いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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後輩を守る術を手に入れてみた

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身代わりになってくれるという式神、いつもの数珠と御札が貼られたライフジャケット。俺とレンとミチとセンパイはそれらを身に付けた。加えて俺とレンには余剰分の霊力を吸収する効果のある数珠もある。

「なんか……空気が張り詰めてるって感じしますね」

「そりゃ決戦前ですからね」

御札がベタベタ貼り付けられたスポーツチャンバラ用のスポンジ剣も不気味だが、同じ御札が貼られた大きなバールはより不気味だ。従兄はそんな不気味なバールの持ち手に白いテープのようなものを巻いている。

「こっ、ここ、こ、怖いよぉぉ……ぼ、ぼ、僕ここで待ってちゃダメ?」

「師匠の傍に居た方が安全だと思うぜ」

「ぅうぅ……」

ミチは朝食を食べ終えた頃からずっとぐずっている、そろそろ目の周りがふやけてしまわないか心配だ。

「……その札を貼っていれば霊に攻撃出来るのか?」

「ん? あぁ、ナメクジに塩かけたみたいになるぜ。レンくん次々仕留めちゃうから見とけよ~? もち! 惚れ直させてやるからな」

センパイの質問に答えていたレンに突然指を差され、驚いて身を跳ねさせる。

「…………俺にも寄越せ、喧嘩なら俺の方が慣れてる」

「師匠に言ってくれ」

社長はまだ折り紙を折っている。机の上にはウサギらしき完成品がたくさん並んでいるが、今折っているのはツルのように見える。ツルなら俺でも折れる、多分。

「……俺にもあの札をくれ」

「ない」

「…………俺に持たせた方が効果的なはずだ」

「ないってば。結界を作る札や身を隠す札と違って攻撃用の札は僕にしか作れない、稀少な物なんだよ」

「……なら今作ってくれ」

社長が大きく舌打ちをして人差し指をくいくいと動かす。どうやら従兄を呼ぶハンドサインだったらしく、従兄はおやつをチラつかされた犬のように社長の傍に寄った。

「君の従兄だろ、説得しろ」

「はい。國行、ないもんはないんだ、我慢しろ」

「…………如月のにあんな大量に貼ってるなら一枚くらい取ったっていいだろ」

「無作為にベタベタ貼ってるように見えるだろうけど、アレ一応魔法陣的なのを描いてる感じだからやめろ。まぁ手で剥せる様なもんじゃないけどな」

話を聞いていたレンが「へー」とか言いながら御札の端っこを引っ掻いている。

「そもそも君は霊が見えないだろ、零感のくせに……あっ」

何かを思い出したのか、社長が折り紙を置いてアタッシュケースの元へと走る。好奇心が湧いて社長の背後から中身を覗いてみると、注射器や薬液らしき物が幾つもあった。

「あった。念の為に君用に持ってきてたんだよ」

「俺に? 何……あぁ、それですか」

アタッシュケースの中のメガネケースの中の何の変哲もないメガネ。丸みを帯びた四角いフレームは黒く、レンズが異様に分厚い。

「何ですか? それ」

「霊が見える眼鏡。このレンズを通すと零感でも霊が見える。僕達一族を肉眼で見て発狂することがないよう使用人等に配られるサングラスのレンズの仕組みを反転させた物で──」

ブツブツと呟きながら社長は俺の前を通り過ぎてセンパイの前に立つ。

「──零感の人間でも怪異に対処出来るようになるだけの物だからレンズの薄型化が進んでない。改良価値のない物だけど、それでよければこれを渡して、君が霊に触れられる仕掛けを即席で作ってあげるけど」

「…………断る理由がない」

「ししょー、しつもーん」

「如月」

手を挙げたレンの名前を呼びながら指を差すなんて、まるで先生ごっこをする子供のようだ。思わず笑ってしまうと赤紫の瞳にキッと睨まれた。

「零感って鈍過ぎて霊障受けにくいんですよね? じゃあ見えるようにさせて調査とか除霊手伝わせたら良さそうだけど、なんでその眼鏡の開発進んでないんですか?」

「零感の人間は霊を全く感じないから、信じていない者が多くて、そもそもそういった組織に属することが滅多にない。それに零感は稀少だから全国各地に分布させ、カナリアとして使うのが基本だ。回答としては……眼鏡を使う人材が居ないから、だね」

「霊感が全くないと霊障を受けないんですが、怪異の力が強過ぎると霊障を受けます。一定以下のダメージ無効バリアが突破される感じですね。だから零感の方が霊障を受けたらヤバい怪異が居ると分かります。なので零感の血筋は居住地を国が密かに管理しています、出張の辞令とかを出してこっそりと。ちなみにカナリアってのは鉱山とかで昔使われてた鳥のことです、鳥は人間よりも有毒ガスとかに敏感なのでカナリアが騒ぎ出したり死んだりしたらガスが来てるって分かるんですよ」

「なるほどー……」

「今日は授業をしている時間はないんだけどね」

ノっていたくせにと思いつつも口には出せず、センパイの動向を見守る。俺としてはセンパイに危険なことはして欲しくないが、喧嘩無敗の彼は大きな戦力になるだろうし、何も見えないでいるよりは見えていた方が危険が減るかもしれない。

「センパイ……」

「…………お前は俺が守る。如月よりも多く仕留めてみせるから、俺に惚れ直せ」

「せんぱい……!」

低く優しい声で「俺が守る」なんて言われただけで惚れ直してしまう。下腹がきゅんきゅんときめいて痛いくらいだ。

「手袋持ってきてる? 布のやつ」

「どうぞ」

「ん。じゃあやって」

従兄は机の上に白い布手袋を置き、袖をまくった社長の細い腕をゴム紐で縛った。アタッシュケースの中から注射器を一本取り出し、肘の裏をアルコールを染み込ませたガーゼで拭う。

「はぁ……形州國行、最低でも10ml分の働きはしてよ」

自身の腕から顔を背けた社長の肌に注射器の針が刺さり、採血管の中にゆっくりと赤い液体が溜まっていく。二本の採血管が満タンになると従兄は社長の腕に小さな絆創膏を貼り、その上に唇を触れさせた。

「頑張りましたね」

「これ嫌い……」

社長は泣きそうな声でそう呟くと従兄の背後に回り、腰に抱きついた。従兄は社長を気にする素振りを見せつつも慣れた手つきでアタッシュケースの中に入っていた薬液に社長の血を混ぜ、筆を取った。

「レ、レン……レンのその剣に貼ってる御札に描いてる文字も、全部…………血……?」

手袋の手の甲側に御札に描いてあるものと同じ文字が描かれた。

「血を墨に混ぜてるらしいぜ。これ前に知らされてなかったっけ?」

「さ、さぁ……聞いた気もするけど、見ると……やっぱり」

手袋に描かれた滲んだ文字は黒い、血らしさは薬液に混ぜた時点で見た目からは失われていた。従兄から渡されたそれをセンパイは訝しげに見つめ、匂いを嗅いだ。

「………感謝する。これでノゾムを守れるんだな」

まだしっとりとしているだろう布手袋をはめたセンパイは手のひら側に染みた黒色を見て顔を顰めた。

「眼鏡かけろよ?」

「…………あぁ」

眼鏡のことをすっかり忘れていたらしいセンパイは恥ずかしそうに返事をし、眼鏡をかけると俺の方を向いてほんの僅かに首を傾げた。一度以下の傾きに気付いたのは俺以外に居るのだろうか。

「愛しの恋人に早速感想求めてるのか? 緊張感ないなぁ」

居た。まぁ、俺よりも付き合いが長く血が繋がっているのだから従兄にはセンパイの微かな感情表現が分かって当然……でも悔しい。

「………………眼鏡、変か?」

「いえいえ全然! 全然変じゃないです、カッコイイです」

「……本音か?」

「本音に決まってます! 男は眼鏡かけると五割増しって言うじゃないですか、新鮮だし……すごくイイです。ときめいちゃう」

「…………社長さん、これくれ」

単純で可愛い人だ。俺が少し褒めただけで眼鏡を欲しがるなんて、どれだけ俺のことが好きなんだ。調子に乗ってしまうじゃないか。

「除霊の間だけの貸出に決まってるだろ」

「………………だが、ノゾムは……よく、狙われるらしい……なので、普段から、見えた方が……いい」

俺に褒められたから欲しがっているだけだから、咄嗟に考えたそれらしい理由を話す口調はぎこちない。あぁ、なんて可愛らしい人だろう。俺の彼氏の中では一番見た目が怖いのに、なんでこんなにも可愛く見えるのだろう。

「もーちぃ……」

「何?」

「ほら」

不機嫌そうなレンが見せてきたのは彼自身のスマホだ、伊達眼鏡をかけ女装しているレンの写真が表示されている。この写真には見覚えがある、確かハスミンのアカウントに投稿されていたものだ。

「可愛い~! まな板ツインテ眼鏡っ娘とか属性過多でいいよなぁ。これがどうかしたのか?」

「別に?」

レンはふふんと鼻を鳴らして自慢げにぺったんこの胸を反らしている。よく分からないが、期限を直したようだ。

「ノ、ノノ、ノゾムくんっ! ぼくっ、いつか絶対見せるからっ……!」

「おぉ……何を?」

悔しそうなミチが何かを決意している。やはりよく分からないが、可愛いので頭を撫でておいた。
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