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全部飲まれてしまうから

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査定士に後ろから抱き締めるようにされて乳首を弄られ、その快感に体をピクピクと跳ねさせる。
膝の裏を慎重に押されて開いた足は使用人の手が離れても開脚を保ち、尻を掴んで穴を拡げられると僅かに閉じかけた。

「…………ご主人様、俺……男色の趣味はないんですけど」

「抱けないのかい?」

「逆です……もうパンパンです、痛いくらいに勃起してます。何なんですかこのインキュバス……今まで何匹も見てきましたけど、反応したことなかったんですよ?」

「不思議な魅力があるよねぇ。私はやはり、羞恥心を持つインキュバスだというのが大きいと思うな。恥じらう姿や表情はとても可愛らしいだろう? 君もきっとそれに反応したんだよ」

使用人は納得できないと首を捻ったが、破裂してしまいそうな陰茎にいつまでも我慢を強いることもできないようで、俺の腰を持ち上げて慎重に挿入した。

「ぅあ……キツい。おい、痛かったら言えよ?」

彼は俺を気遣っているのではなく、主人である査定士の所有物を傷付けないか気にしているだけだろう。

「ん……ぁ、あっ……あぁっ……!」

慎重な挿入は毎度処女に戻る淫魔の穴には効果抜群だ。突き入れられればその性器に最適な形にうねる腸壁も、ゆっくりと入れられてはみちみちと裂けていく感覚を味わうしかない。

「……そうだ。中の具合を話してくれないかな? 私は前回もそちらは試していないからね」

「え……? 後で抱けばいいでしょ?」

「うん、まぁそうなんだけどね。自分以外の者の、それも評価や感想の素人の言葉が欲しいんだよ」

これぞ職業病だろう。もう売る気がないならどうして言葉が欲しいんだ、俺と使用人の心の声はおそらく一致している。

「え、えーっと……熱い……ですね。あと、やらかくて……きゅって締めてきて。キツいんですけどキツ過ぎて痛いとかは全然なくて、ピッタリ引っ付いてくるっていうか……なんて言うか」

根元まで挿入し、使用人は興奮を表情に出しながらも腰を止めている。

「あぁでもなんか……ヒダ? って言うんですか? 入れる時引っかかって気持ちよかったです。こりっ、こりってなって……」

「ふぅん……じゃあ腰を振ってみなさい。そのヒダの感触を味わうよう意識しながらね。君もだよ、自分に挿入されているモノの大きさ、形、温度、出し入れされた時にどこがどう気持ちよくなるか……ちゃんと言葉にできるよう意識しなさい」

腰を掴む手の力が強くなり、根元まで挿入されていた陰茎が抜けていく。挿入されたままの時間が長かった分、腸壁は彼の陰茎の形を覚えていて、ピッタリと吸い付いていて、抜けていくのがよく分かった。特にカリ首が狭まった腸壁を押しのけて抜けていくのが強い快感だった。

「……君、経験がないのかい? どうして全部抜いてしまうんだ」

「け、経験くらいありますよ! 店で……二回くらいですけど」

今度は素早く挿入された。早い分快楽の波の間隔が狭く、余裕が奪われて声が漏れる。

「一往復したけど、どうかな?」

「んぅ……止めないで、もっと、続けて……」

「そうだね、感想はもう少し後で聞こう。さ、続けて」

査定士の様子を伺っていた使用人は俺の腰を掴み直し、抜き挿しを始めた。使用人は最初の頃は査定士の顔を見ていたが、そのうちに俺の顔を見つめるように変わり、腰振りも激しく変わっていった。

「あぁっ、ぁんっ! んっ、ぁ……!」

「……お、おい……気持ちいい、のか?」

「ぅんっ……!」

素人同然の突き方だが、それでも丁寧な分兵士達よりはマシだ。

「うーん……ちょっと。ここ、ここを狙ってごらん。角度を変えて、ここを小突くようにしてあげたらもっといいよ」

査定士が使用人を止め、俺の下腹を撫でた。

「こう……ですか?」

「ひぁんっ!? そ、そこ……そこして、もっとそこしてぇ……」

今まで掠っていただけだった前立腺をこつんと軽く小突かれ、俺も自分の性感帯をようやく思い出した。

「そうそう。相手の顔を見て、声を聞いて、体の跳ね具合を見て、少しずつ角度だとかを変えて工夫していくんだよ。言葉だけでは伝えられないこともあるからね」

「は、はぁ……分かりました」

「それじゃ、後は射精するまで自由にしてごらん。感想は後で構わないからね」

男は愚直に俺の顔を注視し、丁寧に前立腺の辺りを狙った。

「ぁんっ! ひぁっ、んぅっ……ひぅっ! ん……もっと、激しくぅ……」

腰振りが激しくなり、前立腺を小突く力が強くなり、間隔も狭まる。

「ぁ、あっ、あぁっ、ひぁっ! そぉっ、そぉっ……これっ、これ好きっ、もっとぉ!」

人間の陰茎では物足りない体になってしまったかと思っていたが、食事が目的なら十分だ。

「もっとっ、ごんごんするのぉっ、もっとぉっ! ぁああっ……! いいっ、好きぃっ、ごんごんするの好きっ!」

「ぅ……そろそろ出るかも」

「出してっ、いっぱい……ひぁああぁあっ!?」

久しぶりに普通の性交ができていたのに、突然胃の中の何かが蠢いた。胃から腸へ触手を伸ばし、普段は擦られない腸壁を無遠慮にごりごりと擦られ、査定士の胸板に後頭部を打ち付けるように反り返る。

「ぁひっ、ひぁあっ、ひぐっ、ぅああっ! やぁああっ!」

「ど、どうしたんだい? 急に……」

査定士が慌てる中、使用人は腰を振り続け、とうとう触手が彼の陰茎が届く位置まで辿り着いた。

「ん……? なんか、先っぽに絡みついて……何ですか、これっ……インキュバスにはこんなもんまで?」

「絡みつく? 肉壁が吸い付いているのかい?」

「いえ、なんかもっとこう……細いの、が……ぁ、もうっ、出るっ!」

射精が始まるとそれまでゆっくりと動いていた触手が素早く動き、分裂し、精液を吐き出している陰茎の先端に絡みついた。

「ぁあぁああっ!? ぅ、ゔぁあっ、ぁひっ、ひ、ひっ……ィ、ぐ……ぅうっ……!」

触手は陰茎が射精を終えて萎えると離れ、使用人が陰茎を抜くのを邪魔しなかった。精液に含まれる魔力を吸収した触手は胃の本体へと引き返していく。

「ぁぐっ、ぅ、ぅあぁあっ! ぁ、ひぃっ、んぅゔぅうっ!」

「お、おい……俺はもう抜いたぞ? ご主人様、インキュバスって吸収にも快楽が伴うとか?」

「そんな生態ではなかったはずだが……あぁ、またお腹を引っ掻く……」

胃に戻った何かを追い出したいのか無意識に腹を引っ掻いてしまう手を使用人に掴まれる。掴まれてしばらくは逃れようと暴れたが、すぐに無駄だと悟って力を抜いた。

「んっ、ゔ……ぅぅ……」

「収まりましたね。やっぱ吸収する時にこうなるんですよ」

「うーん……でもフェラさせた時にはこんなことにはならなかったし、今までのインキュバスにもこんなことはなかったよ」

手を離されても再び引っ掻くことはせず、足と同様にぐったりと浴場の床に投げ出した。
冷静に判断してくれそうな査定士に腹の中に何かが居ることを伝えたかったが、その何かに精液を横取りされてしまった俺は腹が減っていてそれどころではなかった。
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