いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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幼馴染がデートから帰ってきた

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膝が痛い。腕も痛い。俺がまだ助手席に腕をついていたのに根野が車を発進させたせいで勢いよく転んでしまった。

「血が出てる気がする……」

街灯の真下でないと腕がどうなっているか見えない。触れると痛くて感触から怪我の具合を探るなんて出来やしない。

「レン……レンの怪我、どのくらいなんだろ」

腕は皮が剥けている気がするし、膝は強打した。歩くのも辛い。それでもどうにかレンの家に帰ってきた。

「ただいま……」

「おかえんなさーい。って酷い怪我ですね、どうしたんですか?」

黒い着流しを着た従兄に出迎えられた。レンが奥から走ってくる様子はない、出迎えも出来ないほど重い怪我なのだろうか。

「車から降りるの失敗したんです」

「アクション映画でも撮ってたんですか? 手当てしますから早く上がってください」

自宅でもないくせにと思いつつ従兄の後に続いてリビングへ。ソファに座って待つと救急箱を持ってきた従兄が躊躇なく目の前に跪いた。悪くない気分だ。

「あーぁ、腕ずるむけ。膝も……破れちゃってますね。ま、ダメージジーンズに見えないこともないでしょう。足は血ぃ出てなさそうですね、一応冷やしといてください」

アスファルトで擦りむいた傷口には小石や砂が多く付着していて、濡れタオルを押し当てて拭われると俺は思わず声を上げた。

「広範囲ですし……んー、これでいいかな」

傷口にラップを貼られ、その間抜けな見た目を誤魔化すように包帯を巻かれた。製薬会社の社長秘書だから手当てに関しては信用していたが、疑心が湧き始めた。だが、今は俺の怪我なんてどうでもいい。

「あのっ、レンは……」

「部屋で寝てますよ。霊的な怪我の治癒には睡眠が最も効果的なんです」

霊的な怪我という不思議なワードの説明を求める。

「霊体に損傷を負うと肉体に反映されます。夢で幽霊に襲われて足を掴まれて、起きたら足に手形があった……とかいう怪談聞いたことありません? 実際に掴まれてはいないはずなのにアザが出来たのは、霊体が掴まれたからです」

「なるほど……?」

「たとえば幽体離脱している時に悪霊に腕をちぎられたら、怪我はないのに腕が動かない……ってなります」

たとえで腕をちぎるな。

「レンはどのくらいの怪我なんですか? 実際に、っていうか肉体的には怪我はしてないってことなんですよね。霊体的には……?」

「両腕複雑骨折になりますね」

「はっ……!?」

「だから一切肘から下が動きません」

どうして顔色一つ変えずそんなことが言えるんだ。やっぱり頭がおかしいんだ、この人は。

「い、痛みはっ……? レン、痛がってるんですか? それとっ、えっと……治るのは? いつ治るんですか?」

「霊体を怪我してもそんなに痛くないんですよね。えーっと……んー…………シンクロ率が低い状態で攻撃されたって感じの……シンクロ率分かります?」

この深刻な時にアニメネタはやめろと言いたいけれど、分かりやすいから何も言えない。

「あ、はい。映画は見たんで。レンはそんなに痛がってないんですね? いつ頃治るんですか?」

「俺の推し、毎度えげつない死に方するんですよねぇ……」

「質問に答えてください!」

「辛めの筋肉痛くらいって言ってましたよ。治りは個人差が大きいんですよ。ま、霊力使わなきゃ三日くらいで治ると思います」

霊力を使わなければ……というのは生霊の力を使わなければという意味だろう。三日間付きっきりで世話してやらないとな。

「そうですか……あの、社長さんは一緒じゃないんですか?」

「社長は今お風呂入ってますよ」

「そうですか……レンは入らずに寝たんですか? 腕動かないんですよね」

「俺が入れました。これでも入浴の介助は得意なんです」

自分の浮気を棚に上げることになるが、俺は嫁とも呼べる恋人が他の男と風呂に入ったと聞いて動揺せずにいられるような男じゃない。

「はっ……!? いや、その……ありがたいことってのは分かるんですけど」

「ご心配なく、アルビノ美人以外には発情出来ませんから」

「そういう問題じゃっ…………レン見てきます」

「いてらー」

まだ風呂に入っていないから一緒に眠ることは出来ないけれど、寝顔を見るくらいは出来る。

「レンー……」

静かに扉を開け、暗い室内を足探りに進んでいく。すねがベッドにぶつかり、手を伸ばすと毛布に触れた。そっと膝立ちになり、膝の激痛に呻き声を漏らす。

「電気点けて」

高い声による指示に反応し、室内の電灯が光を放つ。腕を使わずにのっそりと起き上がった影が床に転がった俺を見下ろす。

「あっ、レン、ごめん。起こした? 寝てていいよ」

「ん……もち? あれ……? 根野と……ん?」

眩しいのか薄目を開けて俺を見ようとしている。いつもぱっちり目を開いているレンの珍しい様子に萌え、目立つ長い睫毛を眺める。レンは睫毛も色が薄い、透き通る茶色い睫毛の愛らしさに目が奪われる。

「ごめんな起こして。ほら、寝ててくれ」

灯りを点けた時のはっきりした声は何だったのか、レンはぽやんとしている。可愛らしく思いながら肩を押して寝転ばせると、レンは目を閉じた。

「…………しないの?」

眠ったのだと思って毛布をかけ直すと、茶色い瞳が薄く開いて俺を見つめた。

「へっ? ぁ、いや……」

俺が行為に及ぶために押し倒したと思ったのか? やっぱり寝ぼけている、俺の言葉があまり届いていない。

「……っ、キスだけ」

せっかくなので唇を重ね、舌は入れずに離れた。

「…………だいすき」

ふにゃんと微笑んで目を閉じ、静かな寝息を立て始める。レンを起こさないよう静かに歩き、スイッチを押して電灯を消した。

「おかえんなさーい。如月様どうでした?」

「普通に寝てました、可愛かったです。あの、ちょっと家から物取ってきます。すぐ戻りますから」

足早に自宅に戻って大量のお土産を持ってきて、リビングの隅に置かせてもらう。

「俺の五万の成果ですか」

「はい、センセに買ってもらったのがほとんどで、お兄さんにもらったのはそんなに使ってませんけど……あ、お釣りお返しします。四万ちょっと残ってるんで」

「取っといてください」

「でも」

「今返されても財布出すの面倒臭いじゃないですか」

雑な理由だ。俺に小遣いをくれるという意思表示だと受け取っておこう。礼の証にはならないかもしれないが、お土産を渡そう。

「あの、これ」

イルカのチャームがついた、ヒトデや貝殻の絵が描かれたボールペン。根野の手前、俺用としてしか買えなかったためラッピングは出来なかったそれを渡す。

「……なんです?」

「お土産です。知ってる人には渡しておかないとなって」

「俺に、ですか?」

お土産を渡されるのがそんなに意外だったのか、従兄の理解は遅い。三、いや四白眼を見開いてボールペンを見つめた後、不意にふっと笑った。

「ありがとうございます」

礼と共に貼り付けられた笑顔は相変わらずの胡散臭さだったが、その直前の笑みには優しい温かさを感じた。きっと本当の笑顔だったのだ。

「じゃあ、ミチにも渡してきます」

ミチ用のお土産を持って彼が居る部屋へ。彼はまだ眠っておらず、真面目に夏休みの宿題をしていた。イヤホンで音楽を聴いているようで俺が入ってきたことには気付いていないらしい。部屋着の緩いスウェットでは隠し切れない華奢さを醸し出す背中にそっと近寄る。

「……みーちっ」

「ぅわぁあっ!? あっ、つ、月乃宮っ……ぁ、や、ノノ、ノ、ノゾムくん」

「よっ、ただいま。悪ぃな驚かせて。何聴いてたんだ?」

「お、ぉ、お、おか、おかえりっ……ぁ、えっと、これっ」

イヤホンを片方渡される。耳に近付けて見ると最近店などでもよく聞く流行りの曲が流れていた。

「さ、ささ、最新ヒットメドレー……な、なな、なんか好きな曲出来るかなって」

「へぇ、出来たか?」

「ま、まま、まだ……」

「そっか。あのさ、ミチ、お土産持ってきたんだけど受け取ってくれるか?」

背に隠していた大きなイルカのぬいぐるみを渡す。ミチは小柄で可愛い顔をしているからぬいぐるみを抱くのが似合うし、イルカなどのストレートに可愛い動物が似合うと思ってこれを選んだ。

「ぁ……ぼ、ぼぼ、僕、に……? ぁ、ああ、あり、ありがとうっ! すす、す、すごく嬉しい!」

「もう一個あるんだけど」

「まま、ま、まだあるのっ?」

男子高校生へのお土産がぬいぐるみなのはどうかと思ったので、ミチの重たく長い前髪をどかすために髪留めも選んでいた。

「基本シルバーで端っこにヒトデ。普段使いしやすいだろ? 前髪をこう挟んで、めくって、頭のてっぺんの方に……ほい、おでこ丸出し」

「し、しし、視界が明るいっ……ぁ、あ、ありがとうだけどっ、やだよこれぇ」

「そう言うなよ、俺はミチの顔見たいし……ほら、俺も同じの持ってる。お揃いだぞ」

根野に「つけているところが見たい」と言われた時対策として俺用も買わせておいた。それを使ってミチと同じように前髪をかき上げてみると、ミチは髪留めを受け入れて笑顔を見せてくれた。
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