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受け同士のほぐし合いっこという夢

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ディルドを洗い終えて部屋に戻るとリュウがカンナの後孔をほぐしていた。カンナは俺の長袖シャツだけを着たまま、ベッドに仰向けになってM字に開脚しており、まるで今からリュウに抱かれるみたいな格好だ。

「んっ……んんっ……!」

「水月、ほら、そこそこほぐせとるやろ。しぐも痛がらんかったで、俺結構上手いんちゃう?」

リュウは二本の指でカンナの後孔をくぱっと拡げ、俺にそのほぐれ具合を見せつける。カンナは顔を真っ赤にし、リュウが着ている俺のトレーナーをぎゅっと握り締めている。

「まだそれ入らんかしらんけど、せっかく帰ってきたし交代するわな。しぐ、指抜くで。ちょぉ緩めや」

「んっ……ぅあっ! ぁ……あり……と、てん……く……」

後孔からちゅぽんっと指を抜かれた後、カンナはリュウの首に腕を絡めて頬にキスをした。

(フォオオォッ! フォオオォオオオッ!?)

俺のためにほぐし合ったり互いに快感を与えたりするのとは違う、単なるイチャつきを目の当たりにして俺の脳は破壊されかけていた。

(NTR……!? 落ち着くのでそ、わたくしもリュウどのもカンナたそと寝てませんぞ! そもそも二人ともわたくしが好きなのですから浮気なぞするはずは……ありません、よな?)

自分が七股をしている以上、彼氏達が二股以上をしないとは言い切れなくて混乱する。

「みぃ、くん」

いつまでもベッドの前で立ち尽くしていると、ベッドに膝立ちになったカンナが俺に抱きついてきた。

「みーくん……ど? きにい、た?」

「えっ? えっと……気に入ったって、何が?」

「ぱ、ほ……ま、す」

パフォーマンス? パソコンの性能……ではなく、表現や演技などの意味だろうか。首を傾げているとカンナはにっこり微笑んで詳しく説明してくれた。

「みーくん、ぼくと、てんく……なかよ、して……嬉し、そぉ。友達と、て……けじゃなく、て……えっちな、ことも、して……と、嬉しそぉ。だ、ら……ぃま、の、みーくん……きにい、た……なて」

「カンナとリュウが仲良くにしてると俺が嬉しそう……友達としてだけじゃなくて、えっちなことしてても嬉しそうだから? 今の気に入ったかなって? ぁー……そ、そっか、なるほど」

まさか百合萌えがバレていたとは思わなかった。俺の表情の誤魔化しはかなり高度なものだと思っていたが、カンナの目には通用しなかったらしい。

(まさかカンナたそに百合営業をされているとは気付きませんでしたぞ。てっきりリュウどののことを恋愛的に好きなのかと)

俺の腰に抱きついているカンナの頬をむにむにと弄びながら、ベッドに腰掛けて俺を見上げているリュウを横目で見る。

「……じゃあカンナはリュウのこと好きなわけじゃないのか?」

「よん、ば、め……に、好き」

四番目? さては家族とかも含めた順位だな?

「あ、いや……恋愛的な意味で」

「ちがう……それは、みーくん、だけ」

「……だよなっ。ごめんごめん、さっきも聞いたよなこれ。いやぁ俺って結構不安症みたいだな、なのにさ、俺カンナとリュウがイチャイチャしてるの見るのすごい好きなんだよ、無理してないならこれからも続けて欲しいな」

安堵した瞬間、早口になってしまった。早口で話すとオタクっぽいし気持ち悪いからと母に矯正されているのに、なかなか治らない。

「俺四番目なん? しぐ俺のこと気に入ってるんとちゃうん、一番誰やねんな、一番は水月か」

「みーくん……特別、だか……順番、入れて、な……」

そのようなことはダイニングで3Pについて話した時も聞いたのに、俺はどうしてこう何度も不安になってしまうのだろう。

「おぉ、水月は殿堂入りか。ほな一番は?」

「……おと、さん」

「おとっつぁん? ほー、そかそか、ええ子やなぁしぐ。ほな二番は?」

「カっ…………ぉ、おとーと……」

「弟おるん? ほー! そら知らんかったわ、今度写真でも見せてぇな」

ほのぼのとした空気の中勝手にピンチを招いているカンナを横目にテディベアを見つめる。彼氏達の気持ちがちゃんと俺に向いているのか不安になるのはレイのせいかもしれない。元カレとのハメ撮りを見たから──いや、寝ぼけたレイにタバコの話をされたからだ。

「ほな三番は?」

「ぷー太」

「なんそれ」

「う、さぎ。飼って、る。かわ……い、よ」

今日、彼氏達に「水月」と呼ばれる度に感じる嬉しさが普段より大きいのもレイのせいだ。
レイはその時の彼氏を「せんぱい」と呼ぶようだから、いつ混同されているか分かったものじゃないと疑ってしまっている。疑心を抱く自分が不快だ。

「ほーん。おとん弟ペット俺……家族の次て自分俺のことめっさ好きやん! 水月の次に好かれとる他人なんやなぁ、なんや嬉しいわ……ぁ、そういやおかんは? おかん嫌いなん?」

「………………きら……い」

「そーなん、家おらんの?」

「……ぅん」

「…………リュウ、あんまりそういう話振るな」

超絶美形に相応しくない不安症と疑り深さを反省し終えたので、心象世界から現実世界ヘリターン。

「俺も父親居ないし、ハルのとこも離婚してる。シュカは分かんないけど……両親揃ってて平和な家って結構レア物なんだよ」

「……しぐ、おかんの話するん嫌?」

「べつ、に……でも、話せ……こと、あ……まり、な……よ?」

「…………水月ぃ、話すん平気やったら話聞いたった方がええと俺思うけどなぁ。水月が優しいんは知っとるけど、そっとしとくんだけが最適解とちゃうと俺は思うで」

愚痴は話した方がいいというのは分かるし、俺も不幸自慢を語りたくなることがある。しかし俺はそっとしておくのが最適解だと思っている、嫌なことを思い出すだろうし本人が話したい時に話すべきだ。

「おかんの話後で聞かせてな。水月、ほら、次は水月がやったって」

カンナの後ろに回ったリュウは足を大きく開いて座り、リュウにもたれたカンナはリュウに膝裏を持ち上げられ、M字に開脚させられる。

「……みぃくん」

赤い顔をしたカンナの目は髪に隠れて見えないけれど、俺には彼が潤んだ瞳で俺を求めていると分かった。
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