冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
上 下
246 / 2,036

足蹴にされた記憶

しおりを挟む
足コキをしてもらったのは初めてだが、美少年に足蹴にされた初めての記憶はもっと古い。中学一年の初夏だったかな。

(あの時は痛かっただけでしたのに、部位と力加減で変わるものですなぁ。おっと、一番大切なのは愛ですかな)

何故か体育祭を皮切りに始まったイジメを思い出す。リーダー格の男の顔がハッキリと瞼の裏に浮かぶ。
動画配信者みたいなグラデーションの赤髪、俺を見る度に歪む細い眉、俺を睨むために存在するみたいな鋭い瞳。和風の顔立ちは綺麗なもので、イジメが始まる前はよく彼のことを眺めていた。

(……なんで急にイジメてきたのかとか、結局分かんないままでしたな)

イジメは生物の本能だ。弱いモノ、変わりモノ、馴染めないモノは群れにとって足枷になる。共倒れを防ぐために群れの仲間を厳選する、生物は異物を群れから追い出して生き残る。群れ──人間関係が濃密になるほど、環境が劣悪であるほど、仲間意識は上昇しイジメは苛烈になる。

(でも、狭雲さくもさんは……最初はよくしてくれましたぞ。からかいはありましたが軽いもので、わたくしも笑えるもので、むしろ彼のおかげで群れから外れずに済んで、ちょっと浮いてるけれどいじめられっ子ではないポジションに居れたのでそ)

俺は群れにとって邪魔だったから追い出そうとされていたのではない、居場所を作ってくれていた人に嫌われたのだ。

(体育祭の後、急に……前触れもなく、親の仇みたいな目で見られて……イジメが辛くて気にならなくなっていきましたが、最初は混乱すごかったんですよな~。なんかしたかなって謝ったりもしましたし、まぁ全部無駄だったんですが)

群れの問題を群れの中から解決するのは困難だ、一度異物と認識されたら全員が敵になる。群れの外に助けを求めるか、別の群れに救いを求めるか、その二択が最良。でもそんなことを考える余裕は当時の当事者に存在しない。

「みっつ~ん? 大丈夫? ボーッとしちゃって」

萎えた陰茎を爪先でつつかれ、過去に思いを馳せるのをやめる。

「……あぁ、ごめん」

「いーよいーよ、気持ちよかったってことっしょ?」

「まぁな。上手かったよ、すごいなハル、初めてだろ?」

「初春さんは超器用ってこと~」

調子に乗ったハルは楽しげに足を揺らす。その細い足には俺が放った精液が絡んでおり、ローションのぬらっとした光沢がただでさえ淫猥だったのに、性的な魅力が増している。

「……ちょっと痛くて変な趣味目覚めそうだったから、次からはもう少し弱くしてくれると助かるかな」

「え~? 目覚めちゃえばいいじゃん。んふふ、分かった、加減頑張るね」

脂肪と肉がほとんどない細い足、太陽を知らない白い肌……健康的ではないハルの足は俺には神秘的に見えて、そんな足を白濁液で穢した興奮は大きい。

「足洗いに行くか」

ティッシュで陰茎を拭って下着とズボンを履き直し、ハルの前で膝立ちになる。

「その足で家の中歩き回られるのも困るし、お姫様抱っこでどうだ? 俺の可愛いお姫様」

「あはっ、なにそれ~。俺姫じゃないもん、も~……ふふ、みっつんのバカぁ。いいよ、抱っこしてみっつん」

「ん、じゃあ力抜いて」

膝の裏に腕を差し込み、もう片方の腕で背を支えて抱き上げる。俗に言うお姫様抱っこだ。

「軽っ!?」

「……重くない? って聞くつもりだったのにー」

「軽いよ、軽過ぎ、中身あるのかこれ……」

羽のように軽い、なんてセリフは少女漫画じゃお決まりだが、抱いた感覚だけで言えば羽毛布団より軽い気がする。実際はちゃんとハルの方が重いのだろうけれど、俺の感覚は騙されている。

「すごいな……シュカの半分もないんじゃないか? あ、手塞がってるからドア開けてくれ」

「何、しゅーそんな重いの? はい、開いた……待って足擦りそう」

「長い足だなぁ」

ハルに扉を開けてもらい、ハルの足が扉の枠に擦れないように斜め向きに廊下に出る。

「シュカはめちゃくちゃ重かったぞ、腕ぷるっぷるした。もう鉄の塊でも抱いてんのかってくら、い……」

脱衣所の引き戸にハルが手を伸ばすも、ハルが触れる前に引き戸は開いた。シャワーを終えたらしいシュカが分厚いレンズの向こうから俺を睨んでいる。

「ぁー……いや、まぁ……俺は重いのも好きだけど」

「後で万回殺す」

「…………助けてくれハル」

「みっつんデリカシーなさすぎ。陰口叩いた方が悪いに決まってんじゃん、大人しく罰されちゃいなさ~い」

「俺が悪いのは分かってるけど多分罰めちゃくちゃ大きいぞ!? 俺死んじゃう!」

いくら軽いといっても人一人をずっと抱えていたら腕が疲れてくる。俺はさっさと浴室に向かってハルを下ろし、この後のシュカからの仕置きを想像してため息をついた。

「……足だけだから裾軽くまくるだけでいいかな」

「ん、ありがと」

スラックスの裾を折って捲り、シャワーをまず俺の手にかける。シュカが先程まで使っていたからかちゃんと温かい。

「かけるぞ」

片手で掴めてしまえそうな足首を持ち、足の裏にお湯をかける。

「……みっつんさ、今お湯出るか確認してくれた?」

「ん? あぁ、冷たいの嫌だろ? 寒い時期じゃないけどさ、冷水シャワーはまだ早いって」

「…………ふふ、俺ね、みっつんの顔だけじゃなくてそーゆーとこも好き」

「ありがとう……? どういうとこだ?」

「えへへっ、そーゆーとこも好き。教えない方がよさそうだから、教えな~い」

よく分からないが、シャワーの温冷を変える時期の感覚が似ていてよかったということだろうか? 食事の趣味が合うと結婚生活が上手くいくみたいな話だよな?

「…………当たり前みたいな顔して足洗ってくれるとこも好き」

「そりゃ俺がさせたんだから俺が洗うよ」

「みっつんマジ好き~」

上機嫌なハルを見ているだけで幸せだ。どこを好かれたのか考えるのはまた次の機会でもいいだろう。
しおりを挟む
感想 458

あなたにおすすめの小説

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

婚約破棄された僕は過保護な王太子殿下とドS級冒険者に溺愛されながら召喚士としての新しい人生を歩みます

八神紫音
BL
「嫌ですわ、こんななよなよした男が夫になるなんて。お父様、わたくしこの男とは婚約破棄致しますわ」  ハプソン男爵家の養子である僕、ルカは、エトワール伯爵家のアンネリーゼお嬢様から婚約破棄を言い渡される。更に自分の屋敷に戻った僕に待っていたのは、ハプソン家からの追放だった。  でも、何もかもから捨てられてしまったと言う事は、自由になったと言うこと。僕、解放されたんだ!  一旦かつて育った孤児院に戻ってゆっくり考える事にするのだけれど、その孤児院で王太子殿下から僕の本当の出生を聞かされて、ドSなS級冒険者を護衛に付けて、僕は城下町を旅立った。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...