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やっぱりバレてた

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義姉の隣でアルマに抱かれる。インキュバスにとっては食事でも、性行為には変わりないのにそれを親類の隣で行うなんて、最悪だ──最高に刺激的だ、見つかった時のことを思うとヒリヒリする。

「んゔぅっ! ん、ぅぐぅっ……!」

アルマは俺が大声を出さないように、その大きな手で俺の口を押さえながら楽に行える体位を選んだ。つまり立ちバックだ。

「ィぐゔぅゔぅっ……! ん、ぐっ、ゔぅうっ!」

俺とアルマには一メートル程度の身長差がある。立ちバックと言っても当然立っているのはアルマだけで、俺はアルマに抱えられて足をぷらぷら揺らしているだけだ。

「んんぅっ! ん、ゔうんっ! んィぐうぅっ! ゔぅうっ!」

持ち上げられて口を塞がれ、足をピンと伸ばし、背後からぬちゅぬちゅ執拗に犯される。こんな時でもアルマの抱き方は優しくて強姦の妄想すら出来やしない、この優しいセックスは過去に俺がこの場で殺人ギリギリの強姦に遭った過去を気遣ってのことなのかもしれない。

「ん、くっ……ふ、ゔうぅっ!」

連続絶頂に陥って射精を繰り返し、空腹と強い快楽によって後孔をぎゅうっと締め付ける。次の瞬間、どぷどぷっ……と俺にとってのご馳走が注がれた。

「ん……」

久しぶりの精液の味に恍惚として瞳が焦点を失い、俺の顔を覗き込んだアルマの瞳にとろんとした俺の顔が映る。

「サク、美味いか……? どうだ? 腹は膨れそうか?」

アルマの手が口から離れる。溢れさせていた唾液がにちゃっと音を立て、口周りが涼しくなった。

「……もっとぉ」

身体も性器も大きなアルマの射精量はなかなかのものだが、空腹の身体には一発では足りない。何より、精液を吸収したことでインキュバスの搾精本能が刺激されて発情してしまった。

「もっと、ぁんっ……ん、もっとちょーだいっ、アルマぁ……」

勃ったままの巨根を締め付けて、腸壁を蠢かせて扱き、更に腰をくねらせる。熱く柔らかく濡れた肉に陰茎を包まれて正気でいられる男はそう居ない。

「分かった、分かったからっ……そう煽らないでくれ」

懇願するように言いながらアルマは俺の口を塞ぎ、腰振りを再開した。意識してきゅうきゅう締め付けて、結腸の奥の奥まで誘う。抜けていく際にはちゅうちゅう吸い付いて離さないでと無言でねだる。そうしてやると腰振りが激しくなっていく。

「んぐゔぅっ! んゔぅっ! んぅっ、んぁあっ……! イっ、ぐぅっ! イぐっ、イっでりゅっ……んむぅっ! ん、んんっ……!」

腰振りに集中し過ぎたのか口を塞ぐ手が緩み、一瞬だけ言葉を取り戻した。しかし快楽に蕩け切った頭ではアルマへのメッセージも注意も思い付かず、ただ絶頂報告だけが口をついて出た。

「ィぎゅっ……! ぅ、うぅっ……!」

「はぁっ……サク、サク、サクっ、お前がそんなに締めるからっ……ぁあクソっ、孕ませてやる、三人目の俺の子を産ませてやるからなっ!」

避妊の呪具を持ったままだから今は孕めないのに、アルマは俺の下腹をきゅんきゅんときめかせるセリフを吐いた。どうして俺の口を塞いでいるか忘れてしまったのか、大声で。

「ぁゔっ! ぅ、うんっ……んぅぅっ!?」

「……っ、咥えろ、噛んでもいい」

口にアルマの指がねじ込まれた。押さえていられなくなったのか、指を入れておく方が声が出ないと思ったのか──アルマの考えも正解も俺には分からない。ただ、唾液が床に滴るようになった。

「ゔぅっ! ふ、ぐぅっ、ぅ、わゔぅっ!」

ずちゅ、ずちゅっ、どちゅっ……とアルマの腰振りが次第に早く、力強くなっていく。

「ィ、ゔっ! イゔぅうゔぅーっ!」

唾液を溢れさせながら精液を漏らし、絶頂を重ねる。前立腺を押し潰して捏ね回すアルマの巨根は腸の奥深くを突き上げ、俺の喘ぎ声を醜く変える。

「おっ、ぉおおっ! ぉ、ほっ……ぉおっ!」

指を突っ込まれたところで口は開いたままなのだから情けない喘ぎ声が出てしまう。甲高い喘ぎ声なら聞かせたい、けれど奥深くまで犯されるとどうしても声が低くなる。くぐもった声なら誤魔化せるから口を塞いで欲しい。

「おっ……ゔぅっ、んっ! んぐぅっ! ふ、ゔぅっ……」

アルマの指を噛んでしまうのも嫌だ、快楽に溺れて噛まないよう気を付けられないのも嫌だ。

「サク、サクっ……あぁ、可愛い声だ。もう出てしまうっ……サク、サクっ、サク……!」

俺の名前を呼びながら果てたアルマは長い射精の間ずっと俺を強く抱き締め、肋骨を軋ませた。痙攣する後孔から萎えた陰茎が抜け、閉じられなくなった口から太い指が抜け、唇が重なった。

「ん、んっ……んぅ……」

満腹による幸福感と与えられた強い快楽により、意識が朦朧とする。分厚く大きな舌に口内を埋め尽くされる息苦しささえ俺は好む。

「んぅっ……ぁ、う……ぁ」

「……っ、はぁ……サク、愛してる……サク、サク……」

名前と愛を囁かれながら俺はゆっくりと意識を失い、アルマの体温を感じながら眠った。



翌朝、俺は姉の怒号で目を覚ました。内容は床の掃除をアルマに強要するものだった。眠る際に感じていたアルマの体温は今はない、ゴワゴワとした布の上でゴワゴワとした布を被っている。

「ん……?」

「あ、サクちゃん起きた。おはよう」

「おはようございます……ぉ、お義姉さん」

まだ姉と呼ぶのに慣れていない、向かい合って呼ぶことになると照れてしまう。

「勝手に布団に移しちゃったけど、身体痛くない?」

「あ、はい……大丈夫です。あの、さっき怒ってませんでした?」

「あ、それで起こしちゃった? ごめんね」

姉はにこやかに対応してくれている、初対面の冷たい態度を思い出しても今の姉とは別人に思える。

「アルマが床を汚してたから掃除させてたのよ」

「床を……」

見たところ朝食はまだのようだ。それなのにアルマが床を汚した? アルマは今床を拭いているが、既にどう汚れていたのかはよく分からなくなっている。

「あっ……!」

昨晩、アルマに抱かれている際、何度も絶頂を重ねて射精し、精液をぽたぽたと床に零していたことを思い出した。

「サクちゃん? どうしたの? 暑い?」

顔が熱い、頬どころか耳まで真っ赤になっていることだろう。アルマが拭かされたのは俺の精液だ、姉が叱ったのは俺の精液で床が汚れていたからだ。それなのに姉は優しく掛け布団を脱がした。

「あ、あの……床、汚したの……俺、だと思います。ごめんなさい……」

「姉さん、サクを叱らないでくれ、俺が汚したんだ。すまなかった」

庇い合う俺達を見て姉はくすくすと笑う。

「昨日、私の隣でしたの?」

「ごめんなさい! 俺、お腹空いててっ……ぁ、インキュバスはその、体液がご飯で、お腹空いた時はアルマに、その……だ、抱いてもらう……のが、あの」

「いいのよ別に。部屋を汚しておいてそのままにしてるアルマを叱っただけで、サクちゃんのことは怒ってないから。そんなに怯えないで」

「え……? と、隣で……したんですよ? お姉さんが寝てる間に。怒ってないんですか? 気持ち悪く……ないですか?」

寝ている間に弟夫婦が隣でヤっていたなんて、普通軽蔑しないか? いくら俺がインキュバスで行為が食事に等しいとしてもドン引きだろう。

「したことは怒ってないけど……気持ち悪くは、うーん……サクちゃんみたいな可愛い子にそういうこと出来るアルマは正直気持ち悪いかな」

「姉さんは女だからそんな勝手なことが言えるんだ」

「私一応結婚式でアンタ達のセックスは見たのよ? あの時は何故かサクちゃんのこといけ好かなかったけど、今思い返すと……アルマが酷いことしてるようにしか見えなかったなーって……」

「サクは小さいけれどよく伸びるんだ、痛みはない」

そういえば結婚式で公開セックスをするような価値観の種族なんだよな、オーガって。性的な行為をかなりオープンにしている種族だから、昨晩のことにも嫌悪感が薄いのか。

「ふーん……? サクちゃん、昨日は痛くなかった?」

「へっ? あっ……アルマは、その、とても優しくしてくれるので……」

「あら、そう……本当に平気なの……こんなに小さいのに。ちょっと触っていい?」

「あっ、どうぞ」

姉は必要以上に慎重に俺の腹を撫で、腰を掴んだ。背後でアルマが「力加減に気を付けろ」と喚いていて姉は鬱陶しそうにしていた。

「やだ……体片手で掴める、こんな小さい子に入れるなんて、やっぱりアルマはド変態よ」

「ある程度は伸びるので……」

「どーにも心配、今度は私が起きてる時にヤって」

オーガの性の価値観に慣れるのにはまだまだ時間がかかりそうだ。王都での複数の種族を混ぜこぜにした際に問題の種になるかもしれないし、対策を考えておかないとな。
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