いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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後輩の前で恥をかいた

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従兄が押してきたワゴンから机へと料理が移されていく。机に並べられた料理は美味しそうなのに、食欲が湧かない。

「……兄ちゃん、扉を叩いたか?」

「え? いや、叩いてないけど」

「…………普通に入ってきたのか?」

「うん……?」

従兄が部屋に来る前、扉を開けろと要求する従兄の声が聞こえていた。次第に語気が荒くなり、鍵の掛かっていない扉をドンドンと強く叩いていた。あの音は一人や二人が扉を叩いていたものではなかった、十人以上で扉を叩いていたような音だった。

「……なら、アレは」

「あのっ、お兄さん」

俺は従兄の声と扉を叩く音について詳しく話した。

「──って訳なんですけど、お兄さん何か見ませんでした? 扉の前に居たはずなんです」

「あぁ、アレですか? 轢きました。アレ叩いてたんですねー、俺社長から力分けてもらわないと幽霊とか見えないんですけど、最近忙しいから切れかけでもうボンヤリとしか見えなくて」

従兄はワゴンの正面に貼られた御札を指した。札の角は火で焙ったように黒くなっている、霊に触れた証拠だろう。

「そ、そうですか……ありがとうございます、めちゃくちゃ怖かったんです。じゃあもうお化け来ないんですよね?」

「ホテルには結界を張ってるんですよね? どうして入り込んでるんですか」

レンが従兄を責めるように言うと、従兄は人差し指を立てて黙るようジェスチャーで伝えた。袖の中を探ってチョークらしき物を取り出すと、床に歪な円を描いて円の中に入り、手招きをした。

「即席の結界です、盗み聞きを防ぐ程度のものですが」

「怪異に聞かれるとまずいことですか?」

「ホテルに張った結界にはわざと穴を空けてあります。力の弱い者が頑張ったものの、綻びが出てしまった……というのを装って」

「強いのを誘き出すつもりですか」

「その通り。あんな結界しか作れないのならと油断してこれまでの霊能者のように仕留めに来るでしょう、社長は最近力を押さえ込んでいますし……これまでと同じ弱小霊能者だと思われているはずです」

いい作戦だと思うのだが、レンは不機嫌そうだ。何が不満なのだろう。

「あのー……お兄さん、これまでのって……」

「うちに頼む前に何人かに依頼したらしいんですよね、一般客以上に惨たらしく殺されたとか何とか」

「え……」

「どうして師匠が俺に作戦を共有してくんないのか知らねぇけど、もちに危険はないんでしょうね?」

「この部屋の結界は特に強いものにしてあります、だからこの部屋に何かあるのかと怪異が周りに集まってはくると思いますが、あなた達が入っていいと認めない限りは入ってこれません」

「強い結界張れるってバレるとまずいんじゃないんですか?」

「結界内の結界は外からは見えませんよ、ホテル内に入らなければ分からないはずです。師匠に習いませんでした? 隠したいものの隠し方」

いつの間にかレンの口調と声色が普段通りに戻っている。

「返事しちゃうと部屋に入れるようになるんですよね? 俺ドジしないか不安なんですけど……お化けは絶対入れない結界って作れないんですか?」

「作れますけど、それ張ると如月様が弾き出されますよ。彼、怪異なので。中の人間が認めた怪異は入れるって設定しておかないと、まずいんですよ。ねぇ?」

「あぁ……ごめんな、もち。俺別の部屋に行こうか? 入ってこないっつっても声掛けられんの怖いもんな」

「や、やだっ! レンが居ない方が怖い……」

寂しげな笑顔を浮かべたレンに抱きつくと、彼は嬉しそうに微笑んで俺を抱き返してくれた。

「もういいですかね? 今話したことは怪異に知られないようにしてください」

約束すると従兄はチョークで描いた円の外に出て、足でそれを雑に消した。粉が残っているのが気になる、後で拭いておこうかな。

「では、ごゆっくり」

「あ……はい、さようなら」

従兄と社長は何か仕事があるのだろうか、何もなかったり「この場所でないと出来ない」という仕事だったりしないのなら、一緒に居てくれると心強いのだが。

「……待ってくれ、兄ちゃん。確認したい」

「ん?」

「……今晩はここから出てはいけないんだな?」

「おぅ」

「…………兄ちゃんはこの部屋には絶対に来ないのか? 声は全て偽物と考えていいんだな?」

「基本来ないけど、何かあって来なくちゃいけない場合は俺は勝手に入る」

「……電話は?」

「怪異がかけてくる可能性、俺や社長がかける可能性両方アリ。とにかくフルネームを尋ねろ、会話を聞かれてる可能性もなくはないから必ずフルネームだ」

センパイは脳内で従兄の言葉を反芻していたのかしばらく黙った後で頷いた。

「OK。じゃあな國行、また明日」

「…………また明日」

「あのっ! お兄さん、何か用事あるんですか? もしないなら社長さんと一緒にこの部屋か、近くの部屋に居て欲しいんですけど……あっ、結界信用してない訳じゃないんです! ただ怖くて」

「……兄ちゃん、俺も兄ちゃんにここに居て欲しい」

見送ると決めたはずのセンパイが俺に便乗し、従兄の袖をきゅっと掴んだのが可愛くて「ふぐぅっ」と声が漏れた。

「ノゾムさん? どうしたんですか?」

「い、いや……」

レンの口調と声色がまた変わっている。器用なヤツだ。

「あー……さっきも言ったと思うけど、兄ちゃん國行と一緒で零感体質でなぁ、社長に霊力分けてもらわないとお化け見えもしないんだよ。もうボンヤリとしか見えなくなってきてるから、早く補給しないとまずくて」

「…………この部屋では出来ないのか?」

「んっふふふ……キツいなぁー……國行の近くではちょっと……お兄ちゃんそんな勇気ないなぁ」

「……? 注射するだけだろ? 俺は他人の注射まで怖がるほど子供じゃない、いい加減に俺を子供扱いするのはやめてくれ」

真剣な眼差しを向けるセンパイに対し、従兄はバツの悪そうな顔をしている。だが、従兄の表情は何故か嘘臭く見える。

「子供扱いなんてしてないだろ?」

「……してる」

「俺がしてるのは弟扱いだよ。そうだなぁ……昔みたいに呼んでくれたら社長に相談してみるよ。上手く行けば補給済ませた後なら来れるかも」

「………………兄ちゃん、俺はもう高三だ」

「にーちゃ、の方じゃないぞ~? もっと昔の呼び方がいいなぁ」

センパイは俺達の方を一瞬見た後、いつも以上に小さな声で従兄を呼んだ。

「………………………………にーに」

「っしゃキタコレェッ! 二十四時間戦えますが!? ッカァーッ! 白飯十杯余裕!」

「……変な、喜び方……しないで欲しい」

「にーに頑張っち交渉するけんな國行ぃ!」

聞き馴染みのない訛り混じりの台詞を置いて、従兄はバタバタと急いで部屋を出ていった。

「………………兄ちゃんが部屋に来てくれるかもしれないぞ、ノゾム。これで怖くないか?」

「あっ、はい、ありがとうございますセンパイ」

「……さっき聞いたことは全て忘れろ」

「は、はい……でも、せっかく可愛いの聞けたのに」

「…………忘れろ」

低い声で凄まれても、照れ隠しだと分かっていれば怖くはない。本能が怖がるから心臓の鼓動は早まるけれど「はーい」と舐めた返しは出来る。

「……飯、早く食おう。冷める」

「い、いい、いただきまーす」

席に着いて食事を始めてしばらく、俺はレンに尋ねた。

「なぁレン、お兄さんの言ってた補給って……」

「霊能力者の体液を摂取するとその体液分霊力が移動するんですよ。不活性でも元々霊感があれば、霊能力者の傍に居るだけで活性化することはあるんですけど……零感だと補給してもらった分しか使えないんですよね」

「体液……やっぱ補給って、えっちな感じ?」

「ノゾムさんには魔力供給で伝わりますよね。まぁでも、血から霊力だけを絞り出した血清を作ってるはずなんですけどねー……趣味と実益を兼ねてってヤツでしょうか」

知り合いの大人の性的な面は想像したくないものだ、俺は呆れた表情のレンも可愛いなと思うことで気を逸らした。
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