上 下
333 / 604

遠慮なんて必要ない

しおりを挟む
ベッドがギシギシと壊れそうなくらいに軋む。しかし、そんな心配になる音よりも俺の嬌声の方が大きく、ベッドに頭をつけている俺にしか軋みは聞こえていない。

「あっ、ぁああっ! ィっ、くぅううっ! ぁ、ふ、ぁっ、イくっ! ゃああぁあっ……イってるのにっ、イってるのにぃっ、イくぅぅっ!」

陰茎に腸壁が削り取られていく、そう錯覚するほどの極太の肉棒。硬いそれは俺の腹を突き上げ、傍から見ても分かるほどに俺の腹を歪に膨らませる。

「旦那! 術出来た、一旦どけ!」

「お義兄さん、作り立てなので不安定で……お義兄さんの胸に暴発してしまうかもしれないので!」

カタラとシャルがほのかに輝く魔力の糸を指に絡めて術を作り、慎重に寄ってくる。あやとりの最高傑作と言われても信用するだろう見事な糸の立体だ。

「んっ……ぁ……? イくの、とまった……」

アルマは一旦腰振りを止め、上体を起こした。

「……まだ範囲入ってるな」

「お義兄さん、申し訳ありません……ベッドから降りてください」

アルマは一瞬顔を顰めたが、シャルのすまなさそうな顔を見てため息をつき、俺から陰茎を引き抜いてベッドから降りた。

「ひぁああんっ!? ぁ、あっ……また、イったぁ……」

カリに腸壁が引っかかり、内臓を引っ張り出されるような感覚があった。決して苦痛はなく、腸壁を擦られる快楽だけがあった。

「ぁ……母乳、出ちゃってる……」

絶頂の余韻に浸る俺の両乳首からぷしゅっと母乳が噴き出した。もう雄だと名乗れない改造された身体を憂い、ベタつく胸を撫でる。

「兄さん、少し手をどけてください」

「ん」

「ありがとうございます」

魔力の糸で作られた魔術陣が俺の胸に乗る。カタラとシャルが同時に手を離すと魔力の糸は俺の胸に吸い込まれ、奇妙な図形を描き、それも消えた。

「……見た目は変わらないんだな」

アルマがぬっと顔を覗かせる。

「陣を浮かべておいて欲しけりゃそうするけど、ハート模様とかじゃなく幾何学模様だからな。あんまりエロくも可愛くもないと思うぜ」

「そうか……このままでいい。ありがとう」

「お前のためじゃねぇよ、サクは俺のもんでもあるんだからな」

「俺は夫だが?」

俺には優しく微笑むばかりの強面がこの上ないドヤ顔を披露する。カタラと軽口を叩けるような友人関係を築けたのだと察し、胸が温まる。

「ムッカつく! おい、シャル、お前も何か文句言えよ」

「お義兄さんに失礼なことを言うのは気が引けますが……夫なんて、儀式を越しただけで所詮は他人です」

「よしよしもっと言え!」

「血を分けた兄弟が一番です」

「お前っ……自分を推すために、ちくしょう……悔しいが俺は本当に他人だし、反論はないぜ」

くだらない茶番をずっと見ていられるような空腹ではない。俺は二人の会話を勝ち誇った顔で眺めているアルマの人差し指を掴んだ。

「アルマぁ……続き」

「あぁ、サク、もちろんだよ。俺を選んでくれてありがとう」

赤子が親にするようにきゅっと握っていた手を離し、アルマに胴を掴まれる。インキュバスの前立腺はただでさえ大きいのに、勃起したまま射精を禁止されているからか普通よりも張っていて、すぐに感じてしまう。

「ひぅっ!? ぅ、ぁっ……アルマぁっ、おなかきもちぃ……」

「サクは本当に腹を圧迫するのが好きだな。俺はやはりサクを潰してしまいそうで怖くて……こうしようか」

アルマは俺をベッドにころんと転がした。仰向けになった景色にはアルマが居ない。少し寂しくて羽を揺らす。

「……入れるぞ」

「あっ……!」

背後に体温を感じて孤独が消える。俺の体を裂くように後孔を満たしていく肉棒の熱が愛おしい。

「ひぎっ……! ィっ、あぁっ! アル、マぁっ……おなかっ、おなかがぁっ、アルマのとっ、ベッドにはしゃまれてっ……これっ、しゅご……!」

根元まで挿入されたアルマの陰茎は俺の前立腺も精嚢も押し潰してしまう。しかし、伸縮性の高いインキュバスの身体は何だかんだ圧迫から逃れてしまう。けれど今は状況が違う。

「ぁ、あっ、ぁああっ、つぶれっ、てっ……ひっ! にげるとこ、な、ぁっ……ぁああっ!」

ベッドに腹をぺったりつけているから身体の伸縮性なんて関係ない。アルマの陰茎が内側から俺の腹を歪に膨らませても、その膨らみはベッドに押し付けられて潰されていく。

「……あぁ、ベッドの感触が俺にもある。これ以上進むなと言われている気分だな、ノックでもしてみるか?」

「の、く……? ぁ、してっ、して、アルマぁっ、いっぱい叩いてっ!」

内臓を引きずり出すように抜けていく陰茎が息つく間もなく奥へと進み、どぢゅっと俺の弱点を潰しながら押し回す。

「ぁ、ひぃいいっ!? イぐっ、イぐぅうぅっ! ゃ、あっ、むりっ、むりぃっ、イくっ、イっでりゅぅうっ!」

最奥まで突き入れてはぐりっと一旦腰を回す。そんな今までとは違う掘削が繰り返される。どぢゅどぢゅではなく、どぢゅ……ぐりりっ、どぢゅ……ぐりりっ、って感じ……? あぁ、ダメだ、オノマトペなんて考えている暇がない。

「イぐぅっ! イっ、ぁああっ! ぐりぐりらめっ……ひぃいんっ! ぁ、あっ!? んぁああっ!」

快楽のあまりシーツに爪を立て、悲鳴なのか嬌声なのかも分からない大声を上げ続ける。嬉し涙で顎まで濡らし、自分の涙の味を知る。

「ひぐっ! ぁううっ……ぁああっ! あっ、ぁ、ああっ!」

とうとう意味のある言葉を叫べなくなって、突きに合わせて叫ぶだけの玩具のようになってしまう。

「はぁっ……サク、そろそろ」

「んっ、ゔぅっ……ぁああっ!? ぁ、ひっ……ん、んん……ぁ……おい、し」

飢えていた身体にアルマの精液が染み込んでいく。巨根に見合う量の精液を全て吸収し、体力が戻った俺は上機嫌に羽を揺らしてアルマの身体をペちペち叩く。

「おいひかっひゃぁ……アルマ、ありぁと」

「まだ欲しいだろう? いくらでも飲ませてあげるよ」

「ん……アルマの顔見たい」

射精を終えても勃起を維持した陰茎を挿入したまま、アルマは俺の身体を半回転させた。

「ひぅうぅっ!? おなかっ、ねじれっ、ぁああっ!」

「……これでいいかな?」

「ぁ、あっ……ぁ、あぁ……」

「…………返事は出来ないかな」

絶頂の余韻でビクビクと痙攣する俺の腹を優しく撫でる。

「すごいよ、サク……俺の形に膨らんでいる」

俺という分厚い皮を被った自身の陰茎を緩く握り、興奮した笑顔を俺に見せる。

「ぁ、ひっ!」

「このまま扱こうか」

俺の腹にぼこんと浮き出た歪な膨らみ。それはアルマの反り返った陰茎が体内から俺の腹を押し上げている証だ、アルマはそれをぐっと掴んで圧迫した。

「ひぎゅぅうっ!? ゔっ、ぁ……ぁあっ……!」

前立腺などが潰され伸ばされているその膨らみは非常に敏感で、アルマがそれを扱き始めると俺にはもう絶叫以外の行動は許されなかった。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

処理中です...