自称不感症の援交少年の陥落

ムーン

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俺が何をしたか、いや、俺が何を誰に頼んだのかバレてしまうのではないかという恐怖で声が震える。ほとんど無意識にキョウヤの服の裾を握ってしまう。

「……あなたは一人暮らしをしていて、同居している訳ではないけれど定期的に会っていて、電話での連絡も取っていた。それがなくなって不審に思い、家を訪ねたところ無人で、数日滞在したが帰ってこなかった……ということですね?」

「は、いっ……そうです」

俺は今、警察署に居る。父が居なくなったことは大家だとかに気付かれるだろうから、息子の俺が父を気にした様子がなくては不審だと、行方不明者届……旧い言い方なら捜索願だけでも出しておこうとキョウヤと決めた。

「あなたは……」

「行方不明者の古い知人です。恩義がありまして、何かあれば連絡して欲しいと電話番号を渡しておりました。息子の彼から連絡があったため、憔悴した彼を数日保護、届出を出そうと相談しました」

「……なるほど。あなたのことは知っていますよ、鬱金さん、有名な方ですからね」

「…………ありがとうございます」

父が行方不明になっているのは事実だから嘘とも言い切れないが、虚偽の申告に真摯に対応してくれている警察官……だろうか? 俺は警察に詳しくない、警察官なのか事務員なのか分からない。いや、流石に事務員に任せることじゃない……のか? 分からないが、彼には少し申し訳なく思う。

「レイン……彼は大学生で一人暮らしをしていますが、家賃や学費などは父親に頼っていました。現在アパートは引き払い、私の事務所に泊まらせています。彼の希望進路は会計士ですので、私のところなら経験を積ませることも可能ですから、最低でも彼が見つかるまでは面倒を見るつもりです」

「はぁ……お噂通り、素晴らしい方ですね」

「……どうか、誘拐や軟禁なんて申されないようお願いしますよ。私は最低限の寝床と食事を与えているだけですから。」

「はは、まさか……そんな疑いかけませんよ。しかしその歳ならバイトでもして一人で暮らしていけそうな気もしますが……」

「父親が居なくなったばかりですし、恩人の子ですからあまり苦労させたくないんです。ある程度の社会経験は必要ですが、働いてばかりで勉強を疎かにして留年になんてなったら本末転倒。学生の本分は勉強です」

「へぇ……お優しいことで」

キョウヤの有名さのおかげで疑われていないようだ、俺の挙動不審さも父の行方不明のせいで気が動転しているだけだと誤魔化してくれた。

「……レイン、少し外してくれるかい?」

「え? うん……分かった、外で待ってる」

廊下へ出て扉に耳を当て、キョウヤと警察官だろう男の会話を盗み聞きする。

「息子の前では言えませんが……彼は昔はそれはそれは情に厚い素晴らしい男だったけれど、妻を亡くしてからはどうも……酒とタバコとギャンブルに溺れていて、正直……失踪しても不思議じゃないと思っていました」

「はぁ……事件性がないと後回しになりますが。よろしいんですか? あなたが言うならばと力添えする者も多いでしょうに」

「今の彼は本当に無責任な男ですから、息子を捨てたつもりかもしれません。そんな男を探させるより、他の子達を探してあげて欲しい……私には探偵の知り合いも居りますから、ゆっくり探します。今日はとりあえず届出だけを……と。あの子にはそんなこと言えませんがね」

「……なるほど」

「まぁ、事件性の有無はそちらが決めることですよね。よろしくお願いします」

椅子を引く音が聞こえて慌てて扉から離れる。部屋から出てきたキョウヤは俺の頭を撫でて微笑みかけ、帰ろうと言った。

「新居は探しておくけれど、引越しはもうしばらく待った方がいいかもしれないね。ごめんよ」

「俺は今のままでも別にいいから、不満とかないよ」

「……そうかい? さて、今回出したのは旧捜索願……行方不明者届だ。七年ほど経てば死んだことに出来る失踪届が出せるようになる」

「七年が勝負ってこと?」

「いや、見つけられないだろうし、もし真相が明らかになったら何年経っていても無駄だ。殺人事件の時効は撤廃されたからね。まぁその場合でも私達は実行犯ではないし、彼らに頼んだ証拠は消してある、心配はいらないよ」

父を殺させた罪悪感はない。ただ、キョウヤと共に居る時間が減ることだけが怖い。

「……まぁあの分だと事件性なしとして動かないだろうから、私達は普通に暮らしていればいいんだよ。もし君のお父さんを探す人が居たって、君は一緒に暮らしていたわけじゃないんだから、いつの間にか居なくなったでどうにかなるさ」

「だよ、ね……」

「それよりレイン、明日も休みだったよね」

「え? ぁ、うん」

通行人の目を盗んでキョウヤは俺の手の甲をつぅっと撫でる。

「新しい玩具を試したいんだ」

「……そ、そっか。俺も……その、父さんのこと思い出してやな感じだから……キョウヤさんに、ふわふわってさせて欲しい……かな」

「ふわふわ? ふふ……そんな優しいものじゃないよ」

優しく爽やかなまま肉欲に満ちた恐ろしい瞳に見つめられ、背筋にゾクゾクと悪寒が走って下腹がきゅうぅっとときめく。

「……っ、楽しみ」

事務所に戻ってすぐ俺達は三階の寝室へ向かうつもりだったが、俺は念の為にポストを確認した。茶封筒が一つ入っており、それには何か違和感を覚えた。

「キョウヤさん、これ」

「…………直接投函されたみたいだね」

「え?」

「切手もなければ、うちの住所も書かれていない、もちろん差出人も不明。まっさらな封筒を郵便で送ってこれると思うかい?」

「あー……確かに。じゃあ何かヤバいやつ? 警察呼ぶ?」

キョウヤは首を横に振って事務所へ入り、仕事机の前で茶封筒の中身を取り出した。中身は一枚のメモ用紙とUSBメモリだ。

「何か書いてる?」

背伸びをしてキョウヤの手元を覗く。メモ用紙には雑な「スナッフ」というカタカナ文字があった。

「スナッフ……? って何? USBの中身のこと?」

「…………私に必要なデータだよ、レインにはあまり関係がないね」

「お仕事のやつ?」

「そんな感じかな。後で確認するから今はとにかくベッドへ行こう」

キョウヤはメモ用紙を細かく破ってくずかごに捨て、USBメモリを鍵付きの引き出しに入れた後、俺の腰を抱いて引き寄せた。

「ゃん……キョウヤさんのえっち」

尻を揉まれながら寝室へ。ベッドに寝転がる前に俺は服を全て脱いだ。

「私はさっきのUSBを確認するから、玩具を取り付けた後は放置プレイになるけど構わないかな? ちゃんとカメラを用意して行くよ、私のパソコンに映像が転送されるんだ、もちろんリアルタイムでね。だから様子がおかしくなったらすぐに助けに来てあげる、心配はいらないよ」

ベッドの横に三脚が立てられ、カメラのレンズが俺の方を向いている。父に撮られた時とは違い、嫌悪感はない。

「縛る感じ?」

「そうだねぇ……」

迷うように言いながら、迷いのない手つきで俺の両手首を頭の上で拘束する。いつも通り、手錠だ。

「……逮捕されちゃった」

「おやおや、ふふふ……それじゃあ凶器を隠し持っていないか検査をしようかな?」

警察署帰りということもあり、キョウヤは俺のおふざけに乗ってくれた。

「何も持っていないように見えるけど……おや? これは何かな? 尖ったものには気を付けないとねぇ」

頬から首へ、首から胸へとソフトタッチで降りていったキョウヤの指は俺の乳首でピタリと止まった。乳首の先端に指の腹を当てられているだけだが、呼吸で僅かに胸が揺れることで微かな刺激があり、期待していた俺はそんな程度でも乳首を硬く勃起させた。

「おやおやおやおや……より尖ったように見えるねぇ、もっとしっかり確認しないと」

「あっ…………ひぃんんっ!」

ぎゅっと両乳首同時に強くつままれ、仰け反って手錠をガシャンと鳴らす。

「うーん……? これは凶器かもしれないなぁ、念の為に没収しておくべきだ」

「ち、がうぅっ……! ちくびっ、だからぁ……取れにゃっ、あぁあっ! 引っ張っちゃダメぇっ!」

乳首を引っ張られる甘やかな痛みに泣き喘ぎ、よがる。

「ふふふ……これは危険な凶器だ、とても魅力的で離れがたい……麻薬のようなものだろうか? 一度触れるとずっと触れていたくなる、危険だ……とても危険だよ、こんな凶器を二つも持っているなんて悪い子だね」

「そんっ、にゃ、ぁ、あぁあっ! こねこねダメっ、イくっ、イくイくっ……イくぅうぅっ!」

ずっと硬いままの乳首をこねられてあっさりと絶頂を迎えてしまった。するとキョウヤは手を離してくれたものの、俺の見知らぬ玩具を持った。

「危険な凶器なのに没収出来ないのなら、せめてカバーをつけないとね?」

「な、何……? それ……何かの蓋?」

「乳首吸引&ブラシ責め玩具、定期的にローションを足して痛みを軽減し続ける優れものさ」

ガシャポンの容器のような小さなドーム状のプラスチックの内側には洗車機のようなブラシが付いており、外側の頂点にはチューブが付いている。あのチューブで減圧やローションの注入などを行うのだろう。

「そ、そんな……そんなのつけられたら、俺の胸壊れちゃう……」

期待で痛いくらいに膨れた乳首を突き出しながら、俺は怯えたフリをした。
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