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不謹慎かもしれませんが
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アイドルとして活躍していたなら金に困ってはいなかっただろうに、ろくな治療を受けなかったのだろうか? 俺が思っているほど芸能界は華やかじゃないのか? そんなことを考えながら歪な凹凸の肌を舌で楽しむ。
(あー……クセになりそう、この感触。やべぇ、割とガチでイケる。むしろメカクレ無口というありがち属性が、激レア属性を隠していたというラッキー感が……うーん、不謹慎? なんですかね)
カンナ本人が困惑して反応が遅れているのをいいことに、額から頬へと舐め下げる。頬から額へと舐め上げる。
(すべすべとぼこぼこの差がまたクセになりますな。よくないんでしょうかこれ、でも……怪我だからって腫れ物扱いもどうかと思うんですよなわたくし。本人が嫌ならそうするべきですが、わたくしガチでこの火傷跡も好きですし……おっと)
俺の唾液でカンナの額がベタベタになる頃、カンナはようやく俺から離れた。
「な、なっ……! なんで、舐め……舐めれる、の? 気持ち悪いって、言わないようにしてくれるだけでっ、ぼく……うれしい。そこまでっ、しなくていい……!」
「あ……いや、カンナ……俺が舐めてみたかっただけなんだ、舐めてみたら思ったより良くて舐め続けちゃっただけなんだ、気遣いとかじゃなくて興奮しただけで……」
気を遣われている、そういう類の思い込みは特に解けにくい。そのはずなのだが撫でるどころか舐めたことで気遣いではないという説得力が生まれたようで、カンナはカミアそっくりの綺麗な目玉をぎょろぎょろ動かして戸惑った。
「ど、ゆ……こと? なんで……ぅわ、みぃくん……勃ってる……なんで…………ぼく、こんな……おばけみたい、なのに」
どうしようか、正直に「ホラゲのクリーチャーをオカズにすることもあるんですぞ」と性癖マウントを取っていいのか? クリーチャー呼ばわりはどうなんだ? 俺はクリーチャーも好きだから好意的な感情しかないのだが、だいたいの人には悪口なんだろ?
「みぃくん…………変態、なの?」
「へ、変態って……いや、違うと言いたいけど、そうかもしれないけど、たとえ変態だとしても犯罪者的なアレじゃなく紳士方面と言うべきで、そう、紳士だよ俺は」
「…………ふふっ」
笑ってくれた。カンナが笑ってくれた。
「みぃくん……すごく、かっこい……のに、変態なんだ。気持ち悪いの、好きな……変なひと、なんだ」
「変変言うなよ……」
「いい、意味」
「いい意味での変ならいいけどさ」
カンナはまたくすくすと笑う。いつもよりも口を大きく動かしているように見える。
「そ……だよ……ゴキブリ愛好家とか、いるもん……いっぱいの人が、気持ち悪くても……少ない人は、好きだったりする……」
自身の頬を揉むようにしながら嬉しそうにしている。
(わたくしゴキブリは嫌いですぞ、擬人化なら構いませんが。あ、虫の擬人化は六本足がいい派ですぞ、複眼もそのままがいいですし触角もそのまま……)
カンナは俺の両手首を掴んで引っ張り、自身の頭に触れさせた。一体どこからどれだけの量の酸をかけられたと言うのか、髪はほとんど生えていない。
俺は坊主頭の感触を楽しむくらいの気持ちで爛れた皮膚の感触を楽しんだ。
「えへ、へ…………も、いい? あたま、さむい」
「あ、うん……」
ウィッグを被り直し、カンナはいつもの姿になる。見慣れているからか安心感はこちらの方が上だ、カンナもそうなのだろう、勢いよく俺に抱きついてきた。
「カンナっ、ちょっと離れて!」
「え……? や、火傷……見せてなきゃ、いや……?」
「ぷぅ太挟んでるから!」
カンナの膝に乗っていたウサギは彼が勢いよく膝立ちになって俺に抱きついたことで、カンナの足と俺の腹の隙間に挟まっていた。カンナが慌てて離れるとウサギは俺の太腿の上に転がる。
「大丈夫そうかな……? 痛っ!?」
ウサギは後ろ足で俺の太腿を蹴りつけた。
「大丈夫……痛いっ! 下ろしていいか? 下ろしていいよな!」
そっと床に下ろすとウサギはぴょんぴょんと跳んで俺達から距離を取り、ダンッダンッと床を踏み鳴らした。
「……何あの態度の悪さ」
「う、さぎ……は、地面けって……不満、あらわす……」
「そういう習性なのか……可愛くない習性だな、イラついてるおっさんみたいだぞ」
「ぷぅ太の、きげん……とる。みぃくん、後で……ね」
カンナはウサギを抱きかかえ、小走りで自室に戻った。撫でるのだろうか、おやつで誤魔化すのだろうか……俺は太腿をさすりながら立ち上がった。
「俺の優先順位はウサギ以下か……いや、ペット優先大変結構。恋人が出来たからってペットないがしろにするやつぁ人間のクズですからな」
でもちょっと拗ねちゃう。こういう矛盾こそ人間らしさだよねっ。
「……片付けときますか」
文句を呟いたって仕方ない。後で「みぃくん気が利く、好き!」と言ってもらえるように手帳と雑誌を本棚の最下段に戻した。
「もっぺん抜こうかな……いや」
ウサギの機嫌を取った後、カンナは俺の方に来てくれるはずだ。性癖の広さ深さを真実の愛のように見せつけた俺の陰茎を慰めてくれるはずだ。
「かーんーなーたーんっ」
俺は浮き足立ってカンナの部屋へ向かった。もちろん、ドルオタルームの引き戸を閉めるのを忘れずに。
(あー……クセになりそう、この感触。やべぇ、割とガチでイケる。むしろメカクレ無口というありがち属性が、激レア属性を隠していたというラッキー感が……うーん、不謹慎? なんですかね)
カンナ本人が困惑して反応が遅れているのをいいことに、額から頬へと舐め下げる。頬から額へと舐め上げる。
(すべすべとぼこぼこの差がまたクセになりますな。よくないんでしょうかこれ、でも……怪我だからって腫れ物扱いもどうかと思うんですよなわたくし。本人が嫌ならそうするべきですが、わたくしガチでこの火傷跡も好きですし……おっと)
俺の唾液でカンナの額がベタベタになる頃、カンナはようやく俺から離れた。
「な、なっ……! なんで、舐め……舐めれる、の? 気持ち悪いって、言わないようにしてくれるだけでっ、ぼく……うれしい。そこまでっ、しなくていい……!」
「あ……いや、カンナ……俺が舐めてみたかっただけなんだ、舐めてみたら思ったより良くて舐め続けちゃっただけなんだ、気遣いとかじゃなくて興奮しただけで……」
気を遣われている、そういう類の思い込みは特に解けにくい。そのはずなのだが撫でるどころか舐めたことで気遣いではないという説得力が生まれたようで、カンナはカミアそっくりの綺麗な目玉をぎょろぎょろ動かして戸惑った。
「ど、ゆ……こと? なんで……ぅわ、みぃくん……勃ってる……なんで…………ぼく、こんな……おばけみたい、なのに」
どうしようか、正直に「ホラゲのクリーチャーをオカズにすることもあるんですぞ」と性癖マウントを取っていいのか? クリーチャー呼ばわりはどうなんだ? 俺はクリーチャーも好きだから好意的な感情しかないのだが、だいたいの人には悪口なんだろ?
「みぃくん…………変態、なの?」
「へ、変態って……いや、違うと言いたいけど、そうかもしれないけど、たとえ変態だとしても犯罪者的なアレじゃなく紳士方面と言うべきで、そう、紳士だよ俺は」
「…………ふふっ」
笑ってくれた。カンナが笑ってくれた。
「みぃくん……すごく、かっこい……のに、変態なんだ。気持ち悪いの、好きな……変なひと、なんだ」
「変変言うなよ……」
「いい、意味」
「いい意味での変ならいいけどさ」
カンナはまたくすくすと笑う。いつもよりも口を大きく動かしているように見える。
「そ……だよ……ゴキブリ愛好家とか、いるもん……いっぱいの人が、気持ち悪くても……少ない人は、好きだったりする……」
自身の頬を揉むようにしながら嬉しそうにしている。
(わたくしゴキブリは嫌いですぞ、擬人化なら構いませんが。あ、虫の擬人化は六本足がいい派ですぞ、複眼もそのままがいいですし触角もそのまま……)
カンナは俺の両手首を掴んで引っ張り、自身の頭に触れさせた。一体どこからどれだけの量の酸をかけられたと言うのか、髪はほとんど生えていない。
俺は坊主頭の感触を楽しむくらいの気持ちで爛れた皮膚の感触を楽しんだ。
「えへ、へ…………も、いい? あたま、さむい」
「あ、うん……」
ウィッグを被り直し、カンナはいつもの姿になる。見慣れているからか安心感はこちらの方が上だ、カンナもそうなのだろう、勢いよく俺に抱きついてきた。
「カンナっ、ちょっと離れて!」
「え……? や、火傷……見せてなきゃ、いや……?」
「ぷぅ太挟んでるから!」
カンナの膝に乗っていたウサギは彼が勢いよく膝立ちになって俺に抱きついたことで、カンナの足と俺の腹の隙間に挟まっていた。カンナが慌てて離れるとウサギは俺の太腿の上に転がる。
「大丈夫そうかな……? 痛っ!?」
ウサギは後ろ足で俺の太腿を蹴りつけた。
「大丈夫……痛いっ! 下ろしていいか? 下ろしていいよな!」
そっと床に下ろすとウサギはぴょんぴょんと跳んで俺達から距離を取り、ダンッダンッと床を踏み鳴らした。
「……何あの態度の悪さ」
「う、さぎ……は、地面けって……不満、あらわす……」
「そういう習性なのか……可愛くない習性だな、イラついてるおっさんみたいだぞ」
「ぷぅ太の、きげん……とる。みぃくん、後で……ね」
カンナはウサギを抱きかかえ、小走りで自室に戻った。撫でるのだろうか、おやつで誤魔化すのだろうか……俺は太腿をさすりながら立ち上がった。
「俺の優先順位はウサギ以下か……いや、ペット優先大変結構。恋人が出来たからってペットないがしろにするやつぁ人間のクズですからな」
でもちょっと拗ねちゃう。こういう矛盾こそ人間らしさだよねっ。
「……片付けときますか」
文句を呟いたって仕方ない。後で「みぃくん気が利く、好き!」と言ってもらえるように手帳と雑誌を本棚の最下段に戻した。
「もっぺん抜こうかな……いや」
ウサギの機嫌を取った後、カンナは俺の方に来てくれるはずだ。性癖の広さ深さを真実の愛のように見せつけた俺の陰茎を慰めてくれるはずだ。
「かーんーなーたーんっ」
俺は浮き足立ってカンナの部屋へ向かった。もちろん、ドルオタルームの引き戸を閉めるのを忘れずに。
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