冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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そろそろ真面目にテスト勉強

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弟が出来る。それもヤれる年齢の可愛い男の子らしい。ロシアと日本のハーフという二次元的にも三次元的にも強過ぎる属性まで持っているだなんて、もう、テストのことなんて考えていられない。

「だから、念仏が浄土宗、浄土真宗、時宗で、日蓮宗は題目なの。南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経なのよ、分かる?」

「よく分かりません……何が違うんですか?」

「んー……別に違いなんかテストに出ないでしょ、仏教学校でもないんだから……宗派と開祖の名前覚えておけばいいんじゃない?」

俺は悶々としたりムラムラとしたりしているのに、母は暇を持て余してシュカの勉強を見てやっている。

「それはそうなんですが、ちゃんと理解した方が覚えがいいかと。天正さん、あなた実家寺でしょう。教えなさい」

「俺ん実家は神社やで」
 
「……同じでは?」

「全然ちゃうわアホ!」

俺はオタクなので宗教の話はそれなりに出来るが、オタクなので神話だとかにばかり傾倒していて仏教の教えなどには詳しくない。つまり社会科のテストで有利になんてならない、歌見の身体を堪能するためには努力あるのみということだ。

「……あら、ハルちゃん字綺麗ね。お習字やってるの?」

「マジ褒め? やった、ありがとうございます~! えっと、俺がやってんのは~……習字と~、お琴と~、日本舞踊と~、お茶とお花!」

「へー……意外と和風の子なのね」

試験範囲のプリントを眺めているとインターホンが鳴った。迎えに出ると予想通り歌見が立っており、招き入れてすぐに勉強を教わるよりも先に弟について話した。

「なるほどな。父親は別で、卵子提供だから直接産んだ訳じゃないが遺伝子的には半分同じで……それ弟か? いや、弟と言えば弟なんだろうが……なんだ、その、複雑だな。家系図とかがややこしくなりそうだ」

残念ながら古い名家だとかではないので家系図なんて存在しないけれど、一応頷いた。

「で、お前ロシア語は話せるのか」

「知らないですねー……おはようも分かりませんん。ハラショーくらいかな、後……マトリョーシカ?」

「マトリョーシカは日本で言うこけしみたいなもんじゃないのか? ハラショーは……素晴らしいとかそんなんだったか。俺もほとんど分からん」

日常会話すらスマホの翻訳アプリに頼り切りになるだろうな。精度のいいアプリでも探しておくか。

「うーん……スポポビッチは? ロシアって何とかビッチって言いますよね」

「超絶大人気漫画のキャラだな。アニメは尺が長めでリョナ度高め、一部では隠語になっているそうだ。ビッチは何とかの息子とかそういう意味で、人名につくんだったと思う。そのキャラがスポポさんの息子なのかどうかは知らん」

「あー……じゃあ、キレネンコは何だっけ、ロシアっぽくないですか?」

「それもアニメ? のキャラ名だな。靴好きな可愛いピンクのウサギだ。確か舞台はソ連だったかな」

「…………ウコチャヌプコロ」

「名前からは離れたがロシア語ではないな、寒い地域という共通点はあるが。というか……それが通じたとして何の話をするつもりなんだ?」

どうやらいずれ出会う弟との会話には翻訳アプリが必須のようだ。

「しかし、お前と半分同じ遺伝子のハーフ男子か……きっととんでもない美形なんだろうな。いつ頃来るんだ? 楽しみだな」

「さっき聞いたばっかりですし、多分もうしばらく……って先輩、その子が俺より美人でも乗り換えないでくださいよ」

「お前より美形なんてもう人間じゃないだろう、SAN値ゴリゴリ削ってくるタイプの何かだ」

「俺人外ギリギリなんですか? えぇ……まぁ、悪い気はしませんね、へへ……ね、せーんぱい、勉強教えてくださいよ」

「ん、あぁ、そのつもりで来たんだったな。つい忘れて……どの教科を教えて欲しいんだ?」

今日こそ真面目に勉強するぞと意気込んで教科書を開いて机に置く。すると俺の背後に立った歌見が俺のノートと教科書を覗き込むために前のめりになり、俺の後頭部にその分厚い胸筋を押し付けてきた。

(ふぉおお! ラッキースケベ! ぽよんぽよんのおっぱぁい! 雄っぱい雄っぱい! 振り返って吸いたい揉みたい舐めたいもみたぁい!)

胸筋を揉みたい欲望を押さえつけて心の中で繰り返し「テストでいい点取ったら揉み倒す」と唱え、勉強自体に集中は出来なかったもののその集中力はとてつもないものとなった。

「そうだ、お菓子を買ってきたんだ。勉強中は甘いものが欲しくなるだろう? 好きに分けて食べろ」

センパイはコンビニで買ってきたのだろうプチシュークリームを机の真ん中に置いた。四人は揃って「ありがとうございまーす」と可愛らしく言った。一番に手を伸ばしたのはシュカで、その次がリュウだ。

「しぐ、ほれプチシューお呼ばれし」

リュウは自分の分に加えてカンナの分も取り、カンナの口に押し付けた。

「…………し、時雨、俺の分もやろう」

歌見は緊張した様子でプチシュークリームを一つ取ると一つ目を食べ終えたばかりのカンナの口元に持っていった。カンナは大して躊躇うことなくはむっとプチシュークリームに噛み付いた。

「よし……餌付け完了。懐いてもらえるかな……」

そういえば歌見はレイに「カンナには餌付けが効く」みたいなことを教えられていたな。間違いではないが、どうだろう。



昨日とは違い、五人とも真面目に勉強をして夕方を迎え、お開きとなった。

「流石に二日連続はダメだと思うしー、今日はもう帰ります!」

「私は別にいいんだけどねー……ばいばいハルちゃん」

「……ゃ、ま……しま……た」

「お邪魔しましたー」

「失礼します」

「ん、気を付けて帰るのよ。カンナちゃん、リュウちゃん、シュカちゃん」

四人を見送った母は機嫌良さそうに鼻歌を歌いながらキッチンへと向かいかけ、踵を返してこちらに戻ってきた。

「ナナちゃんはご飯食べてく? 肉じゃがなんだけど」

「よろしいんですか? では、お言葉に甘えて……今から準備ですか? 手伝います」

「いいわ。水月の勉強見ててあげて」

夕飯の調理中はもちろん、食事後も風呂の後も歌見は勉強を教えてくれた。それなりに分かりやすくはあったが、たくましい歌見の身体が触れたり顔が間近にあったりすることで集中が乱れまくった。
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