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ピュアっ子との宿題 (水月+ハル)
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朝食後、リュウを駅まで見送った俺は自宅に戻って宿題をしていた。メイクを終えた母がデートに出かけた数十分後、インターホンが鳴った。
「はーい……ぁ、霞染」
「はぁーい、ハルちゃんだよー」
顔の横で手を振る霞染 初春、ビッチ系男の娘と見せかけたピュアボーイだ。
太腿丸出しのホットパンツに、横縞のネルシャツ、紺色のロングカーディガンを着ている。ホットパンツ以外は俺が買ってやったものだ。
「宿題写させてくれるんだよねー?」
「教えてやるとは言ったけど写させてやるとは言ってない、自分でやらないと意味ないぞ」
「けーちー。ま、いいや、おじゃましまーす」
霞染への対応はある程度女子向けなものが好ましい。せっかく俺が買った服を着てきてくれたのだから、ちゃんと褒めなければ。
「その服、前買ったやつだよな。よく似合ってるよ」
「……! 気付いてくれた? えへへっ、似合うに決まってるじゃーん。可愛い? 可愛いよね?」
「あぁ、めちゃくちゃ可愛いよ」
「めちゃくちゃ? やーん嬉しい~! さっすがイケメン、対応慣れてるねー」
俺は何への対応も慣れていない。やり直しやセーブはナシ、選択肢ミスで一発ゲームオーバーの鬼畜ゲームをやっている気分だ。
「みっつんの部屋どこー?」
「こっち」
自室の扉を開け、そしてすぐに閉める。
「……何してんのー?」
「き、汚いからさ、ちょっと掃除する。待ってて! すぐ片付けるから!」
一人で部屋に入った俺はすぐに鍵をかけて乱れたベッドを整えた。出しっぱなしの未使用玩具をベッドの下に突っ込み、使いかけのローションも同じ場所に突っ込む。
「みっつんまだー?」
「もう少し待ってくれ!」
精液などの匂いに気付かれないように消臭スプレーで誤魔化し、ゴミ箱の中のコンドームやティッシュなどのゴミを黒いビニール袋に移して口を縛る。一旦部屋を見回し、問題がなかったので鍵を開けた。
「……すっごい消臭剤くさーい、そんな気にしなくていーよ?」
「気にするよ。えっと……このクッションに座ってくれ、どの宿題が分からないんだ?」
「ぜんぶー」
ケラケラ笑う霞染に呆れながら、昨日中途半端で止めた宿題を出す。用意しておいたジュースを飲みながら二人で宿題を開始───
「あ、そうだみっつん、これ見てこれ」
──する前に霞染が動画を見せてきた。アップロードされたばかりの……MV? 俺の知らないアイドルの新曲らしい。
「……なんだ?」
「カミアの新曲! マジ楽しみにしてたんだよね~」
「カミア……っていうのか? この、アイドル?」
「何、マジでカミア知らないの!?」
そんなにメジャーなのか? あいにく、テレビはアニメしか見ないし、三次元アイドルにはあまり興味を持たないようにしていたからな……だって推しが薬物とかで消えたら嫌じゃん。まぁ二次元にも作者の不祥事はあるけど、推し自身の汚名にはならないし。
「小六 神在、歌もダンスも超上手くて、まつ毛バサバサ目ぇキラキラのガチ神アイドル! 神が本業アイドルは副業!」
「……好き、なんだな」
ギャル系だと思い込んでいた霞染のオタクっぽい言動に混乱してしまう。
「超好き! 今どきグループやらずにソロでアイドルやってるなんて、マジスゴすぎ! ほらほら見てメイキングも公開されてんの、ほら~カミア超可愛い~! 俺もこんな性別置き去りにした可愛さ欲しい~!」
「霞染も性別なんて関係ない可愛さ持ってると思うぞ? 全然負けてないよ」
「カミアと比べたらボロ負けに決まってんじゃん! そりゃ顔やスタイルならギリギリ負けないかもしんないけど、カミアはもう性格も仕草も何もかも最高に可愛いの~!」
そりゃアイドルなんだから仕事中は完璧に振る舞ってるんだろ、なんてファンの前では言えない。
「……あ、身長では俺が勝ってるかも。カミアは確か……162? だから、俺12センチ勝ってる」
「162か……俺の肩くらいかな? カンナくらいだな」
「まぁ小ささも可愛さだから……カンナ? しぐれ……だっけ? あんな暗いのカミアと比べないでよー」
酷い言い草だ。カンナは俺にとっては最高の癒し系アイドルだぞ。
「暗いのって酷いな……」
実際暗いからあまり反論は出来ず、誤魔化すように霞染のスマホを覗き込んでカミアとやらの顔を見る。確かに可愛い、国が傾く顔をしている。
「でも口元とか似てないか? このちっちゃめでぷるってした感じとか、あと鼻のシュッとした感じも」
「マジでやめて欲しいんだけど~。てか、俺アイツの顔まともに見たことないんだよねー、前髪長いしみっつんに隠れてばっかだし。ちなみに目元は?」
「見たことないから分かんないな」
まぁ、こんなまつ毛ふさふさで、ぱっちりキラキラの可愛い瞳を持っているのなら、あんなふうに隠したりはしないだろう。
「あー、握手会行きたーい! 抽選当たるかな~、ぁ、みっつん、みっつんも応募してよ、当たったら俺にちょーだい!」
いつかカンナの顔を見たいものだ。
「はーい……ぁ、霞染」
「はぁーい、ハルちゃんだよー」
顔の横で手を振る霞染 初春、ビッチ系男の娘と見せかけたピュアボーイだ。
太腿丸出しのホットパンツに、横縞のネルシャツ、紺色のロングカーディガンを着ている。ホットパンツ以外は俺が買ってやったものだ。
「宿題写させてくれるんだよねー?」
「教えてやるとは言ったけど写させてやるとは言ってない、自分でやらないと意味ないぞ」
「けーちー。ま、いいや、おじゃましまーす」
霞染への対応はある程度女子向けなものが好ましい。せっかく俺が買った服を着てきてくれたのだから、ちゃんと褒めなければ。
「その服、前買ったやつだよな。よく似合ってるよ」
「……! 気付いてくれた? えへへっ、似合うに決まってるじゃーん。可愛い? 可愛いよね?」
「あぁ、めちゃくちゃ可愛いよ」
「めちゃくちゃ? やーん嬉しい~! さっすがイケメン、対応慣れてるねー」
俺は何への対応も慣れていない。やり直しやセーブはナシ、選択肢ミスで一発ゲームオーバーの鬼畜ゲームをやっている気分だ。
「みっつんの部屋どこー?」
「こっち」
自室の扉を開け、そしてすぐに閉める。
「……何してんのー?」
「き、汚いからさ、ちょっと掃除する。待ってて! すぐ片付けるから!」
一人で部屋に入った俺はすぐに鍵をかけて乱れたベッドを整えた。出しっぱなしの未使用玩具をベッドの下に突っ込み、使いかけのローションも同じ場所に突っ込む。
「みっつんまだー?」
「もう少し待ってくれ!」
精液などの匂いに気付かれないように消臭スプレーで誤魔化し、ゴミ箱の中のコンドームやティッシュなどのゴミを黒いビニール袋に移して口を縛る。一旦部屋を見回し、問題がなかったので鍵を開けた。
「……すっごい消臭剤くさーい、そんな気にしなくていーよ?」
「気にするよ。えっと……このクッションに座ってくれ、どの宿題が分からないんだ?」
「ぜんぶー」
ケラケラ笑う霞染に呆れながら、昨日中途半端で止めた宿題を出す。用意しておいたジュースを飲みながら二人で宿題を開始───
「あ、そうだみっつん、これ見てこれ」
──する前に霞染が動画を見せてきた。アップロードされたばかりの……MV? 俺の知らないアイドルの新曲らしい。
「……なんだ?」
「カミアの新曲! マジ楽しみにしてたんだよね~」
「カミア……っていうのか? この、アイドル?」
「何、マジでカミア知らないの!?」
そんなにメジャーなのか? あいにく、テレビはアニメしか見ないし、三次元アイドルにはあまり興味を持たないようにしていたからな……だって推しが薬物とかで消えたら嫌じゃん。まぁ二次元にも作者の不祥事はあるけど、推し自身の汚名にはならないし。
「小六 神在、歌もダンスも超上手くて、まつ毛バサバサ目ぇキラキラのガチ神アイドル! 神が本業アイドルは副業!」
「……好き、なんだな」
ギャル系だと思い込んでいた霞染のオタクっぽい言動に混乱してしまう。
「超好き! 今どきグループやらずにソロでアイドルやってるなんて、マジスゴすぎ! ほらほら見てメイキングも公開されてんの、ほら~カミア超可愛い~! 俺もこんな性別置き去りにした可愛さ欲しい~!」
「霞染も性別なんて関係ない可愛さ持ってると思うぞ? 全然負けてないよ」
「カミアと比べたらボロ負けに決まってんじゃん! そりゃ顔やスタイルならギリギリ負けないかもしんないけど、カミアはもう性格も仕草も何もかも最高に可愛いの~!」
そりゃアイドルなんだから仕事中は完璧に振る舞ってるんだろ、なんてファンの前では言えない。
「……あ、身長では俺が勝ってるかも。カミアは確か……162? だから、俺12センチ勝ってる」
「162か……俺の肩くらいかな? カンナくらいだな」
「まぁ小ささも可愛さだから……カンナ? しぐれ……だっけ? あんな暗いのカミアと比べないでよー」
酷い言い草だ。カンナは俺にとっては最高の癒し系アイドルだぞ。
「暗いのって酷いな……」
実際暗いからあまり反論は出来ず、誤魔化すように霞染のスマホを覗き込んでカミアとやらの顔を見る。確かに可愛い、国が傾く顔をしている。
「でも口元とか似てないか? このちっちゃめでぷるってした感じとか、あと鼻のシュッとした感じも」
「マジでやめて欲しいんだけど~。てか、俺アイツの顔まともに見たことないんだよねー、前髪長いしみっつんに隠れてばっかだし。ちなみに目元は?」
「見たことないから分かんないな」
まぁ、こんなまつ毛ふさふさで、ぱっちりキラキラの可愛い瞳を持っているのなら、あんなふうに隠したりはしないだろう。
「あー、握手会行きたーい! 抽選当たるかな~、ぁ、みっつん、みっつんも応募してよ、当たったら俺にちょーだい!」
いつかカンナの顔を見たいものだ。
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