自称不感症の援交少年の陥落

ムーン

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助けなんて求めてない

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今回は拘束も玩具もなかった。渡された水を飲み、いつの間にか乾いていた髪をかき上げた。

「調子はどうだい? 体、おかしなところはないかな」

「……うん」

蓋を閉めたペットボトルを太腿に挟み、隣に座ったキョウヤの肩に頭を預ける。

「なー、キョウヤさん」

「ん?」

他人が隣に居るのに警戒しなくていいなんて初めてだ。安心なんて俺には一生無縁のものだと思っていた。

「好き」

「……こんなおじさんを?」

「うん、大好き」

「おやおや」

キョウヤ自身が言った歳の差のせいなのか、俺の好意は信じられていないように感じた。

「キョウヤさんは俺のことどう思ってんの?」

「うーん……気になる子、かな」

「何が気になんの? 俺のこと知りたい?」

「知りたいよ。教えてくれるのかい?」

相手を知りたいというのは好意の証、仲良くなる第一歩。いつかどこかで聞いた話を思い出した俺はキョウヤと両想いになれるかもしれないと喜んだ。

「俺は無患子むくろじ れいん、レインは流れるって書くんだ。初見で読めたやつ居ないんだ」

「だろうねぇ」

「漢字は父さんで、読みは母さんが考えたんだ。母さんがめぐみって名前だから、天のめぐみ的な感じで雨、レインって決めたらしいんだ。母さん会ったことないから直接聞いたんじゃないんだけどさ」

「確かに、君といると乾いた心が潤っていくような感じがするよ。恵みの雨なんだね。漢字の由来はあるのかい?」

キョウヤの言葉がお世辞かもしれないなんて露ほども考えず、俺は名前に合った人間になれているのかなと嬉しくなった。その嬉しい気持ちのまま母の死後に父から聞かされた俺の名前の由来を語った。

「父さんは俺が産まれる前から「この子は流れますように」ってずっと願ってたからそのまま漢字使ったんだってさ」

俺の話をにこやかに聞いてくれていたキョウヤの顔が曇る。

「キョウヤさん……? どしたの?」

「…………なんでもないよ」

キョウヤは俺の額にキスをして抱き寄せた。嬉しい気持ちが増して更に名前を語る。

「名前には親の想いが込められてるって言うじゃん。俺ちゃんと由来聞いてるから、やっぱ応えられてるか気になるんだよね。母さんのレインの方はクリアっしょ? 父さんの方は? 俺流れてる? ってか流れるってどんな感じの奴なわけ?」

顎に手を添えられてキスを察し、目を閉じる。予想通り唇が重なり、器用な舌が俺の口内を優しく愛撫する。

「ん……んっ、きょーや、さんっ……んん……」

最初に彼とキスした時に結腸責めをされていたからだろうか? 腹の奥が疼いてきた。

「ん……ぷはっ、キョウヤさん……?」

「……レイン。稼いだお金は何に使ってるんだい?」

「生活費……だけど」

「お母さんとお父さんは何をしているんだい?」

「母さんはずっと前に死んじゃった、俺産んで体調崩れちゃったらしいよ。父さんは…………えっと、大学入るのと同時に一人暮らし始めて……俺やりくり下手で、父さんからもらう生活費だけじゃやってけないから、自分で稼いでる」

ぼうっとした頭でも父親の言いつけを守ることは出来る。父が月に一度パチンコの種銭用に徴収に来ること、そのために金を稼いでいること、それらは絶対に秘密だ。

「そう……」

灰色の瞳は訝しげに俺を見つめている。咄嗟の嘘は不自然だっただろうか? 聞いてくる者なんて居ないからと考えておかなかったのは失敗だったな。

「連絡は取れないのかい? 君がどれだけやりくり下手だとしても、未成年が身体を売って金を稼がなければ生活できないなんて、法律に触れるよ」

「え……? や、やだなキョウヤさん……金で買っといて法律なんて持ち出さないでよ」

「本当に生活費をもらっているのかい?」

「もらってる……当たり前じゃん」

「あんな何もない家で、何をそんなに使うことがあるんだい?」

「……カラオケとか行くんだよ。大学生は付き合い大事なの」

家賃も、学費も、公共料金も食費も何もかも身体を売って稼いだ金で払っている。父は金を持っていくだけだ。大学の知り合いと遊びに行く時間なんてあるわけない。

「……レイン、もし君が助けを必要としているなら、私は出来る限りのことをするよ?」

「助け……? あ、あぁ……それじゃ、勉強教えてもらおうかな~……?」

「…………公民は得意だよ」

なんとか誤魔化せたかな。援交で知り合った人間に何をどう助けてもらえばいいんだ。父のギャンブル依存を治してくれるのか? 父が俺を殴らないように、犯さないように矯正してくれるのか? 重たい事情を話したらキョウヤは逃げてしまうだろう、好感を持てる金ヅルを逃がしてたまるか。

「ま、まぁ! 勉強はまた今度、テスト前にでも頼もうかなっ。それよりほら、せっかく買ったんだから……もっと俺で遊ばなくていいの?」

金で身体を買う相手は性欲旺盛な明るいバカがいいと思う。今まではルックスに頼って適当に客を取ってきたが、不感症が治ってしまった今誰彼構わず寝るのは無理だ。唯一不快感を覚えないキョウヤが俺以外を買わないよう、気に入ってもらわなくちゃいけない。

「…………お、玩具! キョウヤさん玩具好きだろ? 前色々使ってたもんな、玩具プレイまたやろっ、何したい?」

何故か暗い表情のキョウヤの両手を掴み、それぞれ太腿と尻を触らせる。

「気乗りしない……? なんで? 俺、なんかキョウヤさんの気に入らないこと言った? キョウヤさん……」

明るく媚びなければならないのにキョウヤの思考が全く読めなくて怖くて涙が滲んできた。

「…………ひぁんっ!?」

目を擦っているとキョウヤの手が動いた。後孔の縁をこね、内腿を揉みしだいている。

「ん、ぁっ……キョウヤさんっ、気分乗ってきた? えへへっ……んぅっ! んっ、きょーやしゃんに触られんの好きぃ……ひぅっ……!」

「……レイン、今日は六十万円だったよね。代金増額を賭けたゲームをしようか」

増額なら断る理由はない。了承するとキョウヤは俺から離れ、鞄から薄ピンク色のタマゴのような物を二つ持ってきた。充電器のようなコードが伸びている。

「何これ」

「ローターだよ」

「へー……ローターにしちゃデカい」

続けて部屋に備え付けの玩具箱を俺の目の前に置く。

「そのタマゴ型ローターは一つ五万、二つある。部屋に置いてあった普通のピンクローターは一つ二万、五つある。アナルパールとピストンバイブは十万、尿道ブジー二十万、これは一つずつしかないね」

「……その数字、何?」

「一度に入れられた分だけ増額だよ。パールは一つ十万だけど、太いし長いからこれだけになってしまうよね。ローターをいくつも入れられるならそっちの方がお金は増える。自分の体と相談しながら最大額を目指そう! というゲームだよ」

やっぱこの人とんでもない変態だな。

「あ、入れて稼働させて十分以上抜かずに耐えたら……だからね? ローターが勝手に落ちたり、気持ちいいのに耐えられなくて抜いちゃったりはダメ」

「十分……分かった。じゃあ、これと、これと……」

「自分で入れるんだよ」

「……分かった」

キョウヤの凶悪な肉棒を飲み込んだんだ、ローターは全て入るだろう。小さい方のローターは縦ではなく横に並べた方がいいかもな、二つくらいなら一気に入るだろう。

「あぁ、入れるところは見せてくれると嬉しいな」

「ぁ、うん……」

まず小さいローターにローションを絡ませ、ベッドに四つん這いになり、二ついっぺんに押し込む。

「んっ……! ぁ、あぁあっ……ひ、ぅっ……!」

腹筋に力を込める度、腸内で二つのローターが蠢く。スイッチを入れたらどうなるだろう、少し怖い。

「ん、く、ぅうんっ! ん、ふぅっ、ふぅぅっ……! ん、んっ……!」

つぷん、つぷん……と小さなローターは五つ全て入れられた。十分間ひり出さずに耐えたら十万円もらえる。

「全部入ったね。お尻の穴、パクパクしてて可愛いよ、五本もコードが垂れているし……ふふふ」

「タマゴ、入れる……」

「おやおや、まだ入れる気なのかい?」

「当たり前じゃん……んぁっ! ぁ、あっ……あぁあっ!」

タマゴの形をしているそれを細くなっている方から挿入する。途中で止まっていたローターとぶつかり、そのローターを押しながら進ませる。

「んっ、くぅうっ……ふぅっ、うぅうっ……イくっ!」

「おやおやおや……イっちゃったのかい? 可愛いね」

絶頂で四つん這いを保てなくなり、腰を高く上げる猫の伸びのような姿勢になってしまった。ローターを飲み込んでいる後孔はキョウヤに見えているから不満はないだろう。

「ん、んんん……もぉ、一個ぉ…………ぉんっ! んっ、んゔぅっ……ふ、ぅゔうんっ!」

タマゴ型ローター同士をごつごつとぶつけながら後孔に押し込む。ローター同士がぶつかる度に腸内に響く振動に、稼働させた後の不安と期待が膨らむ。

「入っ……た、ぁっ」

「……ピンク色、見えているよ? 可愛いね」

キョウヤの爪が後孔からはみ出たローターを叩く。

「ひんっ! んんっ! ゃあっ、触っちゃらめっ!」

「おっと、ふふふ……すまないね。もう終わりかい?」

「……一番高いのがまだ」

一つだけで二十万の価値を持つ尿道ブジー、入れない選択肢はない。幸い、俺は過去に尿道プレイを強要されたことがある。この尿道ブジーはその時のものより少し太いがまぁ何とかなるだろう。

「入れにくいから、体勢変えて……んぉおっ!?」

四つん這いで尿道ブジーを入れるのは難しい。一旦座ろうと体勢を変えた瞬間、腸内のローター達がゴリゴリっと動いて俺を絶頂させ、仰け反らせ、勢いよく倒れさせた。
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