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教え子は本当に遊びに来てくれた
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畳の上、薄っぺらい座布団に座り、不安な動作の扇風機の風を受けながら、濡れたグラスを掴んで氷が浮いた麦茶を一口。
「ノゾム……ノゾム……ノゾムだ、ノゾム、本物? ノゾム、ノゾム、ノゾム……本物、本物だ……」
軍手と麦わら帽子は脱いで、白い半袖と紺色の半ズボン姿の根野は汗ばんだ手で俺の身体に触れている。
「センセぇ、もう分かった?」
俺の背後に膝立ちになった彼は俺の脇腹を撫でたり、肩甲骨を掴もうとしたり、背骨を親指でゴリゴリしたり、耳を引っ張ったり──肉欲を感じない不思議な触れ方をしてくる。
「……うん、ノゾム、ノゾムは、ノゾムなんだね、ここに居るんだね、ノゾム、ノゾムは、ノゾムは俺のところに、ノゾムは来てくれた、ノゾム」
自然に触れさせておけば療養になるだなんて雑な結論だ。根野は悪化しているじゃないか、前はもう少し会話が楽だったぞ。
「センセ、この家めちゃくちゃ広いけどセンセ一人で住んでるんだよね?」
「空き家をね、ノゾム、タダでもらったんだ。自分で修繕と掃除したんだよノゾム。ネット環境とかはやってくれてね、ノゾム。僕は異常者じゃないけどねノゾム、支援してくれるって言うから利用させてもらってるんだよ、仕事も回してもらってるんだよノゾム」
「俺の名前が語尾みたいになってる……どぶ森の住人みたいだねセンセ、可愛い」
瞬きは非常に少なく、常に見開かれていている目は爛々としていて異様な雰囲気を醸し出している。しかし、名前を愛おしそうに連呼されるのは悪い気はしない。
「お仕事って何してるの?」
「翻訳だよノゾム、先生はね、英語担当じゃないけど実は結構得意なんだよノゾム。しかもねノゾム、大学では第二言語にフランス語選んでたんだよノゾム」
俺の名前が語尾になっていることを無視しても以前より他人に内容が伝わりにくい話し方をしている。
「あの畑は何?」
「家庭菜園だよノゾム、庭が無駄に広かったから勧められたから暇な時間多かったから育ててるんだよ」
「何育ててるの?」
収穫したら先生が料理して食べさせて、なんて甘えてみる。
「何……? 何、だろ。分かんない」
もらった種を適当に植えてみただけとかそういうことか? それでちゃんと育つのか?
「ノゾムが生えますようにって水あげてるよ」
「俺は植物じゃないよ。扇風機とか棚とか微妙に古いけど、どうしたの?」
「拾ったりもらったりしたんだ、ノゾム。僕自分で綺麗にしたんだよ」
「ふーん……」
再会したらすぐに体を求められると思っていたけれど、根野は一向にそんな気配を出さない。俺はすっかりその気になっていたし、根野の意外で健康的な色気や汗の匂いに興奮してしまっている。
「ねぇセンセ? 俺と再会したら……したいこと、あったでしょ? しないの?」
真正面からセックスしようだなんて言えない、羞恥心とプライドが邪魔をしている。
「したいこと? ノゾムとしたいこと……ノゾム、ノゾム、ノゾム……」
根野は俺の胸や股間に触れることなく俺を抱き締める。尻に根野の股間が触れているが、勃ってすらいないのにはイラついた。
「俺はセンセとしたいことあるよ」
まるで幼子のようになってしまっている根野の唇を再び奪う。怯んだ彼を押し倒し、腹の上に跨る。シャツを脱ぎ捨てて上体を倒し、根野の目の前に胸を突き出す。
「……ほ、ほら、センセ。センセがくれたピアスつけてきたよ」
乳輪を二本の指で広げるようにして乳首を強調する。チョコ菓子のようなローターピアスを見せびらかすとレンズの向こうからの視線の質が微かに変わった気がした。
「リモコンも持ってきてるから……俺の胸、センセの好きにしてくれていいんだよ」
ポケットに入れていたローターピアスのリモコンを根野の頭の横に転がす。
「センセ……」
性欲がすっかり抜け落ちてしまったのだろうか? 以前は嫌になるくらい俺を求めてくれていたのに……何だか寂しい。
「セ、センセっ、見て!」
根野に体を求められないことにショックを受ける日が来るなんて思わなかった。俺は恥もプライドも捨ててズボンと下着を脱ぎ、根野の胸の上に座り直した。体の向きは先程とは反対だ。
「ほ、ほらっ……見える? 俺の……その」
体を倒してシックスナインのような姿勢を取り、根野の眼前で後孔を拡げる。それでも僅かに残った羞恥心が下品なセリフを躊躇させる。
「センセぇ……」
既に下品なポーズを取っているんだ、今更少し下品なセリフを吐くくらいなんだ。根野に求められない方が嫌だ。
「…………っ、俺の、センセのが欲しくてうずうずしてる、えっちなとこ見て! それでも何もしないならっ、俺、もう、もう帰……ひぁんっ!?」
突然尻を鷲掴みにされて引っ張られ、後孔に唇を押し当てられた。次の瞬間ぢゅるぢゅると音が鳴る、俺の後孔を根野が啜る音だ。
「んゃっ、ぁああっ!? だめっ、それはだめぇっ! ここ来るまで結構汗かいたのっ、電車も道も暑くてっ……だから、汚いからぁっ、だめぇえっ……! ひぁあっ!」
縁を啜られるだけでなく、穴に舌をねじ込まれた。
「んっ、ぁあっ……! やだ、だめ、汚いってばぁ……! ぁ、あぁっ……せんせぇっ……!」
もう後孔の縁とは言えない深さ、腸壁の浅い部分をれろれろと舐め回される。唾液を塗り込むような舌の腹、ひだを弾く舌先、ほぐされていく穴はヒクヒクと震えることしかできなかった。
「……あはっ、覚えてるのより味濃い。美味しかったよノゾム」
後孔を舐めしゃぶられてぐったりとしてしまった俺を自分から下ろし、畳の上に仰向けになった俺を見下ろし、根野は見慣れた微笑みを浮かべた。
「目が覚めた気分だよ。遊びに来てくれてありがとうノゾム。俺、お前としたいことたくさんある。僕たくさん考えたんだ、君とのプレイ。まずはその汗舐めさせて」
先程までの腑抜けた様子がなくなった。元に戻ってくれた根野に何を言うべきか俺は分からなかった。汗は汚いからダメだと言おうか、改めて久しぶりと言おうか、それとももっと他の──
「う、ん……センセのも舐めさせてね」
色々と考えていたけれど、俺は彼の病的な視線と首から下の健康的な色気にやられてしまっていた。
「あははっ、なぁにノゾム、そんなこと言う子だっけ? 嬉しい、いいよ、たくさん舐めて。でも最初は俺の番」
「センセさっきお尻舐めたじゃん……次俺の番だよ」
「それもそっか……じゃ、ノゾムからでいいよ」
珍しくあっさりと納得してくれた根野は畳の上に正座をし、どこからでもどうぞと手を広げた。俺は起き上がって彼の肩を掴み、太腿に膝を乗せ、喉仏に唇だけで噛み付いた。
「はむっ……ん、んん……ん」
汗が伝う首筋にさっきから気を散らされていたのだ、責任は取ってもらうぞ。変なテンションになってしまっている俺はそんな気持ち悪いことを考えながら根野の首を舐め回した。
「ん……くすぐったい。首舐めて楽しい?」
「ぅん、たの、ひぃ……んん、しょっぱい。すっごい興奮する……早く種付けされたいよぉセンセぇ」
気付けば俺は腰を揺らし、陰茎を情けなくぶるんぶるんと振っていた。
「そろそろ俺の番でいい?」
「だめ、うなじも……」
一度立ち上がって根野の背後に回った俺は根野のうなじに吸い付いた。後れ毛と長めの産毛が舌触りを悪くし、興奮を高める。
「ひぁぁあぁ……! やばいうなじダメかもノゾムぅっ……も、もうやめてっ」
「ん……? うなじ弱いの? 耳も弱かったよねセンセ。やった、センセの弱点二個目発見」
つぅっと耳の縁を人差し指で撫で上げると根野は文字起こし不可能の奇妙で甲高い声で鳴いた。
「は、ぅっ……だめっ、首も耳もだめぇぇ……!」
「センセのうなじ可愛い、生え際ヒラタクワガタみたいな形してる」
「何それぇ……んゃっ、だから耳ダメっ、って、言ってんのにぃいぃ……!」
ダメダメと言いながらも大した反抗はしない根野を可愛く思いながら、彼の首にしっかりと腕を絡めて離れず、耳とうなじを責め倒してやった。
「ノゾム……ノゾム……ノゾムだ、ノゾム、本物? ノゾム、ノゾム、ノゾム……本物、本物だ……」
軍手と麦わら帽子は脱いで、白い半袖と紺色の半ズボン姿の根野は汗ばんだ手で俺の身体に触れている。
「センセぇ、もう分かった?」
俺の背後に膝立ちになった彼は俺の脇腹を撫でたり、肩甲骨を掴もうとしたり、背骨を親指でゴリゴリしたり、耳を引っ張ったり──肉欲を感じない不思議な触れ方をしてくる。
「……うん、ノゾム、ノゾムは、ノゾムなんだね、ここに居るんだね、ノゾム、ノゾムは、ノゾムは俺のところに、ノゾムは来てくれた、ノゾム」
自然に触れさせておけば療養になるだなんて雑な結論だ。根野は悪化しているじゃないか、前はもう少し会話が楽だったぞ。
「センセ、この家めちゃくちゃ広いけどセンセ一人で住んでるんだよね?」
「空き家をね、ノゾム、タダでもらったんだ。自分で修繕と掃除したんだよノゾム。ネット環境とかはやってくれてね、ノゾム。僕は異常者じゃないけどねノゾム、支援してくれるって言うから利用させてもらってるんだよ、仕事も回してもらってるんだよノゾム」
「俺の名前が語尾みたいになってる……どぶ森の住人みたいだねセンセ、可愛い」
瞬きは非常に少なく、常に見開かれていている目は爛々としていて異様な雰囲気を醸し出している。しかし、名前を愛おしそうに連呼されるのは悪い気はしない。
「お仕事って何してるの?」
「翻訳だよノゾム、先生はね、英語担当じゃないけど実は結構得意なんだよノゾム。しかもねノゾム、大学では第二言語にフランス語選んでたんだよノゾム」
俺の名前が語尾になっていることを無視しても以前より他人に内容が伝わりにくい話し方をしている。
「あの畑は何?」
「家庭菜園だよノゾム、庭が無駄に広かったから勧められたから暇な時間多かったから育ててるんだよ」
「何育ててるの?」
収穫したら先生が料理して食べさせて、なんて甘えてみる。
「何……? 何、だろ。分かんない」
もらった種を適当に植えてみただけとかそういうことか? それでちゃんと育つのか?
「ノゾムが生えますようにって水あげてるよ」
「俺は植物じゃないよ。扇風機とか棚とか微妙に古いけど、どうしたの?」
「拾ったりもらったりしたんだ、ノゾム。僕自分で綺麗にしたんだよ」
「ふーん……」
再会したらすぐに体を求められると思っていたけれど、根野は一向にそんな気配を出さない。俺はすっかりその気になっていたし、根野の意外で健康的な色気や汗の匂いに興奮してしまっている。
「ねぇセンセ? 俺と再会したら……したいこと、あったでしょ? しないの?」
真正面からセックスしようだなんて言えない、羞恥心とプライドが邪魔をしている。
「したいこと? ノゾムとしたいこと……ノゾム、ノゾム、ノゾム……」
根野は俺の胸や股間に触れることなく俺を抱き締める。尻に根野の股間が触れているが、勃ってすらいないのにはイラついた。
「俺はセンセとしたいことあるよ」
まるで幼子のようになってしまっている根野の唇を再び奪う。怯んだ彼を押し倒し、腹の上に跨る。シャツを脱ぎ捨てて上体を倒し、根野の目の前に胸を突き出す。
「……ほ、ほら、センセ。センセがくれたピアスつけてきたよ」
乳輪を二本の指で広げるようにして乳首を強調する。チョコ菓子のようなローターピアスを見せびらかすとレンズの向こうからの視線の質が微かに変わった気がした。
「リモコンも持ってきてるから……俺の胸、センセの好きにしてくれていいんだよ」
ポケットに入れていたローターピアスのリモコンを根野の頭の横に転がす。
「センセ……」
性欲がすっかり抜け落ちてしまったのだろうか? 以前は嫌になるくらい俺を求めてくれていたのに……何だか寂しい。
「セ、センセっ、見て!」
根野に体を求められないことにショックを受ける日が来るなんて思わなかった。俺は恥もプライドも捨ててズボンと下着を脱ぎ、根野の胸の上に座り直した。体の向きは先程とは反対だ。
「ほ、ほらっ……見える? 俺の……その」
体を倒してシックスナインのような姿勢を取り、根野の眼前で後孔を拡げる。それでも僅かに残った羞恥心が下品なセリフを躊躇させる。
「センセぇ……」
既に下品なポーズを取っているんだ、今更少し下品なセリフを吐くくらいなんだ。根野に求められない方が嫌だ。
「…………っ、俺の、センセのが欲しくてうずうずしてる、えっちなとこ見て! それでも何もしないならっ、俺、もう、もう帰……ひぁんっ!?」
突然尻を鷲掴みにされて引っ張られ、後孔に唇を押し当てられた。次の瞬間ぢゅるぢゅると音が鳴る、俺の後孔を根野が啜る音だ。
「んゃっ、ぁああっ!? だめっ、それはだめぇっ! ここ来るまで結構汗かいたのっ、電車も道も暑くてっ……だから、汚いからぁっ、だめぇえっ……! ひぁあっ!」
縁を啜られるだけでなく、穴に舌をねじ込まれた。
「んっ、ぁあっ……! やだ、だめ、汚いってばぁ……! ぁ、あぁっ……せんせぇっ……!」
もう後孔の縁とは言えない深さ、腸壁の浅い部分をれろれろと舐め回される。唾液を塗り込むような舌の腹、ひだを弾く舌先、ほぐされていく穴はヒクヒクと震えることしかできなかった。
「……あはっ、覚えてるのより味濃い。美味しかったよノゾム」
後孔を舐めしゃぶられてぐったりとしてしまった俺を自分から下ろし、畳の上に仰向けになった俺を見下ろし、根野は見慣れた微笑みを浮かべた。
「目が覚めた気分だよ。遊びに来てくれてありがとうノゾム。俺、お前としたいことたくさんある。僕たくさん考えたんだ、君とのプレイ。まずはその汗舐めさせて」
先程までの腑抜けた様子がなくなった。元に戻ってくれた根野に何を言うべきか俺は分からなかった。汗は汚いからダメだと言おうか、改めて久しぶりと言おうか、それとももっと他の──
「う、ん……センセのも舐めさせてね」
色々と考えていたけれど、俺は彼の病的な視線と首から下の健康的な色気にやられてしまっていた。
「あははっ、なぁにノゾム、そんなこと言う子だっけ? 嬉しい、いいよ、たくさん舐めて。でも最初は俺の番」
「センセさっきお尻舐めたじゃん……次俺の番だよ」
「それもそっか……じゃ、ノゾムからでいいよ」
珍しくあっさりと納得してくれた根野は畳の上に正座をし、どこからでもどうぞと手を広げた。俺は起き上がって彼の肩を掴み、太腿に膝を乗せ、喉仏に唇だけで噛み付いた。
「はむっ……ん、んん……ん」
汗が伝う首筋にさっきから気を散らされていたのだ、責任は取ってもらうぞ。変なテンションになってしまっている俺はそんな気持ち悪いことを考えながら根野の首を舐め回した。
「ん……くすぐったい。首舐めて楽しい?」
「ぅん、たの、ひぃ……んん、しょっぱい。すっごい興奮する……早く種付けされたいよぉセンセぇ」
気付けば俺は腰を揺らし、陰茎を情けなくぶるんぶるんと振っていた。
「そろそろ俺の番でいい?」
「だめ、うなじも……」
一度立ち上がって根野の背後に回った俺は根野のうなじに吸い付いた。後れ毛と長めの産毛が舌触りを悪くし、興奮を高める。
「ひぁぁあぁ……! やばいうなじダメかもノゾムぅっ……も、もうやめてっ」
「ん……? うなじ弱いの? 耳も弱かったよねセンセ。やった、センセの弱点二個目発見」
つぅっと耳の縁を人差し指で撫で上げると根野は文字起こし不可能の奇妙で甲高い声で鳴いた。
「は、ぅっ……だめっ、首も耳もだめぇぇ……!」
「センセのうなじ可愛い、生え際ヒラタクワガタみたいな形してる」
「何それぇ……んゃっ、だから耳ダメっ、って、言ってんのにぃいぃ……!」
ダメダメと言いながらも大した反抗はしない根野を可愛く思いながら、彼の首にしっかりと腕を絡めて離れず、耳とうなじを責め倒してやった。
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