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マゾヒズムと友情

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リュウには四本セットのディルドのうち、二番目に小さいディルドを挿入しっぱなしにしてもらっている。そしてそれを逆ジョックストラップのようなベルトで固定してある。
俺とシュカがセックスしている間、リュウはその固定具が許す範囲でバイブを抜き挿ししたり左右に揺らしたりして甘い吐息を漏らしていた。
俺はシュカを抱きながらリュウの自慰を横目で楽しむという贅沢なことをしていたのだ、超絶美形だからこそ許されることだな。

「ぶひ……」

豚の鳴き真似をしろと命令するとリュウは悩ましげな表情のまま間抜けに鳴いた。鳴きながら土下座をするような姿勢になり、俺に向かって尻を突き出した。

「みっつん動物にたとえると何かなー」

「……う、さぎ」

固定具のせいで見辛いがバイブ挿入済みの美少年の尻を目の前に、俺はほわほわとした雰囲気のハルとカンナによそ見をした。

「ウサギぃ? どこが?」

「や、さし……とこ。うさ、ぎ……おちこ、でる、と……ぴたって、隣くる……みーくん、いつも隣……ぼく、おちこむ……なぐ、めて……くれ……」

落ち込んでいる時にぴったり寄り添ってくれるウサギと、いつも隣に居てカンナが落ち込んでいると必死に慰める俺を重ねている──カンナはそう話しているようだけれど、カンナの好意対象が飼いウサギと俺しか居ないから共通点を多く見出してるだけじゃないか?

「え、ウサギってそんな泣いてる時に来てくれる感じなの? そこまで頭よくなさそうだけど……アンタが飼ってるウサギだけっしょ、聞いたことないそんなの」

「じゃ……なに」

「俺はねぇ、水月は……んー、ライオン! ライオンだと思うな」

ハーレム作ってるからだろ、それ。理由それだけだろ。時折適当になるからハルは見た目通りのバカっぽくて可愛いんだよなぁ。

(わたくしはそうですな、超絶美形でありその美しさで彼氏達を惹き付けているので……孔雀とか、どうですかな…………恥ずかし恥ずかしやっぱなし!)

心の中で二人の会話に参加して身悶えしつつ、上靴と靴下を脱ぐ。ふりふりと誘うように揺れる尻を踏みつける。

「ぁあんっ!」

固定具越しだがバイブの持ち手に踵を当て、ぐっと押し込む。そして貧乏ゆすりの要領で足を震わせ、擬似的なバイブレーションを楽しませる。

「ひぁっ! あぁあっ! ぁゔっ! ぅ、あっ、つよいぃっ! ひんっ……!? ナカっ、ごりっごりしてっ……ぁああぁあっ!」

バイブのスイッチを入れてやってもいいのだが、踏んで足を震わせた方が俺の愛が伝わると思うし、機械の振動とは違うムラと力強さがあると思う。

「嬉しそうに喘ぐじゃねぇか、足で十分かマゾ豚ぁ」

「ぁあぁっ……嫌やっ! もっと欲しいっ、水月のん突っ込んで欲しいんですっ、ぅあぁああっ!?」

顔が見たいなと思いつつ声に出すことはせず、足に全神経を集中させてリュウに痛みや屈辱を与え過ぎないよう気を付ける。

「み、つ、き?」

ぐちゅっ、ぐちゅぐちゅっ……と少し強めにバイブを踏みつけてみる。相当の快感を与えいるはずだが、リュウは脱力せず尻を足に擦り付けてくる。根性のあるマゾだ。

「さ、さまっ! 水月様っ! みつきさまぁあっ!」

「よろしい。俺の何が欲しいって? ちゃんと名前言えるよな、人間様なら恥ずかしくてなかなか口に出来ないかもしれないけど、お前は羞恥心なんてないマゾ豚だからな」

「……っ、ちんこっ! 水月のちんこ突っ込んで欲しいんですっ! せやからぁっ、拡げたいからぁっ! もっと踏んでっ、ぐりぐりしたってぇっ!」

「いいぞマゾ豚、よく言えてるな。ご褒美だ、イっていいぞ」

深呼吸を終えたらバイブの持ち手を踵で蹴りつける。間違っても怪我をさせてはいけないが、手加減をリュウに悟らせるようなものでもいけない。難しい。

「……っ、イくぅうううっ!」

成功した。安堵のため息をつき、リュウの横に回ってそっと蹴り転がして仰向けにし、傍に屈む。

「よぉ、惨めにマゾイキキメた気分はどうだ?」

「……しぐと、ハルの前で、こんな情けのぉイかすやなんて、酷い男やわぁ……最高やぁ、たまらんわホンマ」

「さっさと起きろ、もう昼休み終わるぞ。また遅刻して呼び出される気か? 今度は助け舟出してやらねぇぞ、職員室の外からリモコン操作だけしてやる」

バイブのリモコンをチラつかせながらそう言うと、リュウは嬉しそうに口角を吊り上げた。わざと遅刻してしまいそうだ、対策を考えなければ。

「遅刻せず真面目に授業に参加するなら、ご褒美として首輪付けてやるよ。飼い犬になりたきゃ頑張れ、野良」

「く、首輪……!? ほんまに? ほんまに首輪くれるん? リードつけて引っ張って散歩してくれるん? 全裸で引きずり回して電柱にマーキングせぇとかガン見したりっ、ぁああぁあぁたまらんっ! 水月に飼われとぉてしゃあない真面目んなるわ!」

「……お、おぉ、せいぜい頑張れ」

いけないいけない。可愛い彼氏にドン引きするなんて攻め様として失格だ。

「カンナ、ハル、教室に戻ろうか」

「あ、うん……りゅーは置いといていい感じ?」

「……いーよ、あんな変態……一緒、に……歩き、たく……ないっ」

どしたのカンナたん! と思わず叫んでしまいそうになった、危なかった。口調に気を付けようと自戒の意味を込めて口元を揉み、深呼吸をしてカンナに尋ねた。

「カンナ……リュウのこと嫌いになっちゃったか?」

リュウに会話が聞こえない距離まで階段を下り、俺の右腕に抱きついているカンナを見下ろす。リュウの言動は確かに普通の感覚を持っている人間から見れば気持ち悪いものだろう、俺はむしろ萌えるからと油断していた、彼氏同士の仲違いは避けたい、フォローしなければ。

「…………てん、く……ああ、言え……よろこ……で、れる……と……思っ…………め、だっ……?」

「天くんああ言えば喜んでくれると思った……? ダメだったって……ダメじゃないよ、そっか、優しいな。勘違いしてたよ、ごめんな。二人はちゃんと仲良いもんな、よかったよ」

なんて愛らしい。カンナはリュウを喜ばせたくて辛辣に振る舞ったのだ。思えばあのセリフはカンナにしては大きな声だった、友人のための努力が伺える。

「虐められんの好きなヤツって恋人限定じゃない? みっつん以外に冷たくされんのは普通に嫌がんない?」

「リュウは誰にされても喜ぶ真性のマゾだから平気だよ。でも、いつも冷たくしてたんじゃただの嫌なヤツだから……プレイに協力してるんだって分かりやすく、俺がやってる時に野次飛ばすみたいな感じが一番いいかな。普段はこれまで通り仲良くな。どうだ? やれそうか? 出来ないならそれでもいいけど」

「……がん、ばる」

カンナはぎゅっと拳を握った。リュウとの確かな友情を感じて俺は嬉しくなり、階段を降りる足すら跳ねた。
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