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昼休みの過ごし方レッスン (水月+シュカ・リュウ・ハル・カンナ)
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昼休み、屋上への扉の前に五人集まっての昼食タイム。
「ハルはまたサラダだけか? 本当に大丈夫なのか?」
それぞれが広げた弁当をざっと見る。ハルは今日もコンビニに売っている小さなカップ入りのサラダを食べていた。
「余計なお世話だよみっつん、俺以外みんな大食いなだけ」
「男子高校生の昼食がサラダワンパックは心配されても仕方ないと思いますよ」
流石、弁当三箱持ってきてるヤツは言うことが違うな。
「てん、くん……それ……に?」
「串カツや。食うか? せやな……その卵焼きと交換や、どや」
「……す、る」
カンナとリュウはすっかり仲良くなって弁当の中身を交換っこなんてしている。微笑ましいなぁ。
「そういえばさー、みんな弁当って誰作ってんの?」
「俺は母さんが作ってくれてるよ」
買い食い禁止ということで財布も持たされていない。俺は小学生か?
「私は自分で作ってますよ」
「俺は晩飯の残り詰めとる。晩飯作っとるんは基本オカンやな」
「…………! ぼ、く……とぉ、さん」
自分も聞かれているとは思わなかったのか、カンナは俺が肩をつつくまで黙々と弁当を食べていた。可愛いなぁ。
「ほんで、それ聞いてどないするん」
「別に……」
「なんやねんな」
「いいじゃん雑談なんてこんなもんだよ。雑談にオチ求めるから嫌われるんだよ関西人は」
喧嘩を売る範囲が広過ぎる。
「オチまでは求めてへんし求めたことあれへんわ! 俺出身地言うてへんのになんで関西や決めつけんねん!」
「まぁまぁリュウ……落ち着けよ。ハルも本気で言ってるわけじゃないから。リュウも関西人も嫌われてないよ」
「……俺オチ求めてへんもん」
「うんうん求めてないな、俺も「雑談にしても広げようがないだろ」とは思ってたから、普通の反応だよアレは」
リュウが何も言わなかったら俺が「それで?」と続きを促していただろう。
「そこから広げるのは話を振られた側の役目では? つまり、委員長。あなたのコミュニケーション能力不足です」
「なっ……!?」
そんな馬鹿な、数多のBLゲームなどの攻めの言動を記憶している俺にコミュ力が足りないなんてありえない。
「めちゃくちゃ言いよんな、気にしぃなや水月」
「広げようはいくらでもありますよ。ほら、私はこの中で唯一自分でお弁当を作ってきているんです。言うことがあるでしょう?」
「……すごい、ですね」
「なんで敬語になるんですか。でも正解ですよ、そうやって話は広がるんです、話題の提供者にオチまで求めるのはどうかと思いますよ。これだから近畿は」
「なんで近畿まで絞れとんねん! なんで分かんねんやほんま怖いわ……」
リュウなりのボケなのだろうか? 本気で自分の出身地が何故バレるか分からないのか? 県まで特定……いや、府か。ってとこまでクラス全員にバレているだろうに。
「……そうだ水月、私も少し遠くから越してきたんですよ」
「え、マジ? この辺だと思ってた。どこなの?」
「盛り上げるためにクイズにしましょうか。美味しいものが多いところですよ」
難しいな、大阪も食いだおれの街なんて言われる場所があるが、他……名物は各県に一つはあるが、一番有名なのは香川のうどんだろうか。いや、多いという言い方からして複数の有名な名物があるのか?
「えー、わっかんないなぁー。美味しいものって人によるじゃん」
「そこまで個人を大切にしなくても……えっと、シュカ、一つ名物を教えてくれないか?」
「明太子ですね」
「福岡」
「正解です」
誰が一番分かりやすい名物を教えろと言った、盛り上げるためのクイズなら知名度が低い名物から言え。
「日本で一番治安悪いとこやないか」
「は? 犯罪発生率ワーストワンが何言ってるんですか?」
「ひったくり多いだけや! ロケラン見つかるとこに言われとないわ!」
「他県民はいつもそれをネタにしますね、逆に言えばそれ以外に欠点がないということでは? 全く、昔のことをいつまでも言う男はモテませんよ」
なんか嫌なこき下ろし合いが始まったな。
「え、えっと……カンナとハルはどこ出身なんだ?」
「俺京都。ま、ほとんど横浜だけどねー」
「ぼ、く……秋田。でも、ほとんど……埼玉」
「日本一性格悪いとこやないか京都!」
「はぁ!? 一番性格いいし! 日本一おしとやかだし!?」
新しい話題で火消しをしようと思ったのに飛び火してしまった、喧嘩を売りまくっているリュウを先に止めるべきだった。
「自分京都のくせによぉ関西ひとまとめで批判したなぁ、肉斬らせて骨断ついうことか? 尊敬するわ」
「言葉のあやつつき回さないでよ、アンタんとことは全然県民性違うってのは周知の事実だし。っていうか、ほとんど横浜だって言ったじゃん。二、三歳で引っ越したから向こうのこと全然分かんないもん俺」
「横浜……どこや? 県で言えや」
「神奈川出身だって言う横浜市民はまずいないんだよ、リュウ。ほら、みんな座って。出身地で喧嘩するなよ」
普通、出身地を言ったら美味しいものだとかで盛り上がるんじゃないのか? これはデブの発想か? いや、俺が話を振ればいいんだ。
「みっつん出身どこなの?」
「俺は東京だよ。ほら、みんな名物とかの話しよう。東京の美味しいもの……えっと、東京銘菓といえば、ひよ……」
「あかん水月それはあかん!」
「こ……へ?」
大抵の県には土産物のお菓子がある、それの話をしようと思っただけなのにシュカに頭を鷲掴みにされた。
「い、痛いっ! こめかみ砕ける!」
「おー、見事なアイアンクローや……ひよこちゃんはあかんて水月、東京と福岡唯一の因縁やねんから。そんなもん俺でも知っとるわ、有名な話やないか」
「唯一かなぁ」
「他なんかあんのん? 俺は知らんで」
俺はただ美味しいお菓子の話をしたかっただけなのに、頭蓋骨の形が歪んだのではないかと疑うほどに痛い目に遭った。
「ハルはまたサラダだけか? 本当に大丈夫なのか?」
それぞれが広げた弁当をざっと見る。ハルは今日もコンビニに売っている小さなカップ入りのサラダを食べていた。
「余計なお世話だよみっつん、俺以外みんな大食いなだけ」
「男子高校生の昼食がサラダワンパックは心配されても仕方ないと思いますよ」
流石、弁当三箱持ってきてるヤツは言うことが違うな。
「てん、くん……それ……に?」
「串カツや。食うか? せやな……その卵焼きと交換や、どや」
「……す、る」
カンナとリュウはすっかり仲良くなって弁当の中身を交換っこなんてしている。微笑ましいなぁ。
「そういえばさー、みんな弁当って誰作ってんの?」
「俺は母さんが作ってくれてるよ」
買い食い禁止ということで財布も持たされていない。俺は小学生か?
「私は自分で作ってますよ」
「俺は晩飯の残り詰めとる。晩飯作っとるんは基本オカンやな」
「…………! ぼ、く……とぉ、さん」
自分も聞かれているとは思わなかったのか、カンナは俺が肩をつつくまで黙々と弁当を食べていた。可愛いなぁ。
「ほんで、それ聞いてどないするん」
「別に……」
「なんやねんな」
「いいじゃん雑談なんてこんなもんだよ。雑談にオチ求めるから嫌われるんだよ関西人は」
喧嘩を売る範囲が広過ぎる。
「オチまでは求めてへんし求めたことあれへんわ! 俺出身地言うてへんのになんで関西や決めつけんねん!」
「まぁまぁリュウ……落ち着けよ。ハルも本気で言ってるわけじゃないから。リュウも関西人も嫌われてないよ」
「……俺オチ求めてへんもん」
「うんうん求めてないな、俺も「雑談にしても広げようがないだろ」とは思ってたから、普通の反応だよアレは」
リュウが何も言わなかったら俺が「それで?」と続きを促していただろう。
「そこから広げるのは話を振られた側の役目では? つまり、委員長。あなたのコミュニケーション能力不足です」
「なっ……!?」
そんな馬鹿な、数多のBLゲームなどの攻めの言動を記憶している俺にコミュ力が足りないなんてありえない。
「めちゃくちゃ言いよんな、気にしぃなや水月」
「広げようはいくらでもありますよ。ほら、私はこの中で唯一自分でお弁当を作ってきているんです。言うことがあるでしょう?」
「……すごい、ですね」
「なんで敬語になるんですか。でも正解ですよ、そうやって話は広がるんです、話題の提供者にオチまで求めるのはどうかと思いますよ。これだから近畿は」
「なんで近畿まで絞れとんねん! なんで分かんねんやほんま怖いわ……」
リュウなりのボケなのだろうか? 本気で自分の出身地が何故バレるか分からないのか? 県まで特定……いや、府か。ってとこまでクラス全員にバレているだろうに。
「……そうだ水月、私も少し遠くから越してきたんですよ」
「え、マジ? この辺だと思ってた。どこなの?」
「盛り上げるためにクイズにしましょうか。美味しいものが多いところですよ」
難しいな、大阪も食いだおれの街なんて言われる場所があるが、他……名物は各県に一つはあるが、一番有名なのは香川のうどんだろうか。いや、多いという言い方からして複数の有名な名物があるのか?
「えー、わっかんないなぁー。美味しいものって人によるじゃん」
「そこまで個人を大切にしなくても……えっと、シュカ、一つ名物を教えてくれないか?」
「明太子ですね」
「福岡」
「正解です」
誰が一番分かりやすい名物を教えろと言った、盛り上げるためのクイズなら知名度が低い名物から言え。
「日本で一番治安悪いとこやないか」
「は? 犯罪発生率ワーストワンが何言ってるんですか?」
「ひったくり多いだけや! ロケラン見つかるとこに言われとないわ!」
「他県民はいつもそれをネタにしますね、逆に言えばそれ以外に欠点がないということでは? 全く、昔のことをいつまでも言う男はモテませんよ」
なんか嫌なこき下ろし合いが始まったな。
「え、えっと……カンナとハルはどこ出身なんだ?」
「俺京都。ま、ほとんど横浜だけどねー」
「ぼ、く……秋田。でも、ほとんど……埼玉」
「日本一性格悪いとこやないか京都!」
「はぁ!? 一番性格いいし! 日本一おしとやかだし!?」
新しい話題で火消しをしようと思ったのに飛び火してしまった、喧嘩を売りまくっているリュウを先に止めるべきだった。
「自分京都のくせによぉ関西ひとまとめで批判したなぁ、肉斬らせて骨断ついうことか? 尊敬するわ」
「言葉のあやつつき回さないでよ、アンタんとことは全然県民性違うってのは周知の事実だし。っていうか、ほとんど横浜だって言ったじゃん。二、三歳で引っ越したから向こうのこと全然分かんないもん俺」
「横浜……どこや? 県で言えや」
「神奈川出身だって言う横浜市民はまずいないんだよ、リュウ。ほら、みんな座って。出身地で喧嘩するなよ」
普通、出身地を言ったら美味しいものだとかで盛り上がるんじゃないのか? これはデブの発想か? いや、俺が話を振ればいいんだ。
「みっつん出身どこなの?」
「俺は東京だよ。ほら、みんな名物とかの話しよう。東京の美味しいもの……えっと、東京銘菓といえば、ひよ……」
「あかん水月それはあかん!」
「こ……へ?」
大抵の県には土産物のお菓子がある、それの話をしようと思っただけなのにシュカに頭を鷲掴みにされた。
「い、痛いっ! こめかみ砕ける!」
「おー、見事なアイアンクローや……ひよこちゃんはあかんて水月、東京と福岡唯一の因縁やねんから。そんなもん俺でも知っとるわ、有名な話やないか」
「唯一かなぁ」
「他なんかあんのん? 俺は知らんで」
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