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痺れた足はお触り厳禁

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正座のまま絶頂の余韻に浸っているリュウの顎に手を添え、クイッと持ち上げて俺の顔を見るように仕向ける。

「水月ぃ……」

「リュウ、そこぐちょぐちょだろ? 見せろよ」

「ええよー……」

股間を指して言うとリュウはあまり力が入っていなさそうな手でベルトを外し始めた。

「せんぱーい、どこでしてもいいっすけどあんま汚さないで欲しいっす」

ぬっと顔を覗き込んできたレイの手にはペットシートがあった。軽く謝ってペットシートを受け取り、広げて床に敷く。

「レイ、犬か猫でも飼って……た、のか?」

一ヶ月以上家を留守にしていたこと、今ペットの影も形も見えないこと、その二つから俺はここ数ヶ月以内に死んでしまったペットの存在を質問の途中で察してしまった。

「へ? 飼ってないっすよ。俺オナる時は疲れて寝ちゃうまでするんで、周りぐっちゃぐちゃになるんすよ、その片付けが楽なんでこれ使ってるんす」

「あー……そっ、か。そういえば前に俺のベッドすごいことになってたな」

「あの時は割とセーブしたっすよ!」

死んでしまったペットもペットロスで落ち込んだレイも居なかったんだな、よかった。俺の早とちりだった。

「ペットシート、か。マゾ豚にはぴったりだな。ほら、早く立って脱げよ。豚は服なんか着ないぞ?」

「はぁい……」

とろんとした顔で悦ぶリュウを見つめて温かい気持ちになっていたが、背後で行われるコソコソ話を聞いて少し気持ちが冷えた。

「……なぁ、あの子Mなのか?」

「ん? りゅー? りゅーはすっごいドMでみっつんけっこー苦労してるよ」

「そうか……俺あの水月、嫌だな」

「そぉ? 傍から見てる分にはキュンキュンするけどな~。ほら、少女漫画の俺様キャラって実際に居たら嫌だけど漫画で見る分はいいじゃ~ん?」

「俺は俺様キャラ嫌いだ」

やはりリュウとの公開プレイは俺へのデメリットが大きい。演技だと分かっていてもSの態度って不快になるよね分かる俺もそうだから! 俺も自分がちょっと嫌だから!

「み、水月ぃ……足痺れて立たれへん」

「え? あぁ……正座してたもんな。そりゃそうだろ、しばらくじっとして……いや」

痺れた足で立ち上がるのは捻挫の危険性があるからと足を伸ばして座らせたが、痺れが治るまで待つのも暇なのでイタズラをすることにした。

「ちょお待っててな水月……ぅあっ!?」

トン、と軽く爪先をつついただけでリュウは大声を上げた。

「み、水月? アカン、アカンて、痺れてんねんてっ……ぅあっ! あっ、ぅ、くぅううーっ……!」

足の甲を撫で、スネへと手を移し、ふくらはぎを揉みしだく。リュウは目を見開いて身をよじり、痺れて動かしにくいだろう足で必死に逃げようとする。

「そんなに辛いかよ。じゃあこれはどうだ?」

寝転がってのたうち回るリュウの両足を捕らえ、足で挟む。床に頭を打ち付けないよう左腕でリュウの頭をしっかりと抱きしめ、右手でシャツ越しに乳首を刺激する。

「ひぁあっ!? ぁうっ、うぁあっ!? なっ、ぁ、あぁっ! ぃやっ、ぁ、あぁっ! 意味分からんっ、分からん何これぇっ!」

リュウの痺れた両足を挟んだ足は擦り合わせるようにして動かし続けているので、痺れた部位を刺激される辛さはずっとあるはずだ。そこに今特に敏感になっている乳首を擦られる快感を加えて──さて、どういう反応をするかな?

「ゃ、あっ、あぁああっ! はぁっ、はーっ……! ぁ、うぅっ、なんや変な趣味つきそぉっ、嫌や、これ嫌やぁっ! やめてぇや水月ぃっ! 堪忍して! ほんまに嫌やぁっ!」

「暴れんなよ、ご主人様が撫でてやってんのに」

「嫌やねんってホンマにアカンねん! 足辛いぃ! 痺れとんねん痺れてんの触られんの嫌やぁっ! 嫌っ、やめてぇや後生やからぁっ!」

リュウは泣き叫びながら暴れ狂う、まるで水揚げしたばかりの魚だ。

「お、おい、水月、それ本気で嫌がってるんじゃ……」

「うたさん……だめ。てんくん嬉しそうだから……邪魔、しないで」

「嬉しそうか? まぁ……お前の方がよく分かってるよな」

歌見からの好感度がだだ下がりな気がするのだが、杞憂だろうか? 腹いせにリュウの乳首をシャツの上から強くつねると、彼は大きく仰け反って再び絶頂を迎えた。

「はぁっ……はぁっ……」

跳ねるリュウを抱き締めてイタズラし続けるのは大変だった。俺もリュウに匹敵するくらいに息が切れている。

「水月ぃ……もぉ、酷いわぁ……変な趣味ついてしまうやないの。痺れたら感じるようなったらどないしてくれんねん。ほんま酷いご主人様やわぁ」

「好きなくせに」

「……へへ。おおきになぁ水月ぃ。な、今日は俺えらい目あってんから、労いと慰めの意ぃ込めていじめたってぇな。ええやろ?」

「ふーん? 殴られて監禁されるなんてお前には理想の展開じゃなかったのか?」

リュウは色っぽいと言うよりはもはや下品なまでに性的でだらしない笑顔を浮かべ、俺の右手に拳を作らせて頬擦りをした。

「せやなぁ、しぐのん取り返したらな言うててんけど、ワンチャン返り討ちに遭いたい思てたわ。せやけどボッコボコにされてその辺転がされるくらいや思てたんに、あんなとこ連れ込まれて閉じ込められたんは予想外やったからホンマに怖かったし焦っててんで?」

「……ふぅん?」

「あー、信用してへん顔。んふふ……それになぁ水月ぃ、前までは割と痛かったら他はどぉでもよかったし、せやから誰彼構わず喧嘩売っとってんけど……水月と付き合ってからなんや段々ただ痛いだけやったらそこまでなってんなぁ」

「ぅん……?」

「安い食パンと高い食パンみたいな感じやねんけど、水月が俺のこと考えて趣味でもあらへんのに意地悪してくれるんがめっちゃええねん。分かりやすぅ言うと、水月に虐められるんが最高過ぎて知らん奴に殴られてもあんまよぉなかったってことや」

「…………そっか」

食パンでたとえる色気のなさはともかく、俺でないとダメな身体になったというのは最高だ。可愛い。萌える。抱きたい。抱く。

「へへ……せやからなぁ水月ぃ、殴られて監禁されるんはあんま理想の展開とちゃうかったで」

「……うん、ごめんな、怖かっただろうにからかって。必ず助けてみせるけど、自分から危ないことに首突っ込むのはもうやめろよ?」

「助けに来てくれた水月めっさカッコよかったから、あと二~三回やったらさらわれてもええかなぁー思てもうてるわ」

「ふーん……? なぁ、リュウ、お前は俺の彼氏だよな? いや、ペットか? まぁどっちにしろ俺のもんだよな?」

「ん? うん、せやで、水月のもん」

リュウは再び甘えるように俺の拳に頬を擦り寄せる。ガーゼの感触は酷く不愉快だ、俺はリュウの肌に触れたい。

「俺の所有物のくせに他所の男に跡残されてんじゃねぇぞ、自覚が足りねぇんだよ」

「……っ、ゾクゾクきたわ。はぁ……水月ぃ、ごめんなぁ? 堪忍して、綺麗に治すから許してぇな、もう二度と水月以外に虐められへんからぁ……水月ぃ」

リュウに怪我を負わせた男への怒りに独占欲の皮を被せてみたが、上手くいったようだ。言葉だけで蕩けたリュウの無傷の頬を撫でながら、両頬同時に揉んで楽しめないことを悲しんだ。
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