上 下
541 / 604

食べ放題

しおりを挟む
多量の精液を口に含み、その美味に頬を緩ませながら咀嚼する。アルマに頭を撫でられると勝手に羽と尻尾が揺れてしまい、アルマの微笑みをより深いものにした。

「サク、美味いか?」

「ん」

ハムスターのように頬を膨らませ、もぐもぐと口を動かしている俺は間抜けではないだろうか。

「んっ、んん……」

分かりやすく喉仏を動かしてアルマに食事を見せつける。粘っこい精液ののどごしは悪いが、粘膜に絡みつく感覚こそ俺は好きだ。

「サク……」

ぷはっ、と大きく口を開けて精液臭い息を吐いていると、アルマに抱き寄せられた。たくましい身体に密着する安心感と、大好きな男の胸の中にいるときめき、二つが重なった俺の心音は不安定になる。

「可愛いな……もう二度と、お前を離さないからな」

色々と思い返しているのだろうアルマの目は微かに潤んでいる。微笑みを返した直後、俺の腕をカタラが掴む。

「そりゃ困るぜアルマ、サクはお前だけのもんじゃねぇ」

「……サクはそもそも物ではないし、俺の妻だ。離さないとはそういう意味ではなかったが、そういう意味にしたくなってきたな」

「アルマぁ……」

「ふふ、分かっているよ。さぁ……食べさせてもらっておいで」

嫉妬しているくせに、アルマは俺から手を離した。この場にいる男の中では俺を抜いて二番目に非力なくせに、カタラは俺を引っ張って抱き締める。まるで獲物を巣に運ぶ動物だ。

「サークっ、次は俺でいいよな?」

「最後がいいんじゃなかったの?」

「お前のエロい顔見てたら我慢できなくなってきた」

「ふーん……? で、も、カタラは最後ってもう決めちゃったからダーメっ」

「ぅえぇ……マジかよ、意地悪してくれるじゃん」

マンドラゴラを常食しているカタラの精液は段違いに美味い。飲めば理性が飛んでそれ以外求められなくなるだろう、だから最後に相応しい。

「シャル、お前はどうしたい?」

「そうですね……髪でして欲しいです」

「髪コキがいいのか? うーん……別にいいけど、出来るかなぁ。俺髪短いぞ。あんまり気持ちよくはなさそうだし……口とかオススメだぞ?」

「髪がいいんです」

なんなんだそのこだわり。まぁフェラよりずっと楽そうだしいいか……と頷くと、シャルは俺に正座をするよう言ってきた。

「これでいいか?」

「はい、動かないでくださいね」

シャルは俺の真後ろに立ち、俺の肉欲を煽るベルトを外す音を聞かせてくる。

「うん……ぁっ」

ぽすっ、と頭に巨根が乗せられた。重みを感じる。

「兄さんの髪、サラサラしてます」

シャルは両手で俺の髪を梳いて自らの陰茎に絡ませている。髪を引っ張られる感覚は僅かで、シャルに快感を与えられている気もしなければ俺も気持ちよくない。

「シャルぅ……本当に髪でいいのか?」

「はい、気持ちいいですし興奮してます」

「ならいいけどさ」

頭に陰茎を擦り付けられているところを見られているのも恥ずかしく、俺は頭羽で顔を隠してしまった。

「はぁ……兄さんっ、ちょっと位置変えますね」

「あぁ、好きにしていいぞ。フェラへの変更も受け付けてる」

シャルの陰茎が頭頂部から側頭部へと擦り付ける場所を移す。巨根は尖った耳の先端を掠り、くすぐったい快感を与える。

「んっ、んゃっ……ぁうっ、シャルぅ……」

くすぐったさに耐え切れず頭を横に傾けて逃げると、シャルは俺の頭羽を掴んで頭の位置を戻した。

「動かないでくださいね」

俺の顔を覗き込んで柔らかな微笑みを浮かべる。頷くとシャルはまた移動した。

「前髪使わせてくださいね、兄さん」

「いい、けどさ……」

シャルは俺の前髪をめくって自らの巨根を俺の額と俺の前髪越しの自身の手に挟んだ。強い雄の匂いが垂れてきて下腹が疼く。

「シャル……なぁ、シャルっ……舐めさせてくれよ、頼むよ……」

「出そうになったら咥えてもらいますよ」

先走りの汁が額と髪に塗り込まれているのが分かる。ぐしゃぐしゃになっていく前髪に陰茎の匂いがついていくのが分かる。

「…………ん」

舌を真上に突き出してシャルの陰茎を舐めようとすると、その舌の先端をきゅっとつねられる。

「お行儀が悪いですよ、兄さん」

「んぅう」

「そんな不満げに言ってもダメです」

シャルは陰茎を髪から離し、俺の鼻の真下に亀頭をペちんと優しく叩きつける。掴まれたままの舌をぐにぐにと動かして舐めようとするも、無駄だ。

「ひゃうぅ……」

「あぁ、すいません……髪の約束でしたね」

舌を離すと同時にシャルは陰茎を俺の頭頂部に戻した。舐めるチャンスを失った舌を口内に戻し、無意味に巻いたり上顎を舐めたりして誤魔化す。

「ぅー……」

もう少しで舐められそうだったのにという悔しさ、そして間近で嗅がされた陰茎の匂い、顔に塗られた先走りの汁の匂い。それらから発情した俺は自然と自身の股間に手を向かわせる。

「んっ……んん……」

ジーンズ越しにぐっぐっと陰茎を押し、快感を得る。しゃぶりたいという欲を何とか誤魔化せそうだったのに、手首にシャルの尻尾が巻き付いて止められてしまった。

「動いちゃダメですよ、兄さん」

「いじわるぅっ」

「可愛いお顔です……本気でなければ兄さんに睨まれるのもイイものですね」

正座をした膝を掴むように手を置くと尻尾はほどけて、肉浴という名の熱が再び腹の底に溜まり始める。

「シャルぅ……はやくっ、はやくイってよ……」

「そんなこと言われても……兄さんの髪、興奮はしますけど刺激は弱くて」

「だからしゃぶらせろって言ってんのにぃっ!」

「そう怒らないでください」

頭羽の付け根にカリを引っ掛けるように腰振りを変える。頭羽を弾かれる微かな振動は頭蓋骨に伝わり、脳を優しく犯されているような訳の分からない快感を得る。

「ぁ、あっ……それっ、やだぁ……飲ませて、イってよぉ……」

俺は精液を飲みたいのか? アルマの精液でもう十分腹は膨れたのに? あの匂いを嗅いだら仕方ない? みんなから搾精しなければ不平等? 全部違う。
俺の本当の望みは精液を飲ませてもらうことじゃなく、しゃぶらせてもらうことでもない。

「シャルっ……それで、俺のお尻犯してよぉっ」

せっかくガチガチに硬くなってくれた陰茎があるのに、後孔を掻き回してもらわないなんてもったいない。

「兄さん、お口開けてください」

「お尻に欲しい……」

「飲みたくないんですか?」

「のっ、飲む、やだ飲むぅっ!」

シャルは最近めっきりヤンデレらしさを出さなくなった。俺が本番を望んでいるのに、ホテルのルール如きに縛られている。

「ぁむっ……んっ、んんんっ!」

精液を味わいたくて先っぽだけ咥えさせてもらったのに、シャルの射精は勢いがよくて喉奥をどどどっと叩かれてしまった。味わう暇もなく八割方が胃へと滑り落ちたが、残った二割を俺は大事に咀嚼した。

「美味しいですか? 兄さん」

「うんっ、コクがあって、甘くて、すごく甘くてっ……美味しい!」

大味なアルマの精液と違い、シャルの精液には繊細な甘さがある。ネメスィはピリピリとスパイシーだし、カタラは旨味の暴力だ。唯一の人間である査定士の精液は残念ながらそして当然ながら良くも悪くも普通過ぎる。

「次はネメスィさんですか? それともおじさん?」

「私は今日はもう満足だよ。髪に押し付けるだけであそこまで発情させられるなんて、流石だね」

「ふふっ……ありがとうございます。ではネメスィさんですね、ネメスィさん、分かっていると思いますがこのホテルではセックス禁止ですからね」

フェラはセックスの一部なのではないだろうか、セックスとは挿入行為のみを指すものなのだろうか、そんな疑問を抱くほど俺の頭は冷静ではない。

「ネメスィなの……? はやくぅ」

どうせ後孔をほじってはくれないのだと半ば拗ねつつもネメスィにねだると、彼はとんでもない要望を口にした。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...