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後輩の親に抗議してみた
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萎えた陰茎を体内に残したままだが、今すぐここから逃げたい。母が帰ってきてしまった、無警戒に靴を玄関に置いているから俺が居ることはバレているだろう、センパイが居ることもきっとバレる。
「……抜くぞ」
「んっ……! ぅ、あぁっ……! んっ、んんぅっ……!」
柔らかい肉の棒が抜けていく感覚に喘ぎ、慌てて口を手で押さえる。ドロッと後孔から生温かい液体が垂れていくのが分かる、そういえばタオルを敷くのを忘れていた、またシーツを洗わなければ……でも母が居る、どうしよう、頭が痛くなってきた。
「……母親だな。俺が対応する、お前は少し休め」
「ぇ……? で、も……」
「…………息子のそんな姿見せられないだろ」
下腹にじんわりと快感が溜まって上手く動けない。足は震えているし、身動ぎの度に後孔からはドロドロと精液が溢れてくる。
「センパイがしたくせに」
「……憎まれ口を叩く体力はあるようだ」
僅かに口角を上げたセンパイは素肌にズボンとシャツを身につけ、俺の部屋から出ていった。センパイはすぐに母と出会ったようなので、俺は扉の前まで這いずって聞き耳を立てた。
「……お久しぶりです、お義母さん」
「あー……えーっと、何だっけ、ノゾムのアレよね。何してんの? ちょっとまさか……ウチでヤってないでしょうね、やめてよ汚い」
「…………してません」
声色が違う、それじゃ嘘だとバレバレだ。
「まぁどっちでもいいけど、ノゾムの部屋なら。ノゾムは?」
「……寝ています」
「あぁそう。もう夜だけどどうすんの? 泊まらないでよ、早く帰って、ノゾム持ってってもいいから」
「…………お義母さんは、何日もノゾムくんに会っていないでしょう。話したくなったりは……しないんですか?」
探るようなセンパイの声に俺はため息をついた。母の答えは分かり切っているし、実母に捨てられた経験のあるセンパイがその答えに傷付くのも予想出来る。やるせない。
「はぁ? なわけないでしょ、どっかで野垂れ死んでて欲しいって思ってたくらいよ」
「……どうして。息子でしょう。どうして……腹を痛めて産んだ子を、そんな……扱い」
消え入りそうな声だ。きっと、センパイの質問は俺の母親にではなく、自分の母親にしている。
この世のありとあらゆる創作で描かれてきた、いや、道を歩くだけでも散見される母という役割を持つ人間の愛情。我が子を車道に近付けない、転んだ我が子を慰める、そんな何気ない日常の風景に俺の心は──きっとセンパイの心も──少しずつ痛めつけられた。
どうして俺の母さんは他の子の母親のように手を繋いでくれないんだろう。どうして俺には肩車してくれる父が居ないんだろう。幼い頃に抱いた疑問と寂しさは、レンと彼の父親では誤魔化し切れなかった。
「腹を痛めて産んだ子ねぇ……よく聞くわー、その言葉。ムカつく。そうよ腹を痛めたのよ、痛かったの、恨んで悪い? 分からないでしょうけど妊娠出産ってめちゃくちゃキツいの。何っ回も吐いて、食べ物の匂いだけで気持ち悪くなって、食べ物の好みもめちゃくちゃになって、それがやっと落ち着いてきたと思ったらポコポコ中から腹蹴りやがるのよ。こっちはお前が居るせいで好きなバンドのライブにもろくに行けないってのに、人の腹ん中で楽しそうに……腹の中で別の生き物が動いてんのよ? 気持ち悪い以外の感想ある?」
「…………生き物は、そういうもので……ぁ、哺乳類は、そういうものです……から」
「アンタらは中出しするだけで終わるんだから楽よね。十ヶ月……まぁ最初の方は分かんないから正味七、八ヶ月くらい? 八ヶ月の拷問の後、もう最悪、産む時めちゃくちゃ痛いのよ。痛い思いして手に入るのは猿みたいなガキ、旦那はさっさと死ぬし、つきっきりで世話しなきゃなんないし、手がかからなくなってきても厄介事は起こすし、他の母親が言うみたいに子供可愛くないし!」
ドンッ! と扉が叩かれた。
「辛いけど子供が可愛いから頑張れるって言うクソ女多いのよ! なんで!? 可愛くないじゃん全っ然可愛くない! 可愛くないのはノゾムだけなの!? 他の子はもっと可愛いの!? 隣のレンくんはあんなに可愛くて大人しくて気も利くいい子なのになんでノゾムはあんなに出来が悪いの! なんでアンタは私を加害者みたいな目で見るのよ、私は被害者なのよ、とっとと持っていきなさいよ私あんなのいらないのよ!」
「…………よく、分かりました。ノゾムくんは……いただきます。お言葉に甘えて」
「そう……助かる。あぁ……疲れた、何熱くなってんだろ私……」
「……もしもあなたの子がレンだったとしても、きっと……あなたは可愛がれませんよ」
捨て台詞を吐いてセンパイは扉を開けようとしたが、俺が扉にもたれているので開かない。慌ててどくと扉の隙間から母親と目が合った。
「母さん……」
セックス直後だと一目で分かる格好の俺を見た母は、今までで最も冷たい侮蔑の視線を寄越した。
「……ノゾム、行こう。ほら、服を着ろ……立てるか? いや立てなくていい、俺が運ぶ」
母に期待なんてした覚えはないのに、どうして俺は裏切られた気分になって、涙を流しているのだろう。
「…………とりあえず如月の家に戻るか」
俺に無理矢理服を着せたセンパイは俺を片腕に抱えて俺の家を出た。
「……暗いな。今日は月が見えない……」
どっぷりと闇に浸かった空を照らすには街灯は頼りない。
「…………まぁ、俺の月はここに居る、何も問題はない……金色の綺麗な月だ、眩しいな」
「センパイ……それは、流石に……クサ過ぎというか」
「……………………………………言うな」
泣きたい気持ちは萎んだけれど、何とも言えない空気感のまま、俺達はレンの家へ戻った。
「……如月ー、如月……レンー? レーンー……居ないのか?」
如月宅の中は暗かった。いや、ダイニングには薄明かりが点いている。センパイがスイッチをいじってオレンジ色の光を白く明るい光へと変えると、従兄が床に倒れていた。
「……っ!? 兄ちゃん! ノゾム、下ろすぞ、立てるな?」
「は、はい……」
壁にもたれながらレンが居ない理由と従兄が倒れている理由を重ねて考え、悪い方向へと妄想を進める。
「……兄ちゃん、兄ちゃん! 兄ちゃんっ!」
「んん……何だよ、國行……」
「…………っ、何だよじゃない! 何があったんだ、どうして倒れてた!」
「はぁ……? あぁ、社長が外で如月に稽古つけるっつって……俺は来なくていいって……んで、暇だし、やることないし、寝てた」
従兄は殴られて倒れていたとかではなく、ただ床で寝ていただけ──そういえばこの人床で寝る癖あったな、と妄想を終えた頭が思い出した。直後、鈍い音。
「……っ! 床で寝るな紛らわしい!」
「殴んなくてもよくね……? 今何時……うわ、どーりで腹減ってると……社長まだ稽古してんの?」
かなり強く側頭部を殴打されていたように見えたが、従兄は問題なく起き上がって腕時計を確認している。
「……知らん。どこに行ったんだ?」
「ウッドデッキでやるって言ってた」
「…………すぐそこだな。よかったなノゾム、お前のダーリンは近いぞ」
「レンは俺のハニーですよ。ダーリンはどっちかって言うとセンパイです。ね、頼りがいのある可愛いダーリンっ」
「……からかうな」
先にからかったのはセンパイのくせに、彼は目を逸らして顔を赤くした。
「はぁ……レンは何か頑張ってるんだなぁ。じゃあ晩ご飯は用意してあげた方がいいですよね。センパイ、お兄さん、一緒にレン達に晩ご飯作りましょう」
俺は壁に手をついて歩き、晩飯の献立を考えるため冷蔵庫の中身を調べようとまず野菜室を開けた。
「じゃあ買い物が先ですね」
そんな俺の背後から従兄が笑いかける。
「月乃宮様が國行としけこんだ後、腹減ったんで中のもんだいたい食べちゃいましたから」
ヘラヘラと笑っている彼に怒っても意味はないし、俺が怒る理由も個人的な苛立ち以外にはない。
「じゃあ……買い物行きましょうか」
従兄の提案を受け入れる以外、俺に選択肢はなかった。
「……抜くぞ」
「んっ……! ぅ、あぁっ……! んっ、んんぅっ……!」
柔らかい肉の棒が抜けていく感覚に喘ぎ、慌てて口を手で押さえる。ドロッと後孔から生温かい液体が垂れていくのが分かる、そういえばタオルを敷くのを忘れていた、またシーツを洗わなければ……でも母が居る、どうしよう、頭が痛くなってきた。
「……母親だな。俺が対応する、お前は少し休め」
「ぇ……? で、も……」
「…………息子のそんな姿見せられないだろ」
下腹にじんわりと快感が溜まって上手く動けない。足は震えているし、身動ぎの度に後孔からはドロドロと精液が溢れてくる。
「センパイがしたくせに」
「……憎まれ口を叩く体力はあるようだ」
僅かに口角を上げたセンパイは素肌にズボンとシャツを身につけ、俺の部屋から出ていった。センパイはすぐに母と出会ったようなので、俺は扉の前まで這いずって聞き耳を立てた。
「……お久しぶりです、お義母さん」
「あー……えーっと、何だっけ、ノゾムのアレよね。何してんの? ちょっとまさか……ウチでヤってないでしょうね、やめてよ汚い」
「…………してません」
声色が違う、それじゃ嘘だとバレバレだ。
「まぁどっちでもいいけど、ノゾムの部屋なら。ノゾムは?」
「……寝ています」
「あぁそう。もう夜だけどどうすんの? 泊まらないでよ、早く帰って、ノゾム持ってってもいいから」
「…………お義母さんは、何日もノゾムくんに会っていないでしょう。話したくなったりは……しないんですか?」
探るようなセンパイの声に俺はため息をついた。母の答えは分かり切っているし、実母に捨てられた経験のあるセンパイがその答えに傷付くのも予想出来る。やるせない。
「はぁ? なわけないでしょ、どっかで野垂れ死んでて欲しいって思ってたくらいよ」
「……どうして。息子でしょう。どうして……腹を痛めて産んだ子を、そんな……扱い」
消え入りそうな声だ。きっと、センパイの質問は俺の母親にではなく、自分の母親にしている。
この世のありとあらゆる創作で描かれてきた、いや、道を歩くだけでも散見される母という役割を持つ人間の愛情。我が子を車道に近付けない、転んだ我が子を慰める、そんな何気ない日常の風景に俺の心は──きっとセンパイの心も──少しずつ痛めつけられた。
どうして俺の母さんは他の子の母親のように手を繋いでくれないんだろう。どうして俺には肩車してくれる父が居ないんだろう。幼い頃に抱いた疑問と寂しさは、レンと彼の父親では誤魔化し切れなかった。
「腹を痛めて産んだ子ねぇ……よく聞くわー、その言葉。ムカつく。そうよ腹を痛めたのよ、痛かったの、恨んで悪い? 分からないでしょうけど妊娠出産ってめちゃくちゃキツいの。何っ回も吐いて、食べ物の匂いだけで気持ち悪くなって、食べ物の好みもめちゃくちゃになって、それがやっと落ち着いてきたと思ったらポコポコ中から腹蹴りやがるのよ。こっちはお前が居るせいで好きなバンドのライブにもろくに行けないってのに、人の腹ん中で楽しそうに……腹の中で別の生き物が動いてんのよ? 気持ち悪い以外の感想ある?」
「…………生き物は、そういうもので……ぁ、哺乳類は、そういうものです……から」
「アンタらは中出しするだけで終わるんだから楽よね。十ヶ月……まぁ最初の方は分かんないから正味七、八ヶ月くらい? 八ヶ月の拷問の後、もう最悪、産む時めちゃくちゃ痛いのよ。痛い思いして手に入るのは猿みたいなガキ、旦那はさっさと死ぬし、つきっきりで世話しなきゃなんないし、手がかからなくなってきても厄介事は起こすし、他の母親が言うみたいに子供可愛くないし!」
ドンッ! と扉が叩かれた。
「辛いけど子供が可愛いから頑張れるって言うクソ女多いのよ! なんで!? 可愛くないじゃん全っ然可愛くない! 可愛くないのはノゾムだけなの!? 他の子はもっと可愛いの!? 隣のレンくんはあんなに可愛くて大人しくて気も利くいい子なのになんでノゾムはあんなに出来が悪いの! なんでアンタは私を加害者みたいな目で見るのよ、私は被害者なのよ、とっとと持っていきなさいよ私あんなのいらないのよ!」
「…………よく、分かりました。ノゾムくんは……いただきます。お言葉に甘えて」
「そう……助かる。あぁ……疲れた、何熱くなってんだろ私……」
「……もしもあなたの子がレンだったとしても、きっと……あなたは可愛がれませんよ」
捨て台詞を吐いてセンパイは扉を開けようとしたが、俺が扉にもたれているので開かない。慌ててどくと扉の隙間から母親と目が合った。
「母さん……」
セックス直後だと一目で分かる格好の俺を見た母は、今までで最も冷たい侮蔑の視線を寄越した。
「……ノゾム、行こう。ほら、服を着ろ……立てるか? いや立てなくていい、俺が運ぶ」
母に期待なんてした覚えはないのに、どうして俺は裏切られた気分になって、涙を流しているのだろう。
「…………とりあえず如月の家に戻るか」
俺に無理矢理服を着せたセンパイは俺を片腕に抱えて俺の家を出た。
「……暗いな。今日は月が見えない……」
どっぷりと闇に浸かった空を照らすには街灯は頼りない。
「…………まぁ、俺の月はここに居る、何も問題はない……金色の綺麗な月だ、眩しいな」
「センパイ……それは、流石に……クサ過ぎというか」
「……………………………………言うな」
泣きたい気持ちは萎んだけれど、何とも言えない空気感のまま、俺達はレンの家へ戻った。
「……如月ー、如月……レンー? レーンー……居ないのか?」
如月宅の中は暗かった。いや、ダイニングには薄明かりが点いている。センパイがスイッチをいじってオレンジ色の光を白く明るい光へと変えると、従兄が床に倒れていた。
「……っ!? 兄ちゃん! ノゾム、下ろすぞ、立てるな?」
「は、はい……」
壁にもたれながらレンが居ない理由と従兄が倒れている理由を重ねて考え、悪い方向へと妄想を進める。
「……兄ちゃん、兄ちゃん! 兄ちゃんっ!」
「んん……何だよ、國行……」
「…………っ、何だよじゃない! 何があったんだ、どうして倒れてた!」
「はぁ……? あぁ、社長が外で如月に稽古つけるっつって……俺は来なくていいって……んで、暇だし、やることないし、寝てた」
従兄は殴られて倒れていたとかではなく、ただ床で寝ていただけ──そういえばこの人床で寝る癖あったな、と妄想を終えた頭が思い出した。直後、鈍い音。
「……っ! 床で寝るな紛らわしい!」
「殴んなくてもよくね……? 今何時……うわ、どーりで腹減ってると……社長まだ稽古してんの?」
かなり強く側頭部を殴打されていたように見えたが、従兄は問題なく起き上がって腕時計を確認している。
「……知らん。どこに行ったんだ?」
「ウッドデッキでやるって言ってた」
「…………すぐそこだな。よかったなノゾム、お前のダーリンは近いぞ」
「レンは俺のハニーですよ。ダーリンはどっちかって言うとセンパイです。ね、頼りがいのある可愛いダーリンっ」
「……からかうな」
先にからかったのはセンパイのくせに、彼は目を逸らして顔を赤くした。
「はぁ……レンは何か頑張ってるんだなぁ。じゃあ晩ご飯は用意してあげた方がいいですよね。センパイ、お兄さん、一緒にレン達に晩ご飯作りましょう」
俺は壁に手をついて歩き、晩飯の献立を考えるため冷蔵庫の中身を調べようとまず野菜室を開けた。
「じゃあ買い物が先ですね」
そんな俺の背後から従兄が笑いかける。
「月乃宮様が國行としけこんだ後、腹減ったんで中のもんだいたい食べちゃいましたから」
ヘラヘラと笑っている彼に怒っても意味はないし、俺が怒る理由も個人的な苛立ち以外にはない。
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