いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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しばらく何も出来ることはない

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髪も身体も洗ったけれど、さっぱりとした気分にはなれなかった。
レンの様子がおかしくなったこと、レンが幽霊をバリバリ食べてしまったこと、レンがどこかへ行ってしまったこと──対処どころか理解もろくに出来ていないこと。
不甲斐なさ、心配、不安……そんな負の感情で頭がいっぱいだ。

「上がりましたー……」

「ノゾムくぅんっ!」

リビングに入った瞬間、ミチに抱きつかれた。よろけつつも何とか受け止め、俺の胸にぐりぐりと顔を擦り付ける彼の頭を撫でる。

「ミチ……ごめんな、心配かけて」

「ほっ、ほ、ほ、本当だよぉっ! き、君もっ、如月くんもっ……ぃ、い、い、いいつもいつもっ、僕を置いてけぼりにしてぇっ! 僕のことっ、の、の、のけものにっ……」

「そんなつもりはないんだけどな……ごめんな」

同い歳のはずだけれど、どうにもミチには幼い印象がつきまとう。だから危険からは遠ざけたくなってしまい、いつも蚊帳の外にしてしまう。

「そんな目ぇ擦るな……あーぁー目ぇ真っ赤じゃねぇか。ごめんって、もう泣かないでくれよ」

寝起きだからかボサボサの髪を更にぐちゃぐちゃに掻き混ぜるように頭を撫でてやり、重たい前髪をどかして充血した瞳を見る。

「昼飯食ったか?」

「か、形州っ……の、友達が、くれたっ……」

「先輩達か。よしよし……ありがとうな、センパイ呼んで俺探すの頼んでくれたんだな。すごいよミチ、一番いい選択した。一人で探すのは危ないし効率悪いもんな」

ミチはどこかホッとしたような表情になり、涙を流すのはやめて鼻をすすった。

「レンは全然起きない感じか?」

こくりと頷いたミチに手を引かれ、レンの元まで案内される。ソファを占領しているレンは静かに仰向けで眠っており、胸の上で手を組んでいた。

「……随分と寝息が静かだから、死んでるんじゃないかと思って……俺もやった」

呼吸を確認するためレンの口元に手をかざすとセンパイがうんうんと頷いた、俺は別に死亡を疑ってまではいなかったのだが……

「ノ、ノノ、ノゾムくん、急に居なくなるし……きっ、きき、如月くんは、寝たまま起きないしっ……ぼぼ、僕、怖かったんだからなぁっ」

「ごめんごめん……」

「…………幽体離脱、とかいうものだったな。肉体から霊体が分離して動き回っていると……ノゾムを助けるために肉体から抜け出たのに、何故か帰ってこないという理解でいいか?」

俺はレンが幽霊を食った後、何故かどこかへ行ってしまったことを素直に話した。

「……俺は専門家ではないし、よく分からんが……霊体として腹が減る、ということはないのか? 満腹になったら帰ってくるんじゃないか?」

「お化け食べて大丈夫なんでしょうか……だって、アレ……元は人ですよ。食べられた幽霊って成仏出来るのかな、もしあの世にも行けなくなってレンに消化されるんだとしたら、レン、とんでもないことしてる気がするし……」

「ふ、ふ、二人とも分かんないならさっ……せ、せせ、専門家に聞いてみたらっ?」

「…………兄ちゃんには電話が通じない」

センパイのスマホからは「お掛けになった電話番号は~」と聞き覚えのある音声が流れている。

「そ、そそ、そこのお寺の人とか……ダメ、かな」

「あー……どう思います? センパイ」

「…………分からない。オカルトなことなんて全く分からないし、こういう時俺はいつも兄ちゃんやコイツの考えに従っていた」

「うぃっす、俺ブレインっす」

レンの家の前で俺を迎えてくれた先輩が軽く手を挙げる。

「じゃあブレインさんはどう思います?」

「事情全然知らねーからねー……専門家さんに連絡つくのいつになりそうな感じ?」

「……早ければ明日、遅くても明後日には」

「その間ずっと寝たままって単純に身体に悪そうだから、病院には連れてっていいんじゃない? 霊能力者の方は……偽モン多そうだし、本モン見分ける術ねーし、金だけ踏んだくられるのもキツいしなぁ」

「お、ぉ、お、お寺とか神社の人って、お祓い頼んだらお金取るのっ?」

「お布施とかいるんじゃないのか?」

「……そもそもお祓いじゃないだろう。生霊を飛ばしたまま帰ってこないってどう説明するんだ? どう対処してもらうんだ?」

「人探しと言えば探偵、霊能探偵とか居ないかな~」

「んなラノベみたいな探偵居ませんよ……」

レンのためにどうするかを考えているはずなのに、行動しない言い訳を並べ立てているような感じだ。

「お嬢と同じやり方で探すのも無理ぽ?」

「生霊状態のレンが視えるなら有効でしょうけど」

「……ノゾムには視えるのか?」

「多分……あ、でも、レンって確か俺にも視えないよう姿消すとか出来たはずなんですよね」

「仮に見つけたとして、呼びかけたら話聞いてくれんの?」

「分かりません。少なくとも見失う前に待ってって言った時には見向きもしませんでした」

ゔーん……と唸り声に近い音が誰からともなく発せられる。お手上げ状態とはこのことだ。ため息をついてレンを見下ろしてみると、穏やかな寝顔があって思わず頬が緩んだ。

「寝顔見てる感じは大丈夫そうなんだけど……変なもの食べてたからなぁ、お腹痛くなったりしないかな」

筋肉のない柔らかい腹を撫でる。僅かに呼吸が乱れる程度で、反応らしき反応はない。

「…………寺や神社への相談は保留、食事などが出来ないため状態を見て病院へ、連絡がつき次第兄ちゃんに相談……そのため頻繁に電話をかけて確認すること。とりあえずの結論はこれでいいな?」

「はい……病院、どうしましょう。まだただ寝てるだけだろって言われるくらいの時間ですよね」

「……点滴を頼みたいがやってくれるかどうかも分からん、眠って起きないで対応してくれるかどうか……試しに行くにしても、明日だな。満腹になったら戻ってくる可能性も捨てきれないだろう。ひとまず、ノゾム……お前、昼飯を食え」

そういえば食べていなかったなと意識した瞬間、ぐぅと腹が鳴った。

「あっ……そういえば鶏肉! ちょっと切って置きっぱなしに……!」

「れ、れれ、冷蔵庫入れておいたよ。ビニール袋に入れてっ」

「マジか。でかしたぞ、ミチぃ」

「わ……ぇへへ」

レンへの対応を保留にすると決めた以上、ミチを安心させるためにも普段通りに振る舞わなければな。

「センパイ、お昼ご飯食べました?」

「……あぁ」

「そうですか……切った鶏、一人前には多いから食べて欲しかったんですけど……夕飯に回すか」

「………………実は食べてない」

「クニちゃん大盛り食ってたじゃん」

余計なことを言うなと先輩がシメられている光景を見ながら、自分のためだけにキッチンに立つ。
センパイは先輩達と外食でもしていたのだろうか、その光景を想像するだけで嫉妬してしまう。隣に座ってセンパイに「あーん」でもしてあげたかった。

「こんなもんでいいか……」

自分のために作るのではやる気が出ない。適当に鶏肉を焼き、塩コショウを振って米と一緒にダイニングへ運んだ。

「あの……俺見てなくていいですよ」

三人の視線に晒されながら黙々と遅い昼食を食べ進めるのは辛い。

「…………お前もう帰っていいぞ」

「えー、帰っても暇なんだけど……まぁいいや、ばいばいお嬢」

「あっ、はい! ありがとうございました!」

俺の捜索費であるタバコ1カートン分の金は支払うべきだろうか。いくらくらいするのだろう。

「か、かか、形州っ……せん、ぱい。きき、如月くん部屋に運んだほうがいいと思うんだ。ソ、ソファじゃ……寝苦しそうだし、も、毛布とか、要るし」

「…………だな」

これで一人静かに食べられる……これはこれで寂しいな、ままならないものだ。
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