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自分が居ないとダメ、そんな子可愛いに決まってる

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ニヤニヤとムカつく笑顔を崩さない『俺』に苛立ちが溜まっていく。癒されるためにシャルに視線を移すが、虚空を見つめて動かないシャルを見ても胸が痛むばかりだ。

『……あぁ、シャル。俺が放っておいたからこんなに憔悴して……可愛い、なんて可愛いんだ、どう慰めようかな、何を言ったらどんな顔をするんだろう……』

「やめろよっ!」

『心の声をアテレコして何が悪い』

自分の本心というのは最も分からないものかもしれない。俺は確かに憔悴したシャルに胸を痛めたはずなのに、『俺』のアテレコにも同意していた。

「き、消えろっ……俺が作っちゃったんなら俺の願いで消えろよ!」

『あぁ、お前の望みひとつで俺は消える……でも、心の底ではまだ消したくないみたいだな』

シャルへの感情はともかく『俺』には苛立ちしか覚えていないのに、消したくないなんてそんなはずはない。

『……仔犬ってさ、ついてくるじゃん。ちょこちょこ走ってさ……アレ可愛いよな』

「急に何の話だよ……まぁ、そうだな、可愛いな」

『すぐに抱き上げて撫でてやればいいのに、仔犬はそうして欲しいのかなーって思ってるくせにさぁ……小走りで逃げて、追いかけてくるのを楽しむよな?』

まぁ、最終的には抱き上げるとは思うが、少しくらいは逃げてみるかもな。なんかムカつくけど頷いておくか。

『…………シャルにもそれをしてる。最後はちゃんと向き合ってやるけど、しばらく放ったらかしにして寂しさを溜めさせてるよな。わざと煽って激しく抱かせてるんだ』

「そんなこと……」

『なぁ淫乱、シャルを迎えに来たのは本当だけど、それだけじゃないだろ? 夢の中でどうなることを期待して来た? 言ってみろよ、ちゃんと言ったらシャルも応えてくれるんじゃないか?』

相変わらずムカつく笑顔のまま『俺』は俺をベッドの上に誘った。シャルの隣に膝立ちになり、虚ろな視界を塞ぎ、発情した顔で恐る恐る言葉を発する。

「お、思い詰めたシャルが……俺をっ、手に入れてやるんだって、快楽堕ちさせてやるって、めちゃくちゃに、ぐちゃぐちゃに、夢でしかできない過激なやり方で……お、俺を、犯すのをっ、期待して……来た」

『そうそう……くっ殺展開を夢見てきたんだよなー? 夢だけに。ほら、お前がここで着たいのはシャルが作ってくれた服じゃないだろ?』

服が消え、腕を背中で縛る縄が現れる。腕を縛られた俺はバランスを崩したが、『俺』に支えられて倒れずに済んだ。

『抵抗できない自分を犯して欲しいんだよな、前みたいに』

足の感覚が消え、下を見れば膝上から下がなくなっていた。少し前、イカれた男に足を切り落とされた時の姿だ。

『ダルマ願望とか……ドMにもほどがあるだろ』

「そんな、そんな願望俺にはないっ……!」

『うん、実際は不便だし、シャルだけじゃなく他の男とも色んなプレイしたいもんな。だから……ちょくちょく、気が向いた時だけ、こうされたい』

『俺』の手が足の断面を撫でる。

『MはマスターのMってな、ワガママな淫乱だなぁ?』

『俺』の手が離れると後ろ手に縛られて足も失っている俺はシャルの上に倒れるしかなくなる。頭を置いたのはシャルの太腿の上だ、シャルの股間が目の前にある。

『ほら、したいことしろよ、俺』

『俺』がシャルのズボンと下着をズラして性器を引っ張り出す。非常に小さく調整されたそれを口に含むと、シャルがゆっくりと起き上がって俺を見つめた。

「…………兄さん。今の、本当ですか?」

顔を上げようとしたがシャルは俺の頭を押さえ、性器を大きく膨らませていく。

「びっくりしたんです。急に兄さんが現れて……怒られると思ってたのに、甘やかされて、びっくりして……しばらくしたらまた兄さんが出てきて、びっくりして…………本当、びっくりしっぱなしでしたよ、兄さん達の会話も」

「んっ……んぐっ、ん、ぅっ、ぅゔっ!」

「兄さん……僕のこと、そんなに愛してくれてたんですね。わざと僕に意地悪するなんて……酷い人。ふふ、ふふふっ……ふふふふっ……それも、虐め返して欲しいからなんて! 可愛すぎますよ兄さん、さっそく兄さんの喉を犯して虐めてあげますね」

小さい状態で口に含んでしまったが、喉の奥までくい込んでいくシャルの性器はアルマを上回る。顎が外れてしまう、喉が破れてしまう、それなのにシャルは頭から手を離してくれない。

「あれ……? 最初に出てきてくれた方の兄さんが居ませんね。消しちゃったんですか? まぁ……二人を抱くのは不可能ですし……でも、ちょっと勿体ないですね」

「んぐっ、ん、ゔっ、んゔぅうんっ! んぐぅぅっ……!」

「短い足バタバタしちゃって……息できないんですね、気持ちいいですか?」

「んっ、ん……くぅっ、んぅう……!」

喉を犯される快感で腰が揺れていた、陰茎をシーツに擦り付けて射精してしまった。俺の絶頂に気付いたシャルは俺の頭羽を掴んで勃起したままの巨根を抜いた。

「喉犯されてイっちゃったんですね……気持ちよかったんですか?」

「よか、ひゃ……しゃぅ……」

「シャル、ですよ。僕の名前はしゃぅじゃありません」

ベッドに仰向けにされても俺は動けない。足は膝から上しかないし、腕は背中で縛られている。

「兄さん……足、ない方がいいなんて……そんなふうに思ってたなんて、僕知りませんでした」

「ない方がいいってわけじゃない……ただ、ない時に抱かれたの、あれ気持ちよかったから……再現したかっただけで、ある方がいいのはいいよ」

「ふふ、そんなに必死に否定しなくても、起きたら足ちぎってあげますなんて僕が言うわけないでしょう? 起きたらまず兄さんの靴を脱がして、足を舐めて、足だけでイかせてあげますよ」

起きたら? 起きてくれるのか? よかった……俺の最低最悪な本心もどきも役に立ったのだ。

「ふふ……どこから虐めてあげましょうか。兄さんったら色んなところを尖らせて主張してますね、一番はここがいいんだーって、たくさん……なら、一番尖ってるここですね」

シャルは俺の頭の下に大きな枕を入れ、自分もそれに頭を置いた。俺の顎に手を添えて顔を引き寄せ、耳の先端を口に含んだ。

「ひぁっ……! た、確かに……そこが、一番尖ってるかもしんないけどぉっ……触って欲しいわけじゃ……ぁ、あっ……!」

インキュバスの耳は俗に言うエルフ耳。長く尖っていて口に入れやすい。軟骨だから弾いて揺らすのも楽しければ噛み心地もいい。

「耳、弱いのにぃっ……ぅ、あぁ……ぁ、んんっ! ん、シャルぅ……ね、噛んで、優しく噛んでぇ……ひゃんっ!? んんっ……そぉ、もっと噛んでぇ……」

綺麗な歯に優しく挟まれ、その先で舐められ、耳からくすぐったい快感が広がっていく。

「きもちぃっ、耳きもちぃっ……ぁ、はっ……ぁあっ、きも、ちっ……!」

「……兄さん。兄さんの耳、コリコリしてて噛んでいるのが楽しいです。ずっと噛んでいたいんですけど、そろそろ耳掃除もしないといけませんよね?」

長い舌で耳たぶを弾かれる。

「ひゃいぃっ……! し、してっ……してくらしゃいっ!」

長い舌が細く尖って耳の穴の入り口付近を舐め回す。ぴちゃぴちゃとわざとらしく水音を立て、俺を追い詰めていく。

「ひぁああっ……!? きもひっ……みみっ、みみしゅごいぃっ……ぴちゃぴちゃ、鳴って、あたまひびくぅっ……ぅあっ、ぁああっ……イくっ、こんなのっ、イっちゃうぅっ……!」

「ん、んっ……嬉しい、兄さん……僕が耳舐めただけでイってくれるんですか? 兄さん……可愛くイくところ僕に見せてください」

「ぁああっ……声、やばぃぃっ、息もっ、きてっ……」

膝上で切り落とされた足をピンと伸ばし、腰を浮かせてカクカクと揺らす。ふるふると揺れている陰茎から精液が撒き散らされる時は近い。

「ぁー……むっ」

「ひゃああんっ!」

シャルの小さな口が俺の耳をはむっと甘噛みし、耳だけに与えられた弱い刺激で俺は射精を果たし、自身の腹を白濁液で汚した。
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