17 / 1,942
バスケットボール (水月+シュカ・カンナ・リュウ・ハル)
しおりを挟む
体育館でのバスケットボール。初回の体育だからお遊び程度に、とは体育教師の気遣い。
(体育は嫌いですぞ。ボール回ってきませんし片付け押し付けられますし、空き時間にボールを投げつけられるのですぞ、アレめっさ痛い)
小中の記憶を思い出して憂鬱になりつつも、今は高身長かつ筋肉のある超絶美形なので何とかなるだろうと思い直す。
(コツはともかく、パワーはついたはずですし……ボールも回してもらえるでしょうし、まぁ真面目にやりますかな。さてさて着替え、バレないように皆様の裸を品定めしますぞ~)
更衣室の端に行きたがったカンナに付き合い、その隣で着替える。そういえばカンナの上半身は見ていなかったなと視線を向けたが、彼は肌を出さないよう器用に着替えており、裸は見られなかった。
(くっ……女子みたいな着替え方しますな。まぁ女子の着替えなんて見たことありませんが!)
リュウの裸は明日見れるだろうし、鳥待を見るかな。眼鏡だしヒョロいだろう。
(鳥待きゅ~ん、ぉ、居た居た)
俺の後ろで着替えていた鳥待を見つける。ちょうど肌着を脱いだタイミングだ。
(……なにっ!?)
格闘漫画でしか見ないようなバッキバキの背筋、クルミでも挟んで割りそうな肩甲骨、薄らと見えるのは切り傷だろうか、思わず目が奪われる。
「マジかよ……」
「おや? 委員長、どうされました?」
つい声を出してしまい、鳥待が振り返る。予想通り腹筋は割れている。服を着ていれば細身に見える程度の、筋肉が盛り上がってはいない実用的な肉体、その随所にある切り傷。
(目にも切り傷ありますし……傭兵でもやってたんですかな)
カンナも鳥待を見てぽかんとしている。
「あ、あぁ、いや、鍛えてるんだな、意外だよ」
「あなたの方が鍛えてらっしゃるじゃありませんか」
鳥待は眼鏡の奥の瞳を細めてにっこりと微笑む。センター分けの髪が揺れ、眼鏡の縁に擦れる。
「……その傷、何なんだ?」
「傷? あぁ……お恥ずかしいのですが私はドジでして、過去に山登りをした時に岩場で滑落し、こんなことに」
尖った石で切った傷だと? ナイフで切りつけられた跡のように見えるが、俺は創傷の専門家ではない。分からないから信用するしかない。
「そうか、痛かっただろ。俺がその場に居たらお前をしっかり捕まえて、滑落なんてさせなかったんだけどな」
その代わり、俺に陥落させるけど。
「ありがとうございます、お優しいですね委員長は」
鳥待の肉体はクラスメイトも気にしている。しかし話しかけにはこない。
「そんなことないよ……そろそろ上着ろよ、俺もそうする。カンナ、行くぞ」
体操服に着替え終えたらカンナを連れて更衣室を出る。
「す、ご……かた、ねっ」
「鳥待か? あぁ、すごかったな」
「…………みぃくん、ああいうのの、ほぉが……いい? ぼく……きたえ、よっかな」
「カンナのぷにっとしたお腹好きだよ」
そっとカンナの腹に触れる。太っている訳ではない、幼児のようなぷにぷに感もカンナの魅力だ。体操服の独特の手触りの良さも手伝っていつまでも触っていたくなる。
「ぷ……!? ぼ、ぼく、太っ……て……?」
「いやいや、太ってはない。大丈夫、健康体だ、可愛いよ。このままでいい」
「そ……? よ……か、たっ」
ホッとした様子のカンナと共に列に並ぶ。まだ身長を計っていないので、とりあえず出席番号順だ。ほどなくしてチャイムが鳴り、体育教師がやってきて、軽いウォーミングアップが始まる。
「えー、全員バスケのルールは知ってるな? 今日はまぁお遊びくらいで。五対五だ、コートは二面あるから二十人か……四人余るな。そいつらは適当に練習、とりあえずボール触っとけ」
五人の集まりが作れない連中が余りの四人だ。まずはボールに慣れたいから俺は余りでいいのだが。
「カンナ、とりあえず俺と一緒にな」
カンナは鈍そうだし、余って練習希望の俺にはピッタリだが……残り三人が集まったらいきなり試合か、集まって欲しくないな。
「水月ぃー、時雨ぇー、よーしーてー」
三人目はリュウだ。
「いいけどまだ五人集まってないぞ」
「ええよええよ、試合なんかかったるいやん、このまま余ろ」
リュウも俺と同じ気持ちらしい。カンナはまだリュウが怖いのか俺の背に隠れた。
「委員長、私と彼で五人集まりましたね」
鳥待が五人目を連れてきてしまった。彼の背後に居るのは赤いメッシュが入った黒い長髪が特徴的な中性的な美少年、顔は好みだが苦手な雰囲気なので避けていた生徒だ。
(余計なことを! 眼鏡かち割りますぞ!? しかも、彼……溢れ出る陽キャ感と言いますか、絶対苦手なタイプですぞ~)
鳥待が自己紹介を促すと彼は面倒臭そうにため息をついた。
「霞染 初春でーす。よろしくー……てかクラスメイトなんだから名前くらい知ってるっしょ」
髪を弄りながら誰とも目線を合わさない自己紹介。
(…………ギャルですぞぉぉーっ! これはギャルですぞ、男ですがギャルですぞ! 嫌でそ嫌でそトラウマが蘇るァーッ!)
中学の頃こんな感じの女子にされた扱いを思い出し、身勝手な苦手意識からのトラウマを蘇らせて震えていると霞染の視線がこちらに向いた。
(体育は嫌いですぞ。ボール回ってきませんし片付け押し付けられますし、空き時間にボールを投げつけられるのですぞ、アレめっさ痛い)
小中の記憶を思い出して憂鬱になりつつも、今は高身長かつ筋肉のある超絶美形なので何とかなるだろうと思い直す。
(コツはともかく、パワーはついたはずですし……ボールも回してもらえるでしょうし、まぁ真面目にやりますかな。さてさて着替え、バレないように皆様の裸を品定めしますぞ~)
更衣室の端に行きたがったカンナに付き合い、その隣で着替える。そういえばカンナの上半身は見ていなかったなと視線を向けたが、彼は肌を出さないよう器用に着替えており、裸は見られなかった。
(くっ……女子みたいな着替え方しますな。まぁ女子の着替えなんて見たことありませんが!)
リュウの裸は明日見れるだろうし、鳥待を見るかな。眼鏡だしヒョロいだろう。
(鳥待きゅ~ん、ぉ、居た居た)
俺の後ろで着替えていた鳥待を見つける。ちょうど肌着を脱いだタイミングだ。
(……なにっ!?)
格闘漫画でしか見ないようなバッキバキの背筋、クルミでも挟んで割りそうな肩甲骨、薄らと見えるのは切り傷だろうか、思わず目が奪われる。
「マジかよ……」
「おや? 委員長、どうされました?」
つい声を出してしまい、鳥待が振り返る。予想通り腹筋は割れている。服を着ていれば細身に見える程度の、筋肉が盛り上がってはいない実用的な肉体、その随所にある切り傷。
(目にも切り傷ありますし……傭兵でもやってたんですかな)
カンナも鳥待を見てぽかんとしている。
「あ、あぁ、いや、鍛えてるんだな、意外だよ」
「あなたの方が鍛えてらっしゃるじゃありませんか」
鳥待は眼鏡の奥の瞳を細めてにっこりと微笑む。センター分けの髪が揺れ、眼鏡の縁に擦れる。
「……その傷、何なんだ?」
「傷? あぁ……お恥ずかしいのですが私はドジでして、過去に山登りをした時に岩場で滑落し、こんなことに」
尖った石で切った傷だと? ナイフで切りつけられた跡のように見えるが、俺は創傷の専門家ではない。分からないから信用するしかない。
「そうか、痛かっただろ。俺がその場に居たらお前をしっかり捕まえて、滑落なんてさせなかったんだけどな」
その代わり、俺に陥落させるけど。
「ありがとうございます、お優しいですね委員長は」
鳥待の肉体はクラスメイトも気にしている。しかし話しかけにはこない。
「そんなことないよ……そろそろ上着ろよ、俺もそうする。カンナ、行くぞ」
体操服に着替え終えたらカンナを連れて更衣室を出る。
「す、ご……かた、ねっ」
「鳥待か? あぁ、すごかったな」
「…………みぃくん、ああいうのの、ほぉが……いい? ぼく……きたえ、よっかな」
「カンナのぷにっとしたお腹好きだよ」
そっとカンナの腹に触れる。太っている訳ではない、幼児のようなぷにぷに感もカンナの魅力だ。体操服の独特の手触りの良さも手伝っていつまでも触っていたくなる。
「ぷ……!? ぼ、ぼく、太っ……て……?」
「いやいや、太ってはない。大丈夫、健康体だ、可愛いよ。このままでいい」
「そ……? よ……か、たっ」
ホッとした様子のカンナと共に列に並ぶ。まだ身長を計っていないので、とりあえず出席番号順だ。ほどなくしてチャイムが鳴り、体育教師がやってきて、軽いウォーミングアップが始まる。
「えー、全員バスケのルールは知ってるな? 今日はまぁお遊びくらいで。五対五だ、コートは二面あるから二十人か……四人余るな。そいつらは適当に練習、とりあえずボール触っとけ」
五人の集まりが作れない連中が余りの四人だ。まずはボールに慣れたいから俺は余りでいいのだが。
「カンナ、とりあえず俺と一緒にな」
カンナは鈍そうだし、余って練習希望の俺にはピッタリだが……残り三人が集まったらいきなり試合か、集まって欲しくないな。
「水月ぃー、時雨ぇー、よーしーてー」
三人目はリュウだ。
「いいけどまだ五人集まってないぞ」
「ええよええよ、試合なんかかったるいやん、このまま余ろ」
リュウも俺と同じ気持ちらしい。カンナはまだリュウが怖いのか俺の背に隠れた。
「委員長、私と彼で五人集まりましたね」
鳥待が五人目を連れてきてしまった。彼の背後に居るのは赤いメッシュが入った黒い長髪が特徴的な中性的な美少年、顔は好みだが苦手な雰囲気なので避けていた生徒だ。
(余計なことを! 眼鏡かち割りますぞ!? しかも、彼……溢れ出る陽キャ感と言いますか、絶対苦手なタイプですぞ~)
鳥待が自己紹介を促すと彼は面倒臭そうにため息をついた。
「霞染 初春でーす。よろしくー……てかクラスメイトなんだから名前くらい知ってるっしょ」
髪を弄りながら誰とも目線を合わさない自己紹介。
(…………ギャルですぞぉぉーっ! これはギャルですぞ、男ですがギャルですぞ! 嫌でそ嫌でそトラウマが蘇るァーッ!)
中学の頃こんな感じの女子にされた扱いを思い出し、身勝手な苦手意識からのトラウマを蘇らせて震えていると霞染の視線がこちらに向いた。
23
お気に入りに追加
1,213
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる
海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?
犬用オ●ホ工場~兄アナル凌辱雌穴化計画~
雷音
BL
全12話 本編完結済み
雄っパイ●リ/モブ姦/獣姦/フィスト●ァック/スパンキング/ギ●チン/玩具責め/イ●マ/飲●ー/スカ/搾乳/雄母乳/複数/乳合わせ/リバ/NTR/♡喘ぎ/汚喘ぎ
一文無しとなったオジ兄(陸郎)が金銭目的で実家の工場に忍び込むと、レーン上で後転開脚状態の男が泣き喚きながら●姦されている姿を目撃する。工場の残酷な裏業務を知った陸郎に忍び寄る魔の手。義父や弟から容赦なく責められるR18。甚振られ続ける陸郎は、やがて快楽に溺れていき――。
※闇堕ち、♂♂寄りとなります※
単話ごとのプレイ内容を12本全てに記載致しました。
(登場人物は全員成人済みです)
ポチは今日から社長秘書です
ムーン
BL
御曹司に性的なペットとして飼われポチと名付けられた男は、その御曹司が会社を継ぐと同時に社長秘書の役目を任された。
十代でペットになった彼には学歴も知識も経験も何一つとしてない。彼は何年も犬として過ごしており、人間の社会生活から切り離されていた。
これはそんなポチという名の男が凄腕社長秘書になるまでの物語──などではなく、性的にもてあそばれる場所が豪邸からオフィスへと変わったペットの日常を綴ったものである。
サディスト若社長の椅子となりマットとなり昼夜を問わず性的なご奉仕!
仕事の合間を縫って一途な先代社長との甘い恋人生活を堪能!
先々代様からの無茶振り、知り合いからの恋愛相談、従弟の問題もサラッと解決!
社長のスケジュール・体調・機嫌・性欲などの管理、全てポチのお仕事です!
※「俺の名前は今日からポチです」の続編ですが、前作を知らなくても楽しめる作りになっています。
※前作にはほぼ皆無のオカルト要素が加わっています、ホラー演出はありませんのでご安心ください。
※主人公は社長に対しては受け、先代社長に対しては攻めになります。
※一話目だけ三人称、それ以降は主人公の一人称となります。
※ぷろろーぐの後は過去回想が始まり、ゆっくりとぷろろーぐの時間に戻っていきます。
※タイトルがひらがな以外の話は主人公以外のキャラの視点です。
※拙作「俺の名前は今日からポチです」「ストーカー気質な青年の恋は実るのか」「とある大学生の遅過ぎた初恋」「いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました」の世界の未来となっており、その作品のキャラも一部出ますが、もちろんこれ単体でお楽しみいただけます。
含まれる要素
※主人公以外のカプ描写
※攻めの女装、コスプレ。
※義弟、義父との円満二股。3Pも稀に。
※鞭、蝋燭、尿道ブジー、その他諸々の玩具を使ったSMプレイ。
※野外、人前、見せつけ諸々の恥辱プレイ。
※暴力的なプレイを口でしか嫌がらない真性ドM。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる