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もりもり食べるメガネっ子
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シュカには食器の用意などを手伝ってもらい、昼食の用意が完了した。
(これは共同作業と呼んでも構いませんよなぁ~)
二人で食事の準備をするという所帯染みた行為に俺ははしゃいでいた。忘れていたのだ、シュカの大食いを。
「昼間からシチューとはまた特殊ですね」
「そうか?」
「夕飯のイメージありませんか?」
「別にないけどなぁ……それより、美味いか?」
シュカはぱくぱく食べ進めているが、表情は変わらない。あまり上手く出来なかったのだろうかと落ち込み、でも味付けは母だからと責任転嫁の準備をした。
「美味しいですよ」
「そうか! よかった、シュカずっと仏頂面だからさ……美味しくなかったのかと思っちゃったよ」
母に渡しかけた手柄を返してもらった、心の中で。
「あっ、しかめっ面になった」
「……私の顔をそんなにジロジロ見て何が楽しいんですか」
「え? 美形見るのは楽しいだろ?」
「なっ……そんなことあなたの顔で言われてもっ、嫌味なんですよ……楽しいなら鏡でも見ていればいい」
確かに俺はギネス認定を受けそうなほどの超絶美形だが、シュカも十分スカウトを受けそうな美人だ。切れ長でクールな瞳にレンズの向こうから見つめられるのなんてたまらない。
「眉目秀麗ってシュカのためにある言葉だろ?」
「やめてくださいよ……」
通った鼻筋にハッキリとした眉、綺麗な顔に目立つ切り傷がアクセントになって素晴らしく魅力的だ。
「照れるなよ」
「本気で嫌なんです。こんな汚い顔褒めてもらったって、お世辞だって分かりきってますし」
「汚い……? どこがだ?」
「…………左目」
左目を閉じると十字のようになる、眉から頬までを真っ直ぐに切った縦の切り傷。シュカはそれを気にしているようだ。
「カッコイイじゃん」
「……本気、ですよね。水月はそういう人です……知ってますけど」
「やっぱり照れてたのか?」
シュカの顔は俺が褒め始めてからゆっくりと赤くなっていた。
「はぁ……もう、やめてくださいよ。褒められるのなんて慣れてないんです」
「経験豊富なんだろ?」
「セックス中に褒めたりしませんし、終わった後に会話なんてありません。普段は親分と子分の関係ですし」
「……誰も褒めてくれなかったのか? そんなに綺麗なのに」
ちょうどシチューを食べ終えたので、照れのせいか食事のペースが落ちているシュカの隣に立つ。屈んで肩を抱き、頬に唇を触れさせる。
「顔はもちろん、身体も綺麗だよ。引き締まってて努力してるのがよく分かる……また後でよく見せてくれ」
「……傷だらけなのに」
「カッコイイってば。それに、傷跡もシュカの歴史だろ。俺、不良は怖いしナイフで刺してくるようなヤツの気持ちは全く理解できないけどさ……シュカのことは全部分かりたい」
「それがハーレム作ってるバカの言うことですか」
悪態をついてはいるが、顔は真っ赤で頬は熱い。シュカが俺を好んでくれているのは明白だ。
「そういえば前に左目がちょっと変だとか言ってたよな。近くで見ていいか?」
「私まだ食事中なんですけど……まぁいいですよ」
メガネを外してくれたシュカの左目に注目する。虹彩も瞳孔も円形で普通の形に見えるが──いや、よく見ると僅かにズレている。
「切れてる……のか? これ」
瞳孔と呼ばれる黒い丸。それが半円二つになって、それがまた引っ付いたけれどズレて完璧な円には戻れなかった。そんな感じだ。
「なるほど……ちょっとズレてるのか。見え方に問題はないのか? 乱視とか、複視とかになったりは?」
「元々軽度の乱視なので……視力は下がりましたが、別に見え方が変にはなってませんよ」
「へぇ、人体の神秘だなぁ……しかしこれ、目ん玉も切られたってことか……恐ろしいな。でも、見えなくならなくてよかったな」
「……まぁ、それはそうですね」
「隻眼のシュカってのもカッコイイかもだけど」
「あなたねぇ……」
すっかり呆れた様子のシュカにキスをして黙らせる。一瞬だけの触れ合いを終わらせたら一旦離れ、シュカの完食を待つ。
「…………水月」
皿を空っぽにしたシュカがこちらを向く。わざわざ俺に手を合わせてくれるのかなと可愛い姿を待っていると、彼は俺に向かって皿を突き出した。
「おかわり」
「えっ? あ、あぁ……ちょっとしかないけど」
鍋に残っていた半人前程度のシチューを入れて渡すと、シュカは露骨に不満そうな顔をした。
「足りません」
「えぇ……?」
そういえば学校に持ってきている弁当箱、三つくらいあったなーなんて思い返す。
「米はありますか?」
「炊いてはない。レンジでチンするヤツならあるぞ」
「ください」
パック入りの米を温めて渡すと、シュカはそれを迷いなくシチューの器にぶち込んで混ぜた。
「シュ、シュカ……具材は似てるがシチューはカレーじゃないんだぞ」
「まだイマイチな量ですね……食パンありましたよね、二枚ほどバター塗って焼いておいてください」
「……分かりました」
食事制限を受けている自分と大量に食っても一切太らないシュカの違いを考え、虚しくなった。
(これは共同作業と呼んでも構いませんよなぁ~)
二人で食事の準備をするという所帯染みた行為に俺ははしゃいでいた。忘れていたのだ、シュカの大食いを。
「昼間からシチューとはまた特殊ですね」
「そうか?」
「夕飯のイメージありませんか?」
「別にないけどなぁ……それより、美味いか?」
シュカはぱくぱく食べ進めているが、表情は変わらない。あまり上手く出来なかったのだろうかと落ち込み、でも味付けは母だからと責任転嫁の準備をした。
「美味しいですよ」
「そうか! よかった、シュカずっと仏頂面だからさ……美味しくなかったのかと思っちゃったよ」
母に渡しかけた手柄を返してもらった、心の中で。
「あっ、しかめっ面になった」
「……私の顔をそんなにジロジロ見て何が楽しいんですか」
「え? 美形見るのは楽しいだろ?」
「なっ……そんなことあなたの顔で言われてもっ、嫌味なんですよ……楽しいなら鏡でも見ていればいい」
確かに俺はギネス認定を受けそうなほどの超絶美形だが、シュカも十分スカウトを受けそうな美人だ。切れ長でクールな瞳にレンズの向こうから見つめられるのなんてたまらない。
「眉目秀麗ってシュカのためにある言葉だろ?」
「やめてくださいよ……」
通った鼻筋にハッキリとした眉、綺麗な顔に目立つ切り傷がアクセントになって素晴らしく魅力的だ。
「照れるなよ」
「本気で嫌なんです。こんな汚い顔褒めてもらったって、お世辞だって分かりきってますし」
「汚い……? どこがだ?」
「…………左目」
左目を閉じると十字のようになる、眉から頬までを真っ直ぐに切った縦の切り傷。シュカはそれを気にしているようだ。
「カッコイイじゃん」
「……本気、ですよね。水月はそういう人です……知ってますけど」
「やっぱり照れてたのか?」
シュカの顔は俺が褒め始めてからゆっくりと赤くなっていた。
「はぁ……もう、やめてくださいよ。褒められるのなんて慣れてないんです」
「経験豊富なんだろ?」
「セックス中に褒めたりしませんし、終わった後に会話なんてありません。普段は親分と子分の関係ですし」
「……誰も褒めてくれなかったのか? そんなに綺麗なのに」
ちょうどシチューを食べ終えたので、照れのせいか食事のペースが落ちているシュカの隣に立つ。屈んで肩を抱き、頬に唇を触れさせる。
「顔はもちろん、身体も綺麗だよ。引き締まってて努力してるのがよく分かる……また後でよく見せてくれ」
「……傷だらけなのに」
「カッコイイってば。それに、傷跡もシュカの歴史だろ。俺、不良は怖いしナイフで刺してくるようなヤツの気持ちは全く理解できないけどさ……シュカのことは全部分かりたい」
「それがハーレム作ってるバカの言うことですか」
悪態をついてはいるが、顔は真っ赤で頬は熱い。シュカが俺を好んでくれているのは明白だ。
「そういえば前に左目がちょっと変だとか言ってたよな。近くで見ていいか?」
「私まだ食事中なんですけど……まぁいいですよ」
メガネを外してくれたシュカの左目に注目する。虹彩も瞳孔も円形で普通の形に見えるが──いや、よく見ると僅かにズレている。
「切れてる……のか? これ」
瞳孔と呼ばれる黒い丸。それが半円二つになって、それがまた引っ付いたけれどズレて完璧な円には戻れなかった。そんな感じだ。
「なるほど……ちょっとズレてるのか。見え方に問題はないのか? 乱視とか、複視とかになったりは?」
「元々軽度の乱視なので……視力は下がりましたが、別に見え方が変にはなってませんよ」
「へぇ、人体の神秘だなぁ……しかしこれ、目ん玉も切られたってことか……恐ろしいな。でも、見えなくならなくてよかったな」
「……まぁ、それはそうですね」
「隻眼のシュカってのもカッコイイかもだけど」
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すっかり呆れた様子のシュカにキスをして黙らせる。一瞬だけの触れ合いを終わらせたら一旦離れ、シュカの完食を待つ。
「…………水月」
皿を空っぽにしたシュカがこちらを向く。わざわざ俺に手を合わせてくれるのかなと可愛い姿を待っていると、彼は俺に向かって皿を突き出した。
「おかわり」
「えっ? あ、あぁ……ちょっとしかないけど」
鍋に残っていた半人前程度のシチューを入れて渡すと、シュカは露骨に不満そうな顔をした。
「足りません」
「えぇ……?」
そういえば学校に持ってきている弁当箱、三つくらいあったなーなんて思い返す。
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「ください」
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「シュ、シュカ……具材は似てるがシチューはカレーじゃないんだぞ」
「まだイマイチな量ですね……食パンありましたよね、二枚ほどバター塗って焼いておいてください」
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