上 下
515 / 604

獣になろうとも

しおりを挟む
触手で弄ばれた疲れも癒えてきた。一日しかないのだし、時間の浪費は出来ない。そろそろ再開しよう。

「ねーめしすっ」

「サク、もう大丈夫なの? ごめんね、やり過ぎたよ」

「いやいや、気持ちよかったよ。触手プレイはあのくらいハードじゃなきゃな」

「そう……? 機嫌を損ねてなくてよかった」

花がほころぶような笑顔からは先程の鬼畜な責め方は想像も難しい。

「で、考えてきたプレイって何だ?」

「あぁ、獣姦だよ。魔神王様と話してる時に思ったんだ、雄狼になって君を抱いてみたいなって」

そういえば魔神王の妻は狼を主としたキメラだったな。魔神王と猥談でもしていたのか?

「馬とヤったことはあるけど肉食獣はねぇなぁ……」

「やっぱり獣なんて嫌かな?」

「ゃ、別に……面白そうじゃん。まぁ狼じゃ馬は超えねぇよな、別にデカいとも何とも聞かねぇし」

「ふふ、イヌ科を舐めちゃ魔神王様に殺されるよ」

厳しいな。

「獣姦かぁ……せっかく会えたのにって感じもするけど、ま、どんな姿でもネメシスはネメシスだよな。今の美人さんな顔も好きだけど、どんな可愛い犬になってくれるんだ?」

「狼だってば」

「一緒だろ。っていうか……そんなに元の形離れて大丈夫なのか?」

「この姿に戻れるのかってこと? 設計図は脳に残してあるから大丈夫だよ」

不定形の彼に元の形というのも不適切だったか。大丈夫と言う割にはしょっちゅう人の形から外れているが──まぁ、設計図なんて定期的に確認するものでもないし、いいか。

「じゃ、変身するね」

「あぁ……おぉ、溶けた……お、犬っぽくなってきた……お、もふもふしてきた、毛は金色か」

粘土細工の制作を早回しで見ているような気分だった。
プレイの際には触手を生やすくらいしかしていないが、ネメスィもこんなふうに他の生物に変身できるのだろうか? プレイの幅が広がるな。あぁ、またネメスィのことを考えてしまった、今はネメシスとの時間なのに。

「ネメシス……? 会話は出来るか?」

金色の毛では狼と言うより狐だ、大型犬にも勝る巨体のおかげで狐らしさは薄れているけれど。

「…………ゔぅ」

「声は出せない感じか、声帯まで犬にしちまったんだな」

「ぐる……」

「狼だってか? どっちでもいいじゃん」

「わん!」

「犬じゃん……」

会話は出来ないらしい、魔神王の妻は普通に人語を操っていたからネメシスもそのタイプに変身するのだと思っていたけれど、目と毛が金色なだけでただの獣だ。

「もふもふ……ふふふ、毛柔らかいなぁ、気持ちいい……ん、なんだ? 何押して……あぁ、そうだな、セックスするんだよな。犬かぁ……うーん」

イマイチ興奮しないんだよな。馬とヤった時は空腹だったから仕方なかっただけで、俺には獣姦趣味はない。
触ってもふわふわの毛に癒されるだけだし、顔を舐められても懐っこくて可愛いとしか思えない、見つめ合っても「綺麗な犬だな」なんて感想しか出てこない。

「とりあえず……キス」

黒い鼻にちゅっと唇を触れさせる。俺自身の興奮を高めたいから、インキュバスの本能を呼び起こすために唾液が欲しい。

「もっと深いの……ん、毛だらけ。しにくい……」

たふっとした唇らしき部分をはむはむと甘噛みし、口に残る毛の感触や犬臭さに眉を顰める。

「わぅ……」

微かに鳴きながらネメシスが大きな口を開ける。人間の三倍くらいはありそうな口にはズラリと牙が並んでおり、搾精本能より先に原始的な恐怖を呼び起こした。

「舌切りそう……ネメシス、舌出して」

舌の長さは普通の犬と同じだ、口から垂れるほど長い。ぱくんと咥えてちゅうっと吸い、人間の形をしていた頃と変わらない唾液の味に肩透かしを食らう。

「ん……んっ、んん……」

上顎を舐められて鼻から声が漏れる。猫のヤスリのような舌ほどではないが、犬の舌にも突起があるようでザラついていた。

「んっ、やだ、もっと……」

舌を吸われてばかりなのは嫌なのかネメシスは顔を引いてしまった。慌てて人間で言うえらの部分を掴むと、むにょんと皮が伸びた。

「おぉっ……!? おぉー……これは、楽しい」

「ぐるるる……」

「う、唸るなよ……痛いのか?」

痛いわけではなさそうだが、不愉快そうにしているのでここらでやめておこう。顔から手を離すとネメシスは俺の肩に前足を置き、俺を押し倒した。

「……正常位じゃキツそうだな、バックにしようか」

「わうぅ」

どうやら先にしゃぶって欲しいようだ、股間が目の前に来た。慣れない身体だから興奮だけでは勃ちが悪いのはだろうか。

「粗チン……」

金毛がびっしり生えた陰茎はとても短い、身体の割にとかそういう話ではなく、俺の指よりも短い。

「おっきくなるのかこれ……ぁむ、ん、んん……」

あまり毛が生え揃ったものをなめたくない、俺は陰茎の先端の毛が生えていない僅かな部分を舌でくすぐるように愛撫してやった。

「ん、んっ……ん……?」

大きくなってきた。毛の生えた陰茎の先端からむくむくと毛が生えていない普通の陰茎が現れた。まるで風船が大きくなっていくようだった。

「えっ……じゃあこれ土台? カバー……?」

通常時と勃起時のサイズ差は人間とは比べ物にならない、長さも太さも倍以上になっている。毛の生え揃った部分がペンライトの持ち手のようだ。

「これならよろこんでしゃぶる……ん? 何だこれ」

陰茎の先端はも亀頭だからちろん少し膨らんでいるのだが、それに加えて根元の方もぼっこんと膨れていた。まぁ獣だから人間と形が違ったからと言って不思議がる必要はない。

「わん……わぅ、ぐるる……」

「ん? あぁセックスしたいんだな。バックでいいよな?」

四足歩行の獣の下でうつ伏せになって尻を突き出しながら、俺は言いようのない背徳感に支配された。

「んっ、ん、んん……入れにくい? はい……ぃっ、あっ! あぁんっ!」

後孔にずりずりと陰茎が擦り付けられた、 上手く挿入出来ないようなので俺自身で尻肉を掴み、穴を広げて挿入させた。今のところ人間に抱かれるのと変わらない、問題は根元の膨らみだ。

「ん、ぅうっ……! そこもっ、入れるの……? 分かった、してっ、思いっきり……!」

陰茎の根元の膨らみが後孔に押し付けられる。インキュバスの柔らかい身体はそれを受け入れ、その膨らみに前立腺を押し潰されて射精した。

「おっ……!?」

「ぐる……ぐるっ、ぐるるぅっ」

「待っ、待っひぇえっ! 今なんか変っ……んあぁっ!?」

ぐぽんっ……と陰茎の根元の膨らみが抜ける。しかしすぐに挿入され、後孔は開いたり半端に閉じたりを繰り返す。その度に前立腺を押し潰され、同時に胃の底も叩かれ、俺は低い喘ぎ声を上げる。

「んゔぅっ! ふっ、ぐぅっ……イぐぅっ! ぅ、ああぁあっ、イくっ、イぐうっ、イっぎゅうゔぅっ!」

結腸と前立腺を同時に殴られているようなものだ、すぐに連続絶頂にハマり、腹に鉛を入れられたような重い快感はどんどん膨らみ、俺のは瞼の裏に星々が瞬いた。

「イぐっ、ぅうっ、ぁひぃっ!? イっ、あぁああっ! はっ、あぁああっ……ィぐぅっ、んゔっ……根元のっ、ぼこってしたのやばいぃ……ィひぃっ!?」

腸壁を擦られていることになんて反応できないほどの快楽の中、ネメシスは俺の最奥を突き上げて射精を始めた。

「ぅあっ、あぁああっ!?」

根元の膨らみが更に膨れ、常に前立腺が潰されていることになった。当然強い快楽に常に襲われることとなり、ダラダラと情けなく精液が垂れた。

「ぁ、あっ、あぁあっ……!? 多いっ、多いってぇっ!」

どぷどぷと流し込まれる精液の量は人間とは比べ物にならない、犬は射精が長いタイプの動物らしい。

「は、ぁゔ……うぅ、おなかいっぱい、破裂するって、そんにゃにいらないってぇっ……!」

満腹を超えても尚射精は止まらない。俺は腹が妊婦のように膨れるまで解放されることはなかった。ようやく終わったかと思えば体位を超えての二回戦が始まり、俺は腹が破裂する自分の姿が想像出来た。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

処理中です...