冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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やっぱりガチビッチ? いやピュア? (水月+ハル・カンナ・リュウ・シュカ)

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昼休み、屋上へ行く扉の前に五人で集まり、それぞれ弁当を広げる。

「言ってなかったんですか? それは流石にどうかと思いますよ」

音楽の授業の前に起こった修羅場について鳥待とりまちに話すとドン引きされた。

「ほんっとムカつく。俺に二股かけようなんて男今まで居なかったよ?」

「……俺が初彼氏じゃないのか? 彼女いたとは聞いたけど……男は初めてって言ってたじゃないか」

「自惚れんなクーズ! いっぱい貢がせてきたっての、彼氏も彼女もいっぱいいたの! でも初のガチ恋なのはホント……みっつんはすっごくイケメンで声もよかったから普通に付き合ってもいいかなーって思ったのに……このクズ!」

ハルが『ビッチと見せかけてピュアな子』ではなく『ピュアな演技をしていた第一印象通りのビッチ』であったことも判明した。これはかなりショックだ。

「はぁ……ピュアなのはカンナだけか。可愛い可愛い……カンナは唯一の癒しだよ」

「み、くん……!」

俺にぴったり引っ付いて小さな弁当をつついていたカンナの腰を抱くと、丸っこい頭が肩に乗った。

「ちょっとみっつん騙されてるよ! そいつ絶対清楚系ビッチだって、一番性格悪いヤツ!」

「いやぁー……貢いだりDV野郎に引っかかったりする子や思うけど……のぅメガネ、自分はどうや?」

「そうですね、私も彼はいいように利用されるタイプだと思いますよ」

俺もそう思う。

「大丈夫だぞカンナ、悪いヤツからは俺が守ってやるからな」

「アンタがクズじゃん!」

「俺は確かに三股してるし四股する予定だし今後も増やすつもりだけど、貢がせたり殴ったりなんてしない! カンナ、俺バイト始めるつもりなんだ、初任給で何か買ってやるから欲しいもの考えておけよ」

弁当で口をいっぱいにしているカンナは返事をしない。俺を見上げ、飲み込むまで待って欲しいと言っているように見える。行儀のいい子だ、可愛らしい。

「はぁ!? ズルっ! 俺にも何か買ってよ、平等なんでしょ!」

「お前にはもう服買ってやったろ。カンナ、何が欲しい?」

口が空っぽになったようなので改めて尋ねてみる。

「み、くん……い、しょ……ならっ、それ……いい」

「俺と一緒ならそれでいいって……あぁ、可愛すぎるよカンナ。ますます何か買ってあげたい……」

「それがそいつの狙いなんだってみっつん!」

「俺のカンナたんはそんな子じゃない! なぁカンナ~、カンナはこの五人の中で一番ピュアな子だもんな~?」

カンナとは反対側、俺の隣に座っているハルがむくれている。喧嘩風のコミュニケーションはやり過ぎてはいけない、ピュアでなくても可愛いよとフォローしておかなくては。

「ハル、お前は……」

「俺、処女だから!」

「へっ? ハ、ハル……?」

「色んな男の人や女の人に貢がせたけどっ、一応処女だから! 援交はデートまでしかしてないの、ホテルには行ってないの! ガチ恋はマジで初めてなのっ! だから……みっつんに、初めてあげられるから、そいつばっか可愛がんないで……俺も見て」

黒く大きな瞳が潤んでいるのに気付き、慌てて抱き締める。

「ごめんハル、別に初めてとかにこだわってるわけじゃないんだ。反応がいいからつい意地悪しちゃって……ごめんな。お前の本性がどっちだって俺は構わないよ、愛してる」

「…………みっつん。みっつんのバカぁっ」

サラダだけの昼食を終えているハルは俺の肩に額を押し付ける。やはり細い、庇護欲が湧く。

「時雨とデキてるのは分かってたし、それを知らない演技はしてたけど……男の人と触れ合うの慣れてないのはマジだから」

「あぁ、俺が触ったら怖がってたよな。今はどうだ?」

「…………大丈夫。でも、歩いてて急に抱きつかれたりしたら叫んじゃうから」

「分かった、そんなことしない」

結局ビッチなのかピュアなのか分からないな。ヤってなきゃピュアってわけでもないけど、ビッチってほど慣れてはないし。

「俺末っ子だからさ、ワガママで甘えただよ。俺を一番に見てくんなきゃヤダ。新しい服は褒めて欲しいし、髪型変えたら気付かなきゃダメ。みっつんのために可愛くなるから、細かいとこまでちゃんと見てね」

「努力はするよ」

「よろしい。三股を許可する! ま、でも、山猿みたいなのとかアルパカみたいなのとか、みっつんの趣味は疑うけど~」

「……あ、山猿て俺か。誰が山猿やぶっ殺すぞ!」

「や~んこわ~い、みっつん助けて~」

爛れてはいるけれど、楽しい青春が送れそうだな。後はバイト探しと鳥待をどう落とすか……あぁ、策を練るのも楽しいなんて。
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