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この鬼とならきっと幸せになれる

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全身の痙攣が止まらなくなって、理性が完全に飛んで快楽を貪るだけの生き物に成り果てて数分、失神同然の状態にあった俺の意識はようやくハッキリとした。

「……サク、サク……? 大丈夫か?」

「ぁ、あ……アル、マ……?」

胡座をかいたアルマの足の上で寝かされていた。腹から太腿には自分の精液らしきものが乾きかけて張り付いていた。

「急に声を上げなくなったから驚いたぞ……眠っていたのか?」

「ん……そんな感じ……?」

心配そうに見つめる瞳が可愛らしくて、思わず微笑んだ。するとアルマは元々赤い肌をしているのに更に顔を赤くした。

「そ、そんなふうに笑うんだな……サク、本当に可愛い、好きだ……俺の隣でずっとそんなふうに笑っていて欲しい」

「…………よくそんな恥ずかしげもなく」

愛の告白やプロポーズ紛いの言葉を連続で……本来俺にはこんなガタイのいい、というか二メートル半を超える大男なんて興味が無いどころか恐怖の対象だったのに、今は何だか愛おしい。大柄な身体に似合わない俺への配慮に満ちた仕草が可愛らしい。
真っ赤になる彼の様子を笑って、そんな俺を見た彼も笑顔を浮かべて──ガンガンと鉄格子を叩く音に二人の笑顔は消えた。

「起きたんなら再開せい! もうそろそろ前戯なんぞ要らんわ!」

俺の主人である男はもう帰ったようだが、老人はまだ目を爛々と輝かせていた。

「……まだまだ眠らなさそうだ。サク、もう少し我慢してくれよ。さっきよりキツくしなければならなさそうだ、気をしっかり持て」

「…………本当、気をしっかり持たないと……」

前戯なんて要らない。さっきよりキツい。その言葉達は淫魔の本能を疼かせる。大量に射精させられて、腹が減って仕方ない。早くこの巨大な肉棒に貫かれたい。

「はぁっ……もう、気ぃ飛びそう……変になりそう」

檻の中に満ちた淫らな匂いは俺の理性を回復させない。アルマの足から降り、冷たい床に膝立ちになり、頑張って背を伸ばして彼の顎に手を添えた。俺の発情した様子に困惑しているらしいアルマが俺の腰に添えようとした手に尻尾を巻き付け、頭と腰の羽をパタパタと揺らす。

「アルマっ、アルマぁ……ちょうだい……俺の中ぐちゃぐちゃにして……」

「サク……? い、いや、けど……本番は、その……こんなふうに、は……」

「好き、好きっ……アルマ、結婚するんだろ? ならいいじゃん……アルマぁ」

金の瞳を見つめてねだるつもりだったが、どうにも血管が浮くほどに勃起した性器に目が惹かれてしまう。いや、惹かれているのは全身だ。
アルマの肩に手を添えて腹に彼の性器を押し付ける。位置のズレは多少あるものの臍をゆうに超えている長さの陰茎に生唾を飲み、俺の手首を越す太さに自然と腰が揺れる。

「アルマっ、アルマ、アルマ、入れて、入れてぇっ、お願い、アルマぁ」

自身の性器をアルマの性器に擦り付ける。興奮と失神前の余韻もあって簡単に射精してしまった。

「ぁああっ! はぁっ……ん、アルマぁ、ほら……濡れた……よ? これで、楽に入るから……ね、入れて」

想像するだけで腸壁がヒクヒクと痙攣する、今ならきっとアルマも気持ちよくさせられるから、早く入れて欲しい。

「サク……いや、でも、サクが……裂ける」

「一昨日このくらいのディルド入れられたからぁ、何ともなかったからぁ、お願い。オークの二本入れられても苦しかっただけだったしぃ、大丈夫……アルマぁ、お願い、ね……入れてぇ?」

アルマは何をこんなに躊躇っているのだろう。俺が入れるなと泣いたなら、入れようとして痛いと喚いたならこの躊躇も理解出来る。しかし俺は自分の性器を擦り付けて射精までしてねだっているのだ、据え膳食わぬは男の恥という言葉はこの世界にはないのか……って誰が据え膳だ。

「……アルマ、俺、こんなに精液出しちゃってさ、もうお腹空いて倒れそうなんだよ。インキュバスはセックスしないと餓死するんだよ。精液いっぱい注いで、おなかいっぱいにしてくれよ、アルマぁ」

「…………なら、口からでもいいだろう?」

「フェラ……で、ってこと? そりゃ大丈夫だけど……でも、こっちに……欲しい……」

大きな手に抱き寄せられ、大きな口が耳に触れる。

「………………結婚するまでしたくないんだ。分かってくれ、大切にしたいんだよ」

そう伝えるとアルマの体温が離れた。分かった? と尋ねるような顔をしている。

「……俺、は……スライムに調教されて、人間とヤって上も下も同時に塞がれたりもして、大勢の前でディルド突っ込まれてイったりもして、オークに上下塞がれたり二本一気に突っ込まれたりして、穢れきってる…………そんな……俺を、大切にとか……ふざけんなよ、いい人ぶんなよっ!」

アルマは慌てた様子で俺を抱き締める。必死なのかその力は強く、肋骨や背骨が軋んだ。

「サク……! 本当に愛しているんだ、過去は関係ない。大切にしたいのは純潔じゃなくて思い出だよ。ここから逃げて、過去を捨てて……幸せになった時、俺としている時……俺との初めては檻の中だったななんて思い出して欲しくないんだ」

「…………アルマ」

「……サク、分かってくれたか?」

「さっきの、ごめん……俺、その……本当に、欲しくて……つい。お前、根っからのいい人なんだな…………アルマ、好き……」

急かす金属音と怒鳴り声を無視して、唇を短く重ねた。

「……精液はくれるんだよな? じゃなきゃ俺もう動けないぞ」

「ぁ、あぁ……それじゃ、口で……先端少しだけでいいからな?」

胡座をかいた男のモノをその前に正座してしゃぶるなんて、ポーズだけ見ればなかなか奴隷的だな。
俺は俺の精液と透明の蜜で濡れた亀頭にそっとキスをした。
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