメに決まってる」

「ぁ……で、でもっ、現国だけは平均点以上だったんですよ!」

俺が想像していたよりも歌見はずっと爽やかな男だった。太陽のような笑顔からして分かっているはずなのに、俺は何を怯えていたんだ。

「そうか、よくやったな。でもダメだ」

「全部なんて約束しましたっけ?」

「一個だけでも上回ればとも言ってないぞ。けど……そうだな、一個分の褒美はやろう。今日この後俺の家に来れるか?」

「あー……えっ、と」

是非行きたい。俺はすぐに母にメールで確認を取ると同時にアキに翻訳アプリを使って事情を説明した、その結果──

「じゃ、俺アキくん家に送ってって、せんぱいの代わりに晩ご飯いただいてくるっす。せんぱいはゆっくり歌見せんぱいと楽しんで来て欲しいっす」

──という具合にレイが俺の代わりを務めてくれることになった。

《んだよ、アホ兄貴。弟よりダチが大事かよー……俺もそいつと仲良くなりたい、もっと日焼け見たい……》

「じゃあな、アキ、レイと仲良くな。レイ……アキの前でオナったりするなよ?」

「しないっすよそんなこと!」

「ふふ、冗談冗談、ごめんな」

歌見の家に向かう途中で弁当屋に寄り、彼の家に着いてからそれを食べた。
相変わらずのボロアパートだが男の一人暮らしにしては片付いている気がする、俺を家に呼ぶつもりだったからだと勝手に妄想してニヤついていよう。

「お前、あの高校には結構無理して入ったのか? 赤点まで取ってるなんて、次頑張れじゃ済ませられないぞ」

「ギクぅ……し、しかしパイセン、うちの高校は期末と平均取って五十以下なら赤点確定で夏休み没収と言った感じでして、期末で取れれば赤点緊急回避は可能なのでそ」

「英語二十点くらいじゃないか、期末で八十も取れるのか?」

夕食を終えた後、中間テストの点数が書かれた小さな帯状のプリントを渡し、歌見に説教された。彼氏を何人もはべらせて遊んでいる場合かだとか、バイトを辞めることも考えた方がいいだとか、留年したらどうするつもりだとか、将来のことちゃんと考えているのかだとか、じわじわ精神を削られた。

「……まぁ、俺はお前の親でも教師でもないし、あまり言うのもな……この辺でやめておく」

「もうHPバー赤色でそ」

「現国だけは平均点超えか、これは褒めるべきだな。まぁ……現国だけ成績いい奴って、中途半端に頭がいい真面目系クズのオタクって感じがしなくもないんだが」

「平均点超えたのにボロっカス! 日本中の現国だけ得意な学生に謝ってくだされ!」

ようやく褒めてもらえると思ってしまっただけに、その後の根拠のない偏見による暴言には深く傷付いた。抗議しようとした俺の怒りは、歌見がシャツのボタンを外したことで萎んだ。

「さっきも言った通り、現国分の褒美はやろう。全教科平均点超えならなんでも言うことを聞く、だったな。その八分の一となると……どんなのがいいと思う?」

ペールオレンジの肩のアクセントになる黒いタンクトップ。豊満な胸筋の谷間に目を奪われる。

「……お、雄っぱいを好きにするとかどうでしょう」

「なんでも、と変わらないだろ、それ。お前は七教科も平均点以下を取って、赤点まで取っただろ? そのお仕置きもいると俺は思うんだが」

「罰を与えても成績は伸びませんぞ! わたくし褒めて伸びるタイプゆえ」

「……お仕置きとご褒美を兼ねたものがよさそうだ、お仕置きが若干強めのな」

歌見が何をする気なのか全く想像がつかない。僅かながらMっ気もある俺はセリフに反してお仕置きも楽しみにしていた。

「手を後ろで組んで一切動くな、これを破ったら別れる」

「別れる!?」

「何もしなければいいだけだ、楽なお仕置きだろ?」

褐色の頬を赤らめた歌見はタンクトップを胸の上まで捲り上げ、たくましい肉体と陥没乳首を俺の目に晒した。今すぐにでも歌見の肉体にむしゃぶりつきたいが、そうすれば別れると言われている……本気なのか?

「んっ」

ごちゃごちゃと考える頭はすぐに性欲一色に塗り潰された、歌見が谷間を深くするように自分の胸を寄せて揉んで喘いだからだ。

「パ、パパッパパイセン? ご自身のパイパイに何を?」

「……っ、お、俺、の……一人、ぇー……ぁ、いや、お、俺は今からオナニーをするが! お前には関係ない! お前が動いちゃいけないのは変わらない! み、見てても……ぃ、いい、ぞ?」

「お仕置きって…………パイセンの一人えっち見せつけられることですか!? ご褒美ですが、生殺しという点ではこれ以上ないお仕置き! 確かにっ、確かに過ぎますぞ、凄まじい納得を得た……!」

「…………よかった。ちゃんと……反応してくれるな、お前は。滑ってるんじゃないかと怖かった……じゃあ続けるぞ、動くなよ」

伸ばしていた足の上に歌見が跨る。ジーンズ越しに股間が押し付けられる。

「もちろん足も動かすなよ?」

「ヒェ……こんなもん拷問でそ」

平均点以上を取れていたら俺はこんな生殺しではなく、歌見の身体に触れられた。悔しくてたまらない、勉強してやる……! それはそれとしてこの生殺しもまた癖になる。
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