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商会に加入する手っ取り早い方法
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ネメスィとの待ち合わせ場所に向かうと樽を積んだ台車を引いている見知らぬ男に抱き締められた。
「……ネメスィ?」
「あぁ、無事だったか? 人間に抱かれたのか?」
髪と目の色が違う、顔の造形も違う、けれど声色と体格と俺を抱き締める腕の強さは同じだ。ネメスィで間違いない。
「んっ……! ん、ぁっ、やっ……ネメスィ、触らないで……」
ローブの上から腰や尻を撫でられ、ピクピクと身体を跳ねさせる。尻尾に入るはずだった神経が再生し、密集していると予想したことを伝えるとネメスィはニヤッと笑って俺の腰を軽く叩いた。
「……っ、んぅゔぅぅーっ!」
絶頂の叫びのための息を吸った瞬間、開けた口に舌をねじ込まれて声をくぐもらされた。タチの悪いイタズラに腰をガクガクと揺らしながらネメスィの胸を叩いて抗議する。
「可愛かったぞ、そう怒るな」
「もぉっ……! イくのも疲れるんだからな!?」
「それで、情報は手に入ったのか?」
査定士の処刑の場所と日程はまだ決まっていないらしい。一ヶ月はかかると言っていたが、魔神王の出方次第ならいくらでも早まる。
俺は査定士の処刑についてが魔神王の返事の後に決まることをネメスィに説明した。
「叔父上が……」
「ネメスィの叔父さんにしてみれば知り合いを殺した奴なんだよな……やめろって言ってくれたりしないよな」
「叔父上に人間が連絡を取ることは不可能だ、俺の父が影武者をしているから……おそらくそっちに連絡が行く。叔父上ならまだしも父には期待出来ない」
前世での俺は比較的良好な家庭で育ったので、両親に期待や信用がないネメスィが悲しく思える。まぁ、叔父が父親代わりならそう悲惨でもないのだろうけど。
「なぁネメスィ、俺もうちょっと潜入してるよ。あの人が……拘留? されてるとことか、そういうの調べる。それさえ分かれば処刑について分からなくたって助けられるよな」
「大丈夫なのか?」
「信用してくれよ、そりゃ戦闘はダメダメだけど……どんな男も惚れさせる自信はあるぞ」
女神に付与されたスキルは動物にも通用した、通用しない人間なんて居るわけがない。
「大した自信だな。だが、一つ条件がある」
「何?」
ネメスィは左手首を溶かしてちぎり、スライム状のそれを俺に渡した。粘液は俺の手のひらの上で固まり、ハトらしき鳥になった。
「最低でも一日一通、無事を報告しろ。もし送ってこなかったら樹液の貯蔵量に構わずお前の居場所に突入する」
「わ、分かった……ありがとう。結構可愛いな…………ん? これ忍び込ませたら情報盗めるんじゃないか?」
「俺と繋がってるわけでも操作できる訳でもない、ただのハトだ。書類を盗むのも盗み聞きも無理だろう。父ならそういう使い方も可能だが……俺はこういうものしか作れない」
「ただのハトかぁ……ちゃんと手紙届けられんのかね」
ハトの喉元を撫でると気持ちよさそうに目を閉じた。
「…………もうちょっと右」
「お前に伝わんのかよ! どうなってんだ……!」
「冗談だ、繋がってないと言っただろう」
「真顔で冗談言うな分かりにくい」
ネメスィが突然ハトの首を掴み、丸めた紙と万年筆をハトの口に押し込もうとした。
「な、何してんだよ!」
慌ててハトを奪い、紙と万年筆をネメスィに投げつける。
「手紙用の……」
「足とかに括りつけろよ、可哀想だろ!」
「いや、それ俺の一部なんだが」
「よしよし、怖かったな……」
撫でてやるとクルクルと可愛らしく鳴く。
「なぁ、それ俺の一部」
「よーしお前の名前は今日からポチだ!」
「鳥だぞそれ」
そろそろおふざけはやめよう。軽く謝罪しながらネメスィの喉を撫でてみる。しっかりとした喉仏が男らしい。
「…………結構気持ちいいな」
「この鳥はクルクル鳴いてたぞ、ネメスィはそういうのないのか?」
「………………ネメネメ、ネメネメ」
「んふっ……や、やめろっ、ふふっ、ツボった……やばい、んふふふっ」
真顔なのがまたジワジワくる。
「……とにかく、気を付けろよ。仲間は何とか誤魔化しておくが……お前の弟を長時間騙すのは特に難しいだろう、早めに終わらせろ」
「あ、じゃあ使ったタオルとか持たせてみるよ」
「お前の弟は犬か……? それじゃ、サク……愛してる、頑張れよ」
キスを交わしてネメスィと別れ、ハトを肩に乗せる。
「ネメスィミニ、お前ずっと俺にくっついてるつもりか?」
ハトはフード越しに俺の頬に体を擦り寄せた。
「大丈夫かな……自分の身は自分で守るんだぞ、ネメスィ二号」
兵舎に戻ろうと歩いていたが、これ以上下っ端兵士と関わっていても無駄だなと思い直して足を止める。査定士の居場所を知っているのはもっと上の階級の者だろう、あのまま兵舎にいても性奴隷になるだけだ。
「となると……上の人がいるとこ、んー……そういう人って下っ端の時と同じように押しかけたらさ、流石に怪しむよな? ハトスィ。じゃあ、そいつらが来そうな店とかに……やっぱり商会に入るべきかな」
アフターOKの店で働いて、重役に家や職場に連れ込まれたら完璧だ。いや、職場は流石にないかな。
「商会に紹介してくんなそうだもんなあの下っ端度も、自分で探すしか……あっ、商会に紹介ってダジャレじゃないからな」
募集の張り紙だとかはないだろうかと周囲を見回しながら歩くが、それらしきものは見当たらない。こうなったらもう縄張りを荒らして怒らせて働かされるしかない。
「よし…………す、すいませーん、そこのお兄さーん……俺、買いませんかー?」
無視された。おかしいな、男にモテるスキルが付与されているはずなのに。
「か、体売ってまーす、買ってくださーい……」
恥ずかしい。
「……ど、どんなプレイにも応えまーす」
誘い方が悪いのか?
「…………すっ、すいません! お兄さん、俺を買いませんか?」
道を塞いでやったらどうだ? 流石に食いつくだろう。
「……君、路上売春はまずいよ。でも……すごく好みだ、名刺をあげるから店に雇われてから呼んでくれ。必ず行くよ」
「あ、はい……ありがとうございます」
固定客ゲット。いやいらないんだよ軍関係者じゃない常連とか。
しかし、そうか、路上はダメか……だから無視されていたのか。ならあの下っ端兵士達は兵士のくせに決まりを破っていたのか。
「……おい、お前」
「は、はいっ、俺を買ってくれますか?」
「……お前ここがどこのシマか分かってんのか?」
「ル、ルクスリア商会の方でしょうか……?」
声をかけてきた強面の男は質問に答えずに俺の腕を掴み、近くに停めていた馬車に引っ張った。柔らかい絨毯が敷かれた床に転がされ、体格のいい男に囲まれているのに身が強ばる。
「まだシマ荒らす奴居るのかよ、しつけぇな」
「どーすんの? 見せしめに吊るす?」
「……いや、かなりの上玉だ。普通以上に使えるぞ、店に入れよう」
計算通り。男には魅力的に見えるらしい俺への罰は暴力的なものではなく、強制労働方面だ。
「上玉つったって顔もろくに見えねぇのに……おい、その鬱陶しいローブ脱げ。服も全部だ」
動く馬車の中で膝立ちになり、言われた通りに全裸になる。尻尾と羽がないからかバランス感覚に不調が出始めたようで、もう馬車酔いが始まってきた。
「確かに……! めちゃくちゃ美人だな、なんであんなとこに居たんだ? 最高級の店でもトップ取れるぞ」
「バカ、顔や身体よりテクと話術だよ」
席に座っている男達のうち一人に手招きされ、前に立つ。男は自分の口をトントンと叩いた。
「まずキスだ、やってみろ。上手かったらいい店で雇ってやるよ」
インキュバスの長い舌がバレるとまずい。出来るだけ伸ばさずにしなければ。
「失礼します……」
耳の後ろ辺りに手を添え、唇を重ねて舌をねじ込む。歯を磨いてやるように舌で擦り、頬の内側と上顎を擦ってから舌を絡める。
「んっ……!?」
男が目を見開いて俺の手を掴んだが、すぐに力が抜けて絡め合った舌も俺にされるがままになった。
「おいおいどうしたんだよ、素人相手に」
隣の男から野次が飛ぶ。インキュバスに向かって素人だなんて……仕方ない、そろそろやめようと思っていたが続けよう。
「……おい、マジで? 腰揺れてるぞ」
俺とキスをしている男は背もたれに体を預け、腰をカクカクと揺らし、一瞬体を跳ねさせたかと思えばぐったり体の力を抜いた。
「この臭い……おいおいおい、キスだけで出したのかよ、マジかよ! えっ何そんなイイの……!? 試したいっ……いや、怖いな」
驚いている男の方を向くと彼は怯えたような反応を見せたが、顔は笑っている。腰に振動が伝わらないようにそっと彼の膝に腰掛け、頬に唇を触れさせる。
「……触ってみてください」
彼の右手を握り、頬を寄せる。男の理性はすぐに切れ、俺を床に押し倒した。
「……ネメスィ?」
「あぁ、無事だったか? 人間に抱かれたのか?」
髪と目の色が違う、顔の造形も違う、けれど声色と体格と俺を抱き締める腕の強さは同じだ。ネメスィで間違いない。
「んっ……! ん、ぁっ、やっ……ネメスィ、触らないで……」
ローブの上から腰や尻を撫でられ、ピクピクと身体を跳ねさせる。尻尾に入るはずだった神経が再生し、密集していると予想したことを伝えるとネメスィはニヤッと笑って俺の腰を軽く叩いた。
「……っ、んぅゔぅぅーっ!」
絶頂の叫びのための息を吸った瞬間、開けた口に舌をねじ込まれて声をくぐもらされた。タチの悪いイタズラに腰をガクガクと揺らしながらネメスィの胸を叩いて抗議する。
「可愛かったぞ、そう怒るな」
「もぉっ……! イくのも疲れるんだからな!?」
「それで、情報は手に入ったのか?」
査定士の処刑の場所と日程はまだ決まっていないらしい。一ヶ月はかかると言っていたが、魔神王の出方次第ならいくらでも早まる。
俺は査定士の処刑についてが魔神王の返事の後に決まることをネメスィに説明した。
「叔父上が……」
「ネメスィの叔父さんにしてみれば知り合いを殺した奴なんだよな……やめろって言ってくれたりしないよな」
「叔父上に人間が連絡を取ることは不可能だ、俺の父が影武者をしているから……おそらくそっちに連絡が行く。叔父上ならまだしも父には期待出来ない」
前世での俺は比較的良好な家庭で育ったので、両親に期待や信用がないネメスィが悲しく思える。まぁ、叔父が父親代わりならそう悲惨でもないのだろうけど。
「なぁネメスィ、俺もうちょっと潜入してるよ。あの人が……拘留? されてるとことか、そういうの調べる。それさえ分かれば処刑について分からなくたって助けられるよな」
「大丈夫なのか?」
「信用してくれよ、そりゃ戦闘はダメダメだけど……どんな男も惚れさせる自信はあるぞ」
女神に付与されたスキルは動物にも通用した、通用しない人間なんて居るわけがない。
「大した自信だな。だが、一つ条件がある」
「何?」
ネメスィは左手首を溶かしてちぎり、スライム状のそれを俺に渡した。粘液は俺の手のひらの上で固まり、ハトらしき鳥になった。
「最低でも一日一通、無事を報告しろ。もし送ってこなかったら樹液の貯蔵量に構わずお前の居場所に突入する」
「わ、分かった……ありがとう。結構可愛いな…………ん? これ忍び込ませたら情報盗めるんじゃないか?」
「俺と繋がってるわけでも操作できる訳でもない、ただのハトだ。書類を盗むのも盗み聞きも無理だろう。父ならそういう使い方も可能だが……俺はこういうものしか作れない」
「ただのハトかぁ……ちゃんと手紙届けられんのかね」
ハトの喉元を撫でると気持ちよさそうに目を閉じた。
「…………もうちょっと右」
「お前に伝わんのかよ! どうなってんだ……!」
「冗談だ、繋がってないと言っただろう」
「真顔で冗談言うな分かりにくい」
ネメスィが突然ハトの首を掴み、丸めた紙と万年筆をハトの口に押し込もうとした。
「な、何してんだよ!」
慌ててハトを奪い、紙と万年筆をネメスィに投げつける。
「手紙用の……」
「足とかに括りつけろよ、可哀想だろ!」
「いや、それ俺の一部なんだが」
「よしよし、怖かったな……」
撫でてやるとクルクルと可愛らしく鳴く。
「なぁ、それ俺の一部」
「よーしお前の名前は今日からポチだ!」
「鳥だぞそれ」
そろそろおふざけはやめよう。軽く謝罪しながらネメスィの喉を撫でてみる。しっかりとした喉仏が男らしい。
「…………結構気持ちいいな」
「この鳥はクルクル鳴いてたぞ、ネメスィはそういうのないのか?」
「………………ネメネメ、ネメネメ」
「んふっ……や、やめろっ、ふふっ、ツボった……やばい、んふふふっ」
真顔なのがまたジワジワくる。
「……とにかく、気を付けろよ。仲間は何とか誤魔化しておくが……お前の弟を長時間騙すのは特に難しいだろう、早めに終わらせろ」
「あ、じゃあ使ったタオルとか持たせてみるよ」
「お前の弟は犬か……? それじゃ、サク……愛してる、頑張れよ」
キスを交わしてネメスィと別れ、ハトを肩に乗せる。
「ネメスィミニ、お前ずっと俺にくっついてるつもりか?」
ハトはフード越しに俺の頬に体を擦り寄せた。
「大丈夫かな……自分の身は自分で守るんだぞ、ネメスィ二号」
兵舎に戻ろうと歩いていたが、これ以上下っ端兵士と関わっていても無駄だなと思い直して足を止める。査定士の居場所を知っているのはもっと上の階級の者だろう、あのまま兵舎にいても性奴隷になるだけだ。
「となると……上の人がいるとこ、んー……そういう人って下っ端の時と同じように押しかけたらさ、流石に怪しむよな? ハトスィ。じゃあ、そいつらが来そうな店とかに……やっぱり商会に入るべきかな」
アフターOKの店で働いて、重役に家や職場に連れ込まれたら完璧だ。いや、職場は流石にないかな。
「商会に紹介してくんなそうだもんなあの下っ端度も、自分で探すしか……あっ、商会に紹介ってダジャレじゃないからな」
募集の張り紙だとかはないだろうかと周囲を見回しながら歩くが、それらしきものは見当たらない。こうなったらもう縄張りを荒らして怒らせて働かされるしかない。
「よし…………す、すいませーん、そこのお兄さーん……俺、買いませんかー?」
無視された。おかしいな、男にモテるスキルが付与されているはずなのに。
「か、体売ってまーす、買ってくださーい……」
恥ずかしい。
「……ど、どんなプレイにも応えまーす」
誘い方が悪いのか?
「…………すっ、すいません! お兄さん、俺を買いませんか?」
道を塞いでやったらどうだ? 流石に食いつくだろう。
「……君、路上売春はまずいよ。でも……すごく好みだ、名刺をあげるから店に雇われてから呼んでくれ。必ず行くよ」
「あ、はい……ありがとうございます」
固定客ゲット。いやいらないんだよ軍関係者じゃない常連とか。
しかし、そうか、路上はダメか……だから無視されていたのか。ならあの下っ端兵士達は兵士のくせに決まりを破っていたのか。
「……おい、お前」
「は、はいっ、俺を買ってくれますか?」
「……お前ここがどこのシマか分かってんのか?」
「ル、ルクスリア商会の方でしょうか……?」
声をかけてきた強面の男は質問に答えずに俺の腕を掴み、近くに停めていた馬車に引っ張った。柔らかい絨毯が敷かれた床に転がされ、体格のいい男に囲まれているのに身が強ばる。
「まだシマ荒らす奴居るのかよ、しつけぇな」
「どーすんの? 見せしめに吊るす?」
「……いや、かなりの上玉だ。普通以上に使えるぞ、店に入れよう」
計算通り。男には魅力的に見えるらしい俺への罰は暴力的なものではなく、強制労働方面だ。
「上玉つったって顔もろくに見えねぇのに……おい、その鬱陶しいローブ脱げ。服も全部だ」
動く馬車の中で膝立ちになり、言われた通りに全裸になる。尻尾と羽がないからかバランス感覚に不調が出始めたようで、もう馬車酔いが始まってきた。
「確かに……! めちゃくちゃ美人だな、なんであんなとこに居たんだ? 最高級の店でもトップ取れるぞ」
「バカ、顔や身体よりテクと話術だよ」
席に座っている男達のうち一人に手招きされ、前に立つ。男は自分の口をトントンと叩いた。
「まずキスだ、やってみろ。上手かったらいい店で雇ってやるよ」
インキュバスの長い舌がバレるとまずい。出来るだけ伸ばさずにしなければ。
「失礼します……」
耳の後ろ辺りに手を添え、唇を重ねて舌をねじ込む。歯を磨いてやるように舌で擦り、頬の内側と上顎を擦ってから舌を絡める。
「んっ……!?」
男が目を見開いて俺の手を掴んだが、すぐに力が抜けて絡め合った舌も俺にされるがままになった。
「おいおいどうしたんだよ、素人相手に」
隣の男から野次が飛ぶ。インキュバスに向かって素人だなんて……仕方ない、そろそろやめようと思っていたが続けよう。
「……おい、マジで? 腰揺れてるぞ」
俺とキスをしている男は背もたれに体を預け、腰をカクカクと揺らし、一瞬体を跳ねさせたかと思えばぐったり体の力を抜いた。
「この臭い……おいおいおい、キスだけで出したのかよ、マジかよ! えっ何そんなイイの……!? 試したいっ……いや、怖いな」
驚いている男の方を向くと彼は怯えたような反応を見せたが、顔は笑っている。腰に振動が伝わらないようにそっと彼の膝に腰掛け、頬に唇を触れさせる。
「……触ってみてください」
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