冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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不確定な約束

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二時間目と三時間目の隙間、俺はカンナを誘って一階階段裏のデッドスペースに来ていた。二人だけの場所であるここはカンナが学校で最も落ち着いてくれる場所だ。

「……カンナ、ちょっと歌ってみてくれないか?」

課題曲のサビだけを軽く歌ってもらう。それを聞き終えたら、以前ハルに教えてもらったカミアの歌をサビだけ聞いてみる。

「うん……やっぱり似てるな、そっくりだ。同一人物って言っても誰も疑わないよ」

「そ、なに……?」

カンナは浮かない顔だ。彼にとっては誰にも知られたくない秘密なのだろう、歌声でバレるなんて絶対に避けたいことのはずだ。

「あぁ、しかし双子ってのはすごいな……全然歌の練習なんてしてないカンナが、現役アイドルと遜色ないなんてな」

「……あの、子……音痴。だん、すも……ヘタ。昔……から、ぼく……のが、できた」

「そうなのか……数年の努力でカミアの方が追いついたって感じなんだな」

「…………ぼく、本気で、うた……て、ないもん」

「え? あはは……負けず嫌いなんだな、意外だ。そんなカンナも可愛いよ」

こんなこと考えたくもないけれど、事務所の人やカンナの母親だとかは火傷を負うのは逆がよかったなんて話したこともあるんだろうな。そう思うとカミアの方もかなり不幸な子かもしれない。

「練習は適当に誤魔化して、テスト当日は喉痛めたとか言って一緒に休もうか。二人で再テスト頼もう」

「……! み、くん……!」

「俺はカンナのためならどんな努力も惜しまないよ」

「うれ、し……」

抱きついてきたカンナを抱き返し、頃合いを見て顎に手を添える。察したカンナが突き出してきた唇に唇を重ね、慎重にタイミングを測って舌を入れる。

「んっ……! ん、ん……」

上顎を舌で擦るだけで漏れる艶声。腕の中でピクピクと跳ねる小柄な身体。きゅっと抱きつく弱々しい手。必死に絡みついてくる小さな舌。何もかもが俺の愛と欲を膨らませる。

「んっ……は、ぁっ…………みー、くん……すき……」

「……なぁ、カンナ。俺今度の日曜日、カミアのライブに行くんだよ。そんなに興味はないけど、ハルに付き合ってやらなきゃいけないからさ」

「…………うん」

「握手会もあるらしいから……その時になら伝えられると思う。カンナ、何か……カミアに伝えて欲しいこと、ないか?」

二人のうちどちらかを選ぶような真似にはトラウマがあるようだが、父親はカミアのグッズを集めていたり、カンナはカミアが名付けたウサギをその名前のまま可愛がっていたり、彼らにカミアへの悪感情がないのは確かだ。

「…………な、い」

「本当か?」

「ある、なら……とっくに、言って、る……」

「あっ、連絡は取り合えてるのか?」

カンナは首を横に振った。

「でぃー……えむ、とか……事務所に、てが、み……とかっ……手は、あるって……」

「あぁ、そういうことか……じゃあなんで連絡取らないんだ? 嫌ってるわけじゃないよな」

「…………め、わく……だから。あの子は……あい、ど……がんば、て……のに、ぼく……みた、な……すきゃんだる、だめ」

確かに、売れっ子アイドルの双子の弟が大火傷を負っているなんて週刊誌が好きそうなネタだ。
だが、ジュニアアイドルとして昔に売れていて、硫酸事件は新聞に載るようなもので、事務所と苗字を変えただけなのに、マスコミがそのスキャンダルを見失うのも不思議な話だ。いや、とっくの昔に世間が克服した話題で、だからこそカンナは掘り返させないようにしたいのか?

「話はしたいのか?」

「……べつ、に」

「事務所とかお母さんとかにバレない、カミアの裏アカとか俺が教えてもらってきたら……カンナ、喜んでくれるか?」

「……っ、いい、てば…………ぼく、別にっ……」

「本当に話をしたくないならそれでいいよ。本当に、それでいいのか?」

丸い頭をそっと撫でる。カンナはビクッと身体を震わせたが、それだけだ。俺はもう頭に触っても許されるようだ。

「………………むり、しな……で、い……から。でき、たらでっ……い、からっ…………おね、が……して、いぃ……?」

「……もちろんだよ、カンナ」

ようやく素直になってくれたカンナと再び唇を重ね、舌を絡ませ合う。腕の中で跳ねる小さな身体を感じていると、このままぎゅっと力を込めたら壊れてしまうのではないかと怖くなった。それくらいカンナは小柄で細い。

「ん……カンナ、俺頑張ってくるよ。出来るかどうか分からないけど、カミアに裏アカとか聞いてみるからな」

「きた……しな、で……待、てる」

「期待しないで待ってる? ははっ、そうだな、それくらいがいいよ」

もっとキスをしたい、それ以上のこともしたい。欲望のままにカンナの腰と肩を抱く──チャイムが鳴る。

「やばっ……急ぐぞカンナ!」

「ぅ、んっ……」

もう少しだったのにという思いは強く、また性的な接触が出来ていないことでムラムラも溜まり、俺はまた授業に集中出来なかった。

「水月、少しいいですか?」

授業終わり、珍しくもシュカが自分から話しかけてきた。

「シュカ、どうした?」

「昼休みの予約をしておきたくて……金曜日は酷い目に遭いましたからね」

「……抱かれるための予約か。本当にされると、こう……なんか、ムラムラしてくるな」

「ふふっ、せっかちさんですね。では、私は準備がありますから」

シュカはひらひらと手を振って教室を出ていった。昼休みにセックスが出来そうなのはいいが、俺は今抜きたい。

「…………そうだ。リュウ! ちょっと来いよ」

「何? どないしたん?」

自分の席にいたリュウを呼んですぐに廊下に出る。リュウが着いてきたのを確認したら、彼の後孔に挿入されたままのはずのバイブのリモコンを弄った。
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