上 下
476 / 604

旦那様の選択は

しおりを挟む
弟の精液を口に含んだまま夫の膝に乗って微笑むなんて、俺は一体何なんだ。そんなふうに冷静に考えられるほど脳みそは冷めていない。

「サ、サク……」

微笑む俺に赤面したアルマの愛撫はぎこちない。未だに俺に緊張してしまう夫を可愛らしく思いつつ、俺の頬を包むように撫でる大きな手に手を添える。

「…………可愛い」

手の甲に浮いた筋を辿るように指を動かしていると、アルマがぽつりと呟いた。俺に聞かせる訳ではないその小さな声にときめき、下腹が疼く。

「サク、その……」

「ん?」

精液を咀嚼中の俺の頬はぷくっと膨らんでいる。俺の肩と後頭部に手を移したアルマは、唇で俺の頬を愛撫し始めた。

「んぅう……」

大きな口が唇だけではむはむと噛み付いてくる。大きな手に頭を包まれた時もそうだったが、捕食されそうな雰囲気がたまらない。アルマはそんなことしないと分かっているけれど、顔からむしゃむしゃと食べられてしまう妄想がやめられない。

「……その、なんだ、サク。本当に何ともなかったのか? ほら……ネメスィ、との」

まだネメスィが俺を乱暴に犯したことを気にしているのか。

「んん、んぅう……ぅ?」

「…………何を言っているのか分からない」

ねとっとしていた美味しい精液もそろそろ唾液が混じってしゃばしゃばになってきた、ごくんと精液を飲み込み、そののどごしのよさに吐息を漏らす。

「ん……ぁ、ごめんねアルマ、口……精液臭くない?」

「大丈夫だよ、それより……聞かせてくれるか?」

「うん、ネメスィに乱暴にされるの俺好きなんだ、気持ちよくて。傍から見るとどうか知らないけど、ネメスィ気遣ってくれてるから本当に痛いことはしないしね」

「……サクがいいならいいんだ」

よくなさそうな顔をしている。そんな優しいアルマには、ネメスィとの激しいプレイよりアルマとの普通のセックスの方が身体に負担が大きいなんて、絶対に知らせられない。

「それより、アルマは何させたい? 俺に何して欲しい?」

「可愛い妻に何かをさせるなんて、それを強いるなんて……俺は」

「大好きな夫の好きなことしてあげたいの。可愛く思ってくれてるなら、妻のワガママ叶えて?」

そっと手を下ろし、アルマの陰茎を服越しに撫でる。既に硬く膨らんでいるそれは俺の愛撫にビクビクと反応している気がした。

「アルマのここ……どうすればもっと大きくなるかな、俺が何すればアルマはもっと興奮してくれるかな……ね、教えて?」

既に挿入に耐えられる勃起の度合いではあるが、俺は血管を浮かせて先走りの汁をダラダラと溢れさせる限界寸前の陰茎が見たい。

「俺のどこか触る? それとも……俺が一人でするとこ見たい? ねぇ……旦那様、俺、何すればいいかな」

頭羽を揺らしながら吐息混じりの声で誘う。後頭部を支えていたアルマの手が腰に降り、腰羽の付け根の真ん中をつぅっと撫でられる。

「さっき……シャルに擦られて、焦らされていただろう」

背骨から降りて尻尾の付け根をきゅっとつままれ、そこからまた降りて尻の割れ目に中指が挟まれる。

「ぁんっ……! ん、んん」

「入れて欲しそうにしていたから、入れてあげたいと思っていたんだ」

「ん……でも、ここ、セックス禁止だから……ひゃんっ!」

硬い生地のはずのジーンズも、アルマにとっては薄布と変わらない。俺のために深爪になった中指はジーンズ越しに俺の後孔を押している。

「ん、ぁん……んんっ、アルマぁ……」

シャルに陰茎を擦り付けられて焦れていた後孔は緩んでいて、ジーンズ越しなのにアルマの中指に媚びようとする。

「そんなっ……ふうに、しちゃあ……俺、おなかきゅんきゅんしちゃう……」

布の裏はザラザラとしており、後孔の縁と擦れると刺激が強い。

「……入れてもいいかな? サク。俺の指なら……人間程度の満足感はあるだろう」

アルマは片手で俺の頭や尻を鷲掴みに出来る。その指は太く長く、ゴツゴツと骨張っている。人間の陰茎の平均サイズはあるだろうし、それが関節を持って曲がるのだ、人間に抱かれるよりも快感を得られるかもしれない。

「…………して?」

尻尾の先端を引っ掛けてジーンズの留め具を外し、尻を隠していた布をぺろんとめくった。シャルに素股をした時にも使ったジーンズの仕組みだ。

「……ぁああんっ!」

アルマの大きな指がぬぷんっと後孔に入る。

「あ、ぁっ、はぁああんっ……! しゅご、ぃいっ……おっきぃ、アルマぁ……」

「……気持ちよさそうな顔だな」

「きもちぃもん……」

ザラついた皮膚が腸壁を擦る、関節の膨らみがひだを弾く。

「ぁあんっ! ぁ、ひんっ! んん……!」

「……すごいな。ぬるぬるとしていて、柔らかく温かく……やはりサクの中はいい、爪を切ってよかったといつも思うよ」

「は、ぁ、あぁっ、アルマの指すきぃっ! 俺もぉっ、爪切ってくれて、嬉しかったぁっ、ぁんっ! ん、でもぉっ、爪長かったアルマもぉ、かっこよかった……ぁっ!」

「……嬉しいな。俺なんて怖いだけだろうに、サクはいつもカッコイイと言ってくれる……嬉しくてどうにかなってしまいそうだよ」

俺の肩を抱いている太い腕の力が強まる。多幸感が強まり、アルマの指を強く締め付ける。

「ん、んんんっ……アルマ、すき、すきぃ……」

顔を胸に押し付けているからアルマの匂いも体温も伝わってくる。抱き締められている安心感と後孔を掻き回されている快感が重なり、頭がぼんやりと幸せに支配される。

「しゅ、きっ……すきぃ、すきっ……」

「……ふふ、可愛いな、サク。やはり夫と他の男は違うか?」

「んだよ嫌味ったらしいな。お前そういうとこあるぞ」

「お義兄さん、ちょっと腹黒ですよね……」

「誰が言ってんだ」

「……どういう意味ですか?」

カタラとシャルが喧嘩を始めそうな気配があるが、査定士がいるし平気だろう。俺はそれよりもアルマへの愛しさを表すのに忙しい。

「はむ、ん、んんんっ……!」

分厚くザラザラとした肌に唇を吸いつかせる。どれだけ吸っても跡が出来たりはしない、丈夫な肌が頼もしく寂しい。

「……サク、俺のも」

臍に触れそうなほど勃起している陰茎を腹に押し付けられる。俺は両手を下ろしてアルマの陰茎をきゅっと握る。

「直接……」

髪に埋まった唇が熱っぽく囁く。

「ぅんっ、ん……!」

返事をしながらアルマのズボンの留め具を外し、下着をズラして陰茎を露出させる。途端、蒸れた雄の匂いが立ち上り、アルマの指を締め付けて絶頂を迎え、彼の腕の中でビクビクと身体を震わせた。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

処理中です...