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羞恥心はスパイスに

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優しい水色のジャケットは薄く、俺には大き過ぎて浴衣のように着れてしまう。折りたたんでいた長過ぎる袖を伸ばして萌え袖にし、肩が露出するようにはだけさせる。

「……アルマ、しよ?」

彼シャツに萌え袖、はだけた服、数秒でここまで男がグッとくる要素を詰め込んだ格好に変わるなんて、自分で自分が恐ろしい。

「…………いいのか? ここは外だぞ、今は空だが子供と遊びに来た公園だ」

「……したくないの?」

「そうじゃない、その……いつもより恥ずかしがりになっているんだろう? 平気なのか?」

アルマに確認された場所の問題、そして子供が近いという問題、その二つは服装以上に俺の羞恥心を煽る。誘惑している自分も、それを指摘されたことも、それらを恥ずかしがることに興奮していることも、俺の羞恥心をどんどん膨らませる。

「……耳まで真っ赤だな。やはり恥ずかしいんだろう。その思い込みが取れるまではやめておこう。サクに苦痛を味合わせたくない」

袖越しに自分の頬に触れる。薄手のシャツは易々と俺の頬の熱さを手に伝えた。この熱さなら顔は本当に真っ赤だろう、そんな顔をアルマに見られているなんて──あぁ、全てが恥ずかしさに繋がってしまう。査定士め厄介な思い込みをさせてくれたものだ。

「ほら、樹液のミニボトルを買っておいたんだ。サクやシャルが腹を減らした時にと思って……緊急用にな。今がその時だ。さ、飲め」

アルマは彼の手のひらに収まるサイズの樹液が入ったボトルを渡してきた。受け取ったそれは重い、500ミリは入っているだろう、どこがミニだ。

「……やだ」

「サク? どうして……」

「アルマ、俺……今すごく恥ずかしいの」

「あぁ……だから、しないでおこうと言っているんだが」

本当に何も分かっていないらしいアルマは俺を見つめたまま首を傾げた。

「恥ずかしいってことはさ、その……興奮する、だろ? 普段でもそうじゃん! アルマの前で足開いたり……アルマに色んなとこ見られたり……恥ずかしいのって、興奮するじゃん」

こんなことを説明する恥ずかしさもまた、興奮に繋がる。

「でも、でもな? お、夫を誘ったのに……乗ってきてくれない、恥ずかしさは……興奮する恥ずかしさじゃない、種類が違う……悲しい」

「か、悲しい!? すまない、違う、サクのせいじゃないんだ」

「俺のこと考えてくれてだもんね……でも、肩出したの意味なかったのかぁーって考えたらもう顔が熱くて熱くて……ぅぅ……埋まりたい」

「えっ、ぁ、えっと……あ、穴を掘ろうか!?」

天然ボケにもほどがあるだろう。多少下品な再利用をさせてもらうか。

「……うん。じゃあ……アルマのこのおっきな手で、俺の穴……ほじほじしてくれる?」

「…………サクが本当にして欲しいのなら、俺に断る理由はない」

アルマの表情に余裕が戻り、片手で俺の腰をしっかりと掴む。もう片方の手は薄手のジャケットを開き、デニム越しに太腿を掴んで揉みしだく。

「んっ……」

「……音は上に響くと聞くからな、あまり大声を上げると子供に聞かれてしまう。気を付けろよ、サク」

「アルマが何とかしてよぉ……」

「善処しよう」

腰を掴んでいた手が頬に、太腿を揉んでいた手がベルトに向かう。

「んむっ、んん……?」

頬を指で挟むように撫でながら、親指で唇をなぞられ、そのまま親指を咥えさせられた。

「んん……にゃに?」

アルマの親指は俺に比べれば太く長くたくましく、人間の平均的な陰茎のサイズはある。しゃぶるのにいいサイズだ。

「善処、だ。サクが顔を離したり、こうしていても意味がないくらいの大声を出すなら無意味……まさに善処だろう?」

「れんしょ……てきとーなたいひょって意味らないろ。てきへちゅなたいひょって意味らろ」

「ふふっ、何を言っているか分からないな」

デニムには尻を出す仕掛けかあるのに、アルマはわざわざベルトを外してデニムを太腿まで下ろした。

「んぅ……」

ぷるんと揺れて貧相な陰茎が飛び出す。恥ずかしいからとタイトなデニムに目立たないようサイズを小さく変えていたのが裏目に出た、小さなモノがぷるぷる揺れているなんて情けないことこの上ない。

「……サク? どこを見てる」

俺の視線が自分の顔に向いていなかったのが気に入らなかったらしく、親指を咥えさせている手で顎をの位置を変えた。

「もしかして、これが見たかったのか?」

俺のデニムを下ろした手で自らのそれと下着もズラし、準備万端の巨根を見せつける。

「ふっ……目の色が変わったぞ、サク」

「んっ……んん……」

自然と腰を突き出してしまう、情けない恥ずかしさを味わいたいがために小さなサイズを保っている陰茎が、アルマの巨根にぺちんと触れる。

「んっ……!」

「焦るな、サク。大丈夫、ちゃんとする……」

俺はきっと快楽が欲しかったのではない。陰茎のサイズを比べて打ちのめされて、屈服したかったのだ。

「……ゆっくりだ、恥ずかしがりたいんだろう?」

アルマは陰茎を丸出しにしたまま今度は俺のシャツをめくった。アルマに貸してもらったジャケットを羽織ったままなのに、胸元しか隠せないシャツから胸まで出された。

「普段より恥ずかしく思いやすくなっているということは、恥ずかしいと興奮するサクにとって、感度が上がっているのと同じ……ということだよな、ようやく理解したよ。緊急用の樹液を飲めなんて、すまなかったな」

「んっ……!」

腰を抱かれて引き寄せられ、陰茎どころか下腹にアルマの巨根が押し付けられる。親指を咥えさせられたままで垂れてしまった唾液を舌で拭われる。

「んっ、んん……んんぅ……」

「甘い……サク、もっと恥ずかしくしていいか?」

「…………ぅん」

小さく頷くと腰を抱いていた手が肩甲骨へと登り、その出っ張りとへこみを丁寧に撫でた。ゾワゾワと快感を覚えて仰け反ると一度めくられたシャツが今度は鼻でめくられ、大きな舌が胸を舐めた。

「んっ、んんっ……!」

存在しない胸の谷間を舐め回すアルマの顔は見えない、視界に入るのは深い赤色の髪だけだ。俺から見えないということは、アルマにも見えていないということで、見えていないのに俺の口に親指を突っ込んだままなのかと意識すると何故か昂った。

「んぅっ!?」

谷間や側面ばかり舐めていたから油断していた、とうとうアルマの舌が乳首に触れた。

「ん、ひゃっ……ぁ、うぅっ……ぅあっ、ぁ、ふ、ぅうぅーっ……」

舌の腹でゆっくりと舐め上げられ、舌のザラザラ感を乳首の下側に教えられてしまった。舌先でピンピン弾かれるのも好きだが、こういうのもイイ。

「ぅ、ふぅっ……!」

最後には舌先でピンッと弾かれる。

「ぅあ……ごめん、アルマぁ……指噛んじゃった」

じんわりと迫る快感に思わずアルマの指を噛んでしまっていた、一旦咥えるのをやめて謝罪をする。

「サクに噛まれた程度でどうにかなる指じゃないぞ」

ぐしょ濡れの指がぴょこぴょこ動く。どこを噛んだのか分からない、歯型すらついていない。

「でも……ごめん」

「気にするな、本当に痛みもなかったんだ。もっと噛んでみるか? その方が声を抑えやすいだろう」

「でもぉ……」

「サク、仔犬や仔猫の甘噛みは可愛いだろう? 噛んでくれ」

俺の顎の力はアルマにとっては幼い小動物か。ショックなような、安心なような、屈服感に興奮するような、複雑な気分だ。

「ぁむっ……ん、む」

「……もっと強く」

「んん~……!」

申し訳なく思いつつもアルマの頑丈な皮膚なら大丈夫だろうと思いっきり噛み付き、離した。

「どう?」

「可愛かったぞ」

相変わらず歯型すらつかない指に、今度は憎らしさを込めて噛み付いた。
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