自称不感症の援交少年の陥落

ムーン

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各々の解決の仕方

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ゴムがあったとはいえ、キョウヤの射精の感覚をしっかりと味わえた。陰茎の脈動がたまらなかった。その達成感に油断して俺は意識を手放し、寝ている間に身体を清められた。

「おはよう、レイン」

「……俺、また失神してた?」

「可愛いことにね。君には分からないかもしれないけれど、気持ちよすぎて意識が飛んでしまう子というのはとても可愛いくて、抱いていて楽しいし嬉しいんだよ」

「そーなの……?」

片付けを全てキョウヤに押し付けてしまった罪悪感は解消され、やはりキョウヤの性癖はとんでもないなと改めて思った。

「今お風呂の用意をしているから、沸いたら一緒に入ろうね」

「うん」

ベッドに足を伸ばして座っているキョウヤに合わせて上体を起こすと、キョウヤの腕が腰に回った。胸と下腹がときめいて自然とキョウヤの顔を見上げてしまう。

「……レイン、お父さん……どんな人なんだい?」

「…………絶対納得してくれないから、説得とか無駄だよ」

「うん、説得なんてするつもりはないよ。私はもう君を誘拐するような気持ちでいるからね」

ちゅ、と頬に唇が触れる。続けて耳の付け根にも。

「……レインがどんな人に育てられてきたのか知りたいんだ、そうすればレインの人となりが分かる気がするからね」

「俺のこと知りたいんなら俺のこと聞きゃいいじゃん、好きな物はハンバーガー、嫌いな物はトマト! 好きな人はキョウヤさん、嫌いな人はクソ親父! せっかくキョウヤさんと一緒に居れてすごく幸せなのに、父さんのことなんて思い出させないでくれよ!」

「…………すまない」

「あっ……う、ううん、いいんだ。キョウヤさんは悪くないし……俺こそ、ごめん」

気まずい空気が流れている。俺からキスをしてみようか、ねだる程度に留めるべきか、そんな誤魔化し方で本当にいいのだろうか。

「……レイン、これだけ教えてくれるかい? 正直に答えてくれたら、もうお父さんの話は二度としないよ」

「…………何?」

「お金を稼ぐのは、お父さんに関係があったりするのかな?」

「な、ないよ……そりゃ父さんが生活費くれないから稼いでるって意味じゃ、関係あるけど」

「………………よく分かったよ」

最初、声が裏返ってしまった。キョウヤには本当に「分かった」のかもしれない。一日一万円稼ぐこと、一ヶ月で約三十万を徴収されること、そんな細かいルールまでは流石に分からないだろうけど、父が俺から金を巻き上げていることくらいは察したのではないだろうか。弁護士なら人間の嘘なんて山ほど見てきただろうし、俺程度の嘘なら見破るのは容易かもしれない。

「それじゃあもう一つ」

「……二度としないっつったじゃん」

「これはお父さんに関係ない質問だよ」

「じゃあいいけど……」

「最初に君を買った時、君は確かに「二十万あれば二十日平和に暮らせる」と言った。どういう意味か教えてくれるかい?」

先程の思考を修正しよう、キョウヤはもう一日一万円徴収のルールまで察しているのかもしれない。そんな訳ないとは思うけれど、思いたいけれど、俺の性感帯を掘り当てたキョウヤなら分かるのかもしれないと思ってしまう。

「えっ……と、生活費……食費とか家賃とか光熱費とか諸々込みで、だいたい一日一万かなーって思ってたから」

「……そんなにかかるのかい?」

「が、学費! 学費も……あるから」

「なるほどね……」

俺の即興の嘘を信じてくれていないことだけは確信出来る。

「……お、沸いたね。行こうか」

「うん……」

キョウヤはどこまで察しているのだろう、どう行動するつもりなのだろう。父が俺達の同居の邪魔をしたらキョウヤは面倒臭がって俺を捨てたりしないだろうか? いや、この思考はキョウヤに失礼だ。もっとキョウヤを信用しよう。

「あの、キョウヤさん……父さんのことは俺が何とかするから、キョウヤさんには迷惑かけないから……キョウヤさん、何もしないでね」

湯船に浸かりながら俺はキョウヤが全てを察しているという前提で話した。

「…………分かった。私は何もしないよ」

「うんっ、俺のことは、俺が解決するから」

身体を洗い終えたキョウヤが湯船に入ってくる。広い浴槽だが一人用のため、二人で入ると流石に狭い。自然と身体が触れ合う。

「……レイン、明日から大学が終わったらここに帰ってきなさい」

「えっ……早速一緒に暮らしてくれんの!? わぁぁ……! 夢みたいだ!」

「まだお泊まり程度だけれどね。私の仕事に一区切りついたら一緒に君の家の整理をしよう、名義とかはどうなっているのかな? 引き払うのにお父さんの許しは必要そう?」

「…………よく分かんない」

「なら私が確認するよ、こう見えてもそういうのには詳しいからね」

どう見てもそういうのに詳しそうに見える。

「仕事の合間にレインの勉強を見てあげる。頑張って会計士の資格を取ってね」

「うん、キョウヤさんと一緒に居るためだもん。頑張る!」

「ふふ……気持ちよくなる勉強もしようね。君にはまだまだ眠っている性感帯がたくさんあるんだから」

キョウヤの手が優しく胸を撫で上げる。柔らかいままの乳首がぷにっと弾かれたが、特に何も感じなかった。けれど、ここを性感帯にしてやるとキョウヤの目が言っているのは痛いほどに伝わってきて、ただ湯に浸かっているだけで乳首が勃ち始めた。

「私の仕事中は玩具緊縛放置が基本かな」

「……大学の課題とかあるんだけど」

「ふふっ、もちろん分かっているよ。ちゃんと手伝うさ。一人でやるより早く終わるだろうから、浮いた時間でたくさんイこうね」

勉強と快楽が両立する生活はとても楽しそうだし、二つ返事をしたいけれど、やはり父のことが気にかかる。彼に渡すための金を稼ぐため、大学の帰りに一日一回はウリをしなければ……でもキョウヤにずっとバレないようになんて可能だろうか? やはりキョウヤに相談すべきだろうか。

「……ん?」

見上げたキョウヤは俺が何か言いたそうにしているのに気が付いているようで、俺の言葉を待っている。弁護士であるキョウヤなら俺から父を引き剥がす方法の一つや二つ知っていそうだけれど、やはり話すのははばかられる。

「レイン、何か言いたいことがあるなら遠慮せず言ってごらん」

父親と何年もヤり続けていた身体だなんて知られたくない。何十人何百人の男に身体を売ってきたことはもうどうだっていいけれど、ランドセルを背負ったまま犯されたことなんて絶対に知られたくない。

「……レイン」

心配そうな顔をしている。ダメだ、ちゃんと誤魔化さないと。

「…………ごめんね。キョウヤさんがカッコよくて見とれてた。ちょっとのぼせたかも……先上がっていい?」

「……私ももう上がるよ」

俺は誤魔化すのも嘘をつくのも下手だ、売春中も不感症を隠さなかったことが何よりの証拠だろう。

「アイス食べるかい?」

「……うん」

俺にぶかぶかの下着とジャージを着せ、水を飲ませた後、キョウヤは高級そうなアイスをくれた。濃厚なバニラの味に思わず顔がほころぶ。

「…………私はちょっと電話をしてくるよ」

「うん」

アイスに夢中になりながらもキョウヤを見送る。アイスの美味さに慣れてくると何の電話だろうと好奇心が湧いた。
依頼者だろうか、裁判所だったりして? そんな独り言を心の中で呟きながら、廊下で電話中のキョウヤを扉の隙間から見つめた。

「……あぁ、出来るだけ早く頼むよ。そう言わずに……私は君を通さないと彼らを動かせないんだよ」

流石に相手の声は聞こえないな。何の話か全く予想もつかなくて面白くないなと思っていると、キョウヤが突然こちらを向いた。

「レイン……今電話中だから…………とにかく、頼むよ。借りは今度返す、それじゃあ」

電話を切ったキョウヤが戻ってくる、叱られるのだろうか。

「……こーら、盗み聞きなんて行儀が悪いよ」

めっ、と人差し指の腹で額をつつかれ、軽過ぎるお叱りに安堵のため息をつくと同時にときめいた。
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