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たまには待ちの姿勢で (水月+歌見)
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歌見に夕飯を食べさせてやり、自分の空腹も忘れて幸せな気持ちで皿を洗う──スマホが鳴った。
「もしもし? おやママ上どうされました? あっ……ぁー、事故った先輩のお見舞い行ったらちょっと時間かかって……はい、帰ってからいただきます」
母からの電話だった。夕飯は帰ってから食べると約束し、電話を切って歌見の元へ戻った。
「先輩、皿洗い終わりました」
「あぁ、ありがとな、何から何まで。そろそろ帰れ、もうかなり遅いし……お前まだ十六だろ?」
「十五です。でも先輩、俺まだ先輩のお役に立ちたいですよ、まだ片手じゃ不便なことありますよね?」
「風呂や洗濯は毎日のことだし、飯食わせてもらっただけで十分だよ。あぁ……そうだ、布団引いてくれるか? そこの押し入れに入ってるから」
二人きりの部屋で布団を敷くとはつまりそういうことでは? と思いつつも何もないんだろうなと半ば諦め、大人しく布団を敷いた。
「ありがとう。もういいぞ、そろそろ帰れ」
やけに帰らそうとしてくるな。確かに遅い時間だが……もう俺から仕掛けるか?
「先輩、アレとか大丈夫ですか? 左手じゃ上手く出来なかったりしません? よかったら俺が手を貸しますよ、なーんて……」
下品だなと自分で思いながら、右手で筒を作って軽く振った。陰茎を扱くのをイメージした自慰のボディランゲージだ。
「…………なんだ、オナニー手伝ってくれるって?」
「嫌ですよね、冗談ですよ」
ドン引きされては困るので笑いながら言ったし、冗談だと白状もした。腹が減ったし本当にそろそろ帰ろうかな、歌見陥落は次の次のお見舞いの時くらいだろう。
「……先輩?」
立ち上がろうとしたら手を掴まれた。
「手、貸せよ」
「え? ほ、本当に手伝って欲しいんですか? まぁ……いいですけど」
顔では少し嫌がり、心の中ではガッツポーズ。歌見陥落は今日かもしれない。
「隣失礼します、やりにくいんでちょっとひっつきますよ」
夕飯を食べさせた時よりも密着して右隣に座り、歌見の服の中に手を入れる。下着越しに触れた陰茎は既に主張を強めていた。
「もう勃ってますね。溜まってるんですか?」
あえて不躾に話しながら歌見の陰茎を外へ引っ張り出す。
(ふむ、わたくしほどではないですがなかなかの巨根ですな。パイセンはわたくしに堕とされるので、この立派なものを使う日は来ませんぞ! トコロテン射精するためのモノになるんですぞ!)
手の中で脈打つ陰茎はそこそこの大きさだ。まだ半勃ちだが、多分俺の方が大きい。
「どんどん硬くなりますね、オカズとかいらないんですか?」
「……っ!」
左手で胸ぐらを掴まれる。予想外の行動に声を出す暇もなく、床に叩きつけるように押し倒される。右手以外にも打ち身くらいありそうなものなのに、歌見は素早く俺に跨った。
「いったぁ……何するんですか、先輩」
俺に欲情してくれているのは嬉しいが、この体勢はまずい。元ノンケ疑惑の強い歌見はいきなり騎乗位なんてしないだろう、俺が受けにされてしまう。
「……っ、俺の気も知らないで! お前はっ……お前は…………いや、お前は悪くない……すまない」
胸ぐらを掴んだ左手から力が抜けていく。歌見は身体を小さく丸め、自身の左手に額を乗せた。
「何やってるんだ、俺は……十五のガキ相手に、何を……」
「……先輩」
「…………鳴雷、自分のルックスくらい分かってるだろ? モテるのは女にだけじゃない……覚えておけ、男相手にももっと警戒しろ。襲われるぞ、こんなふうにな…………何してる、早く逃げろ、怪我人なんだ、どうとでもなるだろ」
思い切りのしかかっておいて「逃げろ」はないだろ、自分の体格を考えろ、怪我人だろうと体重で押さえられてはどうにもならない。右手を思いっきり叩けとでも?
「先輩、俺のこと好きなんですか?」
「……そんな可愛い顔で慕われたら、誰だって好きになる……お前が冗談ばかり言うのも悪いんだ、勘違いするだろ……! ふざけやがって……何がオナニー手伝うだ、こちとら最近お前が頭に浮かんでろくに抜けてないってのに!」
「先輩、俺をオカズにしてたんですか?」
「勝手にそうなるから抜いてなかったんだ! お前でやったら……もう、戻れない気がして」
戻れない? 戻らせるわけないだろう、俺に爽やかに笑いかけたのが悪いんだ。絶対に逃がさないぞ。
「……嬉しいです、先輩みたいなカッコイイ人に好きになってもらえて」
「…………だから、そういう冗談やめろ。俺みたいに……本気にする奴が出るだろ。男相手でもダメだって……お前は、それくらい美人なんだよ」
「俺、先輩以外にはあんな態度取ってませんよ。本気にして欲しくて言ってきたんです。俺臆病なんで、冗談だって予防線張っちゃいましたけど」
嘘は言っていない、慕うようなモーションのかけ方は歌見以外にはしていない。
「先輩、好きです。して欲しいこと言ってください、フェラでも素股でも何でもしますよ」
「…………鳴雷」
「水月って呼んでくださいってば」
ようやく顔を上げた歌見は涙で顔をぐしゃぐしゃにしていた。
「……キス、しても……いいか?」
「してくれるんですか? 嬉しいです」
覆いかぶさっている側のくせに縋るように唇を押し付けてきた彼の頭を抱き締める。歌見との初めてのキスは酷くしょっぱく感じた。
「もしもし? おやママ上どうされました? あっ……ぁー、事故った先輩のお見舞い行ったらちょっと時間かかって……はい、帰ってからいただきます」
母からの電話だった。夕飯は帰ってから食べると約束し、電話を切って歌見の元へ戻った。
「先輩、皿洗い終わりました」
「あぁ、ありがとな、何から何まで。そろそろ帰れ、もうかなり遅いし……お前まだ十六だろ?」
「十五です。でも先輩、俺まだ先輩のお役に立ちたいですよ、まだ片手じゃ不便なことありますよね?」
「風呂や洗濯は毎日のことだし、飯食わせてもらっただけで十分だよ。あぁ……そうだ、布団引いてくれるか? そこの押し入れに入ってるから」
二人きりの部屋で布団を敷くとはつまりそういうことでは? と思いつつも何もないんだろうなと半ば諦め、大人しく布団を敷いた。
「ありがとう。もういいぞ、そろそろ帰れ」
やけに帰らそうとしてくるな。確かに遅い時間だが……もう俺から仕掛けるか?
「先輩、アレとか大丈夫ですか? 左手じゃ上手く出来なかったりしません? よかったら俺が手を貸しますよ、なーんて……」
下品だなと自分で思いながら、右手で筒を作って軽く振った。陰茎を扱くのをイメージした自慰のボディランゲージだ。
「…………なんだ、オナニー手伝ってくれるって?」
「嫌ですよね、冗談ですよ」
ドン引きされては困るので笑いながら言ったし、冗談だと白状もした。腹が減ったし本当にそろそろ帰ろうかな、歌見陥落は次の次のお見舞いの時くらいだろう。
「……先輩?」
立ち上がろうとしたら手を掴まれた。
「手、貸せよ」
「え? ほ、本当に手伝って欲しいんですか? まぁ……いいですけど」
顔では少し嫌がり、心の中ではガッツポーズ。歌見陥落は今日かもしれない。
「隣失礼します、やりにくいんでちょっとひっつきますよ」
夕飯を食べさせた時よりも密着して右隣に座り、歌見の服の中に手を入れる。下着越しに触れた陰茎は既に主張を強めていた。
「もう勃ってますね。溜まってるんですか?」
あえて不躾に話しながら歌見の陰茎を外へ引っ張り出す。
(ふむ、わたくしほどではないですがなかなかの巨根ですな。パイセンはわたくしに堕とされるので、この立派なものを使う日は来ませんぞ! トコロテン射精するためのモノになるんですぞ!)
手の中で脈打つ陰茎はそこそこの大きさだ。まだ半勃ちだが、多分俺の方が大きい。
「どんどん硬くなりますね、オカズとかいらないんですか?」
「……っ!」
左手で胸ぐらを掴まれる。予想外の行動に声を出す暇もなく、床に叩きつけるように押し倒される。右手以外にも打ち身くらいありそうなものなのに、歌見は素早く俺に跨った。
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俺に欲情してくれているのは嬉しいが、この体勢はまずい。元ノンケ疑惑の強い歌見はいきなり騎乗位なんてしないだろう、俺が受けにされてしまう。
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「何やってるんだ、俺は……十五のガキ相手に、何を……」
「……先輩」
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思い切りのしかかっておいて「逃げろ」はないだろ、自分の体格を考えろ、怪我人だろうと体重で押さえられてはどうにもならない。右手を思いっきり叩けとでも?
「先輩、俺のこと好きなんですか?」
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「先輩、俺をオカズにしてたんですか?」
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戻れない? 戻らせるわけないだろう、俺に爽やかに笑いかけたのが悪いんだ。絶対に逃がさないぞ。
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