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出会って三分でプロポーズ

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結婚がどういうものを指しているのかは分からないが、結婚したとしたら食事のリスクが消えるだろうと予想できる。オーガは人しか食えないなんてことはないだろう、彼と結婚すれば人間に会わなくてよくなる。

「……首、行くぞ」

唇の隙間から彼の肌よりも赤い舌が出て、俺の首筋をなぞる。生レバーってこんな感じの色で──思考が脱線してしまった。

「あ、んっ……ぅ……」

俺は恐る恐るアルマの首に腕を回し、俺ほどではないが尖った耳に唇を触れさせ、尋ねた。結婚したとしたら俺は何をすればいいのかと。するとアルマは俺の頭を抱き締めるようにして唇を耳に寄せ、答えた。

「……可愛らしい笑顔を浮かべて、俺の傍に居てくれるだけでいい。俺が狩りに出る間は寂しくさせるが、その後はたんと食わせてやる。絶対に飢えさせはしない」

抱かれるだけの日常という訳か。まぁ、叩かれたりはしなさそうで勇者パーティよりは待遇がよさそうだし、このまま王都で飼われているよりはよほど幸せそうだ。
考え込んでいると再び首に唇が移動して、舌が首筋をなぞって鎖骨に辿り着き、唇だけではむはむと鎖骨を挟まれる。

「ん、んっ……ぅう……」

「…………おいアルマ! 確かに反応は良くなってきとるが、インキュバスにそんな丁寧な前戯は要らんだろ! 後な……向かい合われちゃ上手く撮れねぇんだよ! 対面じゃなくてバックにしろバックに!」

俺の肌からアルマの口が離れ、檻の中に舌打ちが響く。ひっくり返されて視界が開ける。老人は少し怯えたような顔をしていた。

「じいさんにサービスしてやらないとな。ちゃんと触るぞ、嫌だろうとは思うが我慢してくれ」

俺は胡座をかいたアルマの足の上に座っている。俺をすっぽりと隠せる大きな身体は正面から見なければ威圧感ではなく安心感を与えてくれる。

「ぁ、あっ……ふぁっ……」

左手が優しく腹を撫でて、右手が触れるか触れないか程度に胸を撫でる。前戯をしているように映るように、その実俺に可能な限り触れないようにしているのだろうが、手のひらが膨らんできた乳首に掠るのは普通に撫でられるよりも辛い。

「……後ろからでもあの手の大きさじゃ身体隠れるね」

「どっちにしろ良い画は撮れんの」

檻の向こうからの値踏みをするような視線に羞恥心を煽られ、自分が惨めになって涙が零れ、ポタッとアルマの手に落ちた。するとアルマは手を止めた。

「…………大丈夫か?」

頭頂部に唇を寄せて、俺以外に聞こえないよう撮られないように頭蓋骨に声を響かせる。

「……初対面の奴とヤりたくないのは分かる。ごめんな……できるだけ触れないようにする、本番はやらないようちゃんと時間を稼ぐから……」

そう言うと再び手を動かし始めた。
背中には人間のものよりも遥かに大きい性器が触れている。熱く、硬く、勃起している。淫魔が裸で自分の上に座っているんだ、乱暴に組み敷いて突っ込みたいだろう。それなのにアルマは俺のことを考えて欲情を抑え込んでいる。

「ごめん、本当にごめんな……俺みたいなのが相手で…………怖いだろう? ごめんな……泣きたければ泣いていいからな」

結婚しろなんて言ってきたんだ、その相手……俺に泣かれて傷付いただろう。優しい彼を傷付けてしまったのはよくない。触れられたのが嫌で泣いたのではなく、見られているのが惨めで泣いたとちゃんと伝えなければ。

「……ぅ……大丈夫、触られるの嫌じゃないから……もっと、強く……して」

胸筋を下から持ち上げるように触れていた手がまた止まる。

「見られるの、嫌だっただけ……大丈夫だからっ、真ん中、いじって……」

アルマの手が恐る恐る胸の真ん中に触れる。爪が当たらないように寝かせた親指で乳首に微かな刺激を与える。

「もっと強く、きゅってしてぇ……焦らされて、苦しくて、変になりそうだから、お願い。大丈夫だから、何ともないからぁっ、もっと、強く……」

きゅ……と慎重に乳首を摘まれる。焦らされた身体は微かに増えた刺激にも敏感に反応して、跳ねる。そんな俺の反応を気にしてかアルマは手を離した。

「ぁ……だめ、だめ……ぎゅってして、もっと……」

彼の大きな右手を両手で掴まえて胸に押し付ける。身体を反らして自分から乳首を擦り付けて、紅潮しているだろう顔を上を向いて彼に見せて、必死にねだる。

「……ぁんっ! ぁ、離さないで……ぁ、あっ、大丈夫っ、だからぁ、気持ちいいからぁっ、強く……ひぃんっ!? ぁ、あぁっ、はぁんっ……!」

大きな親指と人差し指の隙間で尖った先端をくにくにと刺激される。

「ぁ、はぁっ……そぉっ、それぇっ、これがいい、これ好きぃっ、これきもちぃっ……もう片っぽもしてぇ……?」

「…………無理、してないな?」

「ぅんっ、してないっ……触って欲しい……触ってくれない方が、辛い……だからっ、もっとぉ……」

きゅっと両方いっぺんに摘まれ、自分でも不思議なくらいに身体を跳ねさせて感じた。こんな僅かな刺激で絶頂の直前まで持ち上げられるなんてありえない。見られているのに、撮られているのに、精液を注がれた訳でもないのに、どうして幸福感が生まれているのだろう。

「ぁ、ぁあぁっ……ふぁあ、ひぁあぁあっ……!」

アルマもまさか俺が絶頂の寸前に居るとは思っていないのだろう、両方の乳首をくにくにと弄ってくる。鉄格子越しとはいえ正面に人が居るのに自然と足が開いてしまい、その上腰が揺れてしまう。静止を促せばきっとアルマは手を止めてくれるだろうけど、男と老人にまで痴態を晒すと分かっていても止めて欲しくない。所詮は淫魔ということだろうか。

「ひっ、んんっ……イく、イくイくっ……イっちゃうっ……! ふぅっ……イっ、くぅんっ!」

乳首を摘まれて腰をガクガクと揺らしながら触れられてもいない性器から精液を溢れさせた。アルマが手を止めた後も、射精が終わった後も、俺の腰は絶頂の余韻でカクカクと震えていた。
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