自称不感症の援交少年の陥落

ムーン

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ノルマ達成の危機

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月末、俺は人生最大のピンチを迎えていた。

「金がないっ……やばい、クソ……あーっ、サボるんじゃなかった」

俺は毎月父に約三十万支払わなければならないのだが、今月はバイクの故障などで予定外の出費があったために現在大ピンチだ。

「……もしもしー? レイだけど。今日俺買わない?」

家賃を始めとした生活費は援助交際で稼いでいる。なので、俺のスマホには変態親父の電話番号がたくさん並んでいる。

『あ~、レイ君? 悪いんだけど、おじさん今月ピンチでねぇ……』

「俺もピンチなんだよ、助けると思ってさ。サービスしてやるから」

『ごめんね~、来月またお給料入るから』

今月ピンチなんだ、来月じゃ意味がない。電話を切り、別の変態に電話をかける。

『あー……なんか、急にインポになっちゃって。酒のせいかなぁ……』

こいつは電話番号消そう、次。

『レイ君? 君、生ヤらせてくんない子だよね。いやぁ、生でいい子見つけたからさぁ』

生でなんかヤれるかバカ、次。

『レイ君、SM嫌がるからなぁー』

跡が残ったら他の客取れねぇんだよバカ、次。

『君より安い子見つけ』

次。

『娘に見つかっ』

次。

『嫁にバレて』

次──は、もうない。電話に出なかった奴らも居たが、月末となれば変態達も小遣いが足りなくなってくる。彼らが潤っている間に稼いでおくべきだった。

「はぁ……あ、折り返し。もしもしっ?」

『あ、レイ君? どうしたの、君から電話なんて』

「今日か明日か、俺買わない?」

『おっ、空いてるの? じゃあ今日の晩、駅前で』

ようやく一人捕まった。コイツで何万稼げるだろう、ノルマ達成は難しいかな。



晩飯のハンバーガーを食べながら駅前に立っていると、改札から出てきたサラリーマンがこちらに真っ直ぐ向かってきた。

「レイ君! お待たせ、行こうか」

「ん」

小太りながら綺麗好きの変態親父、客の中ではマシな方だ。
早速ラブホに入り、各々シャワーを浴び、コンドームの封を切る。

「被せてくれる?」

「……手? 口?」

「んー……口でお願い」

「プラス三千円な」

スマホの電卓に3000と打ち、コンドームを咥える。客の陰茎の先端に乗せ、端を噛んで調整したら陰茎全体を咥え込みながらゴムを薄く伸ばし、グロテスクな肉棒をゴムに包ませる。

「おっけー」

「そのまましゃぶって」

「プラス……」

「一万だよね、分かってるよ」

ベッドに座った客の足の間に入り、四つん這いになって頭を落とし、粗末な陰茎を口の中で転がす。亀頭を舌の先端で叩き、裏筋を舌の腹で擦り、全体を吸う。

「うっ……出るっ」

ゴムの中に精液溜まりが出来上がる。

「ふーっ……ゴム変えようか、また口で被せてくれる?」

「……プラス三千、取るけど」

「いいよいいよ、今日はパチ勝ったからね」

一万六千円──ノルマのちょうど十分の一だ。薄汚れた陰茎に再びゴムを被せ、次の注文を待つ。

「えーと……それじゃあ、レイ君のおちんちん触らせてもらおうかな」

「五千」

「はいはい」

ベッドに仰向けになって足を開き、いつまでも柔らかいままの陰茎を客に握らせる。揉んだり扱いたり先端をくすぐったり、色々としている。

「…………」

刺激として触られていると感じるだけで、痛くもないしくすぐったくもない、ましてや気持ちいいなんてありえない。

「うーん……レイ君相変わらず勃たないねぇ」

「俺不感症なんだって。ちょくちょく触ってるけど無駄だよ、まぁ俺は金もらえるから別にいいけど」

「ははは……レイ君、ハンバーガー食べてたけどお金大丈夫? ちゃんとしたご飯食べなきゃダメだよ」

「今月やべーんだよ、あと十六万欲しいんだけど……おっさん無理?」

「十六万はキツいかなぁ……」

ふにゃふにゃのままの俺の陰茎を扱いていた手が会陰をなぞり、尻穴につぷりと入る。

「後ろ、六千な」

現在二万七千円、あと十三万七千円ほど必要だ。

「柔らかいんだけど、どこ弄っても無反応だね……まぁ、そこが可愛いんだけどねレイ君は」

「おっさんには演技しなくてよくて助かるわー……なぁ、あと十万円ちょい一日でくれそうなおっさん知り合いにいねぇ?」

「十万円も? うーん……あっ」

尻穴から客の手がちゅぽんと間抜けな音を立てて抜ける。

「あって何だよ。何か知ってるのか? 本番三万だぞ」

客は適当に頷きながら俺の尻穴にその粗末な陰茎を挿入した。

「いや、不感症の男の子限定で、一晩三十万払うって人が……ふぅ」

根元まで挿入した客はため息をついて俺の腸壁の具合を堪能する。

「マ、マジ? おっさん紹介できる?」

「いやー、ヤクザ系っぽいしさぁ、やめておきなよっ……はぁっ、レイ君相変わらず締まり最高……!」

ふっ、ふっ、と口を尖らせて息を吐き、必死に腰を振る客の様子は滑稽としか言えない。

「い、いっ、か、らっ……そのっ、人、教え、てっ」

陰茎で尻穴を掻き回しても気持ちよくなんてなるわけがない。ズンズンと腹を突き上げられるから呼吸は乱れて顔は赤くなってくるけれど、尻穴の刺激には不快感しか覚えていない。
なのに勘違いして「お尻気持ちいいんだね」とか言ってくる客もいる、この客は俺の不感症を理解しているから何も言わない。だからマシな客ランキング上位なのだ。

「本当に、ピンチなんだね……分かった、紹介するよっ…………ふぅ」

俺の体内で客の陰茎がぶるっと震えた。射精したらしく、陰茎と精液溜まりがちゅぽんちゅぽんと抜けていく感覚があった。

「えーと、これで三万七千だっけ……四万にするから一緒にシャワー浴びようよ」

「触ったらプラスつけるけど」

「触らない触らない」

客と共に浴室に入り、汗を流す。出来れば何かと汚い変態親父なんかとは入りたくないのだが、仕方ない。

「で? 三十万のおっさん紹介してくれんだよね」

「レイ君、なんでそんなにお金必要なの? 正直、男子高校生がそんなにお金いることないと思うんだよね……」

「…………詮索しない約束だろ」

男子高校生、か。俺は後何年高校生を続けるんだろうな。もう卒業したのに夜だけ制服を着て、現役高校生のフリをして自分の価値を高くして──やめよう、虚しくなる。

「心配なんだよね」

「心配ならとっとと三十万紹介してくれ」

客は呆れたように笑い、その金持ちの変態について話し始めた。

「交流サイトで知り合った人なんだ。レイ君のことちょっと話したんだよ、今ハマってる子が不感症で全然反応してくれないけど、顔と体最高って」

「キモ……」

「手厳しいなぁ……ははは。そしたらその人も君に興味持ったみたいなんだ、本当に無反応なら買ってみたいって。一晩三十万払ってもいいって」

「ふーん……紹介して」

「分かった分かった」

体を洗い終わって浴室を出る。客はしばらくスマホを弄り、三十万の客とコンタクトが取れたと言った。

「本当に不感症かどうか確かめたいってさ」

「はぁ……? どうやって?」

「手マンと手コキして無反応なの撮って送ろうと思うんだけど」

「…………顔映すなよ」

紹介してもらうための動画だ、これで金は取れない。
俺はベッドに腰掛けてM字に開脚し、性器と後孔をスマホのカメラに晒した。客は左手でスマホを持ち、右手で俺の陰茎を扱いた。亀頭責めなんてものもしているようだが、なんともない。

「今手コキ中でーす。何回も彼買ってるけど、勃ったところ見たことありません」

陰茎に触れるのをやめ、後孔に指を入れる。

「……はい、今前立腺くりくりしてます。無反応ですね」

「俺からすればケツほじくって気持ちよくなるわけねぇんだよなー……前立腺とかケツでイくとか都市伝説だろ」

「とまぁ男の子のメスイキ否定派です」

「出すとこが気持ちいいわけねーじゃん」

指を抜き、撮影を止める。

「それじゃこれ送っておくね。レイ君の連絡先も教えておくから」

「おー、頼むわおっさん。おっさんもまた買ってな」

ホテルを後にしてスマホを眺めながら歓楽街を歩く。三十万の客が捕まえられなかった時のため、チビチビ稼いでおかなければ。

「……ねぇ、君学生? こんなとこで何してるの?」

「本番二万」

「へぇ……?」

俺はルックスはなかなかいいらしく、立っていれば変態親父が引っかかる。しかし彼らの中には俺を喘がせたい者も少なくなく、俺が不感症だと知ると逆ギレして金を払わない奴もいる。だから新規客獲得はあまりやりたくないのだ。

「反応ねぇんじゃクソ高ぇオナホじゃねぇか! ふざけんなよこのクソガキ!」

あぁ、ハズレを引いた。金を持って逃げるか返して帰るか、どうしようかな……
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