冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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足蹴にされた記憶

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足コキをしてもらったのは初めてだが、美少年に足蹴にされた初めての記憶はもっと古い。中学一年の初夏だったかな。

(あの時は痛かっただけでしたのに、部位と力加減で変わるものですなぁ。おっと、一番大切なのは愛ですかな)

何故か体育祭を皮切りに始まったイジメを思い出す。リーダー格の男の顔がハッキリと瞼の裏に浮かぶ。
動画配信者みたいなグラデーションの赤髪、俺を見る度に歪む細い眉、俺を睨むために存在するみたいな鋭い瞳。和風の顔立ちは綺麗なもので、イジメが始まる前はよく彼のことを眺めていた。

(……なんで急にイジメてきたのかとか、結局分かんないままでしたな)

イジメは生物の本能だ。弱いモノ、変わりモノ、馴染めないモノは群れにとって足枷になる。共倒れを防ぐために群れの仲間を厳選する、生物は異物を群れから追い出して生き残る。群れ──人間関係が濃密になるほど、環境が劣悪であるほど、仲間意識は上昇しイジメは苛烈になる。

(でも、狭雲さくもさんは……最初はよくしてくれましたぞ。からかいはありましたが軽いもので、わたくしも笑えるもので、むしろ彼のおかげで群れから外れずに済んで、ちょっと浮いてるけれどいじめられっ子ではないポジションに居れたのでそ)

俺は群れにとって邪魔だったから追い出そうとされていたのではない、居場所を作ってくれていた人に嫌われたのだ。

(体育祭の後、急に……前触れもなく、親の仇みたいな目で見られて……イジメが辛くて気にならなくなっていきましたが、最初は混乱すごかったんですよな~。なんかしたかなって謝ったりもしましたし、まぁ全部無駄だったんですが)

群れの問題を群れの中から解決するのは困難だ、一度異物と認識されたら全員が敵になる。群れの外に助けを求めるか、別の群れに救いを求めるか、その二択が最良。でもそんなことを考える余裕は当時の当事者に存在しない。

「みっつ~ん? 大丈夫? ボーッとしちゃって」

萎えた陰茎を爪先でつつかれ、過去に思いを馳せるのをやめる。

「……あぁ、ごめん」

「いーよいーよ、気持ちよかったってことっしょ?」

「まぁな。上手かったよ、すごいなハル、初めてだろ?」

「初春さんは超器用ってこと~」

調子に乗ったハルは楽しげに足を揺らす。その細い足には俺が放った精液が絡んでおり、ローションのぬらっとした光沢がただでさえ淫猥だったのに、性的な魅力が増している。

「……ちょっと痛くて変な趣味目覚めそうだったから、次からはもう少し弱くしてくれると助かるかな」

「え~? 目覚めちゃえばいいじゃん。んふふ、分かった、加減頑張るね」

脂肪と肉がほとんどない細い足、太陽を知らない白い肌……健康的ではないハルの足は俺には神秘的に見えて、そんな足を白濁液で穢した興奮は大きい。

「足洗いに行くか」

ティッシュで陰茎を拭って下着とズボンを履き直し、ハルの前で膝立ちになる。

「その足で家の中歩き回られるのも困るし、お姫様抱っこでどうだ? 俺の可愛いお姫様」

「あはっ、なにそれ~。俺姫じゃないもん、も~……ふふ、みっつんのバカぁ。いいよ、抱っこしてみっつん」

「ん、じゃあ力抜いて」

膝の裏に腕を差し込み、もう片方の腕で背を支えて抱き上げる。俗に言うお姫様抱っこだ。

「軽っ!?」

「……重くない? って聞くつもりだったのにー」

「軽いよ、軽過ぎ、中身あるのかこれ……」

羽のように軽い、なんてセリフは少女漫画じゃお決まりだが、抱いた感覚だけで言えば羽毛布団より軽い気がする。実際はちゃんとハルの方が重いのだろうけれど、俺の感覚は騙されている。

「すごいな……シュカの半分もないんじゃないか? あ、手塞がってるからドア開けてくれ」

「何、しゅーそんな重いの? はい、開いた……待って足擦りそう」

「長い足だなぁ」

ハルに扉を開けてもらい、ハルの足が扉の枠に擦れないように斜め向きに廊下に出る。

「シュカはめちゃくちゃ重かったぞ、腕ぷるっぷるした。もう鉄の塊でも抱いてんのかってくら、い……」

脱衣所の引き戸にハルが手を伸ばすも、ハルが触れる前に引き戸は開いた。シャワーを終えたらしいシュカが分厚いレンズの向こうから俺を睨んでいる。

「ぁー……いや、まぁ……俺は重いのも好きだけど」

「後で万回殺す」

「…………助けてくれハル」

「みっつんデリカシーなさすぎ。陰口叩いた方が悪いに決まってんじゃん、大人しく罰されちゃいなさ~い」

「俺が悪いのは分かってるけど多分罰めちゃくちゃ大きいぞ!? 俺死んじゃう!」

いくら軽いといっても人一人をずっと抱えていたら腕が疲れてくる。俺はさっさと浴室に向かってハルを下ろし、この後のシュカからの仕置きを想像してため息をついた。

「……足だけだから裾軽くまくるだけでいいかな」

「ん、ありがと」

スラックスの裾を折って捲り、シャワーをまず俺の手にかける。シュカが先程まで使っていたからかちゃんと温かい。

「かけるぞ」

片手で掴めてしまえそうな足首を持ち、足の裏にお湯をかける。

「……みっつんさ、今お湯出るか確認してくれた?」

「ん? あぁ、冷たいの嫌だろ? 寒い時期じゃないけどさ、冷水シャワーはまだ早いって」

「…………ふふ、俺ね、みっつんの顔だけじゃなくてそーゆーとこも好き」

「ありがとう……? どういうとこだ?」

「えへへっ、そーゆーとこも好き。教えない方がよさそうだから、教えな~い」

よく分からないが、シャワーの温冷を変える時期の感覚が似ていてよかったということだろうか? 食事の趣味が合うと結婚生活が上手くいくみたいな話だよな?

「…………当たり前みたいな顔して足洗ってくれるとこも好き」

「そりゃ俺がさせたんだから俺が洗うよ」

「みっつんマジ好き~」

上機嫌なハルを見ているだけで幸せだ。どこを好かれたのか考えるのはまた次の機会でもいいだろう。
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