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友達と一緒に幼馴染元気付けてみた

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レンは「死ね」なんて言ってなかった。やはり俺の幻聴だったんだ。幻聴で家から逃げたのかと自分に呆れはするけれど、レンが俺の知っている優しいレンのままだったことには安心した。

「ま、思ったより元気そうで安心したよ。な、ミチ」

「ぅ、う、うんっ……も、もっと落ち込んでるかと思ってた」

「自殺するかもしれねぇから拘束してるって聞かされたらなぁ」

俺の自殺未遂の現場に遭遇したことがあるからなのかもしれないが、従兄は心配し過ぎだ。忙しいだろうに毎朝朝食を共にしに来るのも俺を気遣ってのことだし、本当に優しい人だ。感情の起伏が一切感じられない瞳は玉に瑕だな。

「二人して女装なんてする意味なかったか?」

「そんな、嬉しいよ」

「こ、ここ、ここに来るまでっ、す、すっごく恥ずかしかった……!」

「ありがとうな、ミチも……」

露出が少なくオドオドとしたミチは上品な服も相まって深窓の令嬢と言った具合で、知らなければまず男だとは分からないだろうと思えた。

「お前はちゃんと女っぽくしてやったんだから恥ずかしがることねぇだろ」

「は、は、恥ずかしいよぉっ! どっちっぽくとか関係なくスカート恥ずかしいぃ!」

レンは華奢とはいえ男だとギリギリ分かる肩をあえて出し、普段の女装ではチョーカーで隠す喉もそのまま、立ち方も男っぽいまま……少し観察すれば誰でも女装だと気付けるレベルだ。

「レンは……何か、今日女装雑だな」

「お、分かるか? 気付いてくれて嬉しいぜ」

やはりわざとだったのか。普段の女装では絶対に肩を隠し、猫背になってまで華奢に見せようとするレンが肩を出して胸を張っているのはおかしいと思ったんだ。

「えっと……どういう心境の変化が?」

「この間、ハスミンとしてデートしただろ?」

「あ、うん。楽しかった。あのレンも可愛かったし」

「ありがとよ。でもあの姿、疲れるんだよ。歩き方、話し方、声、全部に気ぃ遣わなきゃなんねぇ。ま、それはそれで楽しいからたまにやりたくなるんだけどな」

レンが女装を始めたのは俺が昔から「レンが女ならよかった」と最低発言を繰り返してきたからだったが、俺に関係なく女装してコスメを物色しているところにも遭遇したので、俺のためよりも本人の趣味に比重が傾いているのは明らかだ。

「立ち居振る舞いに気ぃ遣うのはしょっちゅうやりたくないけど、女の子の服はしょっちゅう着たくなるわけ。ちょっとした悩みだったんだよな」

「……知らなかった」

「もちに悩んでる顔見せたくないもん。んで、秘書さんとダベってた時にさぁ、言われたのよ」

「お兄さんに? 何て……?」

従兄は悪い人ではないのだが、時折意味の分からないことを口走るから不安が膨らんだ。

「女装は男だって分かりやすいとこが残ってた方が萌える。って」

「……は?」

「秘書さんいわく、女に見せたい女装ならともかく、女装目的の女装なら男を残さないと意味がないって。肩幅とか喉仏とかは分かった方が萌えるって。まぁあの人の性癖だとは思うんだけど、もちにもハマらないかなーって……こっちのが楽だし、ガッツリ女装もたまにはやりたいけどさ」

「なる、ほど……?」

つまり新しい女装のお試し期間か。以前からスカートを履いたまま男らしい話し方のままだったり、低い声を出したりと、ボロとも呼べる部分はあったが──俺はそれに少しときめいていた。可愛い女の子の見た目で雄々しく俺を貪るギャップに萌えていた。

「どうだ? もちの趣味には合うか? 一応カーディガンとチョーカー持ってきてるから、女全振りがいいならそっちにするけど。あ、俺の負担は気にすんなよ、お前の好み知りたいだけだからな」

「どうって……」

「男ちょい残し女装、どうよ。やっぱ嫌か? もちは俺に女の子になって欲しいってずっと言ってたもんな……男に目覚めた今ならイケるかと思ったけど、やっぱダメかな……」

「あ、いやっ……待って、レン」

カーディガンを羽織ろうとしたレンを止め、彼を真正面から観察する。女の子らしさを演出するはずのワンピースと、女にしてはしっかりし過ぎた肩、女性ではまず見ない喉仏、むちむちの太腿に食い込むガーターベルト……

「レン、もうちょっとこっち来て」

「こうか?」

露出した肩を包むように撫で、二の腕を軽く掴む。服に隠れた鎖骨をなぞり、骨格に雄を感じる。

「……もち?」

「………………抱かれたい」

「それは……気に入ってくれたってことでいいのか?」

従兄は「男を残した女装は萌える」と話していたそうだが、俺は萌えなかった。欲情してしまった。

「うん……めちゃくちゃ気に入ったんだと思う」

元々、ミチに抱かれる時には「こんなに可愛い顔をした男の子にぐちゃぐちゃにされるのがたまらない」と感じていた。レンは大好きなレンであることが大き過ぎてそちらの喜びがかき消えてしまっていたが、今思い出した。

「ミニスカの下に凶悪なのあるって思うともう……! スカート履いたまましゃぶらせて欲しいし抱いて欲しい」

「よかった。ハマったんだな」

「うんっ、うん……ハマった、めちゃくちゃハマってる」

じゃあ、とレンはベッドに乗って俺の太腿の上に跨った。少し手を動かせば触れられる近さのガーターベルトに顔も胸も股間も熱くなった。

「レン……ぁ、あの、そこ触っていい……?」

「俺の太腿は、いつでもどこでもお前の好きにしていいって言ったはずだぜ」

白い靴下に隠された膝に手を置く。そこからかよ、なんてレンはクスクス笑っているけれど俺は真剣だ。ガーターベルトで吊られること前提の靴下にはゴムが入っていない、伸縮性のない布に隠れた足の触り心地は膝から堪能したかった。

「膝から太腿にかけての、このラインが……後、ふくらはぎへのラインも……膝は足にとってのくびれで、最高で……」

「分かった分かった、お前本当に足好きなんだな。ミチの方も好きにしていいんだぞ。な、ミチ」

遠慮がちに頷いたミチの顔は赤く、その控えめな仕草は服によく合っていた。活発でセクシーな服装のレンが積極的なのもよく合っている。

「是非って言いたいけど手が足りないよ」

「お前の腕は二本あるじゃねぇか。んで俺達は二人、足りてるだろ。ミチ、お前も乗れよ」

「えっ、ぁ、う、うん……」

俺への独占欲は強いはずなのに、レンはたまにミチと共有するような態度を取る。謎だ。ミチと仲がいいからだといいなと俺は思っている。

「もーちっ、嬉しいか?」

右の太腿にレンが、左の太腿にミチが跨る。タイプの違う女装を同時に堪能出来るなんて贅沢にも程がある。

「う、うん……めちゃくちゃ嬉しい。嬉しくて逆にリアクション出来ない」

「はははっ、んだそれ可愛いなぁ。して欲しいこととかないか?」

「あ……俺がフェラするから、顔太腿で挟んで欲しい。それしながら、お尻ガンガン突いて欲しい」

「しっかり二人居ることを活かすお願いじゃねぇの。足りねぇだなんて言ってたくせによ」

あまりにも節操のないおねだりをしてしまったと後から恥じらい、赤くなった顔を隠そうと俯く。

「可愛いお願いだが、却下だ」

「えっ?」

受け入れてもらえると信じ込んでいた俺は顔を上げ、目を見開いてレンを見つめた。

「なんで……?」

「ダ、ダダ、ダメに決まってるよぉ! ぼ、僕達ちゃんと形州に聞いたんだぞぉ!」

「お前、ナカ怪我してんだってな。無茶苦茶なレイプされたせいで」

根野に付けられた腸壁の引っ掻き傷のことか。まさかセンパイが二人に伝えているなんて、全くの想定外だ。

「……ノゾムは抱かれたがるだろうから明日行くなら気を付けてやってくれ……って、注意してきたんだよあの褐色巨躯人間」

「ぼ、ぼ、僕はノゾムくんを独り占めしたいアイツの嘘だって思ったんだけど」

「もちの反応を見るに、ガチだな。珍しくアイツのおかげで助かったぜ。まーその怪我もアイツが原因な訳だけどよ」

強姦で付いた傷じゃなく根野が付けた傷だからセンパイは無関係だ。そう伝えられる勇気も素直さもないから、俺は抱いてもらえないと知っただけで絶望するほど淫らに堕ちた。
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