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着衣の魅力について

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五時間目の後の休み時間、彼氏達と健全なお喋りを楽しむ。

「リュウ、保健室どうだった?」

「……パンツもらえたわ。あと、なんか……めっさ励まされて…………笑うなやメガネ!」

「そっか、ノーパンじゃないんだな。ちょっと残念だよ」

「水月こそ体操服なんて言い訳したん」

「水道の蛇口押さえてぶしゃってなった、って言ったよ」

「アホい言い訳やのー……」

だが、疑われるうような言い訳ではない。偏差値が高い分だけ自由な校風に助けられている部分もかなりあるとは思うが。

「……なんかさぁ、体育の時間じゃないのにそのカッコしてんの新鮮だね」

「なんだハル、体操服フェチでもあるのか?」

「そういうんじゃないもん変態! 新鮮ってだけ!」

「ははっ、そっか。悪かったよからかって」

俺には当然ながら体操服フェチもあるぞ。シュカはすぐ脱いでしまいそうだから、カンナかリュウ辺りに着衣ックスを頼んでみようかな。もちろん抱けるようになって慣れてきたらの話だが。

「水月こそ体操服フェチがあるんじゃないですか? ほら……童貞ってそういうの好きでしょう」

わざわざ耳元で囁いてまで童貞イジりをするか、筆下ろしをしてくれた張本人のくせに。けど、他の彼氏達には最近まで童貞だったことを隠してくれるところ、優しさが見え隠れして萌える。

「そうだな、着衣も好きだし、体操服も好きだ。制服も好きだぞ」

「こんなハーレムとか作ってるし分かってたことだけど、水月ってマジ変態」

「男なんてみんなこんなもんですよ。私はちんぽさえあればそれでいいので体位ならともかく服装なんざどうでもいいですけど」

ハルは俺に向けていた侮蔑の視線よりもよりキツい目をシュカに向けたが、シュカに気にした様子はない。

「カンナ、カンナは俺に着て欲しい服とか、逆にカンナが着たい服とかあるか?」

「……! み、くん……にっ」

「俺に?」

カンナは珍しくウキウキとした様子だ、意外と衣装にこだわるタイプなのだろうか。

「うぇい、すとっ……こ、と…………着て、ほし」

「うぇ……なんやて? どんなんなんそれ」

「ウェストコートか。ベストだよ、ほら、洋画とかで見ないか? スーツの下にベスト着てるだろ? あのベストのことだ」

「あぁ……アレですか。確かにアレを着たら様になりそうですね、水月は。なかなかいい趣味をしてますね、時雨さん」

シュカに褒められるなんて想定外だったのだろう、カンナは焦って俺の背に隠れた。返事すらしないなんて愛想がないにも程がある、しかしシュカはくすくすと笑う大人の対応をしてくれた。

「そんなもの手に入るかなぁ……ああいうの意外と高いからなー。ま、考えておくよ」

「ぁ……むり、は……しな、で」

「分かってる。カンナに気を遣わせるようなことはしないよ。っと、チャイム鳴っちゃったな」

「急ぎましょう」

家に帰ったらショッピングサイトを漁ってみよう、なんて帰るまで覚えていられるか分からない考えを頭に残し、席へ走った。



放課後、カンナに腕に抱きつかれて四人で校門へ向かう。今日もレイは校門の脇で待っていて、空いていた腕に抱きつかれた。

「おかえりなさいっすせんぱい!」

「ただいま……?」

「そーいやハルって朝も帰りもおらんな」

「今更ですか? 彼はいつも裏門から帰っていますよ。家自体は近いみたいですね」

ハルも俺の腕に抱きつくタイプだから彼も居たら腕が足りなくなっていたな、少し寂しいがそういう意味では幸運かもしれない。

「ハルってせんぱいにはまだ会ってないかもっす」

「あぁ……そうだったかな? 今度機会があったら紹介するよ」

「よろしくお願いするっす!」

「あ、そうだみんな、また彼氏増えそうなんだ。歌見っていう歳上の人、バイト先の先輩だ」

歌見も俺を恋人だと思っているだろうけど、歌見にはまだハーレムについて説明出来ていない。ついついタイミングを逃してしまっていた、面倒なことにならないうちに早く説明してしまわなければ。

「へー、歳上って初めてちゃうん」

レイに視線を落とすと激しく首を横に振った。実年齢は秘密にしておきたいのだろう。

「私、四月四日生まれなので実は歳上なんですよ」

「ほーん」

シュカは付き合えた時にはもう誕生日が過ぎていた。給料が入り次第誕生日プレゼントを贈ろうか? 一年待つよりもそっちの方がいい気がしている。

「……反応が薄いですよ、歳上への敬意を示しなさい敬意を」

「おー、腰痛大変そうやなおっさん」

「トラックとバスどっちがいいか選ばせてやる!」

リュウを車道に出そうとするシュカを羽交い締めにして止め、シュカをなだめ終えたら重しとしてリュウに抱きついていたカンナを回収する。

「おかえり、カンナ」

「た……ぃ、ま」

小さな声で返事をするカンナには庇護欲を煽られる、腕に抱きつかせるよりも腰を抱きたいと思ってしまう。

「……カンナはリュウと仲がいいよな」

「ぇ……そっ、な……ことっ」

「あぁ、嫉妬とかじゃないよ。カンナに友達が出来たんなら嬉しい。友達として、カンナはリュウのこと好きか?」

「…………ぅ、ん。お菓子……くれ、る……から、すき」

リュウに懐いているカンナを可愛らしく思っていたが、そういえば餌付けされただけだった。お菓子を与えられただけで心を開いてしまうカンナの危うさにまた庇護欲が煽られた俺は、カンナの腰を抱きたいという自分の欲望に忠実になることにした。

「カンナ、ちょっと手を離してくれ」

「ぇ……ぁ……」

悲しそうな声を出したカンナの腰に腕を回すと、嬉しそうに口元を緩めた。目隠れで表情が分かりにくいと思っていたが、俺もかなり慣れてきたな。
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